『13ウォーリアーズ』:1999、アメリカ

アラブの詩人アハメッド・イブン・ファハランは、夫のある女性を愛してしまい、国を追われた。彼は帰国を許されない辺境の地の大使となり、従者のメルチシデクと共に旅を続けていた。蛮族に襲われそうになったイブンだが、そこに北の民が現れてことで難を逃れる。
その地では王が亡くなったばかりだった。イブンが王の後継者の1人ブルヴァイに面会していると、ブルズガル王の息子が使者としてやって来た。自国が魔物の襲撃を受けているというのだ。巫女の占いによリ、国を救う13人の戦士達が選ばれ、次々と名前を呼ばれていく。
しかし、最後の13人目は、異国の人間でなければいけないという占いの結果が出た。イブンは戦士の1人として選ばれ、ブルズガル王の領地に向かう。そこで彼らは“ヴェンドル”と呼ばれる魔物と戦うことになるのだが、その正体は獣の扮装をした人喰い族であった…。

監督はジョン・マクティアナン、原作はマイケル・クライトン、脚本はウィリアム・ウィッシャー& ウォーレン・ルイス、製作はジョン・マクティアナン&マイケル・クライトン&ネッド・ダウド、共同製作はルー・アーコフ、製作総指揮 はアンドリュー・G・ヴァイナ&イーサン・ダブロウ、撮影はピーター・メンジースJr.、編集はジョン・ライト、美術はウルフ・ クロージャー、衣装はケイト・ハリントン、視覚効果監修はジョン・サリヴァン、音楽はジェリー・ゴールドスミス。
出演はアントニオ・ヴァンデラス、ダイアン・ヴェノーラ、オマー・シャリフ、デニス・ストーイ、ウラジミール・クーリッヒ、 アンダース・T・アンデルセン、リチャード・ブレマー、トニー・カラン、ミーシャ・ハウザーマン、ニール・マフィン、アスビョルン・ リース、クライヴ・ラッセル、ダニエル・サウザン、オリバー・スヴェイナル、スヴェン・ウォルター、アルビー・ウッディントン他。


総製作費130億円という超大作のスペクタクル・アクション映画。
ロケ地探しに2年が費やされ、撮影スタッフとして300人が携わり、メルチシデク役のオマー・シャリフは前半で姿を消し、ジョン・マクティアナンは途中で監督を降板し、マイケル・クライトンが監督を引き継いだ(アンクレジットだが)。

「なぜ戦士は13人と決まったのか」とか、「なぜ13人目は異国の人間でなければいけない」という疑問には、誰も答えてはくれない。
「占いで決まったこと」という設定を用意して、質問は完全にシャットアウトする。
そこに意味を求めてはいけないのだ。

イブンは戦士になることを断ろうとしたり逃げ出したりすることもない。
なぜか簡単に引き受けてしまう。
彼は他の12人との“言葉の違い”という壁を、あっという間に乗り越える。
そうしないと、話を進める上で不便だからだ。
素晴らしき御都合主義のオンパレード。

イブン以外の12人は、リーダーのブルヴァイとサブリーダー格のハージャーを除けば、誰が誰なんだか良く分からない状態となっている。
何の見せ場も無く、名前さえハッキリ分からない内に死んでいく連中が続出する。
そこにキャラクターの個性など存在しない。
なぜなら、必要が無いからだ。

原題を直訳すれば「13人目の戦士」となる。
つまり、これはイブンの物語であって、13人の戦士を描く作品ではないのだ。
ただし、そのイブンも知恵を出すことはあるが、重要な役割を果たすことは無い。
異国の人間ということに、特別な意味があるわけでもない。
嗚呼、素晴らしきナンセンスの世界。

 

*ポンコツ映画愛護協会