『セブンティーン・アゲイン』:2009、アメリカ

1989年、ヘイデン高校のバスケ部「ウォリアーズ」で活躍している17歳のマイク・オドネルは、コーチのマーフィーから「今夜はスカウトが来る。いつもの力を出せば奨学金で大学入りだ」と告げられる。チームメイトは給水係で小柄なネッド・ゴールドを馬鹿にしているが、マイクは親友として仲良くしている。試合直前に恋人のスカーレットが現れ、マイクは様子が変だと気付いて「どうした?」と尋ねる。「いいの、後で話す。大事な試合よ、楽しんで」とスカーレットは言うが、マイクは「気になって楽しめない」と語る。スカーレットから妊娠を打ち明けられたマイクは、試合が始まっても集中できなかった。会場を去るスカーレットに気付いた彼は試合を放り出して追い掛け、結婚することに決めた。
現在。マイクはスカーレットに家を追い出され、娘のマギーと息子のアレックスには冷たく無視されていた。彼はネッドの家で居候生活を送り、悲惨な日々だと嘆いていた。しかし昇進発表の日が訪れ、マイクは「やっと運が向いて来た」と感じる。彼はワイアット医薬で16年も勤務し、次の地区営業課長は自分だと確信していた。しかし2年目になる若い上司のロジャーが課長に選んだのは、まだ入社2ヶ月のウェンディーだった。マイクはロジャーに抗議し、軽薄な態度に激怒してイヤホンを叩き壊した。
マイクはヘイデン高校を訪れ、ガラスケースに展示されているバスケ部時代の集合写真を眺めた。すると用務員が現れ、「期待外れだった高校のスターは、母校に戻っては今を嘆きながら昔の栄光の写真を眺める。過去から離れられない」と語る。マイクが「そりゃあそうだ。幸せだった」と言うと、彼は「きっとやり直したいんだろうな」と口にする。マイクが「出来ればね」と告げると、用務員は本気でそう思っているのかと確認を取った。
マギーが友人のジェイミー&サマンサ&ローレンと廊下を歩いて来て、マイクに気付いた。マイクは彼女にアレックスを呼び出させ、一緒にアイスを食べに行こうと誘う。マギーとアレックスは仕方なく付き合うが、話し掛けられても冷たくあしらった。マイクは子供たちを家まで送り届け、スカーレットが庭を壊しているのを見て驚いた。「ここを造園設計の展示場にする」というスカーレットの説明に、マイクは「離婚は成立していないんだ。勝手は許さない」と腹を立てた。
スカーレットが「私は18年も耐えたのよ。結婚しなきゃと良かったと言われながら」と非難すると、マイクは「僕の身にもなってみろ。こんな人生はウンザリだよ」と反論する。「結婚は頼んでない」と言われた彼は、「でも、しただろ」と告げる。スカーレットは「じゃあ、もう無理しなくていいわ。お互い、自由に行きましょう」と語り、次は離婚審理の法廷で会おうと述べた。親友のネイオミが来たので、彼女は一方的にマイクとの会話を終わらせた。
その夜、雨の中で車を走らせていたマイクは、橋の欄干に立つ用務員に気付いた。慌てて車を停めたマイクが「危ないぞ」と呼び掛けると、用務員は姿を消した。マイクは川に落ちたと思い、橋から覗き込んだ。すると川に渦が発生し、マイクは落下して飲み込まれた。翌朝、ネッドの家に戻ってシャワーを浴びたマイクは、自分が17歳の姿になっているのに気付いて絶叫した。彼はネッドに「マイクだ」と説明し、自分しか知らない情報を語って信じてもらった。
ネッドは本を開き、「守護霊の魔法だ。ヒーローが守護霊によって変身させられ、新たな道を探す」と語った。彼が「守護霊に聞け」と言うので、マイクは用務員を見つけるために学校へ向かった。しかし学校で働いている用務員は中年女性だけで、マイクが見た白髪の老人は存在していなかった。体育館の前に放置してある掃除用具に気付いたマイクは、バスケ部の練習風景を覗いた。彼はネッドの元へ戻り、「何をすべきか分かった。僕は高校生に戻る。今度こそ間違えずに人生をやり直す」と話した。
