『宇宙からのツタンカーメン』:1982、アメリカ

カリフォルニア科学大学のダグラス・マッカデン教授が率いる調査チームはツタンカーメンの墓で発掘作業を行っている最中、地震に見舞われた。揺れによって壁が崩れ、新たな部屋が見つかった。室内には何体もの遺体があり、マッカデンは棺の1つを大学へ持ち帰った。学長のウェンデル・ロスモアが翌日の記者会見をセッティングし、それに向けてカメラマンのリンダ・フローレスがマッカデンと学生たちの写真を撮影した。
棺の蓋に刻まれていた象形文字を助手のスージー・フラーが解読すると、「高貴な旅人」と記されていた。蓋を開けるとミイラが安置されており、巻いてある布を見たマッカデンは急いで埋葬されたと確信する。棺の中にはカビのような青い物質が大量に付着しており、マッカデンは学生のマイケルにサンプルの採取を指示した。急いで埋葬した理由について、マッカデンは病気だったのではないかという推測を口にした。サンプルを採取する際、マイケルの手首にはカビらしき物質が付いたが、彼は気にせずに作業を進めた。
マッカデンは学生のシャープやパーカーたちと共に、ミイラのX線写真を撮影する。しかしシャープのミスにより、誤って通常の十倍ものX線をミイラに浴びせてしまった。マッカデンは彼に、写真が出来たら自分の部屋まで届けるよう指示した。現像した写真を確認していたシャープは、棺の中に何かが隠されていることに気付いた。棺を調べた彼は引き出しに入っている5つのクリスタルを発見し、高価な宝石だと考えて盗み出した。彼はミイラの写真を撮り直し、クリスタルが最初から無かったように装った。
マッカデンは友人である病理学者のケン・メルローズにカビのような物質の分析を依頼し、スージーにサンプルを届けるよう指示した。棺に入っていた巻物の間には紙が挟まっており、図形が描かれていた。しかし模様の意味も紙の材質も、いずれも不明だった。棺の中ではミイラが起き上がっていたが、部屋は無人だったため誰も気付かなかった。X線写真を見たマッカデンは、通常の処理が施されず内臓が全て残っていることに気付いた。
スージーはX線写真に引き出しが写っているのを発見し、マッカデンに知らせる。マッカデンは研究室へ行って棺を調べ、「装身具を入れるための引き出しだろう」と彼女に言う。引き出しを開けるとカビらしき物が発生しており、マッカデンはメルローズを呼ぶようスージーに指示した。シャープはクリスタルを宝石店に持ち込んで鑑定してもらうが、「何の価値も無い」と言われる。メルローズは引き出しのカビを見て、「同じカビだが、こっちは活動を開始してる」とマッカデンに告げた。
「正体が分かるまで誰も近付けるな」とメルローズが言うと、マッカデンは「学長が会見を予定していて、そこでミイラを公開するんだ」と話す。メルローズは「僕から中止するよう頼もう」と電話を掛けた直後、記者団が会見のために研究室へ入って来た。マッカデンはマイケルに、ロープを張って棺に近付けないようにしろと命じる。ロスモアは会見の中止を受け入れず、メルローズは「戻ってカビを詳しく調べてみる」とマッカデンに告げた。
マイケルが不用意にカビを触ると、激しい痛みに見舞われる。マイケルが指先に火傷を負ったため、マッカデンは病院に運ぶようスージーに指示した。ロスモアが会見を開始し、マッカデンは警備員に棺の蓋を開けるよう告げる。すると棺の中は空っぽになっていた。ロスモアや側近のブルース・セラーノたちはミイラが学生に盗まれたと決め付け、犯人捜しを始める。ロスモアはシャープに、「寮に住んでいる生徒に伝えろ。24時間以内にミイラを返せば許す。誰も名乗り出なかったら、寮を片っ端から捜索する」と述べた。
