『エンド・オブ・ホワイトハウス』:2013、アメリカ

大統領の別荘地、キャンプ・デービッド。シークレット・サービスのマイク・バニングは、同僚のローマやフォーブス、オニールたちと共にベンジャミン・アッシャー大統領一家の警備を担当している。警備責任者のマイクはベンジャミンと親しく付き合っており、ボクシングの練習では相手役も務める。マイクはベンジャミンの妻であるマーガレットとも仲良くしており、息子のコナーも彼に懐いていた。
悪天候の中、大統領家族は政治資金集めのパーティーへ行くことになった。コナーはマイクと同じ車に乗りたがった。マイクは承諾し、同僚のディアスを大統領専用車に乗せることにした。今回で引退を決めているフォーブスに対して、マイクは屋敷に待機するよう指示を出した。吹雪が激しくなる中、大統領専用車がスリップ事故を起こして橋から落ちそうになった。急いで駆け付けたマイクは仲間たちと共に、車を引っ張り上げようとする。ベンジャミンはマイクに、怪我を負った妻を先に助けるよう求めた。しかし車が落ちると感じたマイクは、先にベンジャミンのシートベルトを切って彼を救い出す。その直後、車が橋から転落し、マーガレットは死亡した。
1年半後、7月5日。マイクは目を覚まし、テレビのニュースを見る。非武装中立地帯に沿って展開する北朝鮮の演出に関連し、韓国首相がホワイトハウスでベンジャミンと面会することが報じられている。マイクは妻のリアから話し掛けられるが、そのニュースが気になった。ダイナーへ赴いたマイクは、シークレット・サービス長官のリン・ジェイコブスと話す。マイクはシークレット・サービスの仕事から外され、現在は財務省でデスクワークをやっていた。ローマとオニールが来て、マイクに声を掛けた。職場は別になったが、今でも2人とは付き合いがある。ローマたちは新入りのジョーンズをマイクに紹介し、その場を去った。
「現場に戻りたい」とマイクが話すと、ジェイコブズは「橋での対処は正しかった。大統領も分かっている。貴方がいると奥さんを思い出すから辛いのよ。時間が解決してくれるわ」と述べた。ベンジャミンは韓国のイ・テウ首相を迎える前に、アラン・トランブル下院議長、ルース・マクミラン国防長官、チャーリー・ロドリゲス副大統領から意見を聞く。韓国首相一行がホワイトハウスに到着し、ローマたちが出迎えた。イ首相は警護責任者のパクや、民間セクターに移ったフォーブスたちを同行させていた。
国籍不明の貨物機が、チェサピーク湾からヴァージニア州上空へと飛来した。米軍の戦闘機2機が出撃し、旋回を命じた。すると貨物機は搭載していた機銃を使い、2機を撃墜した。ベンジャミンは緊急事態を伝えられ、避難することになった。彼はシークレット・サービスに、イ首相一行も同行させるよう命じた。PEOCセンター地下に移動したベンジャミンは、息子を捜すよう頼んだ。貨物機はホワイトハウスの上空に到着し、地上の人々を攻撃した。その様子を目撃したベンジャミンは、急いでホワイトハウスへ向かった。
貨物機は地上からの迎撃を軽く回避し、さらに銃撃を続ける。大勢の犠牲者が出る中、アンドルーズ基地から出た支援機がようやく貨物機を撃墜した。その直後、ホワイトハウスの前に停めてあったバスが爆発した。人々が逃げ惑う中、マイクは防護柵に近付く2人のアジア系男性に気付いた。マイクは拳銃を構え、伏せるよう命じる。要求に従わなかったため、マイクは2人を射殺した。しかし残る1人は体に巻き付けていた爆弾を使い、自爆テロを実行した。
イ首相の警備として外に待機していた連中がテロリストのとしての本性を現し、シークレット・サービスに襲い掛かった。観光客に紛れていたテロリストたちも武器を構え、銃撃を開始した。ベンジャミンはシークレット・サービスと共に反撃するが、次々に仲間が倒れて行く。国防総省には緊急対策室が設置され、国家安全保障局副長官のレイ・モンローや防衛参謀総長のエドワード・クレッグ将軍たちが対応に当たる。地下シェルターでもパクと部下のイムたちが本性を現し、シークレット・サービスを次々に殺して回線を切断した。
