『ゴーストバスターズ/アフターライフ』:2021、アメリカ
その男はトラックを運転し、1927年に設立されたシャンドア鉱山のゲートを突き破って逃亡した。彼は正体不明の何かに追われており、バーガーショップ「スピナーズ」を通過して猛スピードで車を走らせた。トラックは敵に激突され、男の敷地にある農場の畑で横転した。男は車を捨てて自宅へ走り、敷地にある機械を作動させた。家に逃げ込んだ彼は、机の引き出しからPKEメーターを取り出した。椅子に座って警戒していた男は、敵に襲われて絶命した。
シングルマザーのキャリーは息子のトレヴァーと娘のフィービーの3人で暮らしていたが、家賃を滞納して大家から支払いを催促された。キャリーは「父が死んだので小切手を取りに行く。父は家族を捨てて田舎へ引っ越し、疎遠だった」と言い、1週間待ってくれたら支払うと約束する。しかし大家は立ち退き通知を渡し、冷淡に去った。キャリーは子供たちを車に乗せてオクラホマ州サマーヴィルへ行き、荒野にポツンと建つ父の一軒家で暮らすことにした。正体不明の存在に襲われて死んだのは、キャリーの父親だった。
3人は地震に見舞われるが、すぐに止んだ。科学マニアのフィービーはPKEメーターを発見するが、何に使うのかは分からなかった。父の友人だったジャニーン・メルニッツが来訪し、キャリーに「彼は多額の借金を抱えていた。遺産は全く無いし、この家にも価値は無い」と教えた。一家はスピナーズへ食事に出掛け、トレヴァーは「田舎で夏休みなんて時間の無駄だ」と不満を口にした。しかし彼は店で働くラッキーに心を奪われ、「バイトの求人広告があった。僕はどう?」と売り込んだ。キャリーは老店員に話し掛け、父が「荒野親父」と呼ばれていたこと、知り合いが誰もいなかったことを聞かされた。
その夜、フィービーが部屋にいると、棚の上に置いてあったチェスの駒が落ちた。フィービーは大して気にすることもなく、元に戻した。トレヴァーは納屋へ行き、カバーが掛かってある大きな物を確かめようとするが、電気が切れてしまった。翌朝、フィービーが目を覚ますと、チェスの駒が昨日とは違う場所に移動していた。トレヴァーはバイトに出掛け、フィービーはサマースクールでポッドキャストという少年と知り合った。キャリーは金物店を訪れて店長と話し、父が畑で作業していたが種も植えず水もやらなかったこと、いつも変な物を購入していたことを知らされた。
サマースクールは地震に見舞われるが、フィービーは全く動揺せずに教師であるグルーバーソンの部屋へ向かった。彼女は地震地図を発見し、グルーバーソンが地震学者だと知った。グルーバーソンはフィービーに、サマーヴィルの地震が異常で震源地も分からないことを説明した。トレヴァーはラッキーと話し、彼女に恋人がいることを知った。ポッドキャストはフィービーに、「映画館にはゴーストがいる」と語った。フィービーが「私は信じない」と言うと、彼は「見せたい物がある」と告げた。
ポッドキャストはフィービーを連れて、立ち入り禁止のシャンドア鉱山へ赴いた。彼は鉱山は1940年代に閉鎖されたこと、有害廃棄物やダイナマイトが原因で立ち入り禁止になったことを説明した。さらに彼は、「山を掘ってセレンの鋼材を作っていたが、ベテラン作業員が次々に抗道へ飛び降りて死亡し、閉山になった。シャンドアの呪いと噂が立った」と語る。鉱山の壁には大きな彫刻があり、「理由も無く急に現れた」とポッドキャストはフィービーに教えた。
納屋に入ったトレヴァーはカバーを外し、古びたECTO-1を見つけた。フィービーは陰謀説の配信者であるポッドキャストから実習仲間にならないかと誘われ、即座に承諾した。帰宅したフィービーがチェスの黒い駒を動かすと、白い駒が勝手に動いて勝負が始まった。PKEメーターが光ったのでフィービーが握って周囲を見回すと、ドアが開いた。彼女が順番に点灯するライトに導かれる形で移動すると、ソファーが動いて座らせた。フィービーは床板のパズルを解き、床下に隠されていたゴーストトラップを発見した。
次の日、フィービーは床下にあったゴーストトラップをサマースクールに持参し、ポッドキャストに見せた。グルーバーソンは「凄いな。レアなレプリカだ」と言い、ゴーストの捕獲器だと教える。フィービーが荒野屋敷のリビングで見つけた本物だと知った、彼は興奮した。彼はフィービーとポッドキャストに、ゴーストバスターズの活動を報じる20年前の映像を見せた。グルーバーソンがゴーストトラップを使って実験すると、捕獲されていたゴーストが飛び出してシャンドア鉱山に向かった。