マッカデンは「あのミイラは危険だから警察に通報すべきだ」と主張するが、ロスモアは「学内の問題だ」と取り合わない。ボイラー室に入った清掃員は、何者かに襲われる。ロスモアは警備主任のウィロービーに、どんなことをしてもいいからミイラを見つけ出すよう命じる。マッカデンはメルローズから、カビの構造が不可解であり、細胞の数が異常な速度で増加していることを聞かされる。女医のヘイワースは「充分な食べ物があればどんどん増えて行く恐ろしい細菌」と言い、メルローズは人間の肉を食料にしていることを話した。
マッカデンがマイケルの病死を訪れて手を見ると、異変が腕にまで広がっていた。ヘイワースはマッカデンに、神経や血管は完全に破壊されているので腕を切断する以外に方法は無いと述べた。シャープは恋人のシェリーを訪ね、クリスタルをプレゼントした。ウィロービーは電源調節室が荒らされているのを発見し、セラーノに連絡する。マッカデンはリンダがDJを務める個人ラジオのブースを訪れる。マイケルは友人のグレッグにクリスタルを見せて高価な物だと嘘をつき、恋人に贈るよう促して売り付けた。
金を手に入れたマイケルは、シェリーを連れて高級レストランへ夕食に出掛けた。しかし金を借りているスタンレーとビルが来て返済を求めたので、「金は倍にして返すから」と告げてクリスタルを渡す。「それがあれば、どんな女もイチコロだ」と言うと、彼らは納得して立ち去った。グレッグは恋人のエレンがベビーシッターをしている家へ行き、キスを交わす。マッカデンはラジオに出演してミイラのカビは危険だと語り、発見したら絶対に手を触れないよう忠告した。
グレッグはエレンに宝石をプレゼントするが、買った時と違って光りを放っていることに気付いた。赤ん坊が鳴いたので、エレンは寝室を出て面倒を見に行く。すると侵入していたミイラがクリスタルを奪い取り、エレンは意識不明の重体に陥った。エレンは病院に運ばれ、警部のプラマーがやって来た。ヘイワースはマッカデンからエレンの具合を問われ、病状は不明だと告げる。プラマーは犯人を目撃したグレッグに事情聴取しようとするが、彼はショック状態で話せなかった。
マッカデンは巻物を解読し、ツタンカーメンが不思議な現れ方をした旅人を神だと考えて挨拶に赴いたこと、触れると病に悶えて死んだこと、介抱した召し使いたちも全滅したこと、旅人は力なく横たわっていたが死ぬ気配は無かったこと、そこでエジプト人が生きたまま棺に封じたことを知った。彼はメルローズに、あのカビはツタンカーメンと召し使いたちを殺した病気の根源であり、再び活動を開始したという考えを述べた。
カビを観察したメルローズはX線で増殖することに気付き、病院に電話を掛けて「ヘイワースに知らせてくれ。エレンにX線を使わないよう言うんだ」と告げる。しかし既に遅く、看護婦がX線を投射したせいでエレンはカビに浸食されて死亡した。スージーに片思いしているスタンレーは、彼女に宝石をプレゼントした。深夜の学内を巡回していたウィロービーと相棒は、ネズミの群れを見て逃げ出す。彼らは原子炉へ行き、扉にカビが付着しているのを発見する。パーカーは恋人であるジェニーの家へ行き、シャープはエレンと仮装パーティーに参加する。ミイラはパーティー会場の外に出たビルを襲い、クリスタルを奪い取った…。

