『キングスマン:ゴールデン・サークル』:2017、イギリス&アメリカ

エグジーが紳士服店「キングスマン」から出て来て車に乗ろうとすると、チャーリーが現れた。チャーリーはエグジーに銃を突き付け、車に乗るよう命じた。彼の仲間が乗る3台の車が、エグジーを包囲した。エグジーは運転手のピートに指示し、車を発進させた。エグジーは隙を見てチャーリーに襲い掛かるが、電撃は効き目が無かった。チャーリーの右手は特殊な義手になっており、エグジーの発砲を弾いた。チャーリーはエグジーを車から蹴り落とし、キングスマンのデータにアクセスしようと試みた。
エグジーは車に戻ってチャーリーを襲うが、巻き込まれた運転手が死亡した。チャーリーは義手だけを車内に残し、外へ弾き飛ばされた。エグジーは運転席に移動し、車を走らせる。チャーリーの指示を受けた敵の車は、エグジーに銃撃を仕掛けた。エグジーはマーリンに連絡を入れて状況を説明し、攻撃許可を求めた。マーリンは却下し、南へ向かうよう指示した。ハイドパークに入ったエグジーが改めて攻撃の許可を求めると、マーリンは承諾した。
エグジーはミサイルで敵の車を始末し、水中トンネルを通ってキングスマン本部に赴いた。彼は車を本部に残し、自宅へ向かう。その直後、チャーリーの義手が遠隔操作で動き出し、ガラハッドのコードキーを使ってキングスマンのデータを盗んだ。帰宅したエグジーは恋人のティルデと言葉を交わし、友人のリアム&ジャマールも招いてブランドンの誕生日を祝った。翌日にティルデの両親と初めて会う予定が入っているエグジーは、ジャマールに愛犬のJBを預かってもらうことにした。
麻薬組織「ゴールデン・サークル」を仕切るポピー・アダムズは、ジャングルに「ポピー・ランド」というアジトを作って暮らしていた。彼女は部下のチャールズから、組織への加入を希望するアンヘルという男を紹介された。ポピーはアンヘルに、ミスを犯したチャールズをミンチマシンに入れるよう命じた。アンヘルが命令に従うと、ポピーはポピーズ・サロンでの全身エステを指示した。彼女はチャールズのひき肉を使い、ハンバーグを作り始めた。
翌朝、エグジーはティルデから会食に備えてテーブルマナーを練習しておくよう提案されるが、何の問題も無いと告げる。彼はハリーにテーブルマナーを叩き込まれており、自信を持っていた。本部へ赴いたエグジーは、アーサーやロキシーと会った。マーリンはチャーリーがエグジーのせいで生き残ってしまったこと、謎の組織に雇われていることを説明した。アンヘルはポピーズ・サロンで歯を抜かれて指紋を削られ、胸に24金の円形タトゥーを彫られた。ポピーの元へ戻った彼はチャールズの肉で作ったハンバーガーを食べるよう命じられ、動揺しながらも従った。
エグジーはティルデの両親と会食を取り、普通では答えられないような国際情勢や金融市場について父親から質問を受ける。しかし彼は密かにロキシーから情報を送ってもらい、どんな難問にも明確な答えを出した。ブランドンはエグジーの部屋に侵入して大量の銃を発見し、特殊眼鏡を掛けた。すると会食の様子が写し出されたので、彼は驚いた。エグジーはブランドンが勝手に眼鏡を掛けたと知り、ライターの火を付けようとする彼に「それを置け」と怒鳴った。
ゴールデン・サークルはエグジーの家にミサイルを撃ち込み、ブランドンとJBは命を落とした。本部やエグジーの仲間たちも攻撃を受け、キングスマンは全滅した。ポピーは作戦の成功を喜び、チャーリーに新しい義手を差し出した。変わり果てた店に戻ったエグジーの前に、マーリンが現れた。彼は事務員とみなされてリストに載っておらず、自宅を離れていたエグジーと2人だけが生き残ったのだ。ロキシーの死にエグジーが動揺していると、マーリンは感情に流されず冷静に行動するよう諭した。
マリーンは「最後の審判の日」のシナリオを始めるため、エグジーを連れてワインショップへ赴いた。彼は試飲室の金庫を開けるが、そこにあったのはステイツマンというウイスキー瓶だった。拍子抜けした彼、エグジーと共にウイスキーを飲み始めた。しかし2人は瓶にケンタッキー産と書かれているのを見つけ、そこに秘密を解く鍵があると確信した。彼らはケンタッキー州へ飛び、生体反応スキャナーがある醸造所の倉庫を怪しんで侵入する。そこへテキーラという男が現れ、2人に詰問した。エグジーたちはキングスマンだと告げるが、彼は敵意を示して拳銃を構えた。エグジーたちは制圧しようとするが、あえなく眠らされてしまった。
エグジーとマーリンはテキーラによって部屋に拘束され、隣で隔離されているハリーの姿を見せられる。そこへジンジャーという女性が現れ、キングスマンが英国の独立諜報機関だとテキーラに教えた。2人が所属するステイツマンは、アメリカの独立諜報機関だった。拘束を解かれたエグジーとマーリンはハリーの元へ行くが、彼は自分を鱗翅目学者だと思い込んでいた。エグジーとマーリンが昔のことを口にしても、ハリーは何も覚えていない様子だった。
