『ガーフィールド』:2004、アメリカ

朝が来た。猫のガーフィールドは飼い主である漫画家のジョン・アーバックルを起こし、シャワーを浴びた彼に朝食を用意してもらう。ガーフィールドは朝食を済ませると、外へ出てギャル猫を探す。牛乳配達の車が通り掛かり、配達員が通りの向かいにある家に牛乳を運んで行く。近所に住む猫のナーマルは「やるなら今しか無い」と誘うが、ガーフィールドは「俺は縄張りから出る気は無い。それに果報は寝て待てって言うだろ」と告げる。
通りのこちら側に牛乳配達の車が停まったので、ガーフィールドはナーマルに「宇宙飛行士ごっこやろうぜ」と持ち掛けて彼を吊り上げ、その間に牛乳を頂戴する。犬のルカがいる家にパイを見つけたガーフィールドは、彼の脅しにも平然と対応する。鎖で繋がれているルカを尻目に、ガーフィールドはパイを盗み出した。家に戻ったガーフィルドは、ネズミを見つけたジョンに「捕まえろ」と命じられても「お腹が一杯」と無視した。しかし自分で退治しようとしたジョンが転倒するのを見た彼は、呆れながらもネズミを追って外に出た。
ガーフィールドは顔馴染みであるネズミのルイスに、「ウチで何してんだよ、ジョンがいるのに」と文句を言う。「我慢できなくて。マカダミアナッツクッキーがあったから」とルイスが釈明すると、ガーフィールドは「ジョンがネズミを見たら俺に期待するだろ」と告げる。ガーフィールドはルイスを口に入れ、ジョンの元へ戻った。ジョンが満足して去った後、ガーフィールドはルイスを解放して「さっさと行けよ」と告げた。
家に戻ったガーフィールドは、いつものようにソファーに座ってテレビ番組を見る。ローカル局のモーニングショーでは、ハッピー・チャップマンが自分の担当するコーナーで飼い猫のパースニキティーを紹介する。ガーフィールドは「あの猫、テレビや新聞、そこら中に出てる」と不愉快そうに漏らす。ラザニアを買って戻ったジョンは、「食べちゃダメだよ、それは僕の分だ」とガーフィールドに注意する。しかしガーフィールドは、言い付けを守る気など全く無かった。
チャップマンは番組の収録が終わると、慌ててパースニキティーをマネージャーのウェンデルに渡し、薬を飲む。彼は猫アレルギーなのだ。それでも猫を可愛がっているように装うのは、視聴者の少ないローカル局の番組ではなく、キー局への出演を狙っているからだ。彼にはウォルターという弟がいて、キー局のアンカーマンとして活躍していた。そんな弟に、チャップマンは強い嫉妬心を抱いていた。
ジョンが買い物から戻ると、ガーフィールドはラザニア4つを全て食べて仰向けになっていた。ジョンは「お前の大好きな場所へ行こう。気分転換になるぞ」と言うが、ガーフィールドはそれが動物病院だと分かっており、浮かない表情を浮かべる。ジョンは高校時代から憧れている獣医のリズに合うため、どこも悪くないガーフィールドを連れて何度も動物病院を訪れていた。もちろん、その日の診察も、「どこも悪くない」というものだった。
リズから「2人きりで話があるの」と言われたジョンは、愛の告白だと思って浮かれる。だが、リズの用件は、ジョンにオーディーという犬を引き取ってもらうことだった。ジョンは「ずっと飼ってみたいと思っていたんだ」と適当なことを言い、オーディーを引き取った。ガーフィールドはジョンからオーディーを紹介され、仰天した。ジョンはガーフィールドが嫌がっていることなど全く知らず、オーディーを連れて帰宅した。ジョンが自分を無視してオーディーを可愛がるので、ガーフィールドは不機嫌になった。
ガーフィールドは我慢しようとするが、オーディーが自分の指定席であるソファーまで奪ったので、力ずくで奪い返した。それでもオーディーはガーフィールドに攻撃的な態度は見せず、ボールを持って来て遊んでもらおうとする。ガーフィールドはナーマルのように宇宙飛行士ゲームを持ち掛け、宙吊りにしようとする。だが、手本を見せようとバケツに入った自分が吊り上げられてしまった。
腹を立てたガーフィールドは逃げるオーディーを追い掛け、ルカの敷地に入った。鎖の外れているルカを見て、ガーフィールドは腰が引ける。そこへオーディーが現れ、ルカの体を舐めた。ルカがおとなしくなったので、ナーマルと仲間のアーリーンは「オーディーは命の恩人よ」と言う。ガーフィールドは「違う。オーディーはただのマヌケ」と反発した。その夜、オーディーがジョンのベッドに乗ったので、ガーフィールドは「一緒に寝るのは無理だ。俺でも無いんだから」と忠告する。しかしベッドに来たジョンは「一緒に寝たいのか?いいよ」と優しく言い、オーディーを退かそうとはしなかった。
