『怪物の花嫁』:1955、アメリカ

エリック・ヴォルノフ博士は原子力の研究に携わっていたが、放射能を使って超人を作り出す計画を非難されて祖国を追われた。彼はチベットで見つけた巨漢の召し使いロボを連れて、深い森の奥にあるウィローの屋敷に住むようになった。
ヴォルノフ博士は森で迷った者達を捕まえては、超人に改造するという実験を繰り返していた。逃げようとした者は、近くのマーシュ湖に潜ませた巨大タコに食わせている。しかし実験は失敗ばかりで、全く上手くいかずに死んでばかり。
森で行方不明者が続出していることから、新聞記者のジャネット・ロートンは湖に棲む怪物の仕業だと書き立てていた。彼女は取材のために森へ向かうが、ロボに捕まってウィローの屋敷に連れ込まれる。彼女は逃げようとするが、ヴォルノフ博士の催眠術で眠らされてしまった。
一方、ジャネットの婚約者であるディック・クレイグ警部補は、捜査のために湖にやって来て、ジャネットの車を発見。ウィローの屋敷に辿り着いた彼は、実験の材料にされそうになっているジャネットを発見。しかしロボに襲われ、拘束されてしまう…。

監督&製作はエドワード・D・ウッドJr.、原作&脚本はエドワード・D・ウッドJr.&アレックス・ゴードン、製作総指揮はドナルド・E・マッコイ、製作協力はトニー・マッコイ、撮影はウィリアム・C・トンプソン&テッド・アレン、編集はマイク・アダムス、特殊効果はパット・ディンガ、音楽はフランク・ワース。
出演はベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン、トニー・マッコイ、ロレッタ・キング、ハーヴェイ・B・ダン、ジョージ・ベックウォー、ドン・ナグエ、バド・オズボーン、ジョン・ウォーレン、アン・ウィルナー、ドロレス・フラー、ウィリアム・ベネディクト、ベン・フロマー、ポール・マルコ他。


エド・ウッド監督の作品。モンスターSFを作りたかったようだが、予算が全く無かったために撮影は何度も中断。こんな映画なのに、完成までに1年も掛かっている。ヴォルノフ博士はエド・ウッド作品に欠かせないベラ・ルゴシ、ロボをトー・ジョンソンが演じている。

ディックを製作総指揮ドナルド・E・マッコイの息子で製作協力にもクレジットされているトニー・マッコイが、ジャネットを大富豪の娘であるロレッタ・キングが演じているが、どちらもド素人である。
2人が出資者の子供だったので起用したという、なんとも情けない裏話があったりする。

なぜかいきなり催眠術も使えたりするヴォルノフ博士。どうやらジャネットに惚れたらしいロボに拘束され、自分が実験体にされてしまう。超人になって巨大化したヴォルノフ博士。といっても、ほんの少しだけ。それも底上げ靴で身長を伸ばすという浜村純方式である。

巨大タコは、撮影所にあった本物のタコを使用。もちろん俳優と絡ませることは不可能なので、誰かが襲われる場面では全く動かないハリボテを用意し、俳優が自ら苦しむ演技をするというバカさ加減。前の場面とタコが登場する場面が、全く繋がっていないのが凄い。

ちなみにワニも登場する。もちろん予算が無いので、本物のワニの映像。でも、何のために登場するのかは不明。ただ出したかっただけだろうか。撮り直しした方がいいと思える粗い場面の連続だが、金が無いからリテイクもしなかったのだろうか。それとも、監督の中では問題無しなのか。

 

*ポンコツ映画愛護協会