ジンジャーはエグジーとマーリンに、ハリーが記憶喪失になっていることを教えた。1年前、テキーラやジンジャーたちはヴァレンタインの銃弾を受けたハリーを助け、アルファ・ジェルという道具で脳の損傷を修復した。そのおかげでハリーは蘇生したが、副作用で記憶喪失と若年性退行が起きていた。一方、ポピーはエルトン・ジョンをアジトに拉致し、好きな曲の演奏を要求した。エルトンが拒否すると、彼女は電気ショックを与えた。エルトンの顔に青い筋が浮き上がったので、ポピーは彼が羽目を外したことを悟った。ポピーに質問されたエルトンは、アンヘルに手を出したことを告白した。
エグジーとマーリンはステイツマンのボスであるチャンプと面会し、ゴールデン・サークルについて説明した。エグジーはチャールズの元恋人であるクララをSNSで追跡し、グラントンベリー・フェスに行くことを突き止めていた。テキーラの顔に青い筋が浮き出ていることに気付いたチャンプは、ジンジャーに診てもらうよう命じた。当初はエグジーにテキーラを同行させようとしていたチャンプだが、代わりにニューヨークのウイスキーを付けることにした。
マーリンはジンジャーの協力を得てハリーの記憶を取り戻させようとするが、ショック療法は失敗に終わった。エグジーはウイスキーと共に英国へ戻り、新しくパグの子犬を買ったティルデと会った。ティルデに別れを告げた彼は、フェス会場へ向かった。ウイスキーは彼に、追跡装置を血液に注入する指サックを渡した。それを使うには粘膜に当てる必要があり、ウイスキーの説明を聞いたエグジーはクララと肉体関係を持つ必要性があるのだと理解した。
ウイスキーはクララをナンパしようとするが、冷たく拒絶される。そこへエグジーが現れて声を掛けると、クララは好意を抱いた。彼は青い筋が浮かぶ女性を目撃し、写真を撮ってジンジャーに報告した。ポピーはアンヘルを呼び、犬型ロボットを使って始末した。エグジーはクララに誘われ、彼女のテントに入った。理由を付けて外へ出た彼はティルデに連絡を入れ、仕事のために女性と寝る許可を求めた。腹を立てたティルデは、電話を切ってしまった。
エグジーがテントに戻ると、クララは早くセックスするよう求めた。クララの体にゴールデン・サークルのタトゥーを見つけたエグジーは、キスをして陰部に追跡装置を挿入した。彼は「恋人がいるから無理だ」と言い、テントを去った。エグジーはティルデに弁明しようとするが、彼女は電話に出なかった。エグジーはステイツマン本部へ戻り、ハリーの記憶を呼び覚まそうとする。しかしハリーには元に戻る気配が無く、エグジーは諦めざるを得なかった。
エグジーはバーに出掛けてマティーニを飲み、再びティルデに電話を掛ける。しかしティルデは電話に出ようとせず、エグジーは彼女との思い出にふける。あるアイデアを思い付いた彼は、すぐにバーを出た。彼はヨークシャーテリアの子犬をペットショップで購入し、ハリーの元へ戻る。エグジーは「お別れのプレゼントだ」と言って犬を抱かせ、拳銃を向ける。ハリーが驚くと、彼は「アンタも撃った」と言う。このショック療法によって、ハリーはガラハッドとしての記憶を取り戻した。
ハリーはジムとマーリン、ウイスキーの3人と共に、酒場へ赴いた。マーリンは彼に、左目だけサングラスになった眼鏡をプレゼントした。地元の男たちが難癖を付けてくると、ハリーはドアを施錠して「マナーが人間を作るんだ」と告げる。彼は傘を武器に使い、男たちを軽く叩きのめそうとする。しかし完全に調子が戻っておらず、あっけなく反撃を受けた。ウイスキーは投げ縄を使い、男たちを退治した。ハリーには蝶が見える幻視の症状があり、しばらくは続くことをマーリンが説明した。
ポピーはテレビ放送をジャックし、アメリカ大統領に向けて話し始めた。彼女は数週間前に幾つもの麻薬に毒物を混入させたこと、最初は青い筋が現れて12時間以内に死ぬことを話した上で、解毒剤の存在を明らかにする。ポピーは一瞬で症状を治す解毒剤の効果をエルトン・ジョンで実証した。彼女は大統領に対し、麻薬の合法化を要求した。麻薬患者が死を恐れて病院に押し寄せ、世界中で大混乱が起きた。アメリカ大統領はポピーの要求に従うと見せ掛け、麻薬中毒者を一掃してゴールデン・サークルも殲滅する計画をフォックス首席補佐官とマッコイ将軍に話した。
ジムやチャンプたちは盗聴器を通じて、大統領の発言を聞いていた。ジンジャーはチャーリーとクララの通信を傍受し、彼らに報告した。チャーリーはクララに、イタリアのラボで解毒剤を渡すと告げた。ジム、ハリー、ウイスキーはイタリアへ向かい、ラボがあるスキー場に着いた。ジムとウイスキーはゴンドラでラボのある山上へ行き、ハリーはコントロールルームを占拠した。エグジーは解毒剤を1つ盗むが、チャーリーに見つかって逃走した。
チャーリーはゴンドラを操縦不能に陥らせるが、エグジーとウイスキーは何とか助かった。2人は山小屋へ行き、やって来たハリーと合流する。ウイスキーは山小屋に近付く一味に気付くと、解毒剤を確認していたエグジーに伏せるよう叫んだ。その際、ウイスキーがエグジーの手を払ったため、解毒剤が床に落ちて容器が割れた。ウイスキーは援護するよう指示し、2丁拳銃で外へ飛び出した。ハリーはエグジーに、ウイスキーは敵の回し者だと告げる。しかしウイスキーが敵を次々に倒す様子を見たエグジーは、彼の言葉を信じなかった。するとハリーは追っ手を倒して戻ったウイスキーに敵意を示し、問答無用で射殺した…。