マイクは庭での銃撃戦を諦め、ホワイトハウスの中に入った。突入したテロリスト一味はシークレット・サービスを全滅させ、あっという間にホワイトハウスを陥落させた。危機対応部隊が到着した時には外部との回線が遮断され、内部の状況は全く分からなくなっていた。パクの偽名を使っていたカンは、緊急対策室と映像を繋いだ。彼はイ首相を射殺し、ベンジャミンの姿を見せて「最高司令官を押さえた。警戒態勢を解除し」と要求した。クレッグは仕方なく、要求に応じた。
テロリスト一味は死体から武器を回収し、無人偵察機を飛ばした。マイクは管制室の見張りを始末し、拳銃を奪った。彼はコンピュータを操作し、監視カメラの映像を遮断した。カンは部下たちに、コナーを見つけ出すよう命じた。ペンタゴンの緊急対策室にはジェイコブスやクレッグ、モンローたちが集まり、トランブルが大統領代理に指名された。マイクは大統領執務室で衛星携帯を手に入れ、ペンタゴンと連絡を取った。ジェイコブスはベンジャミンが地下に拘束されていることを説明し、マイクはシークレット・サービスが全滅したことを報告した。彼は「たぶんドアや窓に爆弾が仕掛けられている。軍が突入すれば吹き飛ぶ。電源は切られ、換気口は閉鎖された。奴らはコナーを捜してる。写真を持ってた」と述べた。
マイクが「俺を使ってくれ」と求めると、ジェイコブスは指示があるまで待機するよう告げた。カンは緊急対策室と回線を繋ぎ、日本海域にいる第七艦隊の撤退と非武装中立区域の米軍撤退を要求した。彼は「要求を拒んだり、指示に従わなかったりすれ人質を1人ずつ殺す」と言い、通信を終えた。カンは統合参謀本部議長のネイサン・ホーニッグを脅し、ケルベロス・コードを明かすよう要求した。首にナイフを突き付けられても拒否したクレッグだが、ベンジャミンは彼の命を救うために「コードを言うんだ。私が教えない」と述べた。
一味がケルベロス・コードを入力すると、それは緊急対策室にも報告された。マイクは殺した兵士の耳の裏にあるマークに気付き、画像を緊急対策室に送った。しかし誰もマークについて分からず、トランブルはCIAに照合するよう命じた。トランブルはマイクの質問を受け、敵の要求を教えた。マイクがケルベロス・コードについて訊くと、彼は「コードを入力すると誤って発射された核弾頭を自滅させることが出来る。コードは大統領、国防長官、統合参謀本部議長の3人が持っている」と説明した。
ジェイコブスはマイクに、「コードが入力されたら、米国は核攻撃に対して無力になる」と告げた。マイクは一味がベンジャミンにコードを言わせるため、コナーを捜しているのだと悟った。トランブルはマイクに、コナーの救出を命じた。カンは映像を見てマイクの潜入を知り、手下たちに始末を命じた。手下たちは居住区を捜し尽くすが、マイクを発見できなかった。カンはホワイトハウスの改修があったことを知っており、「奴は壁の裏にいる」と告げた。
マイクは壁の裏にある隠し通路で、コナーを発見した。まだ現場勤務だった頃、彼はコナーにホワイトハウスの隠し通路を教えていたのだ。マイクは気付いた手下たちの発砲を回避し、コナーを連れて逃走する。彼は緊急対策室と連絡を取り、通気シャフトからコナーを脱出させる。無事に部隊がコナーを保護したことを確認し、マイクは大統領の救出任務に移った。彼は敵兵を捕まえて拷問し、リーダーがカン・ユンサクという準軍事組織「KUF」指導者であること、突入したのが40名で28名が生き残っていることを聞き出した。
マイクから報告を受けた緊急対策室は、すぐにカンのデータを調べた。カンは各国で手配中のテロリストだった。マイクは敵が手強いと感じ、「偵察するまで突入しないでくれ」と告げた。カンはマクミランを脅し、コードを言うよう要求した。マクミランは暴行を受けても口を割らなかったが、ベンジャミンが教えるよう命じた。フォーブスにはマイクの始末に向かうが、不用意な発言でカンと繋がっていることに気付かれた。マイクに瀕死の重傷を負わされた彼は、「俺は道を誤った」と口にした。「償いは出来る。俺は死んだと言え」とマイクが促すと、フォーブスはカンに連絡を入れて「マイクは始末した」と報告した。トランブルはケルベロスを防ぐため、マイクの警告を無視してシールズの突入を命じる。しかし、カンは軍の動きを全て把握しており、迎撃のための武器も用意していた…。