マイクはネッドに父親を演じてもらい、マークという偽名を使ってヘイデン高校に転入する。ネッドは校長のジェーン・マスターソンに惹かれ、下ネタを使って口説いた。マイクはイケてると思った服で登校したが、ジェイミーたちに「ダサい」と馬鹿にされた。ネッドの助言で別の服装に着替えたマイクが改めて学校に行くと、イケメンの転校生として注目された。バスケの連中に参加した彼は、今年で引退するマーフィーから「ポイントガードが欲しい。テストに来い」と勧誘された。
アレックスがガムテープでグルグル巻きにされてトイレの個室に閉じ込められているのを見たマイクは、自己紹介した上で助けてやった。彼はアレックスからバスケ部のスタンが犯人であること、スタンがマギーの恋人であることを聞いた。食堂でスタンがアレックスを嘲笑うと、マイクは皆に聞こえるように「原始人でナニが小さい」などと扱き下ろして挑発した。彼はネッドに、「守護霊の狙いを間違えた。問題は子供たちだった。子供たちを助ける」と語った。
マイクがオドネル家に行くと、スカーレットは「昔の夫にそっくり」と強い関心を示した。彼女が匂いまで嗅ごうとするので、ノイエミは「貴方に必要なのは新しい出会いよ」と諭した。保健体育の授業で、教師は「安全なセックスのため」とコンドームを配布した。マイクは婚前前の性交渉を否定し、生徒たちに「結婚後に心の準備をして、赤ん坊を授かる。それが愛の結晶だ」と語った。彼が父親として子供への思いを語ると影響を受ける生徒もいたが、スタンは「週末にヤリまくるぞ」とマギーにキスをした。カッとなったマイクは殴り掛かるが、あえなく返り討ちに遭った。
マイクはオドネル邸へ行き、スカーレットに声を掛けた。スカーレットは裏庭を改造中だと言い、計画を詳しく語った。マイクが「凄いね、スカー」と言うと、スカーレットは「そう呼ぶのは夫だけ」と驚いた。マイクが裏庭改造の手伝いを申し出ると、彼女は「年上の女を落としたいのね。でも期待しないで」と笑った。マイクはアレックスにバスケのシュートを指導し、スカーレットの仕事を手伝う日々を過ごした。マギーがスタンと親密にするのを見る度に、彼は様々な方法で妨害した。
ネッドはジェーンにプレゼント攻勢を仕掛けるが、全く相手にされなかった。マイクだけでなくアレックスもバスケ部の入部テストに合格し、スカーレットは喜んだ。スカーレットはマイクとアレックスに、ライトアップした裏庭を見せた。彼女がデートでダンスすることを話すと、マイクは教えてほしいと告げる。彼は結婚式で使った思い出の曲を流し、スカーレットと一緒に踊った。「旦那さんと元に戻ることは?」と彼が訊くと、スカーレットは「無いわね」と即答した。「努力すれば戻れるかも」とマイクが言うと、彼女は「彼は大切な人だけど、それだけじゃダメ」と語った。
デート相手が来ると、マイクは露骨に嫉妬心を示した。スカーレットは「マイクに渡して」と言い、マイクに離婚届を預けた。マイクはマギーがジェイミーに誕生日会に行くと知り、アレックスを連れて後を追う。マギーを見つけた彼は、「なぜスタンと?奴はイカれてる」と苦言を呈した。マギーは「彼を知らないくせに」と反発し、卒業したら同棲することを嬉しそうに話す。マイクが「これまでの努力を無駄にするのか。二度と会うな」と説教すると、彼女は「父親のつもり?」と怒って立ち去った。
マイクはアレックスと共に、バスケの試合に出場した。相手チームにリードされる中、マイクは大事な場面でアレックスにパスを出した。アレックスは見事にシュートを決め、チームは逆転勝利を収めた。マイクはチアガールのニコールと付き合いたいアレックスにチャンスを与えるため、ネッドの家で祝勝会を開くことにした。彼は1人で佇むマギーを見つけ、声を掛けた。マギーが「試合後に何もさせなかったからスタンに振られた」と泣くと、マイクは「いつか君にふさわしい男に出会える」と励ました。「優しいのね」とマギーが抱き付くので、マイクは慌てて離れた。祝勝会には大勢の生徒が参加し、スタンもやって来た。マイクが帰るよう要求すると、彼はマギーを侮辱した。マイクは激怒して殴り掛かるが、あっさりと回避されてKOパンチを食らった…。