監督はマシュー・ボーン、原作はマーク・ミラー&デイヴ・ギボンズ、脚本はジェーン・ゴールドマン&マシュー・ボーン、製作はマシュー・ボーン&デヴィッド・リード&アダム・ボーリング、製作総指揮はマーク・ミラー&デイヴ・ギボンズ&スティーヴン・マークス&クラウディア・ヴォーン&ピエール・ラグランジェ、共同製作はジェーン・ゴールドマン、撮影はジョージ・リッチモンド、美術はダーレン・ギルフォード、編集はエディー・ハミルトン、衣装はアリアンヌ・フィリップス、視覚効果監修はアンガス・ビッカートン、音楽はヘンリー・ジャックマン&マシュー・マージソン。
出演はコリン・ファース、ジュリアン・ムーア、タロン・エガートン、マーク・ストロング、ハル・ベリー、ペドロ・パスカル、ジェフ・ブリッジス、チャニング・テイタム、エルトン・ジョン、エドワード・ホルクロフト、ハンナ・アルストロム、エミリー・ワトソン、ソフィー・クックソン、ブルース・グリーンウッド、マイケル・ガンボン、トビ・バカレ、ポピー・デルヴィーニュ、トム・ベネディクト=ナイト、カルヴィン・デンバ、トーマス・ターグース、ビョルン・フロベルグ、レナ・エンドレ、マーク・アーノルド、ニコラス・コリコス、ゴードン・アレクサンダー他。


