『ギヴァー 記憶を注ぐ者』:2014、アメリカ&カナダ&南アフリカ

荒廃後の灰の中から、社会が再建された。境界に守られたコミュニティーでは、誰も過去の記憶を持たない。完全な平等な社会であり、人々は幼年期から「正しい言葉の使用」「指定服の着用」「毎朝の投薬」「門限の厳守」「嘘をつかない」といった規則を刷り込まれる。誰も苗字を持たず、儀式によって一生の仕事が定められる。ジョナスも儀式を明日に控えているが、彼には他の人と違う景色が見えていた。だが、そのことを彼は、両親や幼馴染のフィオナ&アッシャーにも内緒にしている。
コミュニティーには差異が無いので、争いが起きない。恐れや苦痛、妬みや憎悪といった言葉は、人々の記憶から消し去られた。ジョナスはフィオナ、アッシャーと共に、大勢の赤ん坊が管理されている養育センターで奉仕活動を行っている。彼らは赤ん坊の体重を計測し、それを記録する。赤ん坊の名前を調べることは違反だが、ジョナスの父は密かに1人の男児を「ゲイブ」という呼んでいる。儀式で決定する仕事について、多くの若者は何となく予想が付いている。しかしジョナスは、自分の仕事が全く予想できなかった。
夜、ジョナスは家族と食事を取りながら、仕事が自分に合うかどうか不安だと吐露する。父は「長老委員会が観察して決める」と説明し、母は「間違いないわ」と告げた。翌日、ジョナスは儀式の会場へ行き、家族と共に順番を待つ。主席長老がホログラムで会場に現れ、人々に挨拶する。老人が他の場所へ行く儀式、ジョナスの妹を含む9歳の子供が自転車を貰う儀式など、年齢別の儀式が順番に執り行われた。そして、いよいよジョナスたちの儀式がやって来た。
アッシャーはパイロット、フィオナは養育係に任命され、他の若者たちも次々に仕事が発表される。ところが、なぜかジョナスは順番を飛ばされ、最後に回された。主席長老はジョナスを呼び、「前回の失敗を受けて、慎重に選びました。記憶の器(レシーヴァー)に任命します」と告げた。その任務は苦痛が伴うが、ジョナスならば出来るだろうと主席長老は語った。会場を出たジョナスは、「前回の失敗」について両親に質問する。父は「実は10年前に」と話そうとするが、母が「その話は禁じられてるわ」と釘を刺した。
レシーヴァーには、他の人々とは異なる規則が定められている。「訓練の内容は記憶を注ぐ者(ギヴァー)が指示する」「他の規則の適用は除外される」「どんな質問も許される」「朝の投薬以外で薬は使えない」「訓練の内容は口外できない」「嘘が許される」といった規則である。町を出たジョナスは、崖にポツンと建っているギヴァーの家へ赴いた。ギヴァーはジョナスに、「私の持つ全ての記憶を伝える。何世代も前から続く、全世界の記憶だ」と述べた。
ジョナスはギヴァーから、「コミュニティーの人間は、過去の記憶を持たない。私の役目は記憶から叡智を学び、人々に知恵を貸すことだ。将来、君も長老委員会に助言する役目を担う」と告げられる。ギヴァーは「今から記憶を伝達する。君は何もしなくていい」と言い、ジョナスの両手首を握った。するとジョナスの脳内に、ギヴァーの記憶している映像が飛び込んで来た。ジョナスは雪山をソリで滑降し、一軒の家に辿り着いた。窓に視線を向けると、屋内では一組の家族が楽しそうに笑っていた。
慌てて目を開いたジョナスはギヴァーから飛び退き、「今のは何ですか」と質問した。ギヴァーは「過去の記憶だ。君に言葉を与えているはずだ」と告げ、「雪」「ソリ」といった言葉をジョナスに確認させる。「ソリの記憶の、どこが危険なんです?」とジョナスが尋ねると、彼は「ソリには雪が必要だ。しかし雪と寒さのせいで、作物は駄目になる。悪天候や山道は、物資の輸送を困難にした。その結果、飢饉や餓死が起きた。全てのことには因果関係があるんだ」と説明した。ギヴァーはジョナスを散歩に連れ出し、会話を交わす。ジョナスが「僕の前にもレシーヴァーがいたんですよね?」と訊くと、ギヴァーは答えようとしなかった。
ジョナスの父は、しばらくゲイブを預かることにした。ジョナスはゲイブの腕に自分と同じ痣があるのを発見し、いずれ選ばれる時が来ると確信した。翌日、ジョナスはギヴァーから、船で海へ出て夕日を見る記憶を教わった。するとジョナスの目には、様々な色が飛び込んでくるようになった。ギヴァーは彼に、「人々が色彩を手放したのは、肌の色も人種の差異も無い社会を作るためだ」と告げた。「差異は必要だと思うか?」と問われたジョナスは、「必要だと思います。でも色はあった方がいい」と答えた。
ジョナスとフィアナはアッシャーと会い、パイロットの訓練で三角岩を見たことを聞かされる。ジョナスが訓練で知った秘密を教えようとすると、アッシャーは「規則を破りたくない」と断って立ち去った。好奇心の旺盛なフィオナは知りたがり、ジョナスはトレイを使ってソリ遊びを教えた。ジョナスが訓練を共有したことが委員会に伝わり、主席長老はギヴァーを呼んで苦言を呈する。ギヴァーが「あれは記憶の共有になりません。私も同じようなことをやっていた。忘れてくれ」と言うと、主席長老は「私に指図しないで。彼女の時のような失敗は許されない。ジョナスに痛みを与えて」と告げた。