監督はバー・スティアーズ、脚本はジェイソン・フィラルディー、製作はアダム・シャンクマン&ジェニファー・ギブゴット、製作総指揮はドビー・エメリッヒ&マーク・カウフマン&キース・ゴールドバーグ&ジェイソン・バレット、共同製作はダーラ・ワイントローブ、撮影はティム・サーステッド、美術はギャレス・ストーヴァー、編集はパトレイック・マッキンリー、衣装はパメラ・ウィザース=チルトン、音楽はロルフ・ケント、音楽監修はバック・デイモン。
出演はザック・エフロン、マシュー・ペリー、レスリー・マン、トーマス・レノン、ミシェル・トラクテンバーグ、メロラ・ハーディン、スターリング・ナイト、ハンター・パリッシュ、ニコール・サリヴァン、タイラー・スティールマン、アリソン・ミラー、アダム・グレゴリー、マリオ・キャセム、カテリーナ・グレアム、ティヤ・シルカー、メリッサ・オードウェイ、ブライアン・ドイル=マーレイ、ジョジー・ローレン、ジム・ガフィガン、ランディー・ゴードン、コレット・ウルフ、トミー・デューイ、リンダ・ミラー、ローナ・スコット、コディー・キッチン、エリス・E・ウィリアムズ、ダイアナ・マリア・リヴァ、ジェフ・スナイダー他。


『17歳の処方箋』のバー・スティアーズが監督を務めた作品。
脚本は『女神が家(ウチ)にやってきた』のジェイソン・フィラルディー。
17歳のマイクをザック・エフロン、37歳のマイクをマシュー・ペリー、37歳のスカーレットをレスリー・マン、37歳のネッドをトーマス・レノン、マギーをミシェル・トラクテンバーグ、ジェーンをメロラ・ハーディン、アレックスをスターリング・ナイト、スタンをハンター・パリッシュ、ネイオミをニコール・サリヴァンが演じている。

マイクが妻に家を追い出され、子供たちから冷たく無視されるのは、完全に自分の責任だ。しかし会社で昇進を逃すのは、ただの理不尽にしか思えない。
何しろ、マイクは単に勤務して16年というだけでなく、成績がトップなのだ。
それなのに入社2ヶ月のウェンディーに先を越されるのは、どう考えても不可解だ。
ここも「マイクに問題があるから昇進できない」という形にするか、あるいは「ウェンディーが入社2ヶ月で抜擢されるのは当然」と感じさせる形にするか、そういう内容にしておくべきじゃないかと。

あと、ロジャーが入社2年目でチャラチャラした軽薄男だとか、マイク以外の同僚がウェンディーを含めて全て若い女性だとか、そういう設定が余計なノイズになっているんだよね。
そこに何か意味合いを持たせている様子も全く見られないし。
しかも、理不尽にしか思えないウェンディーの昇進は「実はこんな裏があって」と明かされるわけでもなく、何の後日談も描かれないで終わっちゃうんだよね。
そういう意味でも、序盤から邪魔なだけの引っ掛かりになっている。

そもそも、最初の時点で「マイクがスカーレットから三下り半を突き付けられた理由」が明確になっている時点で、話の作り方としてどうなのかと思うのよね。
スカーレットはマイクに、「結婚しなきゃと良かったと言われながら耐えた」と指摘している。
そしてマイクは指摘されるまでもなく、自分がそんな風に言い続けていることを以前から認識しているのだ。
そうなると、「だったら全面的にテメエが悪いじゃねえか」ってことになるでしょうに。

そうじゃなくて、マイクは「なぜスカーレットが自分を嫌って離婚を要求し、子供たちが無視するのか分からない」という設定にした方がいいんじゃないか。
そして、「自分に非は無いはずなのに冴えない人生だから、悲惨な日々だと嘆く」という始まり方にするのだ。
その上で、そこから「マイクが自分の非や過ちに気付く」という流れに持って行った方がいいんじゃないかと。
この映画だと、終盤になって彼がスカーレットに詫びを入れても、単純に「以前から気付いていたはずで、謝罪するのが遅すぎる」ってことになるでしょ。

