『コン・エアー』:1997、アメリカ

元レンジャーのキャメロン・ポーは妊娠した妻をからかった酔っ払いを殺してしまった。服役中に娘ケイシーが誕生し、刑期を終えたポーはケイシーの誕生日に出所できることになった。刑務所で友人になったベイビー・オーと共に、彼は連邦保安局の空輸システム“コン・エアー”に搭乗した。
コン・エアーは服役囚を刑務所から刑務所へと移送するシステム。今回はサイラス・グリッサムを始め、全米の凶悪犯達が乗せられていた。移送の責任者ヴィンス・ラーキンや麻薬保安官のダンカン・マーレイが見守る中、コン・エアーは離陸する。
離陸して間もなく、サイラスは皮膚に埋め込んであった針金で手錠を外し、仲間の凶悪犯達を指揮して飛行機を制圧した。そしてサイラス達は、砂漠の真ん中にあるラーナー飛行場へと向かう。インシュリンが切れて苦しむベイビー・オーや女警察官サリーを救うため、ポーは仲間になったフリをしてチャンスを待つのだった…。

監督はサイモン・ウエスト、脚本はスコット・ローゼンバーグ、製作はジェリー・ブラッカイマー、製作総指揮はリン・ビグロー&ピーター・ボガート&ジョナサン・ヘンズリー&ジム・コーフ&チャド・オマン、撮影はデヴィッド・タッターサル、編集はクリス・レベンゾン&スティーヴ・ミルコヴィッチ&グレン・スキャントルバリー、美術はチャズ・ブッチャー&エドワード・T・マカヴォイ、衣装はボビー・リード、音楽はマーク・マンシーナ&トレヴァー・ラビン。
出演はニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ジョン・マルコヴィッチ、ヴィング・レイムス、ニック・チンランド、スティーヴ・ブシェーミ、コルム・ミーニー、レイチェル・ティコティン、デイヴ・チャッペル、ミケルティー・ウィリアムソン、ダニー・トレホ、M・C・ゲイニー、スティーヴ・イースティン、リノリー、モニカ・ポッター他。


大物プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが製作に携わり、新人のサイモン・ウエストが監督を務めたアクション映画。ポーをニコラス・ケイジ、ヴィンスをジョン・キューザック、サイラスをジョン・マルコヴィッチ、ベイビー・オーをミケルティ・ウィリアムソンが演じている。

とにかく主人公ポーの行動が不可解だ。最初にポーが殺人を犯すシーンは、挑発に乗らずにその場を去れば何も起こらずに済んだはず。ここでポーを「不幸な犯罪者」と印象付けたいようだが、単にカッとしやすい人間にしか見えない。

ポーのコン・エアー内での行動も、なんか変だ。彼はベイビー・オーとサリーを救うために、途中で機を降りることができるチャンスをフイにするのだが、行動理由としては弱さがある。しかも、それまではおとなしかったのに、ベイビー・オーが撃たれた瞬間、急に強くなって悪党を一網打尽にする。
だったら最初からやっとけよと言いたくなる。

飛行機内での格闘がメインかと思ったら、途中で着陸してしまい、地上戦がメインになってしまう。それは思いっきり反則じゃあ、ございませんか。そんでコン・エアーが市街地を低空飛行する場面がクライマックスかと思ったら、不時着した後に救急車に乗った悪党とポー達のアクションが入る。
思いっきり蛇足だと思うが。

ポーだけではなく、ヴィンスも活躍するのだが、それは必要なかったのではないだろうか。ヒーローはポー1人だけにしておいた方が光ったように思う。また、サイラス以外の悪党も、わざわざ説明した割には存在価値が薄い。レイプ魔とか麻薬王の息子とか、色々と揃っているのだが、どうも扱い方が半端な気がする。

犯罪者の中では、連続殺人鬼ガーランド・グリーンが最も意味ありげで、砂漠で幼女と話したりする(しかし、そんな場所に幼女が1人きりってのは明らかに不自然だろ)。でも、彼は幼女を殺さない。良く分からん展開。そもそも彼をクローズアップした意味が分からん。意味ありげな行動を取ったままで映画は終わってしまう。うそ〜ん。


第18回ゴールデン・ラズベリー賞

受賞:最低人命&公共物軽視賞

ノミネート:最低オリジナル歌曲賞「How Do I Live?」

 

*ポンコツ映画愛護協会