『ゴリラ』:1986、アメリカ

マーク・カミンスキーはFBI捜査官だったが、少女殺害の犯人を半死半生の目に遭わせたことから辞職させられ、今は田舎町の警官をしている。そんな彼の元を、彼の上司だったFBI捜査官ハリー・シャノンが訪れる。
ハリーの息子ブレアはFBIの新米捜査官で、シカゴ最大のマフィアのボスであるパトロヴィータを刑務所に送る証人の警護をしていた。だが、ブレアはパトロヴィータの手下に殺されてしまった。どうやらFBIの動きを漏らしている内通者がいるらしいのだ。
ハリーはFBIとは別に、個人的にパトロヴィータの組織への潜入捜査をカミンスキーに依頼してくる。カミンスキーは自分が死んだように見せ掛け、凶悪犯ジョセフ・P・ブレナーに成り済まして組織に入り込む…。

監督はジョン・アーヴィン、原案はルチアーノ・ヴィンチェンゾーニ&セルジオ・ドナティー、脚本はゲーリー・デュヴォア&ノーマン・ウェクスラー、製作はマーサ・シューマッカー、撮影はアレックス・トムソン、編集はアン・V・コーツ、美術はジョルジオ・ポスティグリオーネ、衣装はクリフォード・カポネ、音楽はシネマスコア。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はキャスリン・ハロルド、ダーレン・マクギャヴィン、サム・ワナメイカー、ポール・シナー、スティーヴン・ヒル、エド・ローター、ジョー・リーガルブート、ロバート・ダヴィ、モーデカイ・ローナー、ブランチ・ベイカー他。


パワフル刑事が活躍するアクション映画。
ディノ・デ・ラウレンティスからのプレゼント。
カミンスキーをマークするベイカー刑事をエド・ローター、カミンスキーの正体に気付く組織の用心棒マックスをロバート・ダヴィが演じている。

映画が始まり、シュワルツェネッガーが登場すると同時に、陽気なカントリー・ロックが流れてくる。その曲が、この映画の内容を象徴している。
なぜか全く緊張感が無く、脳天気な雰囲気に満ち溢れているのである。

主人公シュワちゃんの前には、ウザったい問題が山積みになっている。
田舎町の生活に溶け込もうとせず、ヒステリックになっている妻。
復讐心を果たすため、かつての部下を危険な任務に送り込もうとする元上司。
何のために登場したのか分からないキャラクター。
何がしたいのか良く分からないキャラクター。
自分のアクションを邪魔するかのように、ゴチャゴチャしたままで進むストーリー。
大事なところで緊張感を外す演出。
などなど。

そういった様々な問題を、マトモに考えていても疲れるだけだ。
だからシュワちゃんは、とりあえず暴れてみる。
暴れていれば煩わしい問題も忘れられるし、スカッとする。
それに、自分の芝居が大根だということも、あんまり気付かれずに済む。
何より、暴れまくっていれば、自分の強さをアピールできる。

シュワルツェネッガーは強い。
それさえ分かれば充分じゃないか。
しかし待てよ、他の映画でも強さは見せている。
そうなると、この映画を見る意味が無いじゃないか。
しかし、そういう問題も、考えていたら疲れるだけだ。
だから、とりあえず暴れる。

終盤にはシュワちゃんが暴れまくり、パトロヴィータの一味を撃滅する。
だが、「だったら最初からそうすればイイじゃん」とツッコミを入れるべきかどうか。
それは難しいところである。
たぶん、「それを言っちゃあ、おしめえよ」ということになるだろう。

 

*ポンコツ映画愛護協会