『96時間/レクイエム』:2014、フランス

ある企業の経理係を務めるクラレンスが自宅にいると、犯罪組織の連中が現れた。クラレンスは妻に「犬の散歩に行く」と嘘をつき、彼らに連行されてオフィスへ赴いた。そこには組織のボスであるマランコフが待ち受けており、「お前のボスは俺に多額の借金がある。回収に来た」と述べた。「ただの経理です、何も知りません」とクラレンスが弁明すると、マランコフは金庫の暗証番号を教えるよう求めた。金庫を開けると、中には金は入っていなかった。マランコフはオフィスの社長に電話を掛け、留守電に脅迫メッセージを残してクラレンスを射殺した。
元CIA秘密工作員のブライアン・ミルズは、娘であるキムの誕生日プレゼントに大きなパンダのぬいぐるみを購入した。大学生のキムは恋人であるジミーの子供を妊娠したと知り、動揺を隠せなかった。ブライアンはプレゼントを持参してキムの家を訪れるが、あまり喜んでもらえない様子だったので、そのまま持ち帰った。ブライアンと元妻のレノーアは、現在では良好な関係にあった。ブライアンが夕食に誘うと、レノーアは彼の家を訪れた。
レノーアは再婚相手であるスチュアートとの関係が破綻していることを語り、復縁を望む態度さえ見せた。ブライアンは「しばらく仕事で町を離れる。一人になりたかったら、ここを使ってくれ」と言い、自宅の鍵を渡した。ブライアンは仲間のサム、ケイシー、バーニーから仕事に誘われるが、「気になることがあって、1ヶ月も離れられない」と断った。キムはブライアンと会って妊娠を打ち明けようとするが、結局は言い出せなかった。
ブライアンはスチュアートの訪問を受け、レノーアとの関係修復に努めていることを話す。解決するまで会わないでほしいと頼まれると、ブライアンは承知した。しかし翌日、レノーアから「緊急で会いたい。貴方の家でベーグルを」というメールを受け取ったブライアンは、ベーグルを買って赴いた。するとレノーアは寝室で死体となっており、直後に警官たちが突入して来た。ブライアンは彼らを叩きのめして拳銃を奪い、窓から脱出した。すぐに警官たちが追って来るが、ブライアンは何とか逃げ切った。
ブライアンはキムに電話を掛け、レノーアが殺されたことを伝えた。彼は「私が殺したようになっている。理由は分からないが突き止める。何を言われても信じるな」と告げ、電話を切った。現場検証に入ったロサンゼルス市警察のフランク・ドッツラーは、ブライアンが部屋に残していったベーグルを口にした。ブライアンはサムに電話を入れ、協力を要請した。ドッツラーはキムとスチュアートに事情聴取するが、レノーアがブライアンを尋ねた理由については「分からない」という答えしか返って来なかった。
ブライアンはモルグへ忍び込んで、レノーアの頭髪を採取した。ドッツラーは部下たちに、キムを見張るよう指示した。刑事のスミスとガルシアは、レノーアの車に搭載されているGPSの履歴を調べる。ブライアンは彼らの隙を見て履歴をダウンロードし、レノーアが立ち寄ったガソリンスタンド「ランチョ・ベレンゴ」を突き止めた。彼はガソリンスタンドへ赴いて刑事を詐称し、防犯カメラの映像を見せてもらう。そこへ刑事たちが来て拳銃を向けるが、ブライアンは再生を続け、車に乗っている男の手にあるタトゥーを確認した。
ブライアンは手錠を掛けられ、パトカーに乗せられた。しかし隙を見て警官たちを制圧し、パトカーを奪って逃走した。追跡を逃れたブライアンはドッツラーに電話を掛け、「2日くれたら無実を証明する」と言う。ドッツラーが「無実かどうかを決めるのは私じゃない。私の仕事は、お前を法廷に連れて行くことだ」と告げると、ブライアンは「幸運を祈る」と言って電話を切った。ドッツラーが防犯カメラの映像を確認すると、レノーアはワンボックスカーの連中に拉致されていた。
ブライアンはサムと会って事情を説明し、警察のファイルからダウンロードした電話記録の調査と頭髪の解析を依頼した。サムは葬儀に参列してキムと会い、警察の盗聴を電波妨害した上で「ブライアンが接触する。いつも通りに行動してくれ」と伝えた。キムは監視の警官が付く中で南カリフォルニア大学へ向かい、途中のコンビニに立ち寄った。彼女が桃のヨーグルト飲料を買おうとすると、「すぐ飲め」というメモが貼ってあった。彼女は指示に従ってから、コンビニを出た。
キムは大学に到着してから吐き気を催し、トイレに駆け込んだ。するとブライアンが待ち受けており、吐き気を直す薬を渡した。するとキムは泣き出し、妊娠していることを打ち明けた。ブライアンは動揺を抑え、自然に振る舞うよう促す。キムは彼に、スチュアートが何かに怯えていることを話した。コンビニでのキムの行動に不審を抱いたドッツラーは、警官隊と共に大学へ乗り込んだ。ドッツラーたちに発見されたブライアンはスプリンクラーを作動させ、騒動が起きた隙に逃走した。
ブライアンはスチュアートの車を尾行するが、男たちに襲われた。男たちはブライアンの車を崖下へ転落させ、爆破に追い込んだ。しかしブライアンは生きており、通り掛かった紳士を脅して近くの酒店まで乗せてもらう。ブライアンは酒店で男たちを退治し、手にタトゥーのあるマキシムに拳銃を突き付けた。雇い主を吐くよう要求するとマキシムは拒否し、自ら拳銃の引き金を引いて死んだ。ブライアンは別荘へ移ったスチュアートを拷問し、マランコフに脅されていたことを白状させた…。

