『コズミック・シン』:2021、アメリカ

2031年、火星への入植に成功。2042年、人類連合が設立。量子技術により、宇宙への移住が可能になる。2281年、火星撤退。連合加盟星は地球とザフディとエローラ。2519年、連合を離脱したザフディに、「血の将軍」J・フォードがQ爆弾を投下。2524年、ヴァンダー鉱業所有の惑星、地球から4217光年。掘削艦の艦長を務めるジュダ・セイルは、警備員のフェリックス・ザンドとベースキャンプで肉体関係を持とうとする。外で物音がしたのでフェリックスは様子を見に行くが、何かを銃撃して戻って来なかった。ジュダは連合軍に連絡を入れてFC(ファースト・コンタクト)事案だと知らせた後、何かを目撃した。
地球。人類連合のイーロン・ライル将軍はFC事案の報告を受け、生存者はマクミラン空軍基地に移送中だと聞く。彼は指揮官のマーカス・ブレックに、レア・ゴス博士を呼ぶよう指示する。さらに彼は少し考えてから、元将軍のジェームズ・フォードも連れて来るよう命じた。フォードが側近のダッシュと酒場にいると、ブレックたちが来てライルが呼んでいることを伝える。復職の要請を受けたフォードは、ダッシュを伴って基地へ向かった。
フォードとゴスは基地で顔を合わせ、互いに不快感を示した。フォードはFC事案だと知り、ブレックに「俺がお前なら、今すぐQ爆弾を準備する」と言う。ブレックはアレックス・ロック軍曹に連絡し、量子エンジニアのフィオナ・アーディーンを呼ぶよう指示した。ロックはアーディーンを連れ戻し、Q爆弾を準備させた。ロックはライルの甥で兵士のブラクストンが煙草を吸ってサボっているのを見つけると、苦言を呈した。
ヴァンダーの船が基地に到着し、ロックやゴスたちは生存者の元へ向かう。除染作業が終わった生存者グループは、警護の兵士を襲った。ジュダは口から黒い酸を吐き、近くにいた兵士の顔が溶けた。生存者グループは銃の使い方を覚え、発砲してきた。基地に到着したライルは、敵を撃ちながら先へ進む。フォードは武器庫から大型ランチャーを持ち出し、残っていた敵を始末した。ライルは「コズミック・シン作戦を実行する。先に攻撃を仕掛ける」と宣言し、ゴスが反対しても却下した。
ブラクストンは同行を志願し、ライルは承認した。敵の母星は分かっておらず、ライルは通信不能となっているエロールの防衛に当たることにした。ダッシュはライルに、エロールの部隊が敵の船を撃墜したことを知らせた。アーディーンは敵のタキオン粒子により、この場所は6時間から7時間で特定されると告げた。Q爆弾の扱い方を知っている彼女は、ライルから同行を命じられた。フォードとゴスは、元夫婦としての会話を交わした。
ライルやフォードたちは次元跳躍で宇宙へ飛び立ち、大気圏へ突入した。ブラクストン、ブレック、アーディーンがエローラ星に降下すると、他の面々の姿は見当たらなかった。敵の攻撃を受け、ブレックは深手を負った。そこへエローラ星の兵士であるカントス、ウェスト、ノーランたちが駆け付け、敵を倒した。ウェストたちは医療設備がある前哨基地の軌道砲発射場へ、ブレックを連れて行くことにした。ブラクストンはアーディーンにQ爆弾の準備を頼み、カントスと共に撃墜された船がある森へ向かった。
ブラクストンは船を発見するが、近くには異星人たちがいた。動力源の放射線から母星の座標を辿っている時、ブラクストンはフォードの生存を知った。彼はアーディーンに座標を送ろうとするが、タキオンの干渉で繋がらなかった。フォードは言語不明な異星人たちに包囲され、洞窟へ入るよう促された。洞窟に入ったフォードは幻影を見るが、そこへブラクストンが駆け付けて連れ出した。軌道砲発射場ではアーディーンが博士のビデオメッセーシを確認し、「侵略者は他者に乗り移る寄生生物」「血を介して増殖する」「侵略者の心は1つで、集合精神」という情報を知った。
発射場に到着したフォードは、ブレックが助からないと悟って絶命させた。ダッシュは生きており、呑気な様子で発射場に現れた。異星人は量子スペースゲートを作っており、ブラクストンは「軌道砲でゲートにQ爆弾を撃ち込み、母星に送る」という方法を思い付く。ゲートを塞げなければ巻き込まれて全員が死ぬが、フォードたちは行動することに決めた。アーディーンが準備をしていると、生きていたライルが連絡してきた。彼は「スーツは壊れたが、後方スラスターは生きている」と言い、自分に出来ることは無いかと尋ねる。「プラズマ砲ではゲートを破壊できません」と話すと、彼は「私が自爆して破壊しよう」と申し出た…。

