『ゲーム』:1997、アメリカ

サンフランシスコに住むニコラス・ヴァン・オートンは、48歳で投身自殺をした父の遺産を引き継ぎ、投資家として成功した。大富豪となったニコラスは妻と離婚して以来、たった1人で大邸宅に暮らしている。そんな彼が、48歳の誕生日を迎えた。
ニコラスは長く顔を合わせていなかった弟のコンラッドから、“CRS”と書かれた一枚のカードをプレゼントされた。コンラッドはニコラスに、CRS社に必ず電話をするように告げる。後日、ニコラスはCRSのオフィスを発見し、中に入ってみた。
ニコラスは重役のジム・ファインゴールドから、CRS社が提供する商品が“ゲーム”であることを説明される。ゲームに参加することを決めたニコラスはプライバシーに関する調書を取られ、全ての責任からCRSを免責する書類に署名させられた。
それ以来、ニコラスの周囲には奇妙なことが次々と起こり始める。追い詰められてニコラスはパニック状態に陥った彼は、弁護士や警察と共にCRSのオフィスに向かった。しかし、そこには空っぽの空間が広がっているだけだった…。

監督はデヴィッド・フィンチャー、脚本はジョン・ブランケート&マイケル・フェリス、製作はスティーヴ・ゴリン&シーアン・チャフィン、共同製作はジョン・ブランケート&マイケル・フェリス、製作総指揮はジョナサン・モストウ、撮影はハリス・サヴィデス、編集はジェームス・ヘイグッド、美術はジェフリー・ビークロフト、衣装はマイケル・カプラン、音楽はハワード・ショア。
主演はマイケル・ダグラス、共演はショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー、ジェームズ・レブホーン、アーミン・ミューラー=スタール、ピーター・ドナット、キャロル・ベイカー、アンナ・カタリーナ、チャールズ・マーティネット、スコット・ハンター・マクガイア、フロレンティーン・モカヌ、エリザベス・デネヒー、キャロライン・バークレイ、ダニエル・スコア他。


デヴィッド・フィンチャーが監督を務めたサスペンス・スリラー。
ニコラスをマイケル・ダグラス、コンラッドをショーン・ペン、ゲームに関わるクリスティーンをデボラ・カーラ・アンガー、ファインゴールドをジェームズ・レブホーンが演じている。

こんなに気分の悪いハッピーエンドには、滅多にお目に掛かれないだろう。
こんなに歓迎できないドンデン返しには、滅多にお目に掛かれないだろう。
まるで悪趣味なパロディーでも見せられたかのように、後味の悪さが残される。

やはり、デヴィッド・フィンチャーは映像の人なのだろう。
ストーリーテリングは苦手なのだろう。
いや、滑り出しは決して悪くないのだ。
途中の部分も、なんとか頑張っているといっていいかもしれない。
しかし、着地の技術が完全に赤点だ。

しかし考えてみれば、脚本を書いているのはフィンチャーではないのだ。
そうなると、「自殺を決意するほど追い詰められたけど最後は笑えよ」というふざけた作品になった責任は、フィンチャーではなく脚本家にあるということになるのかもしれない。

意外な展開の1つ1つは、観客の意識を引き付けるインパクトを持っている。
だが、それは果たして1つのストーリーの中に上手くフィットしているのだろうか。
私には、その部分で成功しているようには思えなかった。

「その瞬間の衝撃」を連発するという技法は、決して完全否定すべきではないだろう。ホラー映画などでは、有効な場合もある。
しかし、それが映画全体の面白さに直結しないのであれば、使い方か見せ方に失敗しているということになる。

なんでもかんでも、やたらと捻りに捻れば良いというものではない。
捻りまくったあげくが、「だからどうした?」という状態では、捻った意味が無くなってしまう。
結局、この作品はデヴィッド・フィンチャーのゲームだったということなのだろうか。

 

*ポンコツ映画愛護協会