監督はアントワーン・フークア、脚本はクレイトン・ローゼンバーガー&カトリン・ベネディクト、製作はアントワーン・フークア&ジェラルド・バトラー&アラン・シーゲル&エド・カゼル三世&ダニー・ラーナー&マーク・ギル、製作協力はダニエル・ロビンソン、製作総指揮はアヴィ・ラーナー&ダニー・ディムボート&トレヴァー・ショート&ボアズ・デヴィッドソン&ジョン・トンプソン&ハイディ・ジョー・マーケル、共同製作総指揮はクリスティン・クロウ&ウィル・フレンチ&スティーヴ・ロバーツ&ロニー・ラマティー、撮影はコンラッド・W・ホール、編集はジョン・ルフーア、美術はデレク・R・ヒル、衣装はダグ・ホール、シニア視覚効果監修はエヴァン・ジェイコブズ、音楽はトレヴァー・モリス。
出演はジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、アンジェラ・バセット、ロバート・フォスター、コール・ハウザー、フィンリー・ジェイコブセン、アシュレイ・ジャッド、メリッサ・レオ、ディラン・マクダーモット、ラダ・ミッチェル、リック・ユーン、マラナ・リー、ショーン・オブライエン、ケオン・シム、トリー・キトルズ、フィル・オースティン、ジェームズ・インガーソル、フレディー・ボッシュ、ランス・ブロードウェイ、ケヴィン・ムーン、サム・メディナ、マイク・スナイダー、ジョシア・D・リー、エドリック・ブラウン、ショーン・ボイド、ハンター・バーク他。


『キング・アーサー』『ザ・シューター/極大射程』のアントワーン・フークアが監督を務めた作品。
脚本を手掛けたクレイトン・ローゼンバーガー&カトリン・ベネディクトは、これがデビュー作。
マイクをジェラルド・バトラー、アッシャーをアーロン・エッカート、トランブルをモーガン・フリーマン、ジェイコブスをアンジェラ・バセット、クレッグをロバート・フォスター、ローマをコール・ハウザー、コナーをフィンリー・ジェイコブセン、マーガレットをアシュレイ・ジャッド、マクミランをメリッサ・レオ、フォーブスをディラン・マクダーモット、リアをラダ・ミッチェル、カンをリック・ユーンが演じている。

『ダイ・ハード』に似ているのは多くの人が感じるところだろうが、主人公の無敵っぷりや全体を包むB級テイストは『沈黙の戦艦』を連想させる。
それらの作品から着想を得たのかもしれないが、ミレニアム・フィルムズが本作品のスペック・スクリプトを獲得して映画化に乗り出したのは、『96時間』が予想外の大ヒットを記録したことも影響を及ぼしているんじゃないかという気がする。
圧倒的に強い主人公が容赦なく敵をブチ殺していくという単純明快で勧善懲悪な暴力性の強い映画ってのが、共通しているんだよね。

冒頭シーン、ベンジャミンが猛吹雪の中で資金集めのパーティーへ向かう際、なぜ大統領専用車が先頭を走っているんだろうか。
そういう場合、普通は警備の車が先頭を走るんじゃないかと思うんだけど。
そこは「先頭を走らせないと、フロントガラスに物が激突してスリップする状況を作りづらい」という都合を感じてしまう。
あと、その事故は何がどうなって起きたのか、ちょっと分かりにくいなあ。