マーク・ミラーとデイヴ・ギボンズのコミック『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』を基にした2014年の映画『キングスマン』の続編。
監督&脚本のマシュー・ボーン、脚本のジェーン・ゴールドマンは、いずれも前作からの続投。
ハリー役のコリン・ファース、エグジー役のタロン・エガートン、マーリン役のマーク・ストロング、チャーリー役のエドワード・ホルクロフト、ティルデ役のハンナ・アルストロム、ロキシー役のソフィー・クックソンは、前作からの続投。
ポピーをジュリアン・ムーア、ジンジャーをハル・ベリー、ウイスキーをペドロ・パスカル、シャンプをジェフ・ブリッジス、テキーラをチャニング・テイタム、フォックスをエミリー・ワトソンが演じており、エルトン・ジョンが本人役で出演している。

まず引っ掛かるのが、ティルデの設定。
前作ではスカンジナヴィアの王女だったのに、今回はスウェーデンの王女として登場するのだ。
そもそもスカンジナヴィアってのは国じゃなくて地域の名前だから、そこの王女という設定自体が変ではあるのよ。それに、スウェーデンはスカンジナヴィアにある国だからね。
だけど彼女の父親も、前作では「スカンジナヴィアの首相」という設定だったわけで。それが今回になって、なぜスウェーデンに変更になったのかと。それなら前作からスウェーデンで良かったじゃねえか。

前作を見た時に感じた不満点が、さらに悪化している。
『キングスマン』で感じたのは、「まるでアクションなんか出来そうもないコリン・ファースが、スマートに戦って敵を次々に倒していく」ってのが、映画を牽引する圧倒的な力となっているということだった。
なので彼が途中で死んで映画から消えると、途端にパワーが低下してしまっていた。
実質的な主人公はエグジーなのだが、同じくマーク・ミラーの原作を映画化した『ウォンテッド』と同じで、「指導を受ける若者」より「指導者」の方が圧倒的に魅力的なのよ。

前作でハリーは死んでいる設定だが、一応は再登場する。しかし出番は少ないし、ほとんど活躍しない。
エグジーは正式なキングスマンになっているんだし、彼を主人公として動かすのは、形としては何も間違っちゃいない。
しかし映画の面白さってことを考えると、それは大間違いなのだ。
冒頭からアクションシーンを用意し、スタイリッシュなカメラワークも駆使して盛り上げようとしているのだが、「これがタロン・エガートンじゃなくてコリン・ファースだったらなあ」と強く感じてしまう。

前述したようにハリーは前作で死亡しているので、復活して姿を見せてくれるだけでも喜ぶべきなのかもしれない。
だけどエグジーってハリーに比べて、キャラとしての魅力がものすごく弱いのよ。この欠点は、『ウォンテッド』と全く同じなのよ。
いっそのこと、無理してハリーを復活させなくてもいいから、前作の前日譚としてハリーが活躍する映画を作ってくれた方がいいよ。
今回のハリーは復活を素直に喜べないほど、厄介なオッサンに成り下がっているんだし。

1時間10分ぐらい経過した辺りで、ハリーの記憶が戻る。
酒場では1作目を連想させるような展開が訪れ、ようやくハリーがカッコ良く活躍する見せ場になるのかと期待したら、簡単に反撃を受けてしまう。そして代わりにウイスキーがロープ投げの技で敵を一掃し、ハリーは完全に噛ませ犬として使われてしまうのだ。
あえて1作目を連想させておいてハリーの無様な姿を見せるってのは、ギャグとして意図的にやっているんだろうとは思うよ。だけどハリーを貶めて情けない姿ばかり見せて、何の意味があるのかと。
イタリアに着いてもヘマをやらかすなど、ずっと「トンマなコメディー・リリーフ」みたいな扱いなのよね。

