『キャリー2』:1999、アメリカ

バーバラ・ラングは「私の娘だ。こっちへ来るな」などと言いながら、部屋のあちこちを赤いペンキで塗っていた。幼い娘のレイチェルが「一緒に遊んでよ」と声を掛けると、バーバラは彼女の顔にもペンキを塗った。バーバラは精神病院に収容され、父のいないレイチェルは里子に出された。高校生になったレイチェルは里親であるボイド&モニカとの折り合いが悪く、いつも喧嘩ばかりしていた。スクールバスに乗った彼女は友人のリサから、初体験を済ませたことを知らされた。浮かれるリサはレイチェルから相手の名前を訊かれ、「彼のお弁当を作って来た」と告げた。
アメフト部員のマークやエリックたちは、セックスした女子を採点して情報を共有していた。ジェシーはマークたちから「早くトレイシーを誘え。お前に気があるんだから」と言われ、「今度誘うよ」と告げた。昼休み、リサは屋上から飛び降り、車の屋根に激突して死亡した。レイチェルがリサの遺体を目撃した途端、校内にあるロッカーの扉が次々に開いた。スクールカウンセラーのスー・スネルは現場に駆け付け、リサを眺めるレイチェルを相談室に連れて行った。彼女が「泣いてもいいのよ」と慰めると、レイチェルは「いいえ、泣きません」と鋭い表情になった。
リサのロッカーを開けたケルトン保安官は、写真屋「ロイヤル・フォト」の引換券を発見した。エリックはマークに、「リサが俺の女になったような顔してたから、遊び相手だから付きまとうなって言ってやったんだよ」と打ち明けた。金曜日にはキングス大のスカウトが試合を見に来ることになっており、エリックは交際の証拠となる写真の隠蔽をマークに頼む。レイチェルはロイヤル・フォトでバイトしており、リサとエリックが並んで映っている写真を現像した。
マークはジェシーと一緒に店へ行き、リサの写真を売ってくれと持ち掛けた。レイチェルが断ると、彼は「バイトが終わったらドライブに行かないか」と誘った。レイチェルは「レズだから」と理由を付けて、冷たく断った。ジェシーたちが去った後、ケルトンがスーを伴って店に来た。ケルトンは「エリックは本気だと思っていたのに、全て嘘だった」と告白するリサの遺書を読み上げ、スーはリサはエリックに何かあったのかとレイチェルに尋ねた。
リサとエリックの関係を知ったスーは、ケルトンに「今学期に入って5人の女子生徒から相談を受けてる。アメフト部の男子たちが女子と遊んでは捨ててる」と語った。ケルトンが「それだけでは犯罪にならない」と言うと、スーは強姦罪で捕まえよう要求した。「20年前の事件が引っ掛かっているんじゃないか」とケルトンが指摘すると、スーは否定も肯定もしなかった。ジェシーはトレイシーとカーセックスし、近くで待っていたマークたちが囃し立てた。トレイシーはマークから金曜のパーティーに誘われていることを話すが、ジェシーは浮かない顔だった。「自殺した子が気にならないの?」と彼が言うと、トレイシーは「知らない子よ」と淡白に告げた。
レイチェルは家で食器を片付けている時、誤って皿を割ってしまった。食器が勝手に動き出したため、彼女は必死で「止まって」と念じた。愛犬のウォルターが逃げ出したので、レイチェルは探しに出た。ウォルターは道路に飛び出し、トラックにひかれた。トラックはそのまま走り去り、レイチェルはウォルターに駆け寄った。彼女は通り掛かったエリックの車に助けを求めるが、全く気付いてもらえなかった。レイチェルが叫ぶと窓が割れ、エリックは驚いて車を停めた。
レイチェルが泣きなが愛犬がひかれたことを訴えると、エリックは車に乗せて動物病院へ向かう。ウォルターは大怪我だが一命を取り留め、レイチェルは安堵した。彼女はエリックとダイナーへ行き、リサとの思い出を語った。彼女は車で家まで送ってもらい、礼を述べた。次の日、レイチェルはスーに呼び出され、母親について質問された。彼女は自分も高校時代に辛いことがあった、友達を助けようとしたが逆効果になったと語る。さらに彼女は、バーバラと同じ病院に入院していたことも明かした。
スーはレイチェルに、母の見舞いには行っているかと問い掛けた。自分も母と同じ病気になるのが怖いかという質問に、レイチェルは返答しなかった。彼女はスーに対する苛立ちから「やめて」と怒鳴り、超能力でコップを動かしてしまう。慌てて手が滑っただけだと釈明するが、スーは「触ってなかったでしょ」と驚いた。レイチェルはエリックの元へ行き、「知ってるわよ、リサに何をしたか」と睨み付けた。エリックは焦りを覚え、マークに早く写真を手に入れてくれと頼んだ。
