『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』:2010、アメリカ

ニューヨーク市警69分署のジミー・モンローとポール・ホッジスは、コンビを組んで丸9年になる。2人はヤクの売買に関与している携帯ショップの店長、ラウルの取り調べを行うことにする。いつもはジムが尋問、ポールが記録を担当している。しかしポールが「今回は俺が取調室へ行って尋問する」と言うので、ジミーはやらせてみた。ポールは下手な芝居でラウルを脅し、彼が営む携帯ショップに男がヤクを取りに来ること、フアン・ディアスがヤクを持ち込んでいることを聞き出した。
2人は携帯ショップを張り込むが、ポールは「最近、デビーの様子がおかしいんだ」と妻のことを気にしている。フアンがヤクを店に持ち込み、ラウルから金を受け取った。ラウルは外にいるポールにサインを送るが、フアンに気付かれて撃たれる。フアンは銃を乱射し、裏口から逃走した。ポールは携帯電話のキグルミを着たまま追跡し、ジミーも別ルートで追い掛ける。しかし2人はフアンに逃げられ、ロマンス署長から責められた。
ロマンスの「なぜギャング対策班に知らせなかった?ギャング対策班は1ヶ月も捜査を続けていた。君たちは手順を無視してばかりだ」という批判に、ジミーは激しく反論する。だが、ロマンスはジムとポールに30日間の停職処分を通告した。ジムは慌てて「娘のエヴァが結婚する。今月の給料が無いと式が挙げられない」と撤回を求めるが、ロマンスは「処分は処分だ」と冷たく告げた。銃と警察バッジを渡して署長室を去ったジミーとポールは、互いに相手を非難した。そこへギャング対策班のハンサカーとマンゴールドが来て、「我々が1ヶ月も掛けた捜査を1日で台無しにしてくれて」と嫌味を浴びせた。
フアンは教会へ行き、組織のボスである兄のポー・ボーイと会った。ポー・ボーイは「俺のベンツはまだ来ないのか。ベンツさえ届けば、あいつの取引先リストと口座番号が手に入る。ブルックリンの外でもヤクが売り放題だ」と彼に話す。そこへ手下のフリオが来て、雇った連中が目を離した隙にベンツを盗まれたことを恐る恐る報告した。ポー・ボーイの目配せを受けて、フアンがフリオを射殺した。
ジミーが「停職になったなんて言えるかよ」と困っていると、ポールは「言う必要なんか無い」と告げ、隠し持っていた銃と予備のバッジを渡した。ジミーはポールを連れて、エヴァが待つレストランに入った。エヴァだけでなく、ジムの別れた妻パムと現在の夫ロイも一緒だ。ポールは大歓迎するエヴァと挨拶を交わして、すぐに店を去った。エヴァは「そろそろ費用の一部を式場に振り込まなきゃいけないの」と言い、「安い方だと思うんだけど」と少し申し訳なさそうな態度で、ジミーに見積書を差し出した。
4万8千ドルという金額を見たジミーは、平静を装って「安い方だ」と告げた。ロイが「決して安い金額ではないが、本当に豪華にしようとすれば、その程度では済まない。もし君さえ良ければ、僕がエヴァの願いを叶えてやりたいんだ。僕に払わせてほしい」と持ち掛けると、ジミーはパムとエヴァに頼んで彼と2人きりにしてもらう。彼は「俺は刑事として色んな悪党を追ってる。中でも一番の悪党は、娘の前で親に恥をかかせる奴だ」と言うが、ロイは笑って受け流した。
ロイは「僕の務めは、エヴァとパムの願いを全て叶えてやることだ。エヴァのためなら5万ドルぐらい喜んで出す。はした金だからね。君は別れた妻に生活費を払わず、それを責められもしない。彼女には僕が付いているからね。礼を言ってもらいたいぐらいだ。なのに結婚式の費用が払えないなんて、それこそ悪党だよ」と嫌味っぽく語った。エヴァはジミーを連れ出し、「別に豪華じゃなくてもいい。友達を呼んで小ぢんまりと済ませるわ」と言う。ジミーは「お前の結婚式だ。豪華にやればいい。何も心配しなくていい」と述べた。