監督はオリヴィエ・メガトン、キャラクター創作はリュック・ベッソン&ロバート・マーク・ケイメン、脚本はリュック・ベッソン&ロバート・マーク・ケイメン、製作はリュック・ベッソン、撮影はエリック・クレス、美術はセバスティアン・イニザン、編集はオドレイ・シモノー&ニコラ・トランバシエヴィッツ、衣装はオリヴィエ・ベリオ、音楽はナサニエル・メカリー。
主演はリーアム・ニーソン、共演はフォレスト・ウィテカー、ファムケ・ヤンセン、マギー・グレイス、ダグレイ・スコット、サム・スプルエル、リーランド・オーサー、ジョン・グリース、デヴィッド・ウォーショフスキー、アンドリュー・ハワード、ディラン・ブルーノ、ドン・ハーヴェイ、ジョニー・ウェストン、アンドリュー・ボーバ、ジュディー・ビーチャー、セドリック・シロチュー、キャサリン・ダイアー、ジミー・パルンボ、ロバート・プラルゴ、トニー・ウィリアムズ他。


ヨーロッパ・コープが北米市場向けに製作したアクション映画「96時間」シリーズの第3作。
脚本は3作連続で、ヨーロッパ・コープの総帥であるリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメンが担当。
監督は前作に引き続いて、オリヴィエ・メガトンが手掛けている。
ブライアン役のリーアム・ニーソン、レノーア役のファムケ・ヤンセン、キム役のマギー・グレイス、サム役のリーランド・オーサー、ケイシー役のジョン・グリースは、シリーズのレギュラー。バーニー役は、前作でD・B・スウィーニーに交代していたが、今回は1作目のデヴィッド・ウォーショフスキーに戻っている。他に、ドッツラーをフォレスト・ウィテカー、スチュアートをダグレイ・スコット、マランコフをサム・スプルエル、マキシムをアンドリュー・ハワードが演じている。

第2作を見た時に、「2作目の主要メンバーの内、スチュアートが出て来ないのはマイナスだな」と感じた。
だから今回、スチュワートを登場させるのは、2作目の欠席があるので「もう今さら出て来られてもなあ」という思いもあるが、まあ概ね歓迎できる。
ただし、その演者がザンダー・バークレイではなくダグレイ・スコットになっているので、「お前は誰だよ」と言いたくなった。最初は1作目のキャラと同一人物だとは気付かず、「レノーアが新しい男と再婚した」という設定なのかと思ってしまったわ。
ダグレイ・スコットとザンダー・バークレイって全く似ていないし、見た目を似せようともしていないし。

