『ガバリン2 タイムトラぶラー』:1987、アメリカ

田舎の豪邸で暮らすクラレンスとジュディスのマクローリン夫妻は、幼い息子のジェシーを友人に預けて車で避難させた。2階の人影に気付いたクラレンスはショットガンを手に取り、怯えるジュディスと共に様子を見に行く。2人が警戒しながら部屋に入ると荒らされており、扉が勝手に閉まる。部屋の奥には帽子の男が立っており、「ドクロはどこだ?」と不気味な声で尋ねた。クラレンスは「知らない」と答え、隙を見て発砲しようとする。しかし先に男が発砲してクラレンスを射殺したため、ジュディスは慌てて逃げ出した。しかし男は一瞬で彼女の前に移動し、「ドクロを寄越せ」と要求した。ジュディスが悲鳴を上げると、男は彼女も殺害した。
25年後。ジェシーは豪邸を相続し、恋人のケイトと共に訪れた。屋敷は長く使われていなかったため、埃が積もって蜘蛛の巣が張っていた。書斎に入ったジェシーは本棚のアルバムを開き、両親のクラレンスとジュディスが幼い自分を抱いている写真を見つけた。その下には一族の古い集合写真があり、ジェシーと同じ名前の曾祖父も写っていた。その夜、ジェシーの友人のチャーリーと恋人のラナが遊びに来た。2人が浮かれた様子で抱き合うので、ジェシーと呆れ果てた。
翌朝、チャーリーはわざと大音量で音楽を流し、ヘレティック・レコードで働くケイトが部屋に来るよう仕向けた。狙い通りにケイトが来ると、チャーリーはラナがピュース・グリッツの芸名で歌っている曲で自分がマネージャーだと説明した。ケイトはラナの曲を気に入り、社長のジョン・スタットマンに電話を入れた。チャーリーは古い写真を調べているジェシーを見つけ、何をしているのか尋ねた。するとジェシーは「何でもない」と答えるが、チャーリーが粘ると目的を明かした。
ジェシーは西部の無法者だった曾祖父が水晶のドクロを巡って相棒のスリムと仲間割れしたこと、スリムが負けて死んだことを説明する。水晶のドクロはジェシーが持っている本の表紙になっているが、曾祖父が写真で持っている物とは少し違っていた。写真のドクロは、両目に宝石が入っているのだ。本には「ドクロはもう1つあり、それを手に入れれば永遠の命を授かり、望みは全て叶う」と記されており、ジェシーはドクロを探していたのだ。曽祖父は丘に埋葬されており、そこにドクロもあるのではないかと彼は推理していた。
夜、ジェシーとチャーリーは丘へ行き、墓を掘り起こす。棺を見つけた2人は蓋を開け、ドクロを発見した。ジェシーがドクロを盗もうとすると曾祖父のミイラが復活し、彼の首を絞めて殺そうとする。チャーリーは曾祖父に襲い掛かるが投げ飛ばされ、ジェシーも墓穴に突き落とされる。拳銃を向けられたジェシーは、慌てて「アンタの曾々孫だ」と訴えた。すると曾祖父は「今は何年だ?」と尋ね、「1986年」という返答に「70年も待たされたのか」と笑った。
曾祖父はジェシーとチャーリーは墓穴から引っ張り上げ、邸宅に戻った。彼は祭壇にドクロを置き、「この家は聖なる寺院だ。どんな城やピラミッドより不思議な家だ。邪悪な力がドクロを狙っている。誰にも触れさせるな」とジェシーたちに話す。ジェシーは曾祖父に地下室で休むよう促し、自分たちも寝ようとする。曽祖父が「疲れておらん。町へ行って騒ごう」と言うので、ジェシーは「やめた方がいいよ」と忠告する。曽祖父は自分の容貌を知り、「汚いゾンビだ」と嘆いた。ジェシーは寝室へ行くが、チャーリーは曾祖父に自分の車を運転させて外出する。2人は森で酒を飲み、星空を眺めて会話を交わした。
翌朝、ジョンが邸宅に来ると、ケイトはラナを連れて3人で外食に出掛けた。ジェシーとチャーリーが地下室へ行くと曾祖父はテレビを見ていたが、まるで楽しんでいなかった。スリムのことを訊かれた彼は、「ワシが撃った。あいつが先に撃ったからだ。砂漠に放り出してきた」と答えた。チャーリーから駅馬車を襲った体験を問われた彼は、嬉しそうに思い出を語った。音楽に気付いたジェシーとチャーリーが1階の広間へ行くと、大勢の若者が集まって仮装パーティーを開いていた。チャーリーはジェシーに、「ハロウィンに招待したんだ」と説明した。パーティーにはジェシーの昔の恋人であるロシェルも来ており、再会を喜んだ。