ポールはゴミ箱にシャンパンの空き瓶があるのを見つけ、デビーに「これ、君が飲んだのか」と質問する。デビーが「見つかっちゃったか。契約を取り付けたから、お祝いしたのよ」と言うと、「1人で全部飲んだのかよ」とポールは訊く。「ヘンリーに助けてもらったわよ」とデビーが隣人の名前を出すと、ポールは「俺たちだけで祝えばいいじゃないか」と苛立つ。心配で焼きモチばかり焼いているポールに、デビーは「私を信じて」と告げた。しかし彼女がヘンリーに挨拶する様子を見ていたポールは、また不安になった。彼は熊のヌイグルミに仕込んだカメラを部屋にセットし、デビーを盗撮することにした。
ジミーは結婚式の費用を捻出するため、大事にしていたアンディー・パフコ選手の野球カードを売却することにした。1952年に作られて最初に出回ったカードで、1番とナンバリングされている。同時期に発売された別の選手のカードは、数年前にオークションで8万ドルを超える値が付いていた。車で同行したポールは外で待機し、ジミーはビッグ・アルのカードショップに入る。アルは「買い手は見つかった。大興奮してたよ」と彼自身も興奮した様子で告げた。
ジミーがカードを見せているところへ、覆面強盗のデイヴと相棒が押し入った。ジミーはスタンガンを押し付けられて体が動かなくなり、銃まで奪われた。デイヴたちは金と野球カードを盗み、店から立ち去った。外にいたポールはデビーに電話を掛けていて、その事件に全く気付かなかった。ジミーはデイヴの腕にあったダックスフントの刺青を見ていたが、事情聴取を担当したハンサカーとマンゴルードにはそのことを話さなかった。
同じ強盗のカードショップ強盗は、クイーンズ地区で立て続けに発生していた。ポールはタトゥー・ショップに片っ端から電話を掛け、ダックスフントの刺青を彫ったジョージという男を見つけ出した。ジミーとポールはジョージを脅し、デイヴが借金を返すために海沿いに建つ家へ泥棒に入ることを聞き出した。その夜、2人は家を張り込むが、ポールはデビーに電話を掛けても出ないことに苛立つ。彼はジミーに、デビーがヘンリーに口説かれて浮気している疑いを抱いていることを話した。
ジミーとポールは、デイヴが屋根の上を走って邸内に侵入する様子を目撃した。彼がトイレに入って排便を始めたので、2人は呆れた。そこへ住人であるローラと息子のケヴィンが車で帰宅した。ジミーとポールはローラに近付き、「泥棒が侵入しているので向かいの家で待機して下さい」と要請する。しかしローラは「泥棒がいるなら、この手でぶっ殺す」と言い、バッグから拳銃を取り出した。
ジミーは荒っぽいローラを恫喝し、向かいの家へ行くことを何とか承諾させた。ジミーとポールは家に侵入し、別れてデイヴを捜索する。しかしポールがデイヴに捕まり、拳銃を突き付けられる。ジミーが銃を構えて対峙していると、背後から現れたローラがデイヴに向けて威嚇発砲した。ローラは怯んだデイヴから拳銃を奪い取り、ジミーとポールに「この役立たず」と罵声を浴びせて立ち去った。
翌朝、ポー・ボーイはベンツを盗まれた2人をフアンに射殺させ、「あの車には大事なブツが入ってる。見つけた奴には5千ドル支払う」と手下たちに告げた。一方、ジミーとポールは、デイヴを車で連行していた。デイヴは偉そうな態度で饒舌に喋り、2人の神経を逆撫でした。ジミーが野球カードと銃のありかを教えるよう要求しても、デイヴは明かさなかった。ジミーはデイヴを空き地で降ろし、手錠で車の後ろに拘束する。そして車を発進させ、デイヴを引きずった。
