『クリムゾン・リバー』:2000、フランス

アルプス山脈の麓にある町ゲルノンで、変死体が発見された。死体は裸で、胎児のような形に縛られていた。元特殊捜査部隊の熟練刑事ピエール・ニーマンスはパリから派遣され、捜査を開始した。ゲルノン大学には、閉鎖的な空気が漂っていた。ニーマンスは学生のファニー・フェレイラに話を聞こうとしたが、彼女は何も語らなかった。
若手刑事マックス・ケルケリアンは、田舎町ザルザックで起きた墓の盗掘事件を調べた。墓に眠っていたのは、10歳で亡くなったジュディット・エローという少女だ。小学校では記録保管庫が荒らされ、彼女の記録と写真が盗まれていた。
ニーマンスとケルケリアンは、それぞれの担当する事件の容疑者として、フィリップ・セルティスという学生を追った。ニーマンスとケルケリアンは、フィリップの家の前で顔を合わせた。だが、2人が探していたフィリップは、変死体となって発見された…。

監督はマチュー・カソヴィッツ、原作はジャン=クリストフ・グランジェ、脚本はジャン=クリストフ・グランジェ&マチュー・ カソヴィッツ、製作はアラン・ゴールドマン、製作協力はカトリーヌ・モリス、撮影はティエリー・アルボガスト、編集はマリリーヌ・モンティウ、美術はティエリー・ フラマン、衣装はサンドリーヌ・フォレ&ジュリー・モディシェ、音楽はブリュノ・クーレ。
出演はジャン・レノ、ヴァンサン・カッセル、ナディア・ファレス、ドミニク・サンダ、ジャン=ピエール・カッセル、カリム・ ベルカドラ、ディディエ・フラマン、フランソワ・レヴァンタル、フランシーヌ・ベルジェ、フィリップ・ナオン、ローレン・ラフィート、ロベール・ジャンドル、クリストフ・ベルナール、ニッキー・ノード、トニオ・ デシャンヴェル、オリヴィエ・ルーセ他。


フランスでベストセラーとなったジャン=クリストフ・グランジェの小説を映画化した作品。ニーマンスをジャン・レノ、ケルケリアンをヴァンサン・カッセル、ファニーをナディア・ファレス、ジュディットの母親をドミニク・サンダが演じている。

いやあ、序盤は悪くないのよね。意味ありげな要素が幾つも提示され、「何が起きるのだろうか」という期待を持たせてくれる。
ところが、話が進む内に、どんどん失速していき、最後には期待を見事に裏切るような、ショボショボなオチが待っている。

もしかしてワザなのかと疑ってしまうぐらい、終盤のタネ明かしはチープだ。犯人の正体は、予想外と言うより、「それはイカンだろ」という感じ。しかも、犯行の内容と犯行動機が、どうにも上手く結び付いてくれない。しかも、「復讐を果たすんだ」と言いながらニーマンスを殺そうとするのでは、犯行動機が良く分からなくなってくる。
おまけに、オチに結び付く伏線がちっとも提示されていないし、オチが付いても事件が解決されていない。幾つかの謎が提示されているのだが、ことごとく解決されないままに終わってしまう。「結局、あれは何だったのか」という疑問符が多く残される。

オチの問題だけでなく、シナリオには他にも問題がある。ストーリーが分かりにくいし、上手く繋がらない所も多い。さらに、キャラクターの関わりは非常に薄い。ヒロインのはずのファニーは出て来ただけだし、ニーマンスとケルケリアンの関係ですら弱い。
ストーリーも演出も、焦点が定まらないにも程がある。もちろん、基本的にはサスペンスなのだが、山岳アクションを見せたり、ファイト・シーンも用意してみたり、シリアスに進めるかと思えばコミカルな演出もあったり。サービス精神のつもりなのかもしれないが、どこへ持って行きたいのか良く分からないというのが正直な印象だ。

 

*ポンコツ映画愛護協会