曽祖父はパーティーに参加して若い女性と踊るが、誰にも死者とは気付かれなかった。ドクロが光ると2階の部屋の扉が開き、野蛮人が姿を現した。野蛮人は広間へ来て曾祖父を殴り倒し、ドクロを奪って2階へ逃げた。ジェシーとチャーリーが後を追うと、野蛮人が消えた部屋の奥はジャングルになっていた。曽祖父は「ドクロが無くなったらワシは死ぬ」と言い、ジェシーが「2階にジャングルが」と伝えると「そこから来たんだ。石器時代だ」と述べた。
チャーリーは車に積んであったマシンガンを見つけ、ジェシーの元へ戻った。2人は部屋に入り、ジャングルの奥へ進む。すると遠くには首長竜が歩いており、ジャングルには野蛮人が起こした焚き火が残されていた。野蛮人は不在で、焚き火の近くにはドクロが置いてあった。ジェシーとチャーリーがドクロを持ち去ろうとすると野蛮人が戻り、2人に襲い掛かった。しかし巨大な怪獣が現れ、野蛮人を食らって去った。ジェシーたちはドクロを手に入れるが、翼竜に奪われた。翼竜は高い木の頂上にある巣へドクロを落とし、そのまま飛び去った。ジェシーは木を登るが、ヒナドリに威嚇された。
ヒナドリがドクロをくわえたため、ジェシーは奪い取ろうとする。そこへ翼竜の親が戻り、ジェシーに襲い掛かる。ジェシーはヒナドリと共に転落し、チャーリーは受け止めようとするが失敗する。ジェシーは屋敷の床を破壊し、チャーリーと共に地下室まで落ちた。木に生息していた巨大な青虫も一緒に落下しており、それを見たジェシーは可愛さに笑顔を浮かべた。ヒナドリがドクロをくわえたまま逃げたので、ジェシーとチャーリーは後を追った。
ジョンとラナが来たのでチャーリーは時間を稼ぎ、その間にジェシーは台所でヒナドリからドクロを奪い取ろうとする。しかしヒナドリが全く離さないのでジェシーは戸棚に隠し、曾祖父が来たので慌てて隠れさせた。ジョンはラナと共に台所へ入り、戸棚を確認させるよう要求した。浮気相手を隠しているのではないかとジョンが指摘するので、ジェシーは「説明してやる」と言う。そこへケイトが来ると、彼は彼女にも「聞けよ」と告げた。
ジェシーは「曾祖父のミイラと水晶のドクロを掘り起こした。曽祖父は地下室にいる。ジャングルにも行った」と語るが、曾祖父を隠した戸棚を開けると、なぜかロシェルがいた。ケイトは腹を立ててジェシーに平手打ちを浴びせ、台所を出て行く。彼女は荷物をまとめると、ジョンの車で屋敷を後にした。ジェシーは曾祖父を隠れさせた戸棚を確認し、奥が回転扉になっていることを知った。ジェシーはヒナドリに餌を与え、ドクロを手に入れた。曾祖父がドクロを祭壇に戻すと、光が放たれた。すると仮面の部族が現れて曾祖父を襲い、ドクロを奪い去った。
翌朝、ジェシーは倒れている曾祖父を見つけ、ドクロが奪われたことを知った。ジェシーはチャーリーを起こし、状況を説明した。そこへケイトの依頼を受けたいう電気屋のビル・ターナーが現れ、「故障はどこだ?」とジェシーが訊く。ジェシーは帰ってもらおうとするが、ビルは故障している場所を勝手に探し始めた。謎の装置を壁に当てたジョンは、「人がいると気が散る」とジェシーを部屋から追い払った。ジェシーとチャーリーは暖炉を調べようとするが、配線を引き抜いたビルがやって来て「故障は別の部屋らしい」と言う。彼は配線を引き抜いて大きな穴が開いた場所へ2人を連れて行き、その奥に異次元の世界があることを教えた。
ビルはジェシーとチャーリーに同行し、一緒に穴の奥へ向かう。すると仮面の部族は処女を生贄に捧げ、ドクロを使って儀式を執り行おうとしていた。ジェシーたちは部族と戦って生贄の女を救い、ドクロを取り戻して穴から脱出した。ビルは「電気技師&冒険家」と書かれた名刺をジェシーに渡し、屋敷を去った。ジェシーたちが夕食を取ろうとすると、スリムが出現した。スリムは曾祖父に発砲し、ドクロを奪って女を連れ去った…。

