『恋に落ちたら…』:1993、アメリカ

ウェイン・トビーは刑事なのに臆病な男で、仲間からは皮肉を込めて“マッド・ドッグ(狂犬)”と呼ばれている。ある日、彼は深夜のスーパーで強盗に遭遇し、人質になっていた男の命を救った。フランク・マイロというその男、実はギャングのボスだった。
フランクはお礼として、自分の情婦であるグローリーをウェインの元へよこして来た。ただし1週間という期限付きで、性交渉は無し。最初は迷惑がっていたウェインだが、次第に彼女と惹かれ合うようになっていく。
やがてグローリーをフランクの元に返す期限がやって来た。しかし彼女を返したくないウェインは同僚刑事マイケルの力を借りてフランク達を撃退。そして4万ドルでグローリーを渡すことをフランクに約束させるのだが…。

監督はジョン・マクノートン、脚本&製作総指揮はリチャード・プライス、製作はバーバラ・デ・フィーナ&マーティン・スコセッシ、撮影はロビー・ミューラー、編集はエレナ・マガニーニ&クレイグ・マッケイ、美術はデヴィッド・チャップマン、衣装はリタ・ライアック、音楽はエルマー・バーンスタイン。
主演はロバート・デ・ニーロ、共演はユマ・サーマン、ビル・マーレイ、デヴィッド・カルーソ、マイク・スター、トム・タウルズ、キャシー・ベイカー、デレク・アナンシエイション、ダグ・ハラ、イーヴァン・ライオネル、アンソニー・キャナタ、J・J・ジョンソン、ガイ・ヴァン・スウェリンジェン、ジャック・ウォレス、リチャード・ベルツァー、クレム・カサータ、フレッド・スクイーロ他。


マーティン・スコセッシが製作に携わった作品。ウェインをロバート・デ・ニーロ、グローリーをユマ・サーマン、フランクをビル・マーレイ、マイケルをデヴィッド・カルーソが演じている。また、脚本を書いたリチャード・プライスも顔を見せている。

主人公ウェインのキャラクター設定が、イマイチ分からない。臆病な性格のはずなのに、フランクに対しては最初から大きな態度を取っている。さらに、急に女を送りこまれたのに、あまり動揺することも無い。「主人公が臆病である」という性格設定がストーリーの大きなポイントのはずなのに、そこを上手く描けていない。

ゆえに、「臆病者の主人公が、愛する女のために初めて勇気ある行動を取る」という形が、ちゃんと成立していない。ウェインはフランク達を追い返す時も自力ではなく、マイケルの力を借りてるしね。オチの付け方にしても、ウェインとフランクの単なる殴り合いで見せちゃうんだもんなあ。そんなショボショボなラストはイカンでしょ。

冒頭がシリアスな殺人のシーンから入ったのに、その後はしばらくコミカルな感じが続く。で、途中でシリアスになって、またコミカルになる。いったい、どういうテイストにしたいんだか。完全にコミカルな作品にした方が、面白かったように思えるのだが。

ロバート・デ・ニーロはミスキャストかも。彼よりビル・マーレイに目が向いてしまうなあ。主役だと全然ダメだが、脇役になると光る男なんだよなあ。この作品では例の仏頂面で、スタンダップ・コメディーや歌まで披露してくれる。
というわけで、ひたすらビル・マーレイを楽しみましょう。

 

*ポンコツ映画愛護協会