『戦火の勇気』:1996、アメリカ

湾岸戦争の最中、ナット・サーリング中佐は誤って自軍の戦車を攻撃し、親友のボイヤー大尉を死なせてしまった。ワシントンに戻ったサーリングは調査を受け、彼に責任は無かったという結果が出る。しかし、彼は罪の意識に悩まされる。
サーリングは上官であるハーシュバーグ将軍に命じられ、カレン・ウォールデン大尉の名誉勲章授与に関する調査をすることになった。イラク軍に勇敢に立ち向かい戦死した彼女に、女性としては初の名誉勲章を送ることは、軍にとって大きな宣伝となる。
だが、サーリングがウォールデン大尉の生き残った部下達に当時の状況を尋ねると、全ての証言が食い違う。部下の1人イラリオは彼女の勇敢さを称え、別の1人モンフリーズは彼女が臆病でパニック状態だったと言う。どうやら隠された真実があるようなのだが…。

監督はエドワード・ズウィック、脚本はパトリック・シェーン・ダンカン、製作はジョン・デイヴィス&ジョセフ・M・シンガー&デヴィッド・T・フレンドリー、共同製作はポール・ニーサン、製作総指揮はジョセフ・M・カラシオッロ&デブラ・マーティン・チェイス、撮影はロジャー・ディーキンス、編集はスティーヴン・ローゼンブラム、美術はジョン・グレイスマーク、衣装はフランシーン・ジェイミソン=タンチャック、音楽はジェームズ・ホーナー。
主演はデンゼル・ワシントン、共演はメグ・ライアン、ルー・ダイヤモンド・フィリップス、マイケル・モリアーティ、マット・デイモン、ブロンソン・ピンショー、セス・ギリアム、レジーナ・テイラー、ゼリコ・イヴァネク、スコット・グレン、ティム・ギニー、ティム・ランソム、ショーン・アスティン、アーマンド・ダリウス、ネッド・ヴォーン、マニー・ペレス、デヴィッド・マクスウェイン、ショーン・パトリック・トーマス他。


戦争映画なのかと思ったら、地味な弁論劇だった。
でも戦闘シーンで派手な見せ場を作ろうとしてる。モンフリーズが車で列車に激突して爆死するという場面も、無理に派手な場面を作ろうとしたように感じる。周囲で派手にやって、真ん中は地味。
ハッキリ言えば、つまんないよね、この映画。

アメリカ的でハリウッド的で軍隊的なやり方を否定していくのかと思ったら、最終的にはそれを肯定している。
そもそも「カレンが勇敢だったからサーリングの罪の意識は救われました」というオチの付け方は変だろ。それはアメリカでは成立するということなのかしらん。

カレンにしたって、賞賛すべき行動は取ってないよなあ。降伏も逃亡も許さず、部下に銃を向けて命令するってのは、果たして素晴らしい人間なのかねえ。
それは軍人としては評価されるかもしれないが、人間としては素晴らしいとは言えないよな。

戦争での殺人行為を肯定している時点で、もう私は受け付けないのよね。なんとなく、アメリカ“だけ”の正義を押し付けられた感じがしてしまうわけで。
ま、これは結局のところ、アメリカ万歳を歌い上げるという軍人賞賛映画なんですな。

 

*ポンコツ映画愛護協会