『コーンヘッズ』:1993、アメリカ

ニュージャージー州ライトストーン、マグワイア空軍基地。異常なスピードで接近する目的不明の領空侵犯機が確認され、迎撃のために戦闘機が飛び立った。減速して国籍を明らかにするよう呼び掛けても、謎の飛行物体は無反応だった。ミサイル攻撃を受けた飛行物体は、姿を消した。ニューヨークのイーストリヴァーに不時着した飛行物体は、地球から26光年離れたコーン星雲にあるレミュラク星から飛来した宇宙船だった。
宇宙船に乗っていたコーン星人のベルダー・コーンヘッドと妻のプライマットは、深夜のモーテルへ赴いた。ベルダーはクラークに、宇宙船を修理するための道具を購入するための場所を尋ねた。クラークは困った様子で、「早番の奴が地元出身だから、そいつに訊いて下さい」と告げた。2人は救助が来るまで、人間に紛れて生活することにした。ベルダーはオットーの営む電気修理店で働き始めた。遅刻はしないし真面目で迅速に仕事をするので、オットーは彼を気に入った。
ベルダーはオットーに気付かれないよう、作業をしながら電気部品を盗んでいた。コーンヘッド夫妻は、店の裏にあるトレーラーハウスで暮らしていた。夫妻は盗んだ部品で宇宙間通信機を完成させ、母星の上官マーラックスに連絡を入れる。もう地球を征服したものだと思っているマーラックスに、ベルダーは困った様子で宇宙船が壊れたことを報告する。救助艇の到着を求めるベルダーをマーラックスは叱責する。当分は救助艇が到着しないことを伝え、彼は通信を切った。
落胆しているベルダーに、プライマットは「地球の征服より重大なことがある」と言い、妊娠したことを打ち明けた。夜、オットーはベルダーに給料を渡し、社会保険番号を尋ねた。誤魔化そうとしたベルダーだが、追及されて「エイリアンだから社会保険番号は無い」と明かす。宇宙人ではなく単なる不法就労者だと思い込んだオットーは、友人のカーマインに協力してもらい、夫妻にドナルド・R・デ・チコ&マリーという米国籍の身分証や社会保険番号を用意した。
だが、デ・チコは射殺された男であり、これまで多くの不法就労者が彼の社会保険番号を使っていた。そのため、移民局の捜査官ゴーマン・シードリングと部下のイーライ・ターンブルは、今度のデ・チコを絶対に捕まえようと意欲を燃やす。ベルダーはオットーに「アメリカで成功したければ歯並びを直せ」と言われ、歯科医院へ赴いた。彼は歯科医のルドルフに、全ての歯に歯冠を被せるよう依頼した。
その夜、シードリングとターンブルが警官隊を引き連れてトレーラーハウスに乗り込んで来たので、コーンヘッド夫妻は慌てて逃げ出した。2人はインド人の居住へ引っ越し、ベルダーはタクシー運転手に転職した。ベルダーは産まれて来る子供のためにも良い環境の場所へ引っ越したいと考え、睡眠時間を削って働いていた。そんな彼に、プライマットは内緒で貯金していたことを明かした。マットは破水し、病院に担ぎ込まれた。マットはベルダーに付き添われ、長女コニーを出産した。
ターンブルはトレーラーハウスの遺留品を分析した結果をシードリングに報告し、「彼らは理論的には宇宙人ということになります」と告げた。ターンブルは「宇宙人なら空軍の管轄になるのでは?」と言うが、シードリングは「観光なら確かにそうだが、働いているなら俺の管轄だ」と告げた。彼らはコーンヘッド夫妻の家を張り込むが、既に引っ越した後だった。南西地区全域の執行責任者に昇進したシードリングは、ターンブルからデ・チコのことを問われ、「知るか。後任の奴に任せろ」と興味が無さそうに告げた。
コーンヘッド夫妻は庭付き一戸建ての家に引っ越し、隣人のラリー・ファーバーと妻のリサとも仲良くなった。コニーは成長して思春期を迎え、化粧をしたり頭にタトゥーシールを貼ったりするようになった。一方、シードリングは長官への就任を目指していたが、委員会は過去の未解決事件を問題視し、推薦を保留した。問題視されたのはデ・チコの事件であり、多額の予算が使われていたからだ。そこでシードリングは「まだ事件は捜査中で、解決すれば予算も妥当なものだと分かるはずです」と釈明した。シードリングはターンブルに、デ・チコを見つけ出すよう命じた。
コニーは自動車修理工のロニーと付き合い始めた。自動車教習所の教官として働くベルダーは、生徒のグラディスから誘惑された。不意にキスされたベルダーだが、まるで動揺せず、冷静に対応した。コニーは些細なことで喧嘩になったロニーをベルダーが脅して追い払ったことに激怒し、「レミュラクからの救助艇なんて永遠に来ないわよ」と告げて部屋に閉じ篭もった。プライマットはコニーの部屋へ行き、ベルダーとの恋物語を語って元気付けた。
コニーが出場する飛び込み競技会を見に行ったコーンヘッツド夫妻は、校長から学園祭の手伝いをしてもらえないかと持ち掛けられた。ずっとロニーを無視していたコニーだが、学園祭に現れた彼と仲直りした。ベルダーは巨大な爆発を起こす花火を打ち上げ、喝采を浴びた。ベルダーとプライマットは、地球での暮らしに心地良さを感じていた。だが、シードリングとターンブルは、2人の居場所を突き止めた。彼らは夫妻の家を訪れ、それとなく探りを入れる。母星から連絡が来たので、コーンヘッド夫妻は慌てて彼らを帰らせた。ベルダーはパーティーに参加しているコニーの元へ行き、「今夜、レミュラクから救助艇が到着する」と告げた…。