第1作の邦題が『96時間』だったのは、「拉致されてから96時間以内に見つけないと、人質を救うことは無理」というタイムリミットがあったからだ。
しかし劇中でブライアンがタイムリミットを意識して行動している様子は皆無だったし、そもそも96時間が経過する前に人質が殺される始末だった。
第2作では「レノーアが死ぬまで残り30分」というタイムリミットが設定されていたが、これまたサスペンスとして使おうという意識は乏しく、ほぼ無効化していた。
そこでリュック・ベッソンは「どうせ持ち込んでも上手く使いこなせない」と諦めたのか、今回はタイムリミットの要素を最初から放棄している。

第1作も第2作も、「ブライアンが身内を拉致した犯罪組織と戦う」という話だった。第1作ではキム、第2作ではレノーアが組織に拉致された。
ブライアンの身内は、その2人しか登場していない。
だから第3作で同じようなことをやろうとしても、もう拉致される身内がいないという問題がある。
とは言え、「またキムやレノーアが拉致される」とか、「今度はキムもレノーアも拉致される」という方法はあるので、同じパターンが絶対に使えないというわけではない。

シリーズ作品ってのは、ある程度はパターンを踏襲することで観客の期待に応えることが出来る。
その一方で、同じことを繰り返すだけではマンネリで飽きられてしまうという問題もある。
どういう部分を、どれぐらいの塩梅で引き継ぐのかってのが、重要なポイントになるわけだ。
このシリーズの場合、やはり「身内を拉致されて弱い立場にあるはずのブライアンが、スティーヴン・セガールの如く圧倒的な強さで敵を容赦なく殺していく」という部分は踏襲すべきだろう。そこは、たぶん多くの観客が期待するポイントだからだ。

ところがリュック・ベッソン大先生は今回、ガラリと内容を変えて来た。
「身内を拉致されたブライアンが犯罪組織と戦う」という前2作のパターンを使わず、「レノーア殺しの嫌疑を掛けられたブライアンが警察に追われながら真犯人を追う」という話にしたのだ。
そういうザックリとしたプロットを書いただけで気付く人も少なくないだろうが、ようするに今回のブライアンはスティーヴン・セガールではなく、リチャード・キンブルなのだ。
つまり、この第3作は、ほぼデヴィッド・ジャンセン主演のTVドラマ『逃亡者』なのだ。

リュック・ベッソン大先生だから、もはや「過去作品のプロットをまんま頂戴する」ということに関しては、ドラえもん如く「温かい目」で見てもいいだろう。
しかし、『96時間』シリーズを見る観客が求める話が『逃亡者』だとは、到底思えないのだ。ネタを拝借するにしても、そこは目の付け所が違うんじゃないかと。
「身内が拉致される」というパターンを外すにしても、なぜブライアンを「逃亡者」というポジションに据えたのか、理解に苦しむ。
たぶん多くの観客が求めているのは、ブライアンが危機に陥る姿ではなく、むしろ敵を危機に陥らせる姿じゃないかと思うのよ。「主人公が追い詰められる」という類のサスペンスを期待する人は、このシリーズを見ようとしないと思うのよ。
リュック・ベッソン大先生のことだから、ひょっとすると最近のヒット作か何かを見て、そこから影響を受けて「同じようなことをやれば受けるんじゃね?」と安易に考えて模倣したのかもしれないけどさ。