デイヴはドラッグ欲しさに野球カードと銃を打ったことは話したものの、元締めの前については「知らない」と告げた。しかしジミーが脅しを掛けると、「ポー・ボーイだ」と白状した。ジミーとポールがポー・ボーイの家に乗り込むと、数々の野球グッズが飾られていた。ジミーが「野球カードは?」と言うと、ポー・ボーイは強気な態度で取り引きを持ち掛ける。彼はジミーとポールに、ベンツを見つけ出すよう要求した。ポールが銃を向けると、ポー・ボーイは武装した大勢の仲間たちに包囲させた。
取り引きを承諾したジミーがポールと共に立ち去ると、ポー・ボーイはフアンに「奴らを尾行しろ」と命じた。ジミーとポールは車泥棒の常習犯である少年のトミーを捕まえ、ベンツのことを尋ねる。「母親に悪事をバラすぞ」と脅すと、トミーは「僕じゃないけど、盗んだ奴は知ってる。ロシア人の弁護士に売ったって言ってた」と打ち明けた。ジミーは犯罪者を装って弁護士の家に押し入り、銃を向けて「車の鍵を寄越せ」と要求した。彼はポールと共に、ベンツに乗り込んで弁護士宅を去った。
ジミーとポールが車を走らせていると、尾行していたフアンが近付いて発砲して来た。運転するポールがスピードを上げると、フアンと相棒の車が追い掛けて来た。ポールが墓地に入ると、フアンの車は穴に落ちた。フロントガラスから飛び出したフアンは、墓石に激突して死んだ。追跡を撒いたジミーとポールがベンツのトランクを開けると、猿ぐつわを噛まされたガブリエラという女が閉じ込められていた。彼女はスペイン語で「奴らに殺される」と怯えるが、ジミーたちは何を言っているのか分からなかった。
フアンを失ったポー・ボーイは激怒し、「報酬は2万ドルに引き上げる。奴らを見つけ出し、女を取り返す」と告げた。ジミーとポールはメシキコ料理店へガブリエラを連れて行き、知人のマヌエルに彼女から事情を訊き出すよう頼んだ。質問を受けたガブリエラは、一目の付かない場所へ今すぐ避難させるよう泣きながら要求した。一方、ハンサカーとマンゴールドは、フアンが所持していた拳銃がポールの物であることを突き止めた。
ジミーとポールがガブリエラを店の奥に移動させると、マヌエルは「ガブリエラはメキシコ最大の麻薬ディーラーの愛人だったらしい。ディーラーが殺された後、警察からの帰りに彼女も襲われ、姉が死んだ。兄が彼女を国境から出そうとしたが、仲介人が買収されて彼女は連れ去られた。そして車のトランクで2日間も閉じ込められた」と語った。FBIにガブリエラを保護してもらうまで、ジミーとポールはモーテルで彼女を匿うことにした。
ジミーはハンサカーからの電話で「ポールの拳銃が殺人に使われた。奴は汚職警官だ」と言われ、バーへ来るよう指示される。ジミーが赴くと、待っていたハンサカーとマンゴールドは「奴が汚職に関わっていたことを知っていたのか」などと尋問する。ジミーは「お前らは目の前で起きている事実を何も分かっちゃいない」と批判し、その場を去った。ジミーが出掛けている間に、ポールは回収した盗撮カメラの映像を確認した。すると、デビーがベッドで男を迎えている様子が写し出されていた。部屋に戻ったジミーは、シャワーを浴びているガブリエラに呼び掛ける。するとガブリエラはスペイン語の置き手紙とUSBメモリを残し、窓から逃げ出していた。パソコンでメモリの中身を確認すると、死んだ麻薬ディーラーの銀行口座と取引リストが記録されていた…。

