『コマンドー』:1985、アメリカ

ジョン・メイトリックス大佐は元コマンドー部隊のリーダー。しかし引退した今は、カリフォルニア州の山荘で11歳の娘ジェニーと共に平穏な生活を送っている。そんな彼の元を、かつての上司フランクリン・カービー将軍が訪れる。
ジョンは将軍から、コマンドー部隊で部下だったメンバーが次々と殺されていることを知らされる。ジョンにも気を付けるよう忠告し、護衛役を残して将軍は立ち去った。その直後、ジョンは銃を持った男達に襲われる。護衛は殺され、ジョンも追い詰められる。
ジョンが武器を取りに行っている間に、ジェニーが男達の手に落ちてしまう。必死に追いかけたジョンだったが、麻酔弾を撃ち込まれて捕らえられてしまう。気が付いた時、ジョンの目の前にいたのは見覚えのある2人の男だった。
1人は南米の国バル・ベルデの元大統領アリアス。以前は凶悪な独裁者として権力を振るっていたが、ジョンの率いるコマンドー部隊の活躍もあって大統領の座を追われた。もう1人はベネット。コマンドー部隊でジョンの部下だったが、残虐性が強すぎるため追放処分になった男だ。
彼らはバル・ベルデの現大統領を抹殺することをジョンに要求。それが出来なければ娘を殺すと脅す。飛行機に乗せられたジョンだったが、見張り役の男を殺して脱出。空港で捕まえたスチュワーデスのシンディの協力を得て、ジェニーの救出作戦を開始した…。

監督はマーク・L・レスター、原案はジョセフ・ローブ三世&マシュー・ワイズマン&スティーヴン・E・デ・スーザ、脚本はスティーヴン・E・デ・スーザ、製作はジョエル・シルヴァー、製作協力はジョセフ・ローブ三世&マシュー・ワイズマン、撮影はマシュー・F・レオネッティ、編集はグレン・ファー&マーク・ゴールドブラット&ジョン・F・リンク、美術はジョン・ヴァローン、音楽はジェームズ・ホーナー。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はレイ・ドーン・チョン、ダン・ヘダヤ、ヴァーノン・ウェルズ、ジェームズ・オルソン、デヴィッド・パトリック・ケリー、アリッサ・ミラノ、ビル・デューク、ドリュー・スナイダー、シャロン・ワイアット、マイケル・デラーノ、ボブ・マイナー、マイケル・アダムス他。


脚本がスティーヴン・E・デ・スーザで主演がアーノルド・シュワルツェネッガー、製作はジョエル・シルヴァーという、その手の人々が顔を揃えた映画。
アリアス達がジョンの部下を殺すのが「ジョンの居場所を突き止めるため」という理由だったり、大統領暗殺をジョンに頼むのが「ジョンが大統領の信頼を得ているから」という理由だったり、よく考えるとかなり強引な理由付けでストーリーを進行させていく。

レイ・ドーン・チョン演じるシンディというキャラクターは、うるさいだけ。
彩りとしての役目も果たしておらず、外見も中身もヒロインとしての価値を感じない。
ダン・ヘダヤ演じるアリアスや、ヴァーノン・ウェルズ演じるベネットは、共に悪役としての大きさや凄味を全く感じさせない。

とにかく、シュワルツェネッガーがひたすら暴れまくる映画である。
離陸する飛行機から沼地に飛び降りる。
電話ボックスを抱え上げる。
男を崖から投げ落とす。
もちろん人は殺しまくる。
彼のパワフルな活躍を見せることだけが重要であり、それ以外の要素はカスだ。

ジョンは、アリアスのアジトがある島へ渡るボートの上で海水パンツ一枚になる。
だが、その必要は全く無い。
上陸した後で、顔に迷彩ペイントをする。
だが、その必要も全く無い。
しかし、とにかくアーノルド・シュワルツェネッガーの男らしさ、たくましさを表現したいということなのだろうから、そういう意味では必要不可欠なのである。

 

*ポンコツ映画愛護協会