そもそも、ブライアンをリチャード・キンブルに仕立て上げるための段取りには、あまりにも無理があり過ぎるのだ。
彼はレノーアの死体を発見した直後、突入した警官たちからホールド・アップを要求される。でも従わずに叩きのめし、拳銃を奪って逃走する。
だけど、その時点では、「現場の状況からブライアンが容疑者になっている」というだけであり、ちょっと警察が調べれば嫌疑が晴れる可能性は濃厚じゃないかと思われるのよね。
そんなわけだから、そこでブライアンが警官を倒して逃げ出すってのは、あまりにも慌て過ぎているとしか思えない。わざと自分から疑われるような行動を取ったボンクラにしか見えないのよ。
例えば、「警察署に連行されて潔白を訴える。でも自分を犯人に仕立て上げる証拠が幾つも残っており、何者かが仕掛けた罠だと確信する。そこで逃亡し、自力で真犯人を見つけ出そうとする」という手順を踏んでいれば、そういうプロットを持ち込むことの是非を置いておくとして、まあ分からんでもないのよ。
でも、この映画の場合、必要な手順をザックリとスッ飛ばしているから、ブライアンが阿呆まっしぐらになっちゃってんのよ。

それ以外の部分でも、ブライアンの行動には疑問を抱くことが多い。
「キムのプレゼントにデカいぬいぐるみを買う」とか、「関係修復まで会わないようスチュアートに頼まれると辛そうに承諾する」といった辺りからして既に違和感はあるが、まだ「彼の性格からすると、どうかな」というレベルなので、許容範囲ではある。
しかし、キムと接触する方法については、まるで意味が異なる。コンビニの飲料にメモを貼り、薬でキムに吐き気を起こさせてトイレで密会するって、アホすぎるだろ。
いつもキムが桃のヨーグルトを買うからと言って、メモを貼った物を確実に彼女が取るとは限らないからギャンブル性が高い。そもそもメモを貼るなら、「トイレで会おう」と書いておけばいいわけでね。
そこに関しては、「性格的にどうなのか」ということじゃなくて、「これまでの2作からすると、ブライアンの行動がアホすぎる」という問題になってしまう。

ブライアンをアホにしちゃうのは、絶対にダメな行為だぞ。それは「シリーズとして踏襲すべき点がある」とか、そういう問題ではない。誰が考えたって、当たり前に守るべき事柄だ。この映画の主人公をアホにすることで得られるメリットなんて、何も無いんだからさ。
そもそも、そこまでリスクを負ってキムと密会する必要性があるのかっていうと、これが全く無いんだよね。会うことで何か情報を得ようとするとか、あるいは真犯人を見つけるための協力を要請するとか、そういうことがあるのかと思ったら、何も無いのよね。
もちろん、「愛する娘と会いたい」という気持ちはあるだろうけど、それだけでは弱いでしょ。
結局、「刑事たちが来て、追われて逃げ出す」というサスペンス・アクションを作るために、不必要な行動を取っているとしか思えないのよ。

これまでの2作はブライアンと対峙する組織が悪党だったので、「ブライアンが常に先を読んだり上を行ったりして圧倒する」という形が続き、それによって敵のボンクラぶりが露呈しても、それはそれで有りだった。
相手が残忍で醜悪な連中だったから、「余裕を持っているクソみたいな連中をブライアンがフルボッコにする」というトコの爽快感に繋がるのだ。
しかし今回は、ブライアンが出し抜く相手が警察になっている。
つまり「警察が底抜けの無能」ってことになってしまうので、それは上手くないのよね。

部下たちだけでなく、指揮する立場のドッツラーも無能だ。しかも彼の場合、単に「ブライアンに出し抜かれてばかり」というだけでなく、他の意味でも無能なのだ。
というのも、終盤になって明らかになるが、彼は事件現場に温かいベーグルが残っているのを知った時点で、「ブライアンは犯人じゃない」と確信しているのだ。
だったら、その後も彼を犯人と決め付けて追い掛けるのは筋が通らないだろ。彼から電話があった時点で、犯人と思っていないことを明かせばいい。
それなのに「私の仕事は、お前を法廷に連れて行くことだ」とか言っているんだから、何がしたいのかと。