監督はトム・ケネディー、原案はジェイソン・ウィリアムズ&トム・フリードマン、脚本はトム・フリードマン&カレン・レヴィット、製作はディミトリ・ヴィラード&ジェイソン・ウィリアムズ、製作総指揮はロバート・A・シャヒーン、撮影はロビー・グリーンバーグ、美術はロバート・A・バーンズ&ジョー・ギャリティー、音楽はリチャード・H・バンド。
出演はベン・マーフィー、ニナ・アクセルロッド、シャーリー・ベラフォンテ=ハーパー、ケヴィン・ブロフィー、ロバート・ランドム、ジェームズ・カレン、サム・チューJr.、メリッサ・プロフェット、オースティン・ストーカー、ジェラード・プレンダーガスト、アントワネット・バウアー、ダーウィン・ジョストン、グレタ・ブラックバーン、ジョン・ラヴァチエッリ、クリント・ヤング、ケン・ギベル、ゲイリー・デュービン、グレタ・スタフ他。


かつて日曜洋画劇場で『宇宙から来たツタンカーメン/消えたミイラ!全裸美女に迫る古代エジプトの魔神』というタイトルで放送され、どんな出来栄えでも肯定的に解説してきた淀川長治センセイがコメントに困ってしまった伝説的なカルト映画。
TV東京で『タイム・ウォーカー/時空の聖櫃』というタイトルで放送されたこともある。日本では劇場未公開だった。
ちなみにアメリカでの配給は、ロジャー・コーマンのNew World Picturesが担当した。
監督のトム・ケネディーは映画トレーラーのディレクターや編集マンとして活動していた人で、映画本編を手掛けたのは、この1作のみ。しかし予告編の世界では、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『ターミネーター』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』といった超有名なヒット作も手掛けたらしい。
音楽担当のリチャード・バンドは、エンパイア・ピクチャーズ総帥であるチャールズ・バンドの弟。

マッカデンをベン・マーフィー、スージーをニナ・アクセルロッド、リンダをシャーリー・ベラフォンテ=ハーパー、シャープをケヴィン・ブロフィー、パーカーをロバート・ランドム、ロスモアをジェームズ・カレン、セラーノをサム・チューJr.、ジェニーをメリッサ・プロフェット、メルローズをオースティン・ストーカー、グレッグをジェラード・プレンダーガストが演じている。
出演者について補足しておくと、ベン・マーフィーは、TVシリーズ『西部二人組』や『ジェミニマン』で主演を務めていた俳優。
ニナ・アクセルロッドは、『七年目の浮気』や『ティファニーで朝食を』の脚本を担当したジョージ・アクセルロッドの娘。
シャーリー・ベラフォンテ=ハーパーは、ラテン歌手であるハリー・ベラフォンテの娘。

『宇宙からのツタンカーメン』という邦題は、映画のオチを思いっきりバラしている。
ぶっちゃけ、「ほぼオチだけ」みたいな作品なのに、そのオチをバラししゃうんだから、ドイヒーなセンスである。
邦題を付けた担当者は、あまりにも内容がアレなので真面目に考えるつもりが湧かなかったんだろう。そうじゃなければ、映画のオチをバラすような邦題を付けるはずがない。
ただし不幸中の幸いで、この映画オチをバラしても評価に大きな差が出ないぐらいのポンコツ具合なのである。

冒頭、宇宙の景色が写し出され、カメラが地球に近付いて行き、それからタイトルロールに入る。
後から考えると、一応は冒頭でネタ振りをしているわけだ。
つまり、そのカメラワークは「宇宙から異星人が地球へ来ましたよ」という意味だったわけだ。
ただし、物語が終盤に到達した時、「そうか、そのオープニングは、そういう意味だったのか」と感じ、スッキリと気持ち良くなれるのかというと、そうではないので、あしからず。

マッカデンはツタンカーメンの墓所で発見した棺を大学へ運ぶが、エジプト政府の許可を得て持ち出したわけではないので、ただの墓泥棒である。
そんなマッカデンは経験豊かな考古学者のはずだが、棺に危険が無いかどうかも調べない内に、生徒たちに触らせる。
一応は手袋を着用させているが、それ以外は無防備な状態だし、実際にマイケルは手首にカビが付着している。
棺は研究室に放置したままで、誰でも簡単に出入りできる状態が保たれている。

まだ棺が持ち込まれたばかりで何も分かっちゃいないのに、ロスモアは翌日の記者会見をセッティングする。マイケルが火傷したことを受けてマッカデンが「学生がカビに触れて火傷したんです。メルローズが危険について電話で話したでしょう」と言うと、「学生の不注意で非難されても困る。君がプロジェクトから降りたいと言うのなら、代わりの人間はいる」と冷たく告げる。
でも発見者はマッカデンであり、しかも考古学のスペシャリストのはずなので、代役を務められる人なんていないだろう。
マッカデンはシャープが通常の十倍ものX線をミイラに浴びせた後、さらに撮影を続けようとする彼に「もうやめよう。写真が出来たら届けてくれ」と言って立ち去る。シャープがミスをしたのに、こいつに後を全て任せてしまう不用意な男である。
シャープもシャープで、写真に何かが写っていたのにマッカデンには知らせず、勝手に棺を調べるという、ただのクズである。
そんなクズを簡単に信用して使っているマッカデンもマッカデンだ。