ジョナスはギヴァーの元を訪れ、書棚の本を読むよう勧められる。地図に興味を持ったジョナスは、三角岩の位置を発見する。記憶の境界を示す線を見つけたジョナスは、「それが記憶を守っているなら、僕らが越えたら封印が解けるかも」と口にした。ギヴァーは「それで人々に記憶が戻るかも」と言った後、「今日は聞こえる記憶だ」と告げてジョナスを地下室へ案内する。ギヴァーは地下室のピアノを弾き、「音楽のように、目に見えない記憶もある。それは朝の投薬によって制御されてる」と述べた。
ジョナスが「投薬は健康のためだ」と言うと、ギヴァーは「違う。感情の抑制剤だ。感情は考えるのではなく、心で感じるものだ。内なる声に耳を傾けるんだ」と説いた。彼はジョナスの手を握り、結婚式で楽しく歌い踊る人々の記憶を見せた。帰宅したジョナスは、リリーにダンスを教えた。すると主席長老がホログラムで現れ、「レシーヴァーの訓練は誰の監視も受けないわ。気掛かりなの。本当に順調?」とジョナスに尋ねた。彼女から訓練の内容を問われたジョナスは、詳細を明かそうとしなかった。
その後もジョナスはギヴァーの元へ通い、様々な記憶を見せてもらう。ギヴァーは彼に、「信念を持て。他人の意見に流れされるな。過去の記憶が、この世界を作り上げた。君が望めば、世界は変えられるんだ」と語る。ジョナスは「まだ早い」と反対するギヴァーに「覚悟は出来てる」と訴え、「残酷」の記憶を見せてもらう。しかしハンターたちがゾウを仕留める記憶を見せられたジョナスは、強いショックを受けた。帰宅した彼は、眠っているゲイブの部屋へ赴いた。彼はベッドの傍らにあるゾウのヌイグルミを持ち上げ、ゲイブに「かつてゾウは、本当に生きていたんだ」と語り掛けた。
その夜、ジョナスは眠りの中でフィオナと出会った。翌日、そのことを聞かされたギヴァーは、ジョナスが投薬をやめたことを知る。彼はジョナスに、「それは夢だ」と教える。ジョナスが夢の内容を説明すると、ギヴァーは「失われた感情を見たんだ。君が抱いた感情は誰かを思う気持ちだ。愛だ」と告げた。帰宅したジョナスは、父に「僕を愛してる?」と質問する。母は手適切な言葉だと注意し、父は「一緒にいて楽しいかという意味なら、答えはイエスだ」と述べた。家族が寝静まった後、ジョナスはゲイブに「愛してる」と話し掛けた。彼の腕を握ったゲイブの脳内には、過去の記憶が一気に注ぎ込まれた。
翌日、ジョナスが崖の家へ行くと、ギヴァーが床に倒れて錯乱状態に陥っていた。ジョナスが慌てて手を掴むと、戦場で兵士が殺される記憶が脳内に飛び込んで来た。ギヴァーは「まだ伝達するつもりは無かった」と釈明するが、ジョナスは「耐えられない」と吐露する。ギヴァーは「未来のために知る必要がある」と諭すが、ジョナスは「こんなの無理だよ」と逃げ出した。彼はフィオナと会い、「この社会は変だ。レシーヴァーを辞める。君も投薬をやめて」と告げる。「やめたら追放されるわ」とフィオナが言うと、ジョナスは「リンゴに血を塗ればセンサーが反応する」と述べた。
フィオナが゛「上手く行かないわ」と難色を示すと、ジョナスは「訓練に戻りたくないんだ」と弱音を吐いた。しかし彼はフィオナから「リンゴは試すからレシーヴァーは続けて」と頼まれ、ギヴァーの家へ戻った。するとジョナスの眼前に、かつてのギヴァーと少女の幻影が出現した。ギヴァーはジョナスに、その少女が前任の訓練者であるローズマリーだと明かす。それから彼は、「訓練したのは、ほんの2ヶ月だ。彼女に頼まれ、喪失の記憶を見せた。すると彼女は長老に解放を要求した」と語った。
ジョナスが「今はよそに住んでるの?」と尋ねると、ギヴァーは今朝の「解放」を映像で見せる。そこにはジョナスの父が写し出され、養育センターの赤ん坊を注射で殺害していた。ジョナスが動揺すると、ギヴァーは「殺人という言葉さえ知らない。以前の君もそうだった。相手が老人でも、何も感じない。フィオナも解放の訓練を受けるだろう」と話す。「レシーヴァーは殺人を黙認して来たのか?感情を持てないなら、生きる意味は無いよ」とジョナスが言うと、彼は「君は何が出来る?」と問い掛けた。
ジョナスは公園へ行き、フィオナと会った。フィオナは「貴方を叱ろうと思っていたけど、気になって仕方が無いの」と本音を打ち明けた。ジョナスは彼女の手を握り、キスをして「君に伝えたいことが、たくさんあるんだ」と告げた。ジョナスが帰宅すると、ゲイブの姿が見当たらなかった。父はジョナスに、「発育不良と診断されて養育センターへ戻された。解放される」と説明する。ジョナスはゲイブを救うため、記憶の境界を越えようと決意する…。