監督はスティーヴ・バロン、脚本はトム・デイヴィス&ダン・エイクロイド&ボニー・ターナー&テリー・ターナー、製作はローン・マイケルズ、共同製作はダイナ・マイノット&バーナビー・トンプソン&ボニー・ターナー、製作協力はケヴィン・マーシー、製作総指揮はマイケル・ラックミル、撮影はフランシス・ケニー、編集はポール・トレホ、美術はグレッグ・フォンセカ、衣装はマリー・フランス、音楽はデヴィッド・ニューマン。
出演はダン・エイクロイド、ジェーン・カーティン、マイケル・マッキーン、ラレイン・ニューマン、ミシェル・バーク、ジェイソン・アレクサンダー、リサ・ジェーン・パースキー、クリス・ファーレイ、デヴィッド・スペード、シンバッド、フィル・ハートマン、ジャン・フックス、デイヴ・トーマス、エディー・グリフィン、アダム・サンドラー、ケヴィン・ニーロン、ジュリア・スウィーニー、ピーター・エイクロイド、パーカー・ポージー、ジョーイ・アダムス、エレン・デジェネレス、テリー・ターナー、トム・デイヴィス他。


人気テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の1コーナーを基にした作品。
監督は『ミュータント・タートルズ』のスティーヴ・バロン。
ベイダー役のダン・エイクロイド、ブライマット役のジェーン・カーティン、コニー役のミシェル・バークは、『SNL』の時と同じ配役。
シードリングをマイケル・マッキーン、ラールタをラレイン・ニューマン、ラリーをジェイソン・アレクサンダー、リサをリサ・ジェーン・パースキー、ロニーをクリス・ファーレイ、ターンブルをデヴィッド・スペード、オットーをシンバッド、マーラックスをフィル・ハートマン、グラディスをジャン・フックス、ハイマスターをデイヴ・トーマスが演じている。

『サタデー・ナイト・ライブ』(以下『SNL』)から生まれた映画であり、同番組の製作者であるローン・マイケルズがプロデューサーを務めていることもあって、『SNL』の当時の出演者やライター、出身者が何人も出演している。
前述したキャストの内、メイン3人以外にも、マイケル・マッキーン、ラレイン・ニューマン(かつてコニーを演じていた時期もある)、クリス・ファーレイ、デヴィッド・スペード、フィル・ハートマン、ジャン・フックスが『SNL』組だ。
他にも、カーマイン役のアダム・サンドラー、モンタージュを作成する捜査官役のテリー・ターナー(ライター)、委員会の議員役のケヴィン・ニーロン、校長役のジュリア・スウィーニー、長官に罪の免除を嘆願するレミュラク星人役のトム・デイヴィス(ライター)、長官の部下役のピーター・エイクロイドも『SNL』組。アンクレジットだが、ルドルフを演じているジョン・ロヴィッツも、以前は『SNL』のレギュラーだった。
他には、電気修理店の客を演じるエディー・グリフィン、ベルダーのタクシーの客を演じるドリュー・キャリー、飛び込み競技のコーチ役のエレン・デジェネラス、ロニーがキャディーを務めるゴルファー役のトム・アーノルド(アンクレジット)といったスタンダップ・コメディアン出身の面々、国民的コメディー・ドラマ『となりのサインフェルド』のレギュラーだったマイケル・リチャーズ(モーテルのクラーク役。ジェイソン・アレクサンダーも同番組レギュラー)、コニーの友人役でジョーイ・ローレン・アダムスとパーカー・ポージーといった面々が出演している。

描かれている期間が、かなり長期に渡っている。夫妻が地球に来てから、コニーが産まれ、高校生の年代に成長するまでの期間が描かれている。
でも、それは失敗だろう。
もっと短い間隔の話にすべきだった。数ヶ月か、せいぜい1年ぐらいで留めた方がいい。
一度はデ・チコのことなんかどうでもいいと考えたシードリングが、何年も経過してから長官就任のために再び捜し始めるってのは無駄な手順だなあと感じるんだが、そこも「長いスパンの物語」ってのがネックになっている。

短いスパンの物語にした場合、コニーを登場させられなくなっちゃうけど、そりゃ仕方が無い。
コニーが産まれてから成長するまでの間なんて、ダイジェストとして処理しちゃってるんだけど、そこでダラダラしてリズムも悪くなっている印象を受けるし。
途中でゆっくりと休憩なんかせずに、小気味よいテンポで畳み掛け、最後までヘンテコな世界観に巻き込んでいくべきだと思うんだよな。
あんまり観客に考えさせる時間や余裕を与えない方がいい類の映画だと思うのよ。

