『銀河伝説クルール』:1983、イギリス
全宇宙の支配を企むビーストが、スレイヤー軍を率いて惑星クルールに現れた。スレイヤー軍は、コルウィン王子とリサ姫の結婚式を襲撃した。1人だけ生き残ったコルウィンは、賢者イニアーからリサ姫が黒い砦に連れ去られたことを聞かされる。
イニアーはコルウィンに、ビーストに対抗するには伝説の武器グレイブが必要だと告げた。コルウィンは険しい山を登り、溶岩の中からグレイブを手に入れる。コルウィンとイニアーは移動する砦の場所を知るため、予言者の元へ向かうことにした。
旅の途中、コルウィンとイニアーは変身魔法を使うエルゴと出会う。さらに脱獄囚のトーキル一味に出会い、仲間に加える。コルウィン達は予言者と接触し、ビーストの力が及ばない場所に移動する。その途中で一向はスレイヤー軍に襲われるが、サイクロプスのレルの協力もあって撃退した。レルも、仲間に加わることになった。
予言者が殺されたため、イニアーは砦の場所を知る別の方法を取ることにした。それは、クモの巣の未亡人に尋ねるというものだ。イニアーは、たった1人で彼女の住む洞窟へと向かった。イニアーは、誰も知らぬはずの彼女の名を口にした。
実は、クモの巣の未亡人リサは、イニアーの元妻だった。リサはイニアーに、明朝、黒い砦が鉄の砂漠に出現することを教えた。イニアーはコルウィン達に予言を伝え、息を引き取った。コルウィン達は火の馬を集め、空を駆けて黒い砦へと向かった…。監督はピーター・イエーツ、脚本はスタンフォード・シャーマン、製作はロン・シルヴァーマン、製作協力はジェフリー・ヘルマン、製作総指揮はテッド・マン、撮影はピーター・サシツキー、編集はレイ・ラヴジョイ、美術はスティーヴン・グライムズ、衣装はアンソニー・メンドルソン、視覚効果監修はデレク・メディングス、特殊メイク&クリチャーデザイナーはニック・マーレイ、模型制作監修はテリー・リード、音楽はジェームズ・ホーナー。
出演はケン・マーシャル、リセット・アンソニー、フレディ・ジョーンズ、フランチェスカ・アニス、アラン・アームストロング、デヴィッド・バトリー、バーナード・ブレスロウ、リーアム・ニーソン、ジョン・ウェルシュ、グラハム・マクグレイス、トニー・チャーチ、バーナード・アーチャード、ベリンダ・メイン、ディッケン・アシュワース、トッド・カーティー、ロビー・コルトレーン他。
『ヤング・ゼネレーション』のピーター・イエーツが監督を務めた作品。
コルウィンをケン・マーシャル、リサ姫をリセット・アンソニー、イニアーをフレディ・ジョーンズ、クモの巣の未亡人をフランチェスカ・アニス、トーキルをアラン・アームストロングが演じている。また、コルウィ一行の1人キーガン役で、リーアム・ニーソンが出演している。ヒロイック・ファンタジーをSFっぽい世界でやりました、という作品で、まあ『スター・ウォーズ』のラインを狙って作られたことは明白だ。
ストーリーは単純だが、ヒロイック・ファンタジーでは珍しいことでもない。
だから単純なのは構わないが、しかし陳腐なのは困る。
スレイヤーは結婚式を襲撃して人々を殺して行くが、妙なところで物分かりが良かったらしく、コルウィンを1人だけ生き残らせる。都合良く生き残ったコルウィンは「みんな死んじゃったよお」とイジイジしているが、すぐに立ち直って伝説の武器を取りに行く。グレイブは険しい山の頂上にあるが、途中で大して大きくもない石ころが転がってくる程度で、あっさりとグレイブの眠る洞穴に到着するコルウィン。
溶岩の中に変な影を見つけて、見たこともないはずなのに、それがグレイブだと一発で分かるコルウィン。
燃えぎる溶岩の中から、ヤケドも負わずに手づかみでグレイブをゲットするコルウィン。
コルウィンとイニアーは、失敗ばかりで何の役にも立たない魔法使いエルゴと出会う。エルゴは森を抜けるために同行していたはずが、いつの間にやらビーストを倒す仲間になっている。しかし砦に到着するまでに、魔法で活躍することは一度も無い。エルゴに続いて、コルウィン達はトーキル一味と出会う。報酬も無いのに、なぜか簡単に仲間に加わるトーキル一味。ここで一気に、旅の仲間が10名ほどの大所帯に膨れ上がる。トーキルだけで充分なのに、無駄に人数を増やしている。
しかし、トーキル以外は名前も良く分からない連中。だから旅の途中や砦の中で死んで行くが、特に感慨も無い。劇中でも、そんなに悲劇的になることもなく、あっさりと先に進むし。リーダーのトーキルでさえ、ほとんどキャラが立っていない。あえて言うなら斧を使うというのが特徴だが、そんなに格闘シーンが多いわけではないし。
しかし、それを言うなら、主人公のコルウィンでさえ、主人公だという以上のキャラ立ちは無い。一行の中で集団の中に埋没していないのは、見た目で大きな違いがあり、ピンチに駆け付けるという役回りを貰っているレルぐらいのモノだろう。旅の途中、イニアーが1人だけでモの巣の未亡人に会いに行くという展開がある。この間、コルウィン達は画面に映らないところで待機。そこでイニアーをクローズアップしておかないと、このオッサン、ただの物知りというだけで、全く活躍していないのだ。
さて、都合良くイニアーが死んだ後、コルウィン達は砦に向かう。ここで、ようやくエルゴが変身魔法を使う(ただし1度だけ)。で、なぜか虎に変身してスレイヤーと戦う。他に何か無かったのか。虎がスレイヤーより圧倒的に強い動物だとも思えないぞ。序盤で簡単に入手したグレイブだが、ようやく砦に入って使うことになる。いつ、どんな場所で、どうやって、どのように使うのか、コルウィンは全て理解している。で、壁に穴を開けたり(しかも長く掛かるんだ、これが)するのに使う。えっ、そんな用途?
そんで結局、ビーストを倒すのにグレイブを使うんだろうと思っていたら、違うんだよな。リサ姫の力を借りたコルウィンは、唐突に手の先から炎を発射できるようになり、それでビーストを倒すのだ。
おいおい、だったらグレイブって要らないじゃん。
第6回スティンカーズ最悪映画賞
ノミネート:作品賞