監督はフィリップ・ノイス、原作はロイス・ローリー、脚本はマイケル・ミトニック&ロバート・B・ウィード、製作はニッキー・シルヴァー&ジェフ・ブリッジス&ニール・コーニグスバーグ、製作総指揮はボブ・ワインスタイン&ハーヴェイ・ワインスタイン&ロン・バークル&ディラン・セラーズ&ラルフ・ウィンター&アリソン・オーウェン&スクーター・ブラウン、製作協力はノガ・イザックソン、撮影はロス・エメリー、美術はエド・ヴァリュー、編集はバリー・アレクサンダー・ブラウン、衣装はダイアナ・シリアーズ、視覚効果監修はロバート・グラスミア、音楽はマルコ・ベルトラミ、音楽監修はデイナ・サノ、主題歌はワンリパブリック。
出演はジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ、ブレントン・スウェイツ、アレキサンダー・スカルスガルド、ケイティー・ホームズ、オデイア・ラッシュ、キャメロン・モナハン、テイラー・スウィフト、エマ・トレンブレイ、アレクサンダー・ジリングス、ジェームズ・ジリングス、ジョーダン・ニコラス・スマル、セイジ・フェルナンデス、レナーテ・スタールマン、ヴァネッサ・クック、ジョン・ホワイトリー、キーラ・ウィルンソン、メグアン・ヤング、ターボ・ラメツィ、ヴォーン・ルーカス他。