グルーバーソンはフィービーとポッドキャストを車に乗せ、荒野屋敷まで送った。ポッドキャストは本を調べ、先程のゴーストが死者の魂を支配する破壊神ゴーザだと知った。彼はフィービーに、「ゴーザが地上に復活するには、門の神と鍵の神が獣に姿を変えねばならない」と本に書かれていることを教えた。一方、トレヴァーはラッキーに誘われ、彼女のバイト仲間と共に山へ出掛けた。彼がラッキーと立杭のカゴに座って話していると、地面の穴から「ゴーザ」という声が聞こえて激しい炎が噴出した。
グルーバーソンは荒野屋敷で何千年も前のサマーヴィルの地図を見つけ、「町の歴史は百年弱だ。大発見だ」と興奮した。フィービーは納屋の地下へ行き、秘密の研究室を発見した。部屋のロッカーには「スペングラー」と刺繍されたゴーストバスターズの制服が入っており、机の上には超小型イオン加速装置があった。翌日、フィービーは加速装置を修理してプロトンパックを用意し、ポッドキャストと会った。彼女はポッドキャストと共に実験し、プロトンパックが使えることを確認した。
妙な音に気付いたフィービーとポッドキャストは廃工場に入り、ゴーストのマンチャーを発見した。2人はマンチャーを捕まえようとするが、逃げられてしまった。2人はECTO-1を直して走らせていたトレヴァーと遭遇し、乗せてもらった。フィービーはトレヴァーに、祖父がゴーストバスターズのイゴン・スペングラーだと教えた。車の無線に「動物らしき者がトラックをかじってる。後部が無くなりそうだ」という声が入り、フィービーとポッドキャストはマンチャーだと確信した。ECTO-1で町を捜索した3人はマンチャーを発見し、捕獲しようとする。マンチャーは鉱山へ向かって逃亡するが、トレヴァーたちは追跡して捕獲した。
トレヴァーたちは無免許運転やスピード違反などで保安官に逮捕され、留置場に入れられた。トレヴァーはフィービーとポッドキャストに、「山へ行ってラッキーと立杭のカゴに乗った。下を見ると大きな穴があって、ゴーザと聞こえた」と語った。警察署に来ていたラッキーが「ホントだよ」と声を掛け、トレヴァーは彼女がドミンゴ保安官の娘だと知った。フィービーは電話を使う許可を貰い、古いCMで見たゴーストバスターズの番号に掛けた。電話に出たレイモンド・スタンツが「閉店しました」と即座に切ろうとすると、フィービーは急いでイゴンが死んだことを伝えた。
フィービーが「貴方は友達だと。何があったの?」と尋ねると、レイモンドは仕事が先細りで本部がスタバになったことを話す。さらに彼は、ピーター・ヴェンクマンが州立大学の名誉教授になっていること、ウィンストン・ゼドモアが投資会社で富を築いたことを説明した。「じゃあイゴンは?」とフィービーが訊くと、レイモンドは不快そうに「雑魚ゴーストは放っておけ、世界が破滅すると言い出し、仕事場からプロトンパックやゴーストトラップを持ち出して姿を消した」と語った。
フィービーが「理由は訊いた?」と尋ねると、レイモンドは「10年前に電話があった。嵐が着て人間は闇に飲み込まれるとか、支離滅裂なことを言っていた」と答えた。フィービーが「イゴンは私の祖父よ」と明かした直後、保安官は「時間切れだ」と電話を終わらせた。連絡を受けたキャリーとグルーバーソンが保安官事務所に駆け付け、釈放の手続きを取った。ゴーストトラップやECTO-1は保安官に没収され、フィービーが「ゴーストを捕まえた」と訴えても信じてもらえなかった。
帰宅したキャリーは、フィービーに「父はただの寂しい老人だった。ここに来て、私が父にとって無意味な存在だと分かった」と語った。グルーバーソンはスーパーへ買い物に出掛け、小さなマシュマロマンの集団が自由に動き回る姿を目撃した。彼は獣の姿に変貌した鍵の神ビンツに襲われ、車に逃げ込むが捕まってしまった。翌日、トレヴァー、フィービー、ポッドキャスト、ラッキーはダイナーに集まり、不可思議な現象について語り合った。4人は何が起きているのか確かめるため、鉱山へ向かった…。監督はジェイソン・ライトマン、脚本はギル・キーナン&ジェイソン・ライトマン、製作はアイヴァン・ライトマン、製作総指揮はダン・エイクロイド&ギル・キーナン&ジェイソン・ブラメンフェルド&マイケル・ビューグ&アーロン・L・ギルバート&ジェイソン・クロース&トム・ポラック&エイミー・カープ&ジョー・メジャック、共同製作総指揮はアダム・ソマー&アシュリー・レヴィンソン、共同製作はエリック・リーチ&エリカ・ミルズ、製作協力はブライアン・ヤコネッリ、撮影はエリック・スティールバーグ、編集はデイナ・E・グローバーマン&ネイサン・オルロフ、美術はフランソワ・オデュイ、衣装はダニー・グリッカー、視覚効果監修はアレッサンドロ・オンガロ&シーナ・ドゥガル、音楽はロブ・シモンセン。
