『ガーフィールド2』:2006、アメリカ&イギリス

イギリスの豪華なカーライル城に住む猫のプリンスは、人間の執事スミジーや召使いたちから、まるで王様のように扱われていた。一方、アメリカには、そのプリンスと瓜二つのガーフィールドが住んでいた。飼い主のジョン・アーバックルは、獣医のリズにプロポーズしようと考えていた。リズが家に来たので、ジョンはガーフィールドに「邪魔しないでくれよ」と頼む。リズは家に入って来た途端、「イギリス動物慈善団体のパーティーでスピーチすることになったの。広大な敷地に建つ城に招待されたの」と嬉しそうに話す。「明日の朝にはロンドンへ行くの」とリズが言うので、ジョンは動揺した。
ジョンはリズにプロポーズしようとするが、婚約指輪が見つからずにチャンスを逃した。ガーフィールドがポケットから指輪を抜き取っていたのだ。リズは荷造りするため、すぐに家を去ってしまった。しかしジョンは「ロンドンへ行けばいいんだ」と考え、すぐに荷造りを始めた。翌朝、ジョンはガーフィールドとオーディーをペットホテルに預け、イギリスヘ行こうとする。しかしリズとの結婚に反対のガーフィールドは、ケージを抜け出してジョンの車に隠れた。オーディーが追って来たので、仕方なく彼は一緒に隠れさせた。
カーライル城の城主でプリンスの飼い主だったエレノアは既に死去しており、弁護士のホッブスが遺言状を開封する日がやって来た。エレノアの甥であるダージス卿は、自分が遺産を相続して城を手に入れることを確信していた。城で飼われている動物たちは「ダージス卿が相続したら終わりだ」と心配し、窓から様子を覗き込んでいた。するとホッブスは、城と敷地をプリンスが相続することを告げた。「有り得ない」とダージス卿は憤るが、遺言状にはそのように記されていた。
相続のことを知ったプリンスは、家来であるブルドッグのウィンストンから「これで我々も安泰ですな」と言われ、「いかにも」と上品に述べた。ウィンストンは城の動物たちに、プリンスを新しい城主として改めて紹介する。動物たちは、うやうやしく頭を下げた。プリンスは「今日から勇気と知恵を持って我が王国を治めていくことを皆の者に誓う。このプリンスが城主である限り、このカーライル城は皆にとって聖域であり続けるだろう」と挨拶した。
プリンスはウィンストンから「ダージス卿が貴方を亡き者にしようとするでしょう」と忠告されるが、「私は彼のお気に入りだよ」と一笑に付した。しかしダージス卿はプリンスを始末するため、バスケットに入れて川に投げ捨てた。一方、ジョンはリズが泊まっているホテルにチェックインし、ポーターに花一輪を届けるよう頼んだ。すぐにリズが部屋へ来たので、ジョンは今度こそプロポーズしようとする。だが、バッグに隠れていたガーフィールドとオーディーが出て来たので、タイミングを失ってしまった。
翌朝、城の動物たちはフェレットのナイジェルから、ダージス卿がプリンスを川へ流したことを知らされる。ウィンストンは「次の城主は私だ」と言い出すオウムのプレストンを制し、ネズミのクラウディウスにダージス卿の動きを探るよう指示した。ガーフィールドはジョンとリズがデートのプランを話し合っている様子を見て、ウンザリした態度になった。ガーフィールドが付いて行こうとすると、ジョンは「これ以上は困らせないでくれよ」と言い、部屋のドアを閉めてリズと2人で出掛けた。
スミジーからプリンスがいないことを聞かされたダージス卿は、何も知らないフリをした。彼はスミジーに、ロンドンまでスーツを取りに行くよう頼んだ。ガーフィールドとオーディーは、客室係が掃除に来た際に部屋を抜け出した。ロンドンの街に出てジョンを捜していたガーフィールドは、スミジーと遭遇する。スミジーはガーフィールドがプリンスだと誤解し、抱き上げて車に乗せる。ガーフィールドはすぐに逃げ出そうとするが、車内に置いてあったミンスパイに釣られて留まった。
オーディーは走り出した車を追うが、すぐに見失った。オーディーが座り込んだ背後にある下水溝から、プリンスが這い出してきた。彼はオーディーに声を掛け、「今すぐカーライル城へ連れて帰って欲しい」と告げる。そこへジョンが通り掛かり、オーディーと一緒にいたプリンスをガーフィールドだと誤解する。ジョンは汚れているプリンスを綺麗にするため、抱き上げてホテルへ戻ることにした。