監督はケヴィン・スミス、脚本はロブ・カレン&マーク・カレン、製作はマーク・プラット&ポリー・ジョンセン&マイケル・タドロス、製作総指揮はアダム・シーゲル&ロブ・カレン&マーク・カレン、撮影はデヴィッド・クライン、編集はケヴィン・スミス、美術はマイケル・ショウ、衣装はジュリエット・ポルクサ、音楽はハロルド・フォルターメイヤー。
出演はブルース・ウィリス、トレイシー・モーガン、ショーン・ウィリアム・スコット、アダム・ブロディー、ケヴィン・ポラック、アナ・デ・ラ・レゲラ、ギレルモ・ディアス、ラシダ・ジョーンズ、ジェイソン・リー、スージー・エスマン、ミシェル・トラクテンバーグ、フランシー・スウィフト、ショーン・カレン、フレッド・アーミセン、コリー・フェルナンデス、マーク・コンスエロス、マーカス・モートン他。


『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』『世界で一番パパが好き!』のケヴィン・スミスが監督を務めた作品。
ケヴィン・スミスにとっては、初めて自作の脚本ではない映画であり、初めてメジャー・スタジオで撮った映画でもある(ワーナー・ブラザースの製作)。
脚本担当のロブ・カレン&マーク・カレンはTVドラマの世界で活動している人で、これが映画デビュー作。
元々は、映画化に至っていない優秀な脚本を集めた「ブラック・リスト」と呼ばれる資料の2008年版に含まれていた物だった。

ケヴィン・スミスが本作品の監督を引き受けたのは、ブルース・ウィリスと仕事をしたかったというのが理由だそうだ。
そのブルースがジム、TVのコメディー・ドラマ『30 ROCK/サーティー・ロック』で人気を得た「黒い出川哲朗」ことトレイシー・モーガンがポールを演じている。
デイヴをショーン・ウィリアム・スコット、マンゴールドをアダム・ブロディー、ハンサカーをケヴィン・ポラック、ガブリエラをアナ・デ・ラ・レゲラ、ポー・ボーイをギレルモ・ディアスが演じている。
他に、デビーをラシダ・ジョーンズ、ロイをジェイソン・リー、ローラをスージー・エスマン、エヴァをミシェル・トラクテンバーグ、パムをフランシー・スウィフト、ロマンスをショーン・カレン、弁護士をフレッド・アーミセン、フアンをコリー・フェルナンデス、マヌエルをマーク・コンスエロス、トミーをマーカス・モートン、ヘンリーをマイケル・A・ピットが演じている。

ケヴィン・スミスと言えば、何となくクエンティン・タランティーノを連想してしまう人だ。どちらも映画オタクで、その感覚を持ったまま映画監督になっている。
しかしタランティーノが大ヒット作品を生み出してビッグ・ネームになっていったのに対して、ケヴィン・スミスはいつまで経っても一部のファンだけに受けるマイナーな存在だ。
だから「タランティーノになれなかった監督」と言ってもいいかもしれない。
まだキャリアは続行中だが、今後、ケヴィン・スミスがタランティーノのように大ヒット作を生み出して大物監督になることは、たぶん無いだろう。っていうか、絶対に無いな。

この映画はケヴィン・スミスの脚本を使っていないが、彼が興味を抱くような内容になっている。
冒頭の取り調べシーンで、ポールは『ヒート』や『トレーニング・デイ』、『スター・ウォーズ』、『シンドラーのリスト』、『カラー・パープル』、『猿の惑星』、『愛と青春の旅だち』、『ジョーズ』、『ビートルジュース』、『ダイ・ハード』といった作品から台詞を拝借し、ラウルを脅す。
他に、ゴジラやキングコングといった言葉も出て来る。
そのように、様々な映画から拝借したネタを持ち込むオタク的なノリは、ケヴィン・スミスが好むモノではないだろうか。

ちなみに、その取り調べの直前、ポールはジミーから「お前の台詞は映画やドラマのパクリばっかりじゃねえか」と言われて「パクリじゃねえ、ホマージュ(オマージュを言い間違えている)なんだ」と反発している。
で、前述した色んな映画のセリフのオンパレードという展開になるわけだが、その冒頭シーンの描写が、この映画を端的に表現していると言ってもいい。
後述するが、この映画は「オマージュ」ということになっているが、実際は「昔のネタをただ並べているだけ」になっているのだ。

これは1980年代に量産された、刑事物のアクション・コメディーやバディー・ムービーを意識した作品だ。
たぶん最も意識しているのはエディー・マーフィー主演の『ビバリーヒルズ・コップ』で、作曲家としては半ばリタイア状態だったハロルド・フォルターメイヤーを担ぎ出しているのも、そういうことなんだろう(彼は『ビバリーヒルズ・コップ』の音楽を担当していた)。劇中で流れて来るピコピコ・サウンドのBGMは、モロに『ビバリーヒルズ・コップ』っぽい。
『ビバリーヒルズ・コップ』の他にも、『リーサル・ウェポン』や『48時間』、『シカゴ・コネクション 夢見て走れ』などの作品を意識しているものと思われる。
そう考えると、お喋りでお調子者でオーバーアクトなポール・ホッジスのキャラクターは、かなり分かりやすい。
ようするにトレイシー・モーガンは、エディー・マーフィーが1980年代にやっていたタイプのキャラクターを演じているのだろう。

