『悪魔たち天使たち』:1995、アメリカ

舞台はサンタバーバラ。ルーベン・マルティネスと双子の兄ロビーは幼少の頃、大農場を所有しているモナに拾われて息子として育てられた。モナは2人を養子にしたことに反対する夫クリフと険悪になり、クリフは家を出て行った。
成長したロビーはモナの農場の管理を任されていたが、横領を知ったモナは彼を解雇した。モナはルーベンを呼び寄せて管理を依頼し、多額の金を渡した。ルーベンはシカゴに行き、中古車販売店で働いている妻ローラと娘マリアに会う。
ローラはルーベンがロビーの妻ボニーと浮気したと信じ込み、彼の元を去っていた。ルーベンはボニーに変わらぬ愛を告げ、彼女と妻を連れ戻すことにした。販売店の経営者でギャングのニックに多額の借金があるルーも、サンタバーバラへやって来た。
サンタバーバラに戻ったルーベンは、モナが脳溢血で亡くなったことを知らされる。モナは生前、全財産をルーベンに残すという遺言を残していた。ルーベンは半分ずつ分けようとロビーに申し出るが、承知しない。ロビーは息の掛かった警官や判事達を利用し、移民局や国税局をルーベンの元に向かわせて悪質な嫌がらせを繰り返す。
ルーベンは幼馴染みの弁護士エディの勧めで、農場を担保に銀行から金を借りてピンチを脱出する。だが、ルーベンは債務不履行で担保権の行使を宣告され、農場から追い出されてしまう。エディはロビーに買収されていたのだ…。

監督はアンドリュー・デイヴィス、原案はアンドリュー・デイヴィス&テレサ・タッカー=デイヴィース&フランク・レイ・ペリッリ、脚本はアンドリュー・デイヴィス&リー・ブレッシング&ジャンヌ・ブレイク&テリー・カーン、製作はアンドリュー・デイヴィス&フレッド・カルーソ、共同製作はローウェル・ブランク、製作協力はテレサ・タッカー=デイヴィース&メイハー・アーメッド、製作総指揮はメル・パール、共同製作総指揮はラリー・ジャクソン、撮影はフランク・タイディ、編集はドン・ブロチュー&ティナ・ハーシュ、美術はマイケル・ホーラー、衣装はジョディ・ティレン、音楽はウィリアム・オルヴィス。
主演はアンディ・ガルシア、共演はアラン・アーキン、レイチェル・ティコティン、ジョー・パントリアーノ、アリー・ウォーカー、デヴィッド・オグデン・ステアーズ、チャールズ・ロケット、リチャード・ブラッドフォード、ケヴィン・マッカーシー、トム・ウッド、ホランド・テイラー、ネイサン・デイヴィス、マイク・ナスボーム、石橋貴明、ドミニク・ガルシア=ロリド、ナタリア・ノグリッチ、リタ・タガート他。


アンディ・ガルシアが双子のルーベンとロビーの2役を演じた作品。
他にルーをアラン・アーキン、ローラをレイチェル・ティコティン、エディをジョー・パントリアーノ、モナをホランド・テイラー、ボニーをアリー・ウォーカーが演じている。また、アンディ・ガルシアの娘ドミニク・ガルシア=ロリドが、マリア役で映画デヴューしている。

日本ではとんねるずの石橋貴明が出演しているということで話題になったが、彼が演じたロビーの仕事仲間サイトウは、いてもいなくても構わないような役だ。
ついでに言えば、日本人である必要も無い。
『メジャーリーグ2』では、キャラクター設定もあってそれなりに存在感を発揮した石橋貴明だが、この映画では完全に精彩を欠いている。
それは「石橋貴明の芝居が云々」という問題ではない。

いてもいなくても構わないような役というのは、他にもたくさん存在する。
で、そんな連中が、ワラワラとしゃしゃり出て、しかし大した動きがあるわけでもなく、それぞれ少ない出番しか与えられない。
余計なキャラが多すぎて、ゴチャゴチャしてしまう。

とにかく意味の無い設定が多すぎる。
ルーベンとロビーが養子だということも、それが原因でモナの夫クリフが家を出たことも、ルーベンも養子を貰っていることも、全て物語には関係が無く、意味が無い設定だ。
そもそも、モナを登場させる必要性さえ無い。

ルーベンとローラが別居しているというシーンも意味が無い。
すぐに連れ戻せるぐらいなら、最初から一緒に暮らしている設定にしておけばいい。
無意味に話をややこしくするだけで無意味なシーンが、あまりにも多すぎる。
大体、回想形式にしている意味も分からない。
ただテンポを悪くしてるだけでしょ(そうでなくてもテンポは悪いが)。

農場では不法入国者を働かせており、移民局の人間がやって来て彼らを追い駆け回し、エミリオという若い農夫を連れて行く。
しかし、そこをシリアスに描く理由が全く分からない。
だって、これって一応、コメディーみたいなのよね。
それにしては、特に前半はコメディーらしい雰囲気はほとんど無くて、しんみりとして、やたら暗いんだけどさ。

で、ロビーの嫌がらせが始まるが、そこをダイジェストにする意味が分からない。
そこは幾らでも膨らませられるし、膨らませるべきポイントでしょ。
おまけに、ルーベンとロビーの対立が話の軸のはずなのに、そのダイジェストの嫌がらせシーンの中で、ロビーが出るのは1カットだけ。
ロビーの存在を薄くする意味が分からない。

とにかく何かエピソードが始まったら、それが膨らむ前に終わらせる。
で、ペチャンコのシーンを、ルーベンのモノローグで繋ぎ合わせる。
で、話はギクシャクしたままで、一向に盛り上がろうとせず、淡々と綴られて行く。

いつになったら、ゴチャゴチャしてるだけで本筋らしきモノが痩せ細っている状態が解消されるのかと思っていたら、そのまま最後まで行ってしまった。
ロビーが改心する流れにしても、唐突で浅いったらありゃしない。
むしろ、最後までワルを貫いてコテンパンに叩きのめされる方がスッキリしたのに。
ホント、最後までスッキリしないのね。

 

*ポンコツ映画愛護協会