ダージス卿はホッブスに電話を掛け、プリンスが失踪したことを話して「だから城は私が相続することになる」と言う。何か裏があると察知したホッブスは、仕事仲間のホイットニーとグリーンに「あの土地をどうにかする気だ。何か突き止めねば」と告げた。ダージス卿は若き実業家のアビーを呼び寄せ、城の敷地を広大なリゾート施設に作り変える計画について話す。彼は森と農園を全て潰し、動物を殺して客に提供するつもりであることを語った。
スミジーの車でカーライル城に到着したガーフィールドは、ウィンストンにプリンスとして迎えられる。「家臣たちが心配しております。声を掛けてやって下さいと」と頼まれた彼は面倒に感じて断るが、「お言葉の後は御馳走を振る舞います」と言われて態度を豹変させた。ガーフィールドが軽薄な調子で挨拶して去ったので、動物たちは困惑した。そこへクラウディウスが戻って来て、ダージス卿の計画を話す。ウィンストンが「プリンスがいれば大丈夫だ」と言うと、動物たちは「さっきのはプリンスじゃない」と告げる。するとウィンストンは「プリンスでなくてもいいんだ。プリンスと思わせて、奴らを騙せばいいんだ」と述べた。
ガーフィールドがジョンの元へ戻ろうとするので、ウィンストンは「新しい生活を始めるべきだ。貴方には王家の血が流れている」と言う。彼は「貴方は行方知れずになっていたカーライル家の後継者だ」と告げ、壁に飾られているプリンスの先祖たちの肖像画を見せた。城での贅沢な生活が約束されていることを教えられたガーフィールドは、「決めた。殿下になってやる」と口にした。彼は城の食事を腹一杯になるまで食べまくり、床を滑って調度品を壊した。
ガーフィールドを目撃したダージス卿は、プリンスが戻って来たと思って仰天する。ホッブスに電話を掛けた彼は、「権利関係の書類も揃えました。月曜日には伺います」と言われて動揺した。弁護士が月曜日に来ることを知ったウィンストンは、それまでにダージス卿がガーフィールドを殺そうとすると確信した。彼はガーフィールドの振る舞いに不満を抱く動物たちをなだめ、「確かに我慢ならない奴だが、彼には月曜日まで無事でいてもらわないと」と述べた。
ダージス卿は猛犬のロンメルを放ち、ガーフィールドを殺そうとする。ウィンストンは彼の前に立ちはだかり、「猫はやめておけ。もっと噛み応えのある物にしておけ」と告げてダージス卿のズボンを与えた。彼は「綱引きで勝負しよう」と持ち掛け、互いにズボンをくわえて引っ張り合った。ダージス卿の元へ戻ったロンメルは彼のズボンに視線をやり、勢い良く飛び掛かって股間の部分に噛み付いた。
ジョンとリズは、プリンスとオーディーを連れてスポーツバーへ繰り出した。ジョンはガーフィールドの好物であるラザニアを注文し、プリンスに差し出した。試しに食べてみたプリンスは、「なかなかの珍味だ」と気に入った。一方、ガーフィールドは出された肉料理が気に入らず、ウィンストンにラザニアを持って来るよう要求した。ウィンストンは厨房へ行き、動物たちにラザニア作りを命じた。作り方が分からずに手間取っているところへガーフィールドが来て、ラザニアのことを熱く語った。彼は動物たちに適切な指示を出し、美味しいラザニアを完成させた。
リズは一緒に行きたがるジョンを残し、スピーチのために城へ向かう。彼女が落としていった市内地図を見つけたオーディーは、それをプリンスに見せた。カーライル城の場所を確認したプリンスは、窓から部屋を抜け出した。彼は橋から飛び降り、船に着地した。アビーを城へ呼んだダージス卿は、必要書類が全て整ったことを話す。ジョンはスコットランドヤードへ行ってガーフィールドの捜索を依頼するが、全く相手にされなかった。
ダージス卿は再びロンメルを使い、ガーフィールドを始末させようとする。彼は邪魔なスミジーに1週間の休暇を与え、城から追い払おうとする。ジョンはオーディーが拾った新聞にあったプリンスの記事を見て、誰かがガーフィールドと彼を間違えたのだと悟った。リズは他のパーティー参加者と共にカーライル城へ到着し、ガイドの説明を受けた。プレストンはガーフィールドの面倒を見ることに我慢できず、ウィンストンに文句を言う。プレストンが自分を「バカ猫」と扱き下ろしているのを耳にしたガーフィールドは、すっかり落ち込んだ。ジョンのことを思い出した彼は、彼を捜しに行こうとする。彼はダージス卿がリズに言い寄っているのを目撃し、腹を立てる。邪魔をしたガーフィールドを追い掛けたダージス卿は彼を捕まえて袋に入れ、地下牢に閉じ込めた…。