で、そういった1980年代の刑事映画からネタを拝借して、それをパロディー化しているのか、あるいは茶化しているのか、それとも現代的に作り変えているのか、誇張することで笑いに昇華しているのか、どういう調理法を取っているのかと思ったら、そのまんまネタを並べているだけだった。
製作サイドとしては「オマージュ」ということなんだろうけど、それだけで構成された映画が面白いかって問われたら、少なくとも本作品の場合は、つまらない仕上がりだ。
いや、そりゃあタランティーノだって、昔の映画からネタを拝借して、それを何の捻りもなくそのまんま持ち込んだりするのよ。だけどタランティーノの場合、ネタ元がブラックスプロイテーション映画だったり、日本の空手映画だったりと、かなりマニアックなのよね。
それに対して本作品の場合、過去にヒットした映画から拝借したネタを並べて構成されているわけで。そうなると、単に「昔のヒット作の焼き直し」「古臭い作品」ってことになってしまうんだよな。
例えばさ、今さら『ビバリーヒルズ・コップ』と同じことをやられても、それだけじゃ厳しいでしょ。何か捻りを加えるなり、変化を付けるなりしないと。

テンポは単調だし、メリハリに欠けるし、笑いの取り方も1980年代のアクション・コメディーと同じ感じだから、つまり古臭いってことになってしまう。
昔と同じことをやるだけだったら、DVDで『ビバリーヒルズ・コップ』を借りて来て見ればいいんじゃないのかと思ってしまう。
ケヴィン・スミスはアクション演出が得意な人じゃないから、アクションシーンに見せ場が見当たらないってのも厳しい。
それと、最初は「ジミーがデイヴに盗まれた野球カードを取り戻す」ということで物語が動き始めているのに、その目的がいつの間にか忘れ去られており、ジミーとポールが何のために行動しているのか、途中で良く分からなくなってしまう。
たまにジミーが「俺のカード」などと口に出すことによって、最初に提示した目的を観客にアピールしているものの、それが無かったらホントに忘れちゃうぞ。

デイヴが偉そうな態度で饒舌に喋ったり、ポールの奥さんを侮辱するようなことを言ったり、相手と同じ言葉を繰り返したりして、ジミーとポールの神経を逆撫でするってのを喜劇として描いているんだけど、ホントにデイヴは「不愉快な奴」と感じさせるだけで、ちっとも笑いを発信するキャラクターになっていない。
それに、「ジミー&ポール」のコンビネーションで物語を進めていくべきなのに、デイヴが関わると、それを邪魔するような形になってしまうし。
それと、コメディーとして「相手に嫌味を言われても逆に嫌味で返す」というのをやっているのは分かるんだけど、それを色んなキャラが同じようにやっちゃうのはダメでしょ。
ハンサカーとマンゴールドに嫌味を言われたジミー&ポールが嫌味で返すのはいいとして、ロイもジミーに嫌味を言われて嫌味で返すんだよね。デイヴも含めて、嫌味なことを言うキャラばかりになっている。
キャラの描き分けってのが作品にとっては重要なのに、むしろ似せようとしてどうすんのよ。

この映画、当初は『A Couple of Dicks』という原題だった。
日本語に訳すと「2人の刑事」という意味だが、「Dicks」はチンポコを意味するスラングでもあるので、「2本のチンポコ」と解釈することも出来る。
それだと宣伝活動にも影響があるということで、ワーナー・ブラザースが『Cop Out』(役立たず)に変更したのだが、ジミーがマジック・ミラーにチンポコの絵を描くとか、ポールがウンコや動物のセックスのことを喋るとか、元々の原題を感じさせるような下ネタはチラホラと盛り込まれている。
1980年代のネタで押すよりも、むしろ下ネタ満載コメディーとして押した方が、面白くなったんじゃないかという気がしないでもない。

(観賞日:2013年11月12日)

 

*ポンコツ映画愛護協会