翌朝、ジョンはオーディーを連れて、リズとドライブに出掛ける。「お前は置いてけぼりだ」とナーマルからバカにされたガーフィールドは、「ジョンは自分が何をしてるか分かってないんだ。俺が大人になって見守ってやらないと」と呟き、車を追い掛けて荷台に飛び乗った。ジョンとリズはガーフィールドに気付かないまま、ドッグショーの会場に到着した。リズはショーの審査員の一人だったのだ。
ガーフィールドは会場の中へ迷い込み、出場していた犬たちは彼を捕まえようとして騒ぎ出す。逃げ出したガーフィールドを追い掛けて、犬たちは会場から走り去ってしまった。すると流れ出した音楽に合わせてオーディーが会場に飛び出し、器用に踊り始めた。それは家でガーフィールドがやっていたダンスを真似して、覚えたものだった。見事なダンスを見た観客は、立ち上がって拍手を送った。ジョンは審査員として参加していたチャップマンはテレビ出演を持ち掛けられるが、「オーディーは普通の犬なんです」と遠慮した。
ジョンはガーフィールドが会場で騒ぎを起こしたことを知らないまま、リズの車で家に戻った。「ちよっと寄って行かない?」と誘ったジョンは、「今日はダメなの」と断られてガッカリする。しかしリズから「日曜はどう?」と言われ、「日曜ね」と途端に頬を緩めた。家に入ったガーフィールドは苛立ってボールをパンチするが、そのボールが照明器具に当たり、そこからドミノ式が家具が次々に倒れて室内がメチャメチャになってしまった。後から入って来たジョンは、ガーフィールドを家の外に追い出した。
ガーフィールドが玄関で落ち込んでいると、心配したオーディーがペット用ドアから出て来た。するとガーフィールドは家の中に飛び込み、オーディーを置き去りにして中に入れないようにした。するとオーディーは通り掛かったバイクや車を追い掛け、アーバックル家から遠く離れた場所まで行ってしまった。玄関先で佇んでいるオーディーを見つけたベイカー夫人は、彼を拾い上げて家に戻った。
翌朝、ガーフィールドが呑気に目を覚ますと、ジョンがオーディーを捜していた。一方、チャップマンは人気者になって弟を見返すため、是が非でもオーディーを手に入れたいと考えていた。そんな彼は、ベイカー夫人がオーディーの飼い主を見つけるために貼ったチラシを目にした。一方、必死にジョンを捜していたジョンの元にリズがやって来る。食事の約束を完全に忘れていたジョンは、リズから「高校の時、好きだった」と言われて激しく動揺した。
ジョンは迷った末、「食事には行けない。オーディーがいなくなった」とリズに打ち明ける。リズは「食事はいいから、一緒に捜しに行きましょう」と言い、2人は出て行く。それを見送ったガーフィールドは、「どうしてあの犬のことで、そこまで大騒ぎするの?」と呆れたように呟いた。チャップマンはベイカー夫人の家を訪れ、オーディーの飼い主を装って彼を引き取った。ガーフィールドは退屈になり、外へ遊びに行く。だが、オーディーを追い出したことでナーマルもアーリーンもルカも怒っており、冷たく拒絶した。
アーバックル家に戻ったガーフィールドがテレビを見ていると、チャップマンのコーナーにオーディーが登場した。チャップマンはカメラに向かって、「私とオーディーはこれからニューヨークへ行きます。レギュラー出演のチャンスを掴んだからです」と発表した。すぐにガーフィールドは、帰宅していたジョンに番組のことを教えようとする。しかしジョンがテレビの前に来た時には、もう番組は終了していた。ガーフィールドはチャップマンのことをジョンに知らせようとするが、まるで分かってもらえなかった。
ガーフィールドは番組を収録している場所を知り、そのビルへ行ってみようとする。初めて縄張りを出た彼は、バスに乗って都会を目指す。ネズミの群れに包囲されて怯えていたガーフィールドの前に、ルイスが現れた。ガーフィールドはオーディーを助けに来たことを説明し、ルイスにネズミの群れを追い払ってもらった。ガーフィールドはルイスに案内してもらい、ビルへ向かう。一方、ガーフィールドが姿を消したと気付いたジョンは、リズに手伝ってもらって捜し始めた。
テレグラフ・ビルに到着したガーフィールドは、「動物管理局に気を付けろ」と警告するルイスと別れた。ガーフィールドは排気ダクトからビルに侵入した。ジョンとリズはベイカー夫人の貼ったチラシを見つけ、そこにオーディーがいると考えて彼女の元へ向かった。ガーフィールドは檻に入れられているオーディーを発見し、助け出そうとする。しかしチャップマンが戻って来たので、慌てて隠れた。物陰から様子を見ていたガーフィールドは、オーディーが電気ショック首輪を付けられていると知った…。