脚本&監督はイーサン・ワイリー、原案はフレッド・デッカー、製作はショーン・S・カニンガム、製作協力はアンドリュー・Z・デイヴィス、撮影はマック・アールバーグ、美術はグレッグ・フォンセカ、編集はマーティー・ニコルソン、メイクアップ&クリーチャー効果テザイナーはクリス・ウェイラス、衣装はハイジ・カチェンスキー&ハイジ・F・ギルス、音楽はハリー・マンフレディーニ。
出演はアリー・グロス、ジョナサン・スターク、ジョン・ラッツェンバーガー、ロイヤル・ダノ、ビル・マー、ラー・パーク・リンカーン、エイミー・ヤスベック、グレゴリー・ウォルコット、ジェーン・マディーン、ドワイアー・ブラウン、レノーラ・メイ、デヴィン・デヴァスケス、ロン・キャロル、ディーン・クレヴァードン、ダグ・マクヒュー、ミッツィー・キャプチャー、デヴィッド・アーノット、ケイン・ホッダー、スーザン・アイザック、ガス・レスウィッチ、ギル・バーミンガム他。


1985年の映画『ガバリン』の続編。
ただし前作と話の繋がりは無く、出演者も異なっている。
前作の脚本を手掛けたイーサン・ワイリーが、初監督を務めている。
ジェシーをアリー・グロス、チャーリーをジョナサン・スターク、ビルをジョン・ラッツェンバーガー、グランプスをロイヤル・ダノ、ジョンをビル・マー、ケイトをラー・パーク・リンカーン、ラナをエイミー・ヤスベック、保安官をグレゴリー・ウォルコット、ロシェルをジェーン・マディーン、クラレンスをドワイアー・ブラウン、ジュディスをレノーラ・メイ、生贄の女をデヴィン・デヴァスケスが演じている。

映画が始まると、いきなり不安を煽るようなBGMが流れ、クラレンスとジュディスが何かに怯えている。そして謎の男が現れ、2人を射殺する。
そういう導入部を描いて置いて、「豪邸に来た夜、ジェシーが物音で目を覚まし、様子を見に行く」というシーンを用意する。
ここでも不安を煽るBGMを流し、ジェシーが警戒しながらクローゼットに近付く様子を見せる。カットが切り替わると、クローゼットの扉が開き、長い板が倒れて来てジェシーの頭部に激突する。
充分に前フリをしてあるから、見事なギャグになっている。

ただ、明らかにギャグのはずなんだけど、そこまで「笑ってね」という感じが無いので、ちょっと微妙なのよね。なんか淡々と処理していて、ギャグのつもりなんか無いんですけど」ってな印象も受けちゃうのだ。
いや、別にさ、「ここは笑いのポイントでござい」ってのを、やたらと強調するのが必ずしも正解ってわけではないのよ。サラッと処理した方が、面白くなるケースもある。
ただ、この映画の場合、ギャグじゃなくて、ただの肩透かしに近い状態なのよね。
その直後に「チャーリーと恋人のラナが来て無闇にはしゃぐ」という様子を描き、そこでシーンを切り替えて翌朝にすることで、余計に前述のシーンの意味が不鮮明になっちゃってるし。

しかも、そういうギャグを連発するのかと思いきや、そういうわけでもないんだよね。
「棺からドクロを取り出そうとしたら曾祖父が復活して首を絞める」というシーンは、普通にホラーの演出をやっている。野蛮人が曾祖父を襲うシーンも、普通に殴り倒している。
それと並行し、浮気を疑ったケイトがジェシーを殴り倒す様子を描いているが、それはギャグでも何でもない。っていうか何の効果も無いので、ただの無意味なカットバックになっている。
「チャーリーを呼びに行ったジェシーがドアをノックすると背後から肩を叩かれるが、それはチャーリー」というシーンも、ギャグじゃなくて単なる肩透かし。