ロイス・ローリーの同名ベストセラー児童文学(かつては『ザ・ギバー 記憶を伝える者』という邦題で発行されていた)を基にした作品。
監督は『輝く夜明けに向かって』『ソルト』のフィリップ・ノイス。
脚本は、これがデビュー作となるイケル・ミトニックと『マザーナイト』のロバート・B・ウィードによる共同。
ギヴァーをジェフ・ブリッジス、主席長老をメリル・ストリープ、ジョナスをブレントン・スウェイツ、父親をアレキサンダー・スカルスガルド、母親をケイティー・ホームズ、フィオナをオデイア・ラッシュ、アッシャーをキャメロン・モナハン、ローズマリーをテイラー・スウィフト、リリーをエマ・トレンブレイが演じている。

ロイス・ローリーは少女時代の体験から、原作の物語を着想している。
彼女は1937年にハワイで産まれたが、陸軍の歯科医将校だった父と共に各地を転々と移り住み、1948年から1950年までは東京のワシントン・ハイツで生活していた。
ワシントン・ハイツは渋谷区にあった駐留米軍将校用の団地であり、そこは日本社会から完全に隔離された「小さなアメリカ」とでも呼べるような場所だったのだ。
その時の体験が、原作には投影されている。

まず最初に感じるのは、時間が全く足りていないんじゃないかってことだ。
原作は1巻で終わっている児童文学だから、1本の長編映画なら充分に間に合うんじゃないかと思うかもしれない。しかし、これが全く足りていない。
この映画の上映時間は97分なので、長編作品としては短い部類に入る。しかし、それが問題ではなく、たぶん120分の上映時間でも厳しかったんじゃないか。
現実社会とは全く異なる世界観の設定なので、それを丁寧に紹介しようとすると、それだけで下手をすれば1時間ぐらい掛かってしまうかもしれない。

この映画は序盤にジョナスのモノローグで世界観の設定をザックリと説明するだけで、すぐに話を次の展開へと進めて行く。物語を進行しながら世界観を説明していくことも可能だが、そういう意識は乏しい。
ただし、実は「そこまで詳しい説明は要らない」という捉え方も出来なくはない。
と言うのも、全く同じではないにしろ、似たような世界観を持った映画や小説は、他に色々と存在するからだ。
なので、そこまで丁寧に説明しなくても、観客には「こういう感じかな」ってのが何となく伝わる可能性はある。

しかし、だからこそ余計に、丁寧な描写が必要ではないかと思ってしまうのだ。
なぜなら、似たような世界観を持つ作品が他にも色々とあるってことは、「どこかで見たような」という既視感を観客に与えてしまう可能性も高いからだ。
劇中に登場するコミュニティーは「差異の無い世界」だが、映画としては他の作品との明確な差異を感じさせる必要があるはすだ。
しかし、そういったモノを感じることは、ほとんど無いのだ。

この映画で描かれるコミュニティーを成立させるためには、かなり多くの無理があるんじゃないかと感じる。
「画一化された管理社会の恐ろしさ」を描こうとするディストピア寓話なので、そこに込められている暗喩こそが重要なのであり、コミュニティーを成立させるための理屈は気にしちゃいけないのかもしれない。
だけど、序盤から「寓話」としての印象が全く伝わって来ないこともあって、野暮なのかもしれないけど、どうしてもディティールが気になってしまったのよね。

例えば「人々が色彩を手放したのは、肌の色も人種の差異も無い社会を作るためだ」と説明されるけど、無理があり過ぎるでしょ。具体的に、どうやったら色彩を捨てることが出来るのかはサッパリ分からないし。
そもそも、過去の記憶を捨てるってのが不可能でしょ。「過去の記憶は全て捨てた」と認識している時点で、捨て切れていないわけで。
しかも「捨てることが必要だ」と思ったのなら、過去の記憶など受け継ぐ必要は無いはずだ。必要だと思うからこそ引き継いでいるはずで、そうなると今度は「捨てる必要など無い」ってことになる。
記憶は残したままで、規則を定めて秩序を保てばいいわけでね。

そこは「だって寓話だから」ってことで受け入れるにしても、「1人だけが全ての記憶を受け継ぐ」という設定は厳しいなあ。全ての記憶を1人の人間が記憶しておくなんて、絶対に不可能だし。
そういうのは機械に頼ればいいんじゃないのかと。それなりに科学は進歩している様子だし。
ホログラムはあるんだから、「機械を排除している世界」ってわけでもないでしょ。
1人の人間に全ての記憶を委ねたら、そいつが次の世代に引き継がないまま何かの事情で早く死んじゃったらどうすんのよ。