監督はピーター・ヒューイット、原作はジム・デイヴィス、脚本はジョエル・コーエン&アレック・ソコロウ、製作はジョン・デイヴィス、共同製作はミシェル・インペラート・スタービル&ブライアン・マニス、製作協力はジョン・キルキニー、製作総指揮はニール・マクリス、撮影はディーン・カンディー、編集はピーター・バーガー&マイケル・A・スティーヴンソン、美術はアレクサンダー・ハモンド、衣装はマリー・フランス、アニメーション監修はクリス・ベイリー、音楽はクリストフ・ベック、音楽監修はスプリング・アスパーズ。
出演はブレッキン・メイヤー、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、スティーヴン・トボロウスキー、エヴァン・アーノルド、マーク・クリストファー・ローレンス、ダーメン・クラル、ルーファス・ギフォード、ランディー・レイチャー、ライアン・マッカソン、スーザン・ムーア、イヴ・ブレント、ビル・ホーグ、マイケル・モンクス、メル・ロドリゲス、ジュリエット・ゴグリア、ベン・クローネン、ファビオ・セラフィニ他。
声の出演はビル・マーレイ、ニック・キャノン、アラン・カミング、デヴィッド・エイゲンバーグ、ブラッド・ギャレット、ジミー・キンメル、デブラ・メッシング、リチャード・カインド、デブラ・ジョー・ラップ、ジョーダン・カイザー、ワイアット・スミス、アリソン・ストーナー他。


ジム・デイヴィスによる新聞の連載漫画を基にした作品。ソフト化の際には『ガーフィールド ザ・ムービー』という題名に変更された。
監督は『ビルとテッドの地獄旅行』『サンダーパンツ!』のピーター・ヒューイット。
ジョンをブレッキン・メイヤー、リズをジェニファー・ラヴ・ヒューイット、チャップマンをスティーヴン・トボロウスキーが演じている。
ガーフィールドの声をビル・マーレイ、ルイスをニック・キャノン、パースニキティーをアラン・カミングが担当している。

これは実写映画なので、「ガーフィールドというキャラクターをどう表現するか」ってのは一つのポイントになる。
原作漫画のイメージがあるので、本物の猫をガーフィールド役として起用した場合、原作ファンが「漫画と違う」とソッポを向くことになりかねない。
それに、漫画のガーフィールドにそっくりな猫なんて、そう簡単には見つからないだろう。
そこで本作品はCGで表現しているが、そうなると今度は「実写とCGの融合はどうか」という問題が生じる。

CG製ガーフィールドの馴染み具合は、そう悪くない。
ただし、やはり本物の猫と一緒に並ぶと質感の違いは明白なので、そこは少々キビシイかな。
そう、劇中に登場する犬や猫は、ガーフィールドを除くと全て本物か、もしくは本物っぽく作ったCG。
だからオーディーも本物か本物っぽいCGで、おまけに人間の言葉も喋らない。
ナーマルとルカは喋るのに、なぜオーディーは喋らないのか、そこの基準は良く分からない。喋らせちゃってもいいと思うんだけど。