監督はエドワード・ドレイク、脚本はエドワード・ドレイク&コーリー・ラージ、製作はコーリー・ラージ、製作総指揮はマシュー・ヘルダーマン&ルーク・テイラー&スティーヴン・イーズ&ジョニー・メスナー&エドワード・ドレイク&アリ・ジャザイエリ&デヴィッド・ジェンドロン&スティーヴン・ジョイス&ウィリアム・V・ブロムリー&シャナン・ベッカー&ジョナサン・サバ&ネス・サバン&ブライアン・オシェイ&ナット・マコーミック&ソフィア・アロンヌ&ベンジャミン・クラウス、共同製作はダン・“ダノ”・カッツマン、撮影はブランドン・コックス、美術はデヴィッド・ディーン・エバート、編集はジャスティン・ウィリアムズ、衣装視覚コンサルタントはナタリヤ・フェドゥロワ、音楽はスコット・グラスゴウ。
出演はフランク・グリロ、ブルース・ウィリス、ブランドン・トーマス・リー、コーリー・ラージ、ペリー・リーヴス、CJ・ペリー、ロックリン・マンロー、コスタス・マンディロア、アデレード・ケイン、エヴァ・デ・ドミニチ、サラ・メイ・ソマーズ、トレヴァー・グレツキー、クリスチャン・ヒックス、オースティン・ハンブル、マーク・リナード、ロバート・レイネン、トレヴァー・ブラザートン、エリック・ブアルケ、エヴァリー・ラージ他。


『アンダーワールド 新種襲来』のエドワード・ドレイクが監督を務めた作品。
脚本は、エドワード・ドレイクと『アンチ・ライフ』のコーリー・ラージによる共同。
ライルをフランク・グリロ、フォードをブルース・ウィリス、ブラクストンをブランドン・トーマス・リー、ダッシュをコーリー・ラージ、ゴスをペリー・リーヴス、カントスをCJ・ペリー、ロックをロックリン・マンロー、ブレックをコスタス・マンディロア、アーディーンをアデレード・ケイン、ジュダをエヴァ・デ・ドミニチ、ホイトをサラ・メイ・ソマーズ、フェリックスをトレヴァー・グレツキーが演じている。

「2031年、火星への入植に成功」から「J・フォードがQ爆弾を投下」までは、全てテロップで示される情報だ。そこは一応、「簡単に今までの歴史を解説する」というパートになっている。
だが、「ちょっと何言ってんのか良く分かんない」という状態になっている。
例えば、人類連合って何なのか。なぜ火星から撤退したのか。ザフディとエローラってのは何なのか。ザフディは連合を離脱した理由は何なのか。なぜフォードはQ爆弾を投下したのか。っていうかQ爆弾って何なのか。
こんなに分からないことだらけのテロップなら、むしろ無い方がマシ。冒頭で無駄に観客を混乱させるデメリットしか無いわ。