出演はキャリー・クーン、マッケナ・グレイス、フィン・ウルフハード、ボキーム・ウッドバイン、ポール・ラッド、ローガン・キム、セレステ・オコナー、シガニー・ウィーヴァー、ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、アニー・ポッツ、ボブ・ガントン、J・K・シモンズ、ショーン・セワード、ビリー・ブライク、シドニー・メイ・ディアス、ハンナ・デューク、ポーリナ・アレクシス、マーロン・カザディー、キアラ・ピーターセン、ダニエル・ケネディー、アルトゥーン・ナザレス・フェステクジャン、クリスタル・ローズボロー他。
『ゴーストバスターズ』のフランチャイズ第4作。
監督のジェイソン・ライトマンは、1作目&2作目を手掛けたアイヴァン・ライトマンの息子。
脚本は『モンスター・ハウス』や『エンバー 失われた光の物語』のメガホンを執ったギル・キーナンと、ジェイソン・ライトマンが共同で務めている。
キャリーをキャリー・クーン、トレヴァーをマッケナ・グレイス、フィービーをフィン・ウルフハード、ドミンゴをボキーム・ウッドバイン、グルーバーソンをポール・ラッド、ポッドキャストをローガン・キム、ラッキーをセレステ・オコナー、シャンドアをJ・K・シモンズが演じている。シリーズ1作目&2作目から、ディナ・バレット役のシガニー・ウィーヴァー、ピーター役のビル・マーレイ、レイモンド役のダン・エイクロイド、ウィンストン役のアーニー・ハドソン、ジャニーン役のアニー・ポッツが登場している。
この面々はリブート版にも出演していたが、その時はアンクレジットであり、しかも配役が異なっていた。
ちなみにシガニー・ウィーヴァーは、エンドロールの途中で1シーンに登場するだけ。
また、ルイス・タリー役のリック・モラニスは出演していない。かつてアイヴァン・ライトマンやダン・エイクロイドは『ゴーストバスターズ3』を企画していたが、ビル・マーレイが出演を拒んだこともあり、実現しないままで月日だけが経過した。
その後、2016年にリブート版『ゴーストバスターズ』が公開され、ビル・マーレイを始めとするオリジナルキャストの面々がカメオ出演した。
これをシリーズ化する予定もあったが、そちらが潰れて『ゴーストバスターズ3』の企画が再び浮上した。
それが本作品である。この作品は『ゴーストバスターズ』『ゴーストバスターズ2』の続編という位置付けになっており、リブート版は完全に無視されている。
監督のジェイソン・ライトマンはリブート版を手掛けたポール・フェイグへの感謝を口にしているが、それが建て前なのは言うまでも無いだろう。
ジェイソン・ライトマンにしろ、オリジナルキャストの面々にしろ、リブート版は「自分たちの『ゴーストバスターズ』シリーズとは全くの別物」という解釈なのだ。
ジェイソン・ライトマン監督が『ゴーストバスターズ』を大好きなことは、とても良く分かった。
でも残念ながら、あまりにも好きすぎて、その気持ちが裏目に出てしまったんじゃないかな。リブート版を無視した本作品でジェイソン・ライトマンが選択したのは、「ノスタルジーでオールドファンを引き込む」という作戦だった。
サマースクールの初日、グルーバーソンは生徒たちに「この学校では今もVHSが使われてる」と言う。
彼は「お宝映画を発見した」と言い、『クジョー』のビデオを見せる。
どういう映画なのかという説明で、「もしも『ベートーベン』の犬が子供を襲ったら?そんな映画だ」と告げる。
翌日のサマースクールでは、『チャイルド・プレイ』を見せる。その手の懐古趣味だけでなく、『ゴーストバスターズ』を思い出させる作業も多い。
フィービーたちは20年前のプロトンパックを修理して、そのままの状態で使う。PKEメーターやゴーストトラップも、全て当時の物を使う。トレヴァーは昔のゴーストバスターズが使っていたECTO-1を修理し、そのまま使う。
トレヴァーたちは新世代のゴーストバスターズだが、最新のテクノロジーは何も導入していない。
なので当然っちゃあ当然だが、見た目からして昔のゴーストバスターズと同じだ。鉱山はイヴォ・シャンドアがゴーザを復活させるために作り出した場所であり、まずは門の神ズールと鍵の神ビンツが復活する。そしてビンツがグルーバーソン、ズールがキャリーに憑依し、ゴーザを復活させる。それを知ったトレヴァーたちが、ゴーザを退治しようとする。