ケルトンはエリックを訪ね、リサのことを知らないかと尋問した。エリックは会ったことも無いと嘘をつくが、ケルトンからリサと映った写真を見せられて言葉に詰まった。レイチェルはジェシーからデートに誘われ、喜んでOKした。彼女は友人のアーニーから「アメフト部の人間とは関わらない方がいいんじゃないか」と言われ、トレイシーっていう彼女がいると聞かされた。エリックはマークに、「停学になった。試合どころじゃない。下手すりゃ強姦罪で逮捕される」と話す。マークが「お前の父親は弁護士だから、上手く処理してくれる」と言うと、彼は「スカウトも来る大事な試合なのに」と苛立った。
エリックが「きっとレイチェルが警察に話したんだ。放っておいたら皆に喋る」と言うと、マークは「敵を潰しに行くぞ」と告げる。彼らは仲間のブラッドとチャックも誘い、デートの準備をしているレイチェルの家へ向かった。彼らはドアや窓を叩いて逃げたり、ドアノブをガチャガチャと回したりして嫌がらせをする。さらに今の姿を指摘する電話を掛けて怖がらせ、「今から行ってやる」と脅した。彼らは停電させて窓を割り、侵入しようとする。レイチェルは警察に通報し、里親が帰宅したのでマークたちは退散した。マークはレイチェルに電話を掛け、「エリックのことは誰にも話すな」と脅した。
翌日、レイチェルはジェシーから「なぜ待っていたのに来てくれなかった?」と訊かれ、「良く言うわ」と怒った。これ以上は嫌がらせをされたくないと彼女が昨夜の出来事を語ると、ジェシーは「マークに言っておく。きっと酔った勢いでバカをやったんだろう」と述べた。レイチェルは「私たち、もう会わない方がいい。トレイシーみたいな女子と付き合った方がいいわ」と言うが、ジェシーが改めてデートに誘うと結局は喜んで承諾した。
マークはジェシーから「レイチェルが酷いことをされる筋合いはない」と責められ、「あのブスの口を封じるためなら何でもやる」と言い放った。ジェシーが「レイチェルには二度と手出しするな」と要求するとマークは腹を立て、喧嘩になった2人は周囲に制止された。スーはレイチェルを呼び出し、簡単な心理テストだと称して次々に質問した。レイチェルは呆れながらも付き合うが、念力で物を動かせるかという質問に「これぐらいで」と切り上げようとする。「貴方を助けたいの」にスーが言うと、レイチェルは激しく苛立った。彼女は机の上のスノードームをテレキネシスで壊してしまい、その場から逃げるように去った。
その夜、ジェシーとレイチェルは夜空を眺めながら会話を交わし、突然の雨が降り出したので車に入った。2人はキスを交わすが、処女であるレイチェルは「初体験は他の形がいい」とジェシーにリクエストした。スーは精神病院を訪れてバーバラと会い、レイチェルの父親は誰なのかと問い掛けた。バーバラは口が重かったが、スーは「レイチェルを助けたい。遺伝性の病気だと思います」と説得する。するとバーバラは、キャリーの父親と同じラルフ・ホワイトだと打ち明けた。
スーはレイチェルを呼び出し、かつてキャリーが事件を起こした高校の廃墟へ連れて行く。そしてキャリーと同じテレキネシスの能力があると警告し、プリンストンの研究所へ行ってみないかと促した。スーは「キャリーと父親が同じだとバーバラが言っていた」と教えるがレイチェルは信じず、「助けなんか要らない」と怒って立ち去った。エリックと父親のルーは検事補に呼び出され、訴えるつもりだと通告された。するとルーは息子だけじゃなくマークたちも同じだと言い、「女子と寝るのをゲームにしてたが、犯罪じゃない」と言う。全員が町の名士の息子であり、同席した検事は選挙への影響を考えて起訴を断念させた。
翌日、ジェシーはレイチェルに、金曜日の試合観戦に来ないかと持ち掛けた。その様子を見たトレイシーは、マークたちの前で苛立ちを見せた。「誰かジェシーの目を覚まさせてほしい」と言うと、マークはジェシーの元へ行って反省しているフリをした。ジェシーは芝居に騙され、彼と仲直りした。トレイシーの友人であるエミリンは、化粧品売り場で商品を見ているレイチェルに接触した。彼女は「ジェシーも喜ぶ」と試合後のパーティーに来るよう誘い、万引きした口紅を差し出した。マークはジェシーに謝罪の気持ちとして別荘の鍵を渡し、「レイチェルと行けよ。でもパーティーには連れて来い。彼女にも謝罪したい」と告げた。レイチェルはジェシーと別荘に出掛けて肉体関係を持つが、密かに観察している人物の存在には全く気付かなかった…。