出世がダメになったマイクは高校へ行ってバスケ部の写真を眺めるが、この行動にも違和感を覚える。
むしろ、そんなことをしたら今の自分が惨めに思えるだけなので、高校に行くのを避けたくならないかなあ。自宅で高校時代のアルバムでも見るなら分かるけどさ。
その後、用務員が「きっとやり直したいんだろうな」と言い、「本気か」と確認を取るので、「ああ、そういうことね」と以降の展開は容易に予想できた。
ところがどっこい、思っていたのとは違う展開が待っていた。

用務員の言葉と匂わせ方からすると、「マイクが17歳の頃にタイムスリップする」という展開じゃないとダメなはずで。
ところが見た目が17歳に戻るだけで、時代は今のままなんだよね。それだと「人生をやり直す」ってことにならないだろ。
実際、高校に通い始めてすぐにマイクは「問題は子供たちだ」と言い出し、子供たちを救うのが目的になっているし。
これだと「人生をやり直す」という話からは完全に外れているし、もっと言っちゃうと17歳の姿に戻る意味も弱くなる。

マイクが子供たちと同じ高校に通うにしても、全く別人の姿になったり、別人の肉体に入り込んだりする設定でも大して変わらなくなる。
スカーレットと親密になろうとしたり、嫉妬心を抱いたりするのも、別に「17歳のマイク」の姿じゃなくても構わない。
スカーレットは最初にマークを見た時に「若い頃の夫にそっくり」と強い興味を示すものの、本気で惚れたりすることは無いんだし。
マークがマギーから恋心を寄せられる展開も、やはり「17歳のマイク」の姿じゃなくてもいい。

ただし作劇上の理由とは全く別のトコで、「17歳のマイク」にしている大きな理由がある。それは「ザック・エフロンを見せるための映画だから」ってことだ。
ザック・エフロンは2006年のテレビ映画『ハイスクール・ミュージカル』で注目を浴び、一気にティーンズ女子たちの人気者となった。そして翌年の『ハイスクール・ミュージカル2』、2008年の劇場映画『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』でも主演を務めた。
そんな中で製作された作品であり、ようするにザック・エフロンのアイドル映画なのだ。
冒頭でチアガールと一緒にダンスを披露したり、スカーレットと踊ったりするシーンがあるのも、そういうことなのだ。

17歳の頃の姿に戻ったマイクの扱いが、中途半端でしょうがない。
昔はイケメンでモテモテのスターだったわけだから、その頃のようにチヤホヤされる存在になるのかと思いきや、いきなり服装がダサいと笑われている。ところが「こんなはずでは」という路線で笑いを取りに行くのかと思いきや、着替えて登校するとイケメンとして注目を浴びている。
じゃあやっぱりモテモテ路線なのかと思いきや、警備員に睨まれたり大柄な生徒に突き飛ばされたりしてカッコ悪い姿を見せる。食堂ではスタンを馬鹿にして勝ち誇るが、怒って殴り掛かった時はボコボコにされる。
キャラの動かし方が定まっておらず、その場その場でフラフラしちゃってる印象だ。

最も肝心な「マイクとスカーレットの夫婦関係の修復」というドラマは、そんなに膨らまずに終わっている。
最初はスカーレットに怒って口論になっていたマイクが、どの辺りから、どういうきっかけで「反省と改心モード」に入ったのかも良く分からない。
マイクの心の変化をキッチリと描いていないから、終盤の展開にも大きな影響が出ている。
離婚審理の場に乗り込んだマイクが「マイクから預かった手紙を代読する」という形でスカーレットに反省の弁を述べるのだが、その言葉がちっとも心に響いてこない。

そんで最後はマークの試合を見に来たスカーレットが正体に気付き、わざわざ客席から下りて来て目が合ってから逃げ出す。
マークは試合を放り出して後を追い掛け、大人の姿に戻ってヨリを戻す。
でも、これだと同じことを繰り返しているわけで、「またマイクは後悔して愚痴ることになるんじゃないか」と思ってしまうわ。
そこは試合を放棄しない形の方が良かったんじゃないか。

(観賞日:2025年7月15日)

 

*ポンコツ映画愛護協会