マイケルはサンプルを採取する際、カビが腕に付着する。しかし、その時点で何も起きない。活動していないからだ。
で、引き出しから外に繁殖して来たカビを不用意に触れて、火傷してしまう。「触るな、近付くな」と言われていたのに触れるんだから、ロスモアの言う「学生の不注意」という指摘は間違っちゃいない。
そんな風に、出て来る連中は揃いも揃ってボンクラだらけである。ボンクラなZ級映画ってのは、登場人物がボンクラ揃いというケースが大半だ。
ただ、それはそれとして、「引き出しのカビで火傷する展開を作るなら、サンプル採取でカビが腕に付着する手順の意味って何?」とは思うぞ。それって全く要らない手順だよね。

シャープは引き出しのクリスタルを見て「高価な宝石だ」と思い込み、それを盗み出す。実際には何の価値も無いと鑑定されるのだが、シェリーはプレゼントされると高価な宝石だと思い込んで喜ぶ。グレッグも借金取りの2人も、やはり高価な宝石だと思い込む。
借金取りの2人に至っては、その価値を確かめもせず、「借金の代わりになる」と決め付けて納得する。
みんな、そこでもボンクラ揃いである。
ちなみにシャープがパーカーをやたらと敵視している設定があるが、まるで無意味である。

棺のミイラが紛失するとロスモアは盗まれたと断定し、ウィロービーに捜索を命じる。しかし観客は「ミイラから棺から起き上がる」というシーンを見せられているので、自分で抜け出したことも分かっている。
だからロスモアがマッカデンの「警察に届けるべき」という主張を却下した後、清掃員がボイラー室を歩いている様子に切り替わった段階で、「ああ、こいつがミイラに襲われるんだろうな」と予想する。
実際、清掃員は襲われて悲鳴を上げるのだが、ただしミイラは登場しない。「清掃員は何者かに襲われた」という形にしてあるのだ。
だが、そこで「犯人の正体はミイラ」ってのを隠しても、まるで意味が無い。

もっと困ったことに、清掃員がミイラに襲われた後も、それに誰も気付かないまま、しばらく時間が経過するってことだ。
ミイラに襲撃されたことが早々に判明する必要は無いが(むしろ登場人物は、しばらく知らないままの方がいい)、「失踪した」ってことは早い段階で判明させるべきだろう。
で、エレンが襲われる時には、ミイラの腕の部分だけを見せる。
だけど腕が見えた時点でミイラ以外の何者でもないわけで、そこで全身を見せることを勿体ぶっても全く意味が無い。

エレンがミイラに襲われ、グレッグはショック状態で喋れないものの、「恋人がミイラに襲われた」という事実はその時点で認識している。
そのシーンが描かれるまでに、清掃員の死を誰も知らず、失踪したとさえ思っていない。
だから、彼がミイラに襲われたことは、まるで意味の無い手順になってしまう。
無意味と言えば、電源調節室が荒らされているのをウィロービーが発見し、セラーノに知らせるという手順も無意味だ。そこへ駆け付けたセラーノの様子を描くことも無いし、その筋では何の進展も無いのだ。

あと、「首飾りにしたクリスタルを引き千切って奪ったらエレンが意識不明になる」というのは、「モンスターが人間を襲う」というシーンの描写として、ものすごく冴えない。
「殺そうとしたんじゃなくて、触れたせいで意識不明になった」というだけなのでね。
そこは普通に殺意を持たせた方がいいでしょ。
っていうか意識不明ってのも中途半端だし。後から「X線を浴びたエレンはカビの増殖で死ぬ」という展開を作るための段取りなんだろうけど、それは別のキャラを使ってやればいいんじゃないかと。それこそマイケルとか。