物語の舞台は2524年なので、もはや近未来どころじゃない時代だ。それにしては、その世界観が分かりやすくチープ。
移動手段は現代と同じような車やバイクだし、武器も現代と全く変わらない拳銃を使っている。服装も建物も、現代は何も変わらない。フォードがいる酒場はネオンサインの看板があるし、普通の酒を扱っている。バーテンダーはロボットで、ステージではホログラムの歌手がいるけど、未来っぽさを感じる要素は少ない。
店内にはジュークボックスがあるし、「あえてレトロを狙った店」という設定なのかもしれないよ。ただ、2524年という時代において、ジュークボックスなんて物はレトロの範疇を超えてるだろうに。
っていうか、もはやジュークボックスなんて残っていないだろ。

除染作業の場所で敵に殺される兵士は1人だけ。動きは遅いし、集団で襲い掛かるわけでもない。最初に口から黒い酸を吐いて兵士の顔を溶かすが、それ以降は銃の扱い方を学んで発砲するだけ。
なので、最初に異星人としての脅威を充分に当たられているとは言い難い。
で、その部屋を封鎖してガスを充満させているのに、ブラクストンが発砲して窓を壊してしまうバカっぷり。
ただ、どうやら別の場所から敵は逃げ出しているみたいなので、基地の構造がサッパリ分からない。

ブラクストンが敵を撃ってもダメージを与えられず、しかし目を撃つと倒れるので「目を狙え」と叫ぶ。しかし、それ以降の戦闘シーンでは、目じゃない場所を撃っても普通に敵が倒れている。
基地に到着したライルは「異星人が生存者に成り済まして」と言われているが、ってことは「船で到着した連中は異星人が変身した姿」という設定なのか。体内に寄生しているとか、そういうことじゃないのか。
ただ、撃たれた女性兵士は、「奴らになりたくない」と言うんだよね。どうやら血に触れると感染するらしいが、その情報も瞬時に広がっている。
っていうか、異星人とゾンビがゴチャ混ぜになってないか。

基地の異星人を全滅させた後、なぜかライルたちは死体を調べようとしない。異星人の情報を知るためには、どう考えても死体を解剖して調べるべきだろうに。
そういう作業を全てスッ飛ばして「先に攻撃を仕掛ける」と言い出すので、アホ丸出しだ。
あと、先制攻撃を将軍の一存では決定できないだろ。
そんで先制攻撃を宣言したものの、相手の母星の場所も分かっていない。なので、とりあえず「エロールの防衛に当たる」と言い出すし、まあボンクラなことで。

そんで先制攻撃を仕掛けるんだから大規模な軍団を編成するのかと思いきや、そこにいる数名だけで出発する。
「Q爆弾があれば勝てる」ってことなのかもしれないけど、そんな危険な武器の使用も将軍が勝手に決めちゃうのかよ。
あと、ダッシュがライルに「エロールの部隊が敵の船を撃墜した」と知らせるけど、いつの間にそんな出来事が起きていたんだよ。
そして、そんな情報をダッシュはいつの間に、どうやって知ったんだよ。

洞窟のシーンは、何が何だかサッパリ分からない。
フォードが白い服の人物を見て抱き締めると、ブラクストンが駆け付ける。彼は白い服の人物に発砲し、フォードを連れ出す。
フォードがゴスの幻覚を見ているのは分かるし、白い服の人物は死体なのかもしれない。ただ、そもそも「異星人がフォードを殺さず、洞窟に入るよう促して幻影を見せる」という行動の理由がサッパリ分からないのだ。
あと、自分の近くにも発射場にもゴスが見当たらないのに、フォードが全く気にしていないのは変だろ。
それと、発射場で能天気にダッシュが現れるが、どういうことだよ。こいつの扱いが適当すぎるだろ。

敵は人間に寄生し、血に触れると感染する設定だ。なので本体は微生物なのかと思ったら、どうやら人間サイズの異星人。
そうなると、「他者に乗り移り、血を介して増殖する」という設定は変じゃないか。
異星人に関する設定がデタラメすぎて、まるで丁寧さが無いのよね。
っていうか異星人だけじゃなくて、何から何までディティールが雑。
自分たちの手に余るような話を思い付いて、適当な内容のままで作品を仕上げちゃってるような感じだね。

(観賞日:2022年11月19日)

 

*ポンコツ映画愛護協会