どうしてもコニーを登場させたいのなら、既にコーンヘッド夫妻が地球へ来て何年も経過しているところから始めればいい。それまでの経緯については、回想シーンでも入れればいい。
いや、それも要らないな。セリフで軽く説明すれば、それで済んでしまう。
実際、この映画で「地球へ飛来し、宇宙船が壊れたので救助が来るまで地球人に紛れて生活するようになる」という手順を描いている必要性なんて、ほとんど無いからね。
なぜ「コーンヘッド夫妻が地球に飛来し、順応するまで」の経緯を描く必要性が無いかっていうと、「彼らが母星と地球の違いに驚いたり戸惑ったりする」とか、「地球に不慣れなので変な行動を取って周囲から奇異の目で見られる」とか、「宇宙人だとバレないようにするためにアタフタする」とか、そういうカルチャーギャップを利用した描写ってのが、ほとんど見られないからだ。
まるで無いわけではないのだが、かなり薄い。

なぜかコーンヘッド夫妻は、モーテルでベルを鳴らしてクラークを呼ぶことも、ペンを使って宿泊者名簿に名前を書くことも知っている。
地球の紙幣や硬貨は持っていないが、自販機に何が入っているのかは理解しており、特殊光線を使って硬貨を取り出す。
地球の食べ物が口に合わないとか、初めて見るので強い興味を示すとか、変な食べ物に執着するようになるとか、そういうことも無くて、最初から地球人と同じような食事を取っている。
ほとんどのことは理解しているようで、地球に飛来してから、あっという間に順応してしまう。

「宇宙から来たのに地球のことを何でも知っており、すぐに順応する」というところを笑いにしているわけでもない。
ただ、トイレットペーパーを吸い込んで食べてしまうとか、火傷した口の中をクリーナーで冷ますとか、風船ガムじゃなくてコンドームを噛んで膨らませるとか、たまに変な行動は取る。
「どういう物は地球人と同じように扱って、どういう物は地球人と違う扱いをするのか」「どういうことは知っていて、どういうことは知らないのか」という基準が、ものすごくボンヤリしている。
っていうか前述のように、ほとんどのことは最初から理解していて、たまにチョロッとヘンテコな行動を見せる程度だ。

コーンヘッド一家は移民の暗喩であり、アメリカ合衆国が抱える移民問題をネタにしようとしていることは分かる。
だけど、ほとんど「不法移民をコーンヘッドの姿で描いているだけ」という状態になっているんだよね。たまに宇宙人っぽい言動は見せるが、宇宙人らしさは非常に薄い。
しかも、「不法移民の物語」として見た場合に、まとまりが無いし、メリハリに欠けるし、薄っぺらいし、とても退屈でつまらない。
コニーの恋物語まで盛り込んだのは、やっぱり処理能力を超過していると感じるし。
ホントに「移民でいいじゃねえか」と思っちゃうのよね。宇宙人である必要性や意味が、ほとんど感じられない。

「救助が来るまで、人間に紛れて生活する」とベルダーが宣言した後、画面が切り替わると、もう彼はオットーの店で働き始めている。
どうやって宇宙人とバレずに町で暮らし始めたのか、どうやってオットーに雇ってもらったのか、そういう手順はバッサリと省略している。
彼は地球人に見えるように変装しているわけではなく、見た目はコーンヘッドのままだし、喋っている内容も変な部分がある。
しかし、それをオットーは全く気にしていない。

歯医者を訪れたベルダーは、大きく口を開けすぎて麻酔のマスクが入らない。それでも医者は麻酔を掛けて、ベルダーは眠る。
そこからシーンが切り替わるとベルダーは家で眠っていて、シードリングが警官隊を率いて乗り込んで来る。歯の治療については、バッサリと省略されている。
で、夫妻はトレーラーハウスから逃げ出し、シーンが切り替わるとベルダーは転職している。その経緯も、やはりバッサリと省略されている。
そんな風に淡白に省略していくぐらいなら、いっそのこと、数分のコントを並べて行く構成にしちゃった方がいいんじゃないかと思うんだけどなあ。
これ、「長い物語」として構成したのは大きな失敗だと思う。

一応、短いスケッチを積み重ねるような構成になっていないわけでもないんだが、その区切りがボンヤリしちゃってるんだよな。
ちゃんとしたパンチラインが無いまま次のシーンに移ることも多いし、全く別のシーンを挟んでから先程のシーンで振ったネタを処理するケースもある。
だから、「まとまりが無くて散漫な中身になっている」「どこへ進もうとしているのか不明瞭なまま、曲がりくねった道をフラフラと歩き続けている」という印象になってしまう。
レミュラクに戻ってからの話も、明らかに蛇足。最後まで地球を舞台にすべきだよ。
ベルダーが刑罰としてガーソクという怪物と戦わされるとか、どうでもいいわ。

(観賞日:2013年9月25日)


第16回スティンカーズ最悪映画賞(1993年)

ノミネート:【最悪なTV番組の映画化】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会