監督はティム・ヒル、原作はジム・デイヴィス、脚本はジョエル・コーエン&アレック・ソコロウ、製作はジョン・デイヴィス、製作総指揮はミシェル・インペラート・スタービル&ブライアン・マニス、撮影はピーター・ライオンズ・コリスター、編集はピーター・S・エリオット、美術はトニー・バーロウ、衣装はフランシン・ジェイミソン=タンチャック、アニメーション監修はクリス・ベイリー、音楽はクリストフ・ベック、音楽監修はデイヴ・ジョーダン。
出演はブレッキン・メイヤー、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、ビリー・コノリー、イアン・アバークロンビー、ルーシー・デイヴィス、ロジャー・リース、ジェーン・カー、オリヴァー・ムーアヘッド、レナ・カードウェル、ヴェロニカ・アリシノ、JB・ブランク、ヴァーニー・ワトソン・ジョンソン、ラッセル・ミルトン、ベン・ファルコーネ、ブライス・レノン、ジュディー・シコーニ、メラニー・トルバート、デヴィッド・キャラウェイ他。
声の出演はビル・マーレイ、ロスコー・リー・ブラウン、グレッグ・エリス、ボブ・ホスキンス、シャロン・オズボーン、ティム・カリー、ジョー・パスクエル、ジェーン・リーヴス、ジェーン・ホロックス、リチャード・E・グラント、ヴィニー・ジョーンズ、リス・エヴァンス、ジム・ピドック他。


ジム・デイヴィスによる新聞の連載漫画を基にした2004年の映画『ガーフィールド』の続編。
監督はピーター・ヒューイットから『ゴンゾ宇宙に帰る』のティム・ヒルに交代。
ジョン役のブレッキン・メイヤー、リズ役のジェニファー・ラヴ・ヒューイット、ガーフィールドの声優を務めるビル・マーレイの3人は前作からの続投。
ダージス卿をビリー・コノリー、スミジーをイアン・アバークロンビー、アビーをルーシー・デイヴィス、ホッブスをロジャー・リースが演じている。
ウィンストンの声をボブ・ホスキンス、プリンスをティム・カリー、ロンメルをヴィニー・ジョーンズが担当している。

イギリスへ渡ったガーフィールドはホテルの部屋に閉じ込められるが、すぐに抜け出してオーディーと共に町へ出る。
その目的は「ジョンとリズを捜すため」ということになっているが、実際はビッグベンやバッキンガム宮殿といった観光スポットを巡って楽しんでいる。
わざわざイギリスへ行く展開にした最大の、っていうか唯一の理由は、観光スポットを見せるためなんだな。そうとしか思えない。
つまり、これは観光映画ってわけだ。

今回はプリンスというキャラクターが登場し、彼とガーフィールドを使って立場入れ替わりネタをやっているけど、それが大して面白くならないんだよな。
ガーフィールドの方は城の豪華な暮らしに全くカルチャーショックを感じておらず、すぐに順応して満喫する。
しかも、その様子はダイジェストで処理されている(まあ丁寧に描写したところで退屈になるのは間違いないから、ダイジェスト処理にするのは正解っちゃあ正解なんだが)。
一方、プリンスの方は、庶民の暮らしをほとんど体験していない。

これが例えば「ガーフィールドがプリンスらしく振る舞うことを強いられて苦労する」とか「プリンスじゃないことがバレそうになってアタフタする」とか、そういった要素が入って来れば、何か別の面白味が生まれたかもしれないが、そういうのは無い。
ガーフィールドは普段の自分のままで、プリンスの替え玉をやっている。
何しろ、城の動物たちは彼がプリンスじゃないことを分かった上で替え玉をさせているし、人間たちはガーフィールドがプリンスと全く違う言動を示しても別の猫だとは気付かないしね。

もちろん前作と同じ顔触れだけじゃなく、新しい動物キャラクターを登場させるってのは悪いことじゃない。
ただ、ガーフィールドよりプリンスの方が、キャラとしては面白いんだよな。
っていうか、ぶっちゃけ、ガーフィールドが登場しなくても別にいいんじゃないかとさえ思ってしまう。
「豪華な城で王様として扱われていたプリンスが、初めてロンドンの街へ行ってカルチャーショックを受けたり、庶民の生活を体験して戸惑いや驚きを感じたりするが、次第に楽しさを覚えたり馴染んだりしていく」という筋書きだけで、面白い動物映画になるんじゃないかと。

