『コンタクト』:1997、アメリカ

エリー・アロウェイは幼い頃、父テッドから宇宙についての様々なことを聞いて育った。テッドはエリーがまだ少女だった時代に亡くなったが、エリーの宇宙への思いはますます募るばかりだった。成長した彼女は天文学者になっていた。
彼女はプエルトリコで地球外生命を探索するプロジェクト“SETI”に携わっていた。神学に詳しいライターのパーマー・ジョスは彼女に理解を示すが、全米科学者協会のデヴィッド・ドラムリンはSETIが実用的な研究ではないと考えており、彼女に好意的ではない。
ドラムリンの考え方には多くの科学者も同調しており、ついにSETIへの助成金が打ち切られてしまった。エリーは仲間のケント・クラーク達と共に計画を続行しようと考え、自分達で資金を集めようとする。1年近くもスポンサーを探し回り、ようやくハッデン産業が援助してくれることになった。
4年後、エリー達はニューメキシコにある政府所有の観測所で電波望遠鏡を借りて宇宙の調査を続けていた。しかしドラムリン達の圧力により、観測所をあと3か月で明け渡さなくてはならなくなった。そんな中、エリーはついに宇宙からのシグナルをキャッチする。
そのシグナルは琴座のベガから発信されていた。エリー達はこのニュースを世界中に広める。しかし計画はいつしか政府主導によって進められるようになっていき、計画の責任者もドラムリンに取って代わられた。
エリー達はノイズだと思われていた部分に大量のデータが隠されていることを発見。その解読を進める中、観測所の周りには多くの野次馬が駆け付けるようになっていた。思うように解読が出来ずに悩むエリーの元に、謎の人物から連絡が入る。
コンピュータをハッキングしてデータを盗み見たその人物に、エリーは会いに行く。その人物はハッデン産業の社長S・R・ハッデンだった。彼は既にデータの暗号を解き明かしていたのだ。彼の情報を元に、エリーはデータの中に設計図が隠されていたことを突き止める。
それは1人の人間が中に乗り込んでベガに移動するマシーンを作るための設計図だった。マシーンに乗り込む人間が選ばれることになった。その候補者の中にはエリーや、政府の科学顧問を辞任したドラムリンも含まれている。
候補者の選考会が開かれた。選考委員の中には宗教界で絶大な発言力を持つようになっていたパーマーもいた。パーマーはエリーに「神の存在を信じるか」と尋ねる。エリーは「科学者として証拠の無いものを信じることはできない」と、神の存在を否定するような発言をする。
エリーはマシーンに乗ることは出来なかった。選ばれたのは「神を信じるべきだ」と選考会で発言したドラムリンだった。フロリダのケネディ宇宙センターでテストが開始された。だが、狂信的集団のリーダーがマシーンに侵入し、ドラムリン達を巻き添えにしてマシーンを爆破してしまった…。

監督はロバート・ゼメキス、原作はカール・セーガン、原案&共同製作はカール・セーガン&アン・ドルヤン、脚本はジェームズ・V・ハート&マイケル・ゴールデンバーグ、製作はロバート・ゼメキス&スティーヴ・スターキー、製作総指揮はジョーン・ブラッドショー&リンダ・オブスト、撮影はドン・バージェス、編集はアーサー・シュミット、美術はエド・ヴェロークス、衣装はジョアンナ・ジョンストン、音楽はアラン・シルヴェストリ。
主演はジョディ・フォスター、共演はマシュー・マコノヒー、ジェームズ・ウッズ、ジョン・ハート、トム・スケリット、ウィリアム・フィシュナー、デヴィッド・モース、アンジェラ・バセット、ロブ・ロウ、ジーナ・マローン、ジェフリー・ブレイク、ジェイク・ビジー、ウィリアム・ジョーダン、ダン・ギフォード、ヘンリー・ストロジャー、スティーヴン・フォード、ジェナ・マローン他。


カール・セーガンの原作を映画化した作品。エリーをジョディ・フォスター、パーマーをマシュー・マコノヒー、ハッデンをジョン・ハート、ドラムリンをトム・スケリット、テッドをデヴィッド・モース、クラークをウィリアム・フィシュナーが演じている。

色々な要素を詰め込みすぎている感がある。エリーと父親との関係、神と科学の関係、政府と民間の関係、男と女の関係などなど。
もう少し放り込む要素を絞り込んだ方が、深く突っ込めたのではないだろうか。
特に、神と科学の関係は今作品にとって重要な要素だと思えるだけに、他の要素を削ってでも、もっと掘り下げても良かったのではないだろうか。

宇宙からのシグナルを発見する場面では科学者達が色めき立つが、こっちには何が特別なシグナルなのか分からない。普通に音が鳴ってるだけなのでどれだけ凄いことなのかが分からず、エリー達のハッスルぶりが空々しくさえ感じられてしまう。
素数によるシグナルが自然現象ではありえないらしいのだが、それがなぜなのか分からない。科学に詳しくない者は、この辺りの流れで置いてけぼりを食らう。映画の中で興奮しているエリー達の輪の中に、上手く入っていけない。

エリーが困ると、ハッデンが突然現れて助けてくれる。
まるで『Xファィル』みたいですな。
で、そのハッデンさん、「実は、もう1つマシーンを作ってあるんだ」などと口にする。日本の企業に頼んで作らせていたらしい。そんで、その企業をハッデン産業が買収したからエリーをマシーンに乗せるってさ。
とっても都合のいい展開ですな。

さて、そのマシーンは、なんと北海道にあった。
とても北海道とは思えないロケーションの中、マシーンに向かうエリー。
その後ろをついて歩くのは、奇妙な扮装の2人の日本人。
いやいや、ホントに日本人なのか?
しかも、その内の1人、なぜかラーメンマンみたいなヒゲを生やしている。
これはひょっとして、バカ映画なのかい?

この作品は、神と科学の関係について色々と語りたいようだ。
日本人には無宗教の人が多いから、ちょっと受け付けない部分が多いかも。神の存在を信じていないとマシーンに乗れないなんて、そんなアホらしい理屈が当然のように語られるんだから。それって、アメリカでは普通なのかねえ。

 

*ポンコツ映画愛護協会