っていうか、「喋らせるか否か」っていう問題じゃなくて、そもそも「オーディーがアーバックル家にやって来た」という話を本筋にすること自体、疑問を抱いてしまうんだよね。
というのも、これってシリーズの2作目3作目じゃなくて、1作目なのよ。
そうであるならば、まずは「ガーフィールド」のキャラクターをアピールすべきだし、彼とジョンの関係をメインに据えて物語を構築すべきじゃないかと思うのだ。
それを考えると、序盤でいきなり「新参者がやって来る」という展開にするのは、ちょっと違うんじゃないかと。

実際、序盤で「ジョンがオーディーを預かる」という展開があって、そこからはオーディーが物語の中心に位置しているんだよね。
別にガーフィールドを主人公の座から引きずり下ろすってわけじゃないけど(何しろ喋らないし、感情も良く分からない奴なんだから)、何をやるにしても、「オーディーありき」になってしまう。
ジョンはオーディーを可愛がり、ガーフィールドはオーディーに対して苛立ち、チャップマンはオーディーに目を付ける。
全てのエピソードは、オーディーを中心に描かれているのだ。

たぶん製作サイドとしては、「ガーフィールドとオーディーの関係を描く」ということを意識してストーリーを作ったんだろうと思う。
それは2作目以降なら構わないんだけど、1作目でそれをやっちゃうのは良くない。
なぜなら、ガーフィールドにとって一番に考えるべき関係は、飼い主であるジョンとの関係だからだ。そこをまずキッチリと描いておいて、その上で新参者であるオーディーとの関係を描くという流れにすべきではないかと。
この作品の中でオーディーをどうしても登場させたいなら、中盤以降にしておくべきだ。
まあジョンとの関係&オーディーとの関係の2つを描くのは、時間的に厳しいと思うので、ホントは続編に回すべきだと思うが。

いきなりオーディーを登場させたことで、ジョンとガーフィールドの関係描写が疎かになっているし、ガーフィールドのキャラクター描写も薄くなっている。
もちろん、ガーフィールドは北米では有名なキャラクターだし、だから「皆さんご存知でしょ」といスタンスなのかもしれない。
だったら、せめてオーディーは最初から近所にいる知り合いとか、そういう設定にしてしまえば良かったんじゃないかと。
彼を「新しくアーバックル家に来た奴」にして、「ガーフィールドがオーディーを疎ましく感じ、追い出そうとする」という話にしたことで、色々と問題が起きているんじゃないかと。

オーディーがチャップマンに捕まってからは、ようやく「ガーフィールドの物語」に戻っている。
彼がオーディー救出に向かうという展開になるからだ。
ただ、そこでは「ガーフィールドが住み慣れた町を出てしまう」という問題が起きている。
つまり、「いつもの場所で、いつものキャラクターたちと絡んでのドタバタ劇」ってのが作れないのだ。
映画だからスケール感を出したかったのかもしれないけど、もっと小ぢんまりした話で良かったんじゃないかと思うなあ。

なぜ「ガーフィールドが新参者のオーディーを疎ましく感じて追い出す」という話にしたかっていうと、その答えは簡単で、そこを使ってハートウォーミングな内容にしたかったからだ。「ガーフィールドはオーディーに友情を感じ、必死になって彼を助け出そうとする」というのを描きたかったからだ。
でも、そこを色濃くするのも、なんか違和感があるんだよなあ。
そんなに詳しいわけじゃないけど、原作の『ガーフィールド』って、そんなテイストの漫画だったかなあ。
いや、ガーフィールドがオーディーに友情を感じるとか、そういうのがあってもいいのよ。ただ、ほんの少しでいいんじゃないかと。
あと、ジョンとリズの恋愛劇が、ガーフィールドの全く関与しないところで薄っぺらく進行しているけど、そこもガーフィールドと絡めるべきでしょ。

(観賞日:2013年8月26日)


第27回スティンカーズ最悪映画賞(2004年)

受賞:【最悪の歌曲・歌唱】部門「Holla」(バハ・メン)

 

*ポンコツ映画愛護協会