最初にマーガレットの死亡事故を描くのは、「主人公が大統領を守れず、心に傷を負う」という『ザ・シークレット・サービス』を連想した。
っていうか、「主人公が過去に大きな失敗を経験し、再び同じような出来事と対峙することになる」というのは、映画の世界では何度も使われてきたパターンだ。
ベタベタというか、使い古されたネタではあるが、だからといってダメってわけではない。
だが、この作品の場合、その要素がマトモに機能していない。

例えば、「マイクは過去に大統領夫人を救えなかった」ということをセリフで説明するだけでも、大して変わらないだろう。
っていうか、いっそのこと、大統領夫人を救えなかったという設定自体を排除しても、別に構わないんじゃないかとさえ思ってしまう。
そもそも、マイクは大統領夫人を救えなかったことに対して、心の傷を負っていない。だから、それを克服するドラマも無い。単に「そのせいで現場から外された」ってことを気にしているだけで、名誉回復のために現場へ復帰したいと思っている。
マーガレットを救えなかったことへの罪悪感や悔恨が、全く無いのだ。
一方、大統領はマイクを見ると妻を思い出すので現場から外したらしいが、そのマイクに対する思いとか、「信頼しているけど妻のことがあって云々」という葛藤なんかは全く表現されていない。

冒頭シーンでベンジャミンは、マイクとボクシングのスパーリングをしている。
だったらマイクが救出に来た際、ベンジャミンが一味にパンチを浴びせるシーンでもあるのかと思ったら、何も無かった。
コナーはマイクからホワイトハウスの構造を詳しく教えられており、隠し通路に隠れているのだが、その知識で彼が一味を撒いたりマイクにヒントを与えたりするのかと思ったら、あっさりと外へ脱出している。
序盤の描写は、伏線としては機能していない。

アメリカは国籍不明の貨物機がヴァージニア州に入るまで気付かず、戦闘機を差し向けても簡単に撃墜され、易々とホワイトハウスまで接近されてしまう。地上からの迎撃も軽く回避され、大勢の犠牲者を出して、ようやく撃墜している。
防護柵は自爆テロで簡単に破られ、観光客に化けたテロリスト一味にホワイトハウスを攻撃されると簡単に陥落する。
韓国はテロリスト一味を警備担当者として雇い、全く気付かない。
アメリカにしろ韓国にしろ、政府の警備体制が杜撰すぎるだろ。

ただ、そういうのを「あまりにも非現実的」とか「バカバカしい」と言い切れない現状なんだよね。
ホワイトハウスは不審者の侵入を簡単に許しているし、太陽政策以降の韓国は北朝鮮に対してヌルい。
さすがに「大勢のテロリスト一味を韓国政府が警備担当者として雇う」ってのは、非現実的だろう。
でも、貨物機がホワイトハウスを攻撃したり、自爆テロで簡単に防護柵が破られたり、観光客に化けたテロリスト一味の銃撃でシークレット・サービスが一網打尽にされたりってのは、それほど荒唐無稽とも思えないんだよな。

死体の頭を改めて撃ち抜いたり、所持していた武器を全て回収したりするほど狡猾な行動を取り続けていたテロリスト一味が、マイクを 始末しておらず、易々とホワイトハウスに潜入されているってのは、なかなかの御都合主義だ。
また、マイクが暗証番号を打ち込んでボックスを開け、衛星携帯を手に入れているのも御都合主義だ。1年半前に現場を外されているんだから、その間に暗証番号は変更されているはずでしょ。
コンピュータにアクセスし、監視カメラの映像を切断するのも同様だ。なぜ1年半前に現場を外されたマイクのアクセス権限が残っているのか。それとも、財務省のデスクワークでも、そこのアクセス権限は持っているのか。
テロリスト一味が突入するまでの展開は「まあ有り得るかも」と受け入れるにしても、それ以降は粗があり過ぎるわ。

クレッグが「マイクは大統領夫人の警護に失敗して現場を外されている。信用できない」と言い出すのは、「緊急対策室の中に主人公を否定する奴を配置する」というベタなパターンをやりたかったってことだろう。
だが、大統領夫人の警護に失敗した奴だから信用できないという論法は無理がある。
警護に失敗しても、それは「嘘をついた」とか「裏切った」ということではない。マイクから送られてくる情報は正確なはずであって、過去に任務に失敗していようと、それは全く別問題だ。
しかも、クレッグがマイクに否定的というのも、そこでチラッと触れているだけで、それ以降は全く使われない要素だ。
だったら、そんな申し訳程度のマイク否定派は要らない。