これまでのブライアンは怒りで暴走しまくり、立ちはだかる連中を容赦なく殺しまくっていた。それどころか、殺すことは無かったが、男の口を割らせるために奥さんを撃って怪我を負わせるほどイカれまくっていた。
「家族のために戦う父ちゃん」ってことで全てをスポイルしてしまい、正義感や倫理観を無視して突っ走っていたブライアンだが、今回はやけにおとなしい。シリーズ作品なんだから、パワーのインフレを起こしてもいいぐらいなのに、逆にパワーダウンが甚だしい。
ただし、それはブライアンが衰えたとか、丸くなったということではなく、そもそも「イカれた暴走」で人を殺しまくることが難しい環境を用意していることが大きな原因なのだ。
前述したように、今回は「警察に追われる逃亡者」というポジションが第一にあるため、彼が戦う相手は警官になってしまう。つまり戦う相手は「身内を拉致した醜悪なクソ野郎ども」ではなく、「仕事として犯人を捕まえようとしている人々」なので、容赦なく殺すわけにはいかないのだ。

今回もブライアンは容赦なく無関係の人間を巻き添えにしているけど、それだって「家族を救うためなら他はどうなってもいい」という意味での容赦の無さではない。
彼は今回、逮捕された警官から逃亡する際に追突事故を起こしており、そこでは明らかに周囲の人間が巻き添えを食らっている。
つまり、逃げるために周囲の人間を犠牲にしているってことだから、「それはダメだろ」と言いたくなる。
駐車場を爆破する行動にしても、あれで巻き添えを食らった人がいたら間違いなく死んでいるだろうし。

今回はキムが妊娠しているのだが、そういう設定を用意するのなら、ストーリー展開に上手く絡ませようとするのが普通だろう。しかしリュック・ベッソン先生のセンスは普通じゃないので、ビックリするぐらい無意味に扱われている。
ブライアンなんてキムを溺愛しているはずなんだから、妊娠を知ったら体を気遣うような態度を見せてもいいはずなのに、それが全く無い。
吐き気の薬を飲ませた時点では妊娠を知らないので、それは仕方が無い。でも、妊娠を知った後も、安全な場所に避難させておくわけではなく、危険が伴う作戦に巻き込んで見張りを任せている。
さらには、キムを奪還するためとは言え、彼女が乗っている小型機に車を激突させるという危険な行動を取る始末だ。
っていうか、そんなに荒っぽく扱うのなら、そもそも妊娠の設定なんて要らないんじゃないかと思ってしまうぐらいだ。

アクションシーンを多く盛り込んで観客を引き付けようとしていることは一目瞭然だし、それは悪いことじゃない。ただし、見せ方が雑であり、何より省略しちゃいけないトコを省略しているという致命的な欠陥がある。
例えばパトカーに追われたブライアンが、車ごと駐車場のエレベーターに突っ込んで大爆発を起こすシーンがある。で、シーンが切り替わるとブライアンは屋上からドッツラーに電話を掛ける。
つまり、「どうやって脱出したのか」という肝心な部分を描いていないのだ。
男たちに襲われたブライアンの車が崖下に転落して爆発した時も同様で、シーンが切り替わると彼は何食わぬ顔で道へ戻っている。
「山を下りるまでが登山」という言葉があるけど、「脱出方法を描くまでがアクションシーン」だと言いたくなるわ。

終盤に至っても、ブライアンのボンクラぶりが露呈している。むしろ終盤に至って、ますますボンクラぶりが強まっているという始末だ。
何しろ、彼は全てがスチュアートの作戦だったことに気付かず、まんまと騙されてマランコフを始末するのだ。そうやってスチュアートに利用され、キムを拉致されるというアホさなのだ。
そもそも、ブライアンは序盤でスチュアートにスマホを盗まれていることが終盤に入ってから明らかになるが、どんだけアホなのかと。相手が訓練を積んだプロならともかく、ド素人のスチュアートに携帯を盗まれても全く気付かないって、そもそもスマホにロックも掛けていないって、「ブライアンがキグルミで中の人が変わったのか」と言いたくなるわ。
あと、最終的にブライアンが「警察が来たからお前は俺を殺せない」と不敵に言い放つスチュアートを始末できず、駆け付けた警察に連行されるのを見送るだけってのは、すんげえモヤモヤするし。
そりゃあキムに制止されたら従うしか無いだろうけど、どんな手を使ってでもブライアンにはスチュアートを始末させるべきだわ。

(観賞日:2016年5月25日)

 

*ポンコツ映画愛護協会