これって完全に、『ゴーストバスターズ』と同じ内容なのよね。
退治しようとするメンツと憑依する相手、そして舞台となる場所が違うだけで、筋書きとしては全く一緒なのよ。
ご丁寧なことに、VFXまで『ゴーストバスターズ』に寄せている。『ゴーストバスターズ』が大ヒットした要因として、レイ・パーカーJr.の主題歌とマシュマロマンの存在が挙げられる。
主題歌は映画と同じくヒットしたし、マシュマロマンは作品のアイコンと言ってもいい人気キャラクターになった。
映画を見ていなくとも、主題歌を聞いたことがあるとか、マシュマロマンは知っているとか、そういう人は少なくないはずだ。
レイ・パーカーJr.の歌とマシュマロマンを再利用するってのは、誰でも簡単に思い付くアイデアだし、安易っちゃあ安易だけど、決して否定するようなことではない。むしろ多くの人が歓迎できる趣向ではないだろうか。ただし、どちらの使い方に関しても、あまりにも雑で適当だ。
主題歌に関しては、エンディングで流れて来た時は楽しい気分になったが、変なタイミングでブチッと終了させてしまう。
じゃあ別の歌を本作品のテーマソングとして流すのかと思ったら、その後はインスト曲を流すんだよね。
だったら最後まで『ゴーストバスターズ』のテーマでも良かっただろ。マシュマロマンの扱いは、もっと酷い。
粗筋でも触れたように、グルーバーソンがスーパーで買い物している時に小型マシュマロマンの集団が登場するのだが、そこだけで出番は終わりであり、言ってみりゃ「ちょっとした賑やかし」みたいなモンだ。
そもそも、『ゴーストバスターズ』におけるマシュマロマンは、「なぜマスコットキャラクターが巨大ゴーストになるのか」という必然性をシナリオとして用意していた。
しかし今回のマシュマロマンは、なぜ大量発生するのかがサッパリ分からないのだ。
しかも、人々が被害に遭うわけでもないし、だからと言ってフィービーたちの味方になってくれるわけでもないし。リブート版とは違い、ちゃんと『ゴーストバスターズ』『ゴーストバスターズ2』と同じ役柄でオリジナルキャストを登場させたのは素直に歓迎できるが、出し方がお粗末だ。
早い段階でジャニーンだけは登場するものの、他のオリジナルキャストは終盤まで登場しない。
これはやり方として失敗で、前半から登場させながら話を進めた方が良かった。
ずっと新キャラで話を進めておいて、終盤になって一気にオリジナルキャストを登場させてメインの座を奪わせようとするのは、やり口としてお世辞にも褒められたモノではない。留置されたフィービーが電話を掛けるシーンで初めてレイモンドと絡むけど、初登場のタイミングが遅すぎる。しかも、ここも電話で喋るだけで、あっさりと終わらせてしまうし。
誰か1人ぐらいは旧世代のゴーストバスターズを早い段階から登場させて、子供たちのメンターとして動かしても良かったんじゃないか。
そして、「旧世代から新世代への継承」を描いても良かったんじゃないか。
終盤に入るまでは子供たちだけでゴースト退治をさせるのなら、旧世代のバスターズは最後まで積極的に前線に出ないポジションに留めておいた方が、助言をする程度の扱いにした方が賢明だったんじゃないか。トレヴァーたちはサマーヴィルに来るまでゴーストバスターズなんて知らなかったし、ゴーストについても詳しくなかった。だが、わずかな期間で詳しくなり、全ての謎を簡単に解き明かしてしまう。
だけど、そこにピーターやレイモンドたちをアドバイザー的な立場で関与させれば良かったんじゃないの。
トレヴァーたちのピンチにピーター&レイモンド&ウィンストンが駆け付けるけど、その内の2人はそこが初登場ってのは見せ方が下手だよ。
その前に「普段の姿」を見せておいて、その上で「トレヴァーたちのため、ゴーストバスターズとして一時的に復帰する」という形にした方がいいでしょ。さすがにピーター&レイモンド&ウィンストンだけで、ゴーザを退治するわけではない。
彼らだけでは力不足で、トレヴァー&フィービー&ポッドキャスト&ラッキーも共闘するし、さらにはキャリー、そしてゴーストになったイゴンも力を貸す。
ただ、CG製のイゴンを登場させる反則技は、果たしていかがなものかと。
その後に「for Harold」とハロルド・ライミスを偲ぶような文字を出されても、センチな気持ちにはならないよ。
だって、ハロルド・ライミスは本作品が遺作じゃなくて、2014年に死去しているんだから。(観賞日:2025年3月2日)