カンは大統領や副大統領たちを人質に取って脅しを掛けているのだが、米国は「テロリストと交渉しない」ってのを鉄則とする国家だ。
もちろん人質救出のために全力を尽くすだろうけど、最終的にはホワイトハウスを破壊し、首脳たちを犠牲にしてでもテロリスト一味を駆逐することを選択するだろう。
特に、人質にされたのが一般人ではなく国のトップたちであることを考えれば、余計にそのような行動を取るのではないか。国家の危機と天秤に掛ければ、そりゃあ国家の危機を阻止することを選ぶだろう。
それを考えると、大統領たちを人質にして要求を通そうとするカンたちの計画は、それほど利口とは言えないかもしれない。
だけどトランブルは大統領の命を救うため、カンの要求を飲んでしまうのよね。
それはダメだろ。「米国はテロリストと取引しない」という原則に反しているじゃねえか。

カンが要求を出した後、トランブルは「北朝鮮の首相と話したい。その後、ロシア、中国、英国、フランスとも」と口にする。
カン一味は日本海域にいる第七艦隊の撤退を要求しているのだから、普通なら日本の首相とも連絡を取ろうとすべきだろう。
そこは不自然っちゃあ不自然なのだが、ただし2013年の国際情勢を考えると、米国における日本の重要性ってのはかなり下がっているわけで。
そこで日本を無視して話を進めようとするのも、あながち無い話じゃないかもしれない。

フォーブスがカンの手下になる理由はボンヤリしているが、そこは「金に目がくらんだ」ということで受け入れておこう。
ただ、理由はどうあれテロリストに加担するぐらいの悪党になっているのに、マイクに襲われた途端に「俺は道を誤った」と急に悔恨を示し、「償いは出来る。俺は死んだと言うんだ。大統領を救うために」と告げられると簡単に従うってのは、都合が良すぎるだろ。
ベンジャミンを激しく罵り、殴り掛かろうとまでしていたはずなのに、なんで「大統領を救うため」の行動を受け入れちゃってんだよ。

マイクはコナーに隠し通路を教えるぐらいだから、ホワイトハウスの構造については熟知しているわけだが、それを利用してテロリスト一味を出し抜いたり、罠を仕掛けたりするようなことは無い。彼が孤軍奮闘する展開になってからは、ほぼ「圧倒的に強さで敵を倒す」ということの繰り返し。
一味は核シェルターに大統領を拉致しており、救出のためのルートはエレベーターしか無いのだが、「ルートが1つしか無い」というところも物語を盛り上げる要素としては全く使われない。
良く言えば単純明快、悪く言えば捻りが無い。
『沈黙の戦艦』を例に挙げたけど、そういう捻りの無さは、それ以降のセガール映画に似たモノを感じる。

ケルベロス・コードは隔離されたシステムであり、制御用コンピュータ以外に変更は不可能で、そのコンピュータが地下シェルターにあるという設定は、なかなかの御都合主義だ。
テロリスト一味が米軍の最新兵器であるハイドラ6を持っているというのも、さすがに無理があるわ。どうやって手に入れたのか、サッパリ不明だぞ。
それを入手できるのなら、米国政府や軍部に仲間がいるとしか考えられない。
そして、そうなると一味を全滅させても「全てが解決しました」とは言えないだろ。

カンは大統領にケルベロス・コードを吐かせるため、コナーを見つけ出すよう手下に命じている。
ところが終盤、彼は3つ目のコードが分かっていないにも関わらず、ケルベロスを発動させている。
ミサイルは発射されないが、対核攻撃用サイロの中で爆発させて大量のアメリカ国民を殺すのが目的だから、それでOKってことらしい。
だけど3つ目のコードが要らないのなら、コナーを捕まえようとした意味は何なのかと。全く無意味だったじゃねえか。

(観賞日:2014年11月8日)

 

*ポンコツ映画愛護協会