監督はカット・シア、脚本はラファエル・モロー、製作はポール・モナシュ、製作総指揮はパトリック・パーマー、撮影はドナルド・M・モーガン、美術はピーター・ジェイミソン、編集はリチャード・ノード、衣装はセオニー・V・アルドリッジ、音楽はダニエル・B・ハーヴェイ。
出演はエミリー・バーグル、ジェイソン・ロンドン、ディラン・ブルーノ、J・スミス=キャメロン、エイミー・アーヴィング、ザッカリー・タイ・ブライアン、ジョン・ドー、ゴードン・クラップ、レイチェル・ブランチャード、シャーロット・アヤナ、ジャスティン・ユーリック、ミーナ・スヴァーリ、イライジャ・クレイグ、エディー・ケイ・トーマス、クリント・ジョーダン、スティーヴン・フォード、ケイト・スキナー、ラス・ブラックウェル、ハロルド・サラット、デヴィッド・レンソール、カイラ・キャンベル他。


スティーヴン・キングの同名小説を基にした1976年の映画『キャリー』の続編。
監督は『ボディヒート』『ダーク・プラネット』のカット・シア。
当初は『青春の輝き』『野獣教師』のロバート・マンデルが監督を務めていたが途中降板し、カット・シアは準備期間が1週間で撮影が2週間という慌ただしいスケジュールの中で後を引き継いだ。
脚本は『サイバーネット』のラファエル・モロー。
レイチェルをエミリー・バーグル、ジェシーをジェイソン・ロンドン、マークをディラン・ブルーノ、バーバラをJ・スミス=キャメロン、エリックをザッカリー・タイ・ブライアンが演じている。エイミー・アーヴィングが『キャリー』に引き続き、スー役で出演している。

邦題が『キャリー2』というだけでなく、原題も『The Rage: Carrie 2』なので「2」と付いている。だからキャリーが登場しなきゃ話にならないはずだ。
しかし前作のラストで、キャリーは完全に死んでいる。
それでも「実は生きていた」という荒業を使うのかというと、さにあらず。なんと本作品にキャリーは登場しないのだ。
そもそも原作小説に、続編は存在しない。また、前作の監督やプロデューサーが携わっているわけでもない。

ではバッタモンなのかというと、そうではない。物語としては前作と関連付けているし、スー役の女優も出演している。そうやって続編としての体裁は、ちゃんと整えている。
ただしエイミー・アーヴィングは後に、「本作品への出演を後悔している」と発言している。
そんな本作品は、一応は「続編」と銘打たれているが、実質的には『キャリー』の質の悪い焼き直し、あるいは劣化版のリメイクと解釈してもいいだろう。まあ、あの話で続編を作ろうとしたら、似たような流れになっちゃうのは仕方が無いかもしれないけどね。

もちろん何もかもコピー&ペーストで作っているはずもなく、『キャリー』との違いは色々とある。
前作のヒロインは狂信的な母親に抑圧され、家には居場所が無かった。陰気でブスという理由で学校ではイジメの標的にされており、ここでも居場所は無かった。
ずっと辛くて苦しい思いを抱えて来たキャリーは、初めて恋をする。そして周囲から祝福され、幸福感に満たされる。
だが、全ては嘲笑のための罠だと知り、裏切りに対する感情の爆発によってクライマックスの惨劇が起きた。