前作でも存在感が薄かったジョンだが、今回はそれに輪を掛けて薄くなっている。
人間キャラクターの中の主役だとは、とても思えないほど影が薄い。ダージス卿やスミジーの方が、よっぽど存在感がある。
それと、「君たちかいないと生きていけない」とガーフィールドとオーディーに言うシーンなんかはあるけど、そんなに「飼い主とペットとの絆」を感じさせるシーンが用意されているわけじゃないし。
それも含めて、「プリンスの話にすりゃいいのに」と思ってしまう。

ガーフィールドをプリンスと間違えて迎えたウィンストンが、別の猫だと認識し、その上でプリンスの替え玉をやってもらおうと考える流れが、ものすごくボンヤリしている。
プリンスじゃないと気付いたタイミング、プリンスの替え玉をやってもらおうと決めたタイミングが、ハッキリしない。
動物たちに挨拶してもらった段階ではプリンスだと思い込んでいて、その後で「プリンスが生きていれば大丈夫だ」と言う時には別の猫だと分かっているんだよね。
ってことは、たぶん挨拶を聞いた時にプリンスじゃないと悟ったんだろうけど、その「悟ったタイミング」の描写が無いのよね。
そこは、もうちょっとメリハリを付けてキッチリと描くべきだ。「何となく流れの中で」という形で処理すべきことではない。

「プリンスの方がガーフィールドよりキャラとして面白い」と上述したが、プリンスが存在感を発揮するのは序盤のわずかな時間だけで、ダージス卿によって川へ捨てられて以降は、すっかり影が薄くなる。
じゃあガーフィールドがやはり主役として活躍するのかというと、こちらも存在感が薄い。
ほとんど狂言回しのような扱いになってしまう。
ガーフィールドを利用したり守ったりしようとする城の動物たちの方が、その動きが遥かに目立っている。

後半に入り、バカ猫と扱き下ろされたガーフィールドがショックを受けて落ち込む展開がある。
だが、「お前、そんなキャラだったっけ?」と違和感を抱いてしまう。
しかも、すぐに立ち直っちゃうから、その落ち込む展開の意味が全く無いし。
その直後、ダージス卿がリズに言い寄っているのを目撃したガーフィールドが腹を立てるといった展開があるが、これまた「お前、そんなキャラだったっけ?」と違和感を抱いてしまう。

そもそもガーフィールドは、ジョンとリズの結婚に反対していたはず。「リズを嫌っていたけど、その気持ちが次第に変化していく」という流れは無かったし、リズへの感情が変化するきっかけになるようなシーンも無かった。
だから、その「リズに言い寄るダージス卿に腹を立てて邪魔をする」という行動が、ものすごく唐突に感じられる。
そのシーン自体が「感情が変化するきっかけ」ということかもしれんけど、そういう「変化の瞬間」ってのは感じ取れない。
しかも、そこから「ガーフィールドがジョンとリズを応援する」「キューピッド役を務める」という流れになるわけじゃなくて、それとは全く無関係な展開へ行くので、構成としても上手くないし。

前作の批評でも書いたんだけど、漫画『ガーフィールド』を原作として映画で、話のスケールを大きくする必要性があるんだろうか。
前作の「ガーフィールドが都会へ行く」というだけでも違和感を覚えたのに、今回はイギリスにまで出張しちゃうんだよな。
だけど、それだと「いつもの街、いつもの風景、いつもの仲間」という部分が消える。
本作品ではガーフィールドの仲間であるナーマルや、ガールフレンドのアーリーンが登場しない。それは「ガーフィールドの映画」として、大きなマイナスなんじゃないかと。
もっと身近なところで物語を作った方が、ガーフィールドの映画には合うんじゃないかと思うんだよなあ。
例えば「ガーフィールドと仲間の日常生活を短いスケッチにして串刺し式に配置する」という構成でも、別に良かったんじゃないかと。

(観賞日:2013年8月29日)


第27回ゴールデン・ラズベリー賞(2006年)

ノミネート:最低序章・続編賞
ノミネート:ファミリー映画というには申し訳程度の最低のシロモノ賞


第29回スティンカーズ最悪映画賞(2006年)

ノミネート:【不愉快極まりないファミリー映画】部門
ノミネート:【最悪のアニメーション映画】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会