ハリーの扱いが悪いだけでも愚かしいのに、さらに愚かしい所業を本作品はやらかしている。始まってから30分も経たない内に、ロキシーを殺してしまうのだ。
シリーズの2作目だから、同じことの繰り返しにならないよう新キャラを登場させるのは賛成だし、それなりの扱いをするのも当然だろう。でも、それと引き換えに前作かのキャラを消す必要など全く無い。
続編映画ってのは「あのキャラにまた会える」というのも、大きな要素であって。それ平気で踏みにじっちゃってるのよ。
ブランドンはどうでもいいけど、ロキシーは絶対にダメだろ。エグジーなんかより遥かに魅力のあるキャラだぞ。
ハリーの扱いと同じぐらい愚かだし、腹立たしいわ。

必要性を全く感じない悪趣味な描写を持ち込むセンスは、今回も健在だ。
今回は序盤から、ポピーがチャールズをミンチマシンでひき肉にしてハンバーガーを作り、それをアンヘルに食べさせるというカニバリズムの描写が用意されている。
こんなシーン、何の意味も無いと言っていい。ただ邪魔なだけだ。ポピーの残忍さを示す方法なんて、他に幾らでもあるし。
しかも、そういう描写を前半から用意するなら全面的にやるのかというと、そのシーンぐらいしか無いから中途半端だし。

テキーラに拳銃を向けられたエグジーは戦うが、あっさりと薬で眠らされてしまう。
登場シーンでテキーラの強さをアピールしようという狙いだったのかもしれないが、それよりも「エグジーが弱すぎる」という印象の方が強くなってしまう。
パワーバランスの見せ方が下手なのよ。そこは「テキーラは手強い相手」という程度でいいでしょ。
しかも、そんな方法でアピールするんだから、その後もテキーラは活躍するのかと思ったら、まるで見せ場が無いし。

あと、そもそもステイツマンがキングスマンに比べてキャラ的に弱いという問題もある。
キンググスマンには「上品にスーツを着こなしている英国紳士が、実は高い戦闘能力の持ち主」という意外性があったけど、カウボーイの格好をしたテキーラがアクションをやっても何の意外性も無いでしょ。
アメリカの諜報組織を登場させるにしても、「こんな見た目だけど、戦ったら強い」というギャップを見せた方がいい。
そういうのが無いなら、ステイツマンと組む展開そのものが要らないよ。フランスやイタリアの組織の方が、何か面白いモノが生まれそうだぞ。

終盤、エグジーはハリー&マーリンと共にポピー・ランドへ乗り込むが、地雷を踏んでしまう。するとマーリンが身代わりになり、敵を引き付けてから自爆する。
でも、一人前に成長したはずのエグジーが、そこで不用意に地雷を踏むヘマをやらかすのが、まず「上手くない御都合主義」として引っ掛かる。
もっと問題なのは、「そこでマーリンを死なせる必要があるのか」ってこと。
そんなことをしたせいで、直後にはエルトン・ジョンの歌に合わせてエグジーとハリーが戦うノリノリのアクションシーンがあるのに(エルトンも戦う)、ちっとも気持ち良く乗れなくなっちゃってるんだよね。

終盤、エグジーとハリーはポピーから解除コードを聞き出すため、マーリンが即効性を高めたヘロインを注射する。ポピーは解除コードを教えるが、過剰投与で死亡する。
それをコメディー的に描いているけど、エグジーとハリーが酷い奴にしか見えない。
さらに、ウイスキーは高校時代の恋人が麻薬中毒者に銃殺された過去があることから「麻薬中毒者は滅びるべき」と考えていることを話すのだが、その直後にエグジーとハリーは容赦なく彼を始末しちゃうんだよね。これもまた、酷い奴だとしか思えない。
あと、軽い気持ちで麻薬に手を出した面々が救われたことで「ハッピーエンド」にしてあるけど、実質的に麻薬を合法と認めたような形になっちゃってんのよね。
最後は大統領が糾弾されているけど、麻薬をやってる連中が十把一絡げで被害者扱いされる善悪の判断には賛同できんよ。

(観賞日:2020年10月30日)


2018年度 HIHOはくさいアワード:第3位

 

*ポンコツ映画愛護協会