ジョナスから「前回の失敗」について質問された父が話そうとすると、母が「その話は禁じられている」と止める。
だけど、両親が隠したところで、それを知っている人は大勢いるはず。だったら、どこからか情報が漏れるんじゃないか。母に止められなきゃ父が話そうとしていたぐらいだし、口の軽い奴もいるでしょ。
あと、その出来事が起きたのは10年前のことだ。だったら、もうジョナスは物心が付いていた頃なんじゃないか。
両親が知っているんだから、当時は大きな事件として広く伝わったんだろう。それならジョナスが何も知らないのは変じゃないか。
もしかすると、そういう近い記憶さえ投薬で消されるのか。その辺りの設定が良く分からない。
説明不足で不鮮明な部分が多くて、それがミステリアスな魅力ではなく話の分かりにくさや無駄な引っ掛かりになっている。

ジョナスの「ソリの記憶の、どこが危険なんです?」という質問に対し、ギヴァーは「ソリには雪が必要だ。しかし雪と寒さのせいで、作物は駄目になる。悪天候や山道は、物資の輸送を困難にした。その結果、飢饉や餓死が起きた。全てのことには因果関係があるんだ」と説明する。
だけど、ジョナスがフィオナにソリ遊びを教える場所は、雪の無いスロープだ。
つまり、「ソリには雪が必要だ」という条件が全く成立していないのだ。
そりゃダメでしょ。

主席長老は自分でジョナスをレシーヴァーに選んでおきながら、すぐな危険な存在だと考えるようになる。
そんな彼女は、ただの阿呆にしか見えない。
最初からジョナスの任命に懸念を示していたのならともかく、「4つの資質を兼ね備えている。知性、誠実さ、勇気、彼方を見る力」と称賛していたでしょうに、それは委員会が観察した結果として得た情報でしょうに。
ここはジョナスの推進派と反対派を配置した方が良かったんじゃないの。
なんか主席長老のポジションが、足元の定まらない状態になっているぞ。

ギヴァーはジョナスに、投薬で感情を抑制していることを教える。
だけど、そんな風には全く見えなかったぞ。
何しろジョナスだけじゃなくフィオナやリリーにしても、登場した頃から普通に笑っていたし。ジョナスは大きく変化していくけど、それも「投薬をやめた結果」ってことじゃなくて、ギヴァーから多くの記憶を授かったことによる影響が大きいと感じるし。
投薬によって人々の感情がコントロールされている印象を与えることは、まるで出来ていない。

主席長老はジョナスの家へホログラムで現れた時、「レシーヴァーの訓練は誰の監視も受けない」と言っている。レシーヴァーになると、他の人々が守っているルールも適用されなくなる。
それは変でしょ。
レシーヴァーの訓練ってのは、「情報が他人に漏れる可能性がある」など多くのリスクがある。だから他の仕事以上に、厳しく監視する必要があるはずだ。それを野放しにする意味が全く分からん。
そんで主席長老はジョナスから訓練の内容を聞き出そうとしているけど、その気になりゃギヴァーの家だって監視できるでしょ。そこだけは監視できない事情でもあるのか。
そういう説明が無いだけに、主席長老の行動は不可解なモノになっている。

終盤に入ると、ジョナスはゲイブを救うために記憶の境界を越えようと決意し、ギヴァーから地図を貰って行動に移す。
まず「ゲイブを救う」という目的と「記憶の境界を越える」という手段の結び付きにギクシャクしたモノを感じるが、そこは置いておくとしよう。
そんで「境界を越えると人々に記憶が戻る」ってことなんだけど、理屈が良く分からない。ゲートを越えるとコミュニティーに色彩が広がっていくんだけど、どういうことなのか。
そもそも、人々に記憶を取り戻させたくないはずなんだから、そんなゲートなんて用意しておく意味が分からん。

(観賞日:2017年6月6日)

 

*ポンコツ映画愛護協会