それに対して本作品の場合、レイチェルは里親から酷い扱いを受けているものの、従順に従っているわけでもなければ、必死に耐えているわけでもない。彼女は強気な態度で、反抗心を剥き出しにしている。
また、学校ではイジメを受けておらず、友人もいる。明るくて行動的な性格であり、モテる男子であるジェシーのハートを掴んでいる。キャリーとは全く異なるキャラクターだ。
しかし残念ながら、そこの違いは映画にとって何のプラスに作用していない。
そりゃあ何かしらの違いを付けることは必要だけど、そこじゃないし、そういうことでもないわ。
ヒロインが強気で勝気だと、逆襲や反撃という展開の面白さは薄れるでしょ。

序盤から何度か、映像をモノクロに切り替える演出がある。
一応は「映像演出に凝っている」ってことになるんだろうけど、まるで効果は感じない。
例えば「レイチェルの心象風景」とか「レイチェルの能力が発動する直前」とか、何らかのルールでもあるならともかく、そういうのは無くて適当に挿入するだけだし。
それ以外だと、何度も前作のアーカイヴ映像を挿入する趣向が目立つ。
この狙いは明白で、それに頼らないと不安を煽ることも出来ていないのだ。あとは単純に、カサ増しだね。

エリックはリサの自殺を知り、自分が冷たく捨てたせいだと確信している。しかし自身の将来を考え、交際の事実が発覚することを恐れる 。そしてマークに頼んで証拠となる写真を処分しようと目論む。
その考えや行動は卑怯であり、厳しく糾弾されるべきだ。
ただ、仮にリサが自殺しなかった場合、それでもエリックは厳しく糾弾されるような人間だろうか。
マークたちは次々に女子とセックスしては、冷たく捨てることを繰り返している。しかしエリックの場合、リサとは本気で交際していたのだ。

エリックがリサと別れたのは、あまりにもバカで単純だからだ。仲間たちが「リサはブスで狼女で」と嘲笑するのを聞き、急に恥ずかしくなって別れることに決めたのだ。
もちろん、それだって決して褒められた行動ではない。しかしマークたちに比べれば、マシじゃないかと思うのだ。
マークたちの場合、捨てられた女性が自殺しようがしまいが、間違いなくクズ野郎どもだ。
しかしエリックの場合、もしもリサが自殺しなかったら、バカで呆れた奴ではあるが、「さっさと忘れて次へ進めばいい」と割り切れる程度の男じゃないかと。

とは言え、エリックは最後まで単純馬鹿なだけの男ではなく、途中から立派なクズ野郎に成長してくれる。それに伴って、レイチェルに対するアメフト部員の嫌がらせが開始される。
「レイチェルの強気な性格を考えると逆効果になるリスクもあるし、バカなんじゃないか」と思ったりもするが、レイチェルがエリックを追い込むための行動を取ることは無い。
ただ、一方でマークたちも、そこから嫌がらせを繰り返してエスカレートさせていくことは無いんだよね。
そこで嫌がらせをやった後、しばらくはお休みするのだ。

マークが「エリックのことは話すな」と脅した後、スーの心理テストがあったり、レイチェルとジェシーのデートがあったりする。
そんな風に「レイチェルが卑劣な攻撃を受ける」という描写が点で終わっているため、終盤に用意されている「テレキネシスの爆発による逆襲の惨劇」への流れが見えて来ない。
もうさ、前作のことがあるから、どういうクライマックスが待っているのか、大半の人が何となくは予想できちゃうのよね。だから、そこへの期待感は煽るような展開を普通に描いても良かったんじゃないかと。それで作品の質が大幅に上昇することは無いだろうけど、この映画よりはマシだったんじゃないかと。
そうそう、「言わずもがな」だろうとは思うけど、もちろん前作の「血のシャワーからのイヤボーン」に比べれば、クライマックスのインパクトも弱いよ。

(観賞日:2025年8月25日)


第22回スティンカーズ最悪映画賞(1999年)

受賞:【最悪の続編&前編】部門
受賞:【誰も要求していなかったリメイク&続編&序章】部門

 

*ポンコツ映画愛護協会