清掃員はクリスタルを持っているわけではないので、ミイラがクリスタルを取り戻す目的で行動しており、殺害が目的じゃないのなら、そもそも襲撃する必要性も無い。
まあ「見つかったから襲った」という言い訳も出来なくはないが、パーティー会場の近くでは普通に生徒たちの前へ現れているわけで。
そんで仮装したシャープだと思い込んだ男子が「あっちへ行けよ」と言うと、そいつには手を出さないのだ。
そんなことも含めて、やっぱり清掃員が襲われるシーンは無意味である。

上映時間も半分を過ぎた辺りで、ようやくミイラはクリスタルの2つ目を回収する。裏を返すと、その時点で彼が襲撃した相手も清掃員を含めて3人しかいないってことだ。
しかも清掃員は生死が不明、エレンはX線の投射による死亡なので、ミイラに殺されたのは壁に叩き付けられて全身の骨を折られたビルだけだ。
っていうか、そこは殺しちゃうんだよな。統一感もへったくれも無いのかよ。そこで平然と殺しちゃうのなら、最初から「ミイラが人々を襲って殺害する」という形にしておけばいいでしょ。
ぶっちゃけ、「カビの増殖が云々」ってのと「ミイラがクリスタルを奪い返して云々」ってのと、この2つのラインが上手く融合していないのよ。

ビルの死体が発見された後、マッカデンは「このカビは地球に存在しなかった。ミイラは人間ではない」と言い出す。
だが、何の脈絡も無い突飛な発想でしかない。
セラーノはロスモアに「マッカデンが犯人だ。ミイラを公開する用意が出来ていなかったので、盗み出してどこかへ隠した。そして適当な時期に見つけたと言って持ち出せば、彼は英雄になる。証明して見せますよ」と話すが、こちらも突拍子も無い発言だ。
「今さら彼がマッカデンを疑って行動するような展開を持ち込むのはタイミングが遅すぎるわ」と言いたくなる。

劇中、何度かミイラ視点の映像が挿入される(その時だけ映像が緑になる)。
終盤、スージーが襲われる時にもミイラ視点の映像が入る。
そしてミイラがスージーを見つめている姿を写した後は、「スージーを追うミイラ視点の映像」と「逃げるスージーを捉える映像」を交互に繋ぐ。
しかし、既にミイラがスージーの前に出現した様子を見せているわけで、その後で「ミイラの姿を見せないで追跡劇を描く」という表現方法を採用しても、まるで効果的ではない。

残り15分となって、ミイラはスージーから3つ目のクリスタルを奪い取る。
しかし都合のいいことに、スージーはヒロインなので死なずに済んでいる。そしてジェニーがいるバスルームを襲った時も、ミイラはクリスタルだけ奪い、彼女には全く手を出さずに立ち去る。
まあ「クリスタルの回収が目的」ってことを考えれば、行動としては筋が通っている。
しかし、ビルを殺した後で「スージーやジェニーは襲撃しない」という流れにすると、腑抜けた展開という印象になる。

マッカデンは「もし彼が宇宙へ帰る通信装置を組み立てているとしたら、回路はある。変圧器もある。クリスタルもほぼ揃った」と、また突拍子も無いことを言い出す。
しかし困ったことに、それが当たっているのだ。
5つのクリスタルを集めたミイラは、そこから発せられる光によって宇宙人の姿に変身する。その途端、セラーノが「撃ち殺せ」と物騒なことを叫び、ウィロービーの発砲から宇宙人を守ろうとしたマッカデンが肩を撃たれる。宇宙人が差し伸べた手を掴んだ彼は、一緒に姿を消す。
残されたクリスタルを拾おうとしたセラーノは掌に大火傷を負い、「TO BE CONTINUED...」という文字が表示されて映画は終わる。
最後の最後になって物語は急展開を見せ、急にワケの分からない内容になり、急に全てを散らかして放り出してしまうのである。

(観賞日:2015年11月26日)

 

*ポンコツ映画愛護協会