復活した曾祖父が「恐怖のミイラ」からキャラ変し、ジェシー&チャーリーと仲良くなるのは、喜劇としての方向性を感じさせる。
しかし、せっかく「170年の時を超えて復活した男」というキャラなのに、それを活かして笑いを作ろうとする意識は乏しい。
ティシューの箱で「こりゃいい」と全て紙を引き出し、テレビを見て「このくだらん箱は何だ」と言うシーンはあるが、ここだけで終わる。
彼が時代の変化に戸惑うとか、逆に周囲が時代錯誤な彼に振り回されるとか、そういう描写は全く無い。

曾祖父を活用する意識が乏しいまま、「屋敷の一部が異次元に変化し、タイムスリップした連中が次々に現れる」という展開になる。最初の乱入者は野蛮人で、石器時代のジャングルに消える。ジェシーとチャーリーが捜索に行くと、首長竜がいる。
この際、石器時代のはずなのに首長竜がいるというデタラメな設定に関しては、どうでもいい。
それよりも、石器時代の野蛮人がタイムスリップしてくるとか、ジャングルに首長竜がいるとか、話の方向性がボヤケまくっているってのが大きな問題だ。
「曾祖父が復活してドクロを巡る争いに」ってことなのに、それとは全く関係ないタイムスリップの要素を持ち込んでいるんだよね。

タイススリップの要素が持ち込まれることで、もはやホラー・コメディーというジャンルからは完全に外れてしまう。
そして『ガバリン』の続編としての意味も失われる。原題が『House II: The Second Story』なのに、屋敷から離れた場所で話が展開しちゃってるし。
いや、一応は屋敷の中という設定だけど、状況としては「石器時代の大冒険」だからね。
百歩譲って「別の時代から色んなキャラが現れる」という部分は残すにしても、あくまでも「屋敷という舞台装置の中でドクロの争奪戦が繰り広げられる」という話にすべきでしょ。ホントは、そうなっている時点で違うんだけどさ。

だから、次に用意されている「仮面の部族がドクロを奪い、司祭が儀式を執り行う」というエピソードなんかも、もちろん「そういうことじゃないでしょ」と言いたくなる。
もはやアドベンチャー映画になってるからね。
曾祖父が仮面の部族に襲われるトコで初日を終了させ、翌日に物語を持ち越しているのも構成としてはマイナスだ。
こんな話で2日も費やす必要は無い。1日の物語として、テンポ良く片付けてしまった方がいい。「翌朝」という切り替えを挟むことで、気持ちがダレる。

石器時代、司祭の儀式と、1つのエピソードが終わる度にノンビリと休憩を取っているが、それよりは次から次へと畳み掛けてジェットコースタームービーにしちゃった方がいい。
尺もそんなに長くないんだし(上映時間は88分)、勢いで最後まで乗り切った方がいいのよ。
ゆっくり休憩して観客に考える暇を与えてしまったら、多くの粗に気付かれちゃう恐れが高くなるんだからさ。
っていうかドクロを狙っているのはスリムのはずなのに、なかなか彼が登場せずに全く関係ない奴らばかりがドクロを狙って来るので、その時点で話のピントが全く合っていないし。

2日目に入ってビルという新キャラを登場させるが、それよりも、もっと曾祖父を活用することを重視した方がいい。
しかも、じゃあビルは主要キャラとしてジェシーたちの冒険に参加するのかと思ったら、仮面の部族と戦うだけで退場してしまうんだよね。
1つのエピソードで使い捨てにするぐらいなら、そんな奴は出さない方がいいよ。なんで曾祖父を放り出してまで、そんな奴を使うのかと。
あと、せっかくヒナドリや犬顔の青虫というキモかわいいキャラを登場させたのに、こいつらも活劇や冒険に全く活用していないんだよね。

ラストはジェシーが異次元の世界へ移動しており、どうやら「曾祖父が生きていた時代でチャーリー&生贄女と暮らすことにした」という結末のようだ。
でも屋敷は火事になったままだわ、ケイトとはヨリを戻さないわと、色んなことを無雑作に投げ出しちゃってるよね。
まず根本的な問題として、ケイトが浮気を疑って家を出て行くとか、どうでもいいとしか思えないのよ。つまらない痴話喧嘩に時間を割いている暇があったら、他にやることがあるだろうと言いたくなるのよ。
ただ、そういう問題を持ち込んだのであれば、最後は「誤解が解けてヨリを戻す」ってのが必須じゃないかと。

(観賞日:2021年4月24日)

 

*ポンコツ映画愛護協会