『インモータルズ -神々の戦い-』:2011、アメリカ

遥か昔、天上で戦いがあった。この戦いにより、究極の力を持つ武器が失われた。エピロスの弓だ。勝者は自らを神と称し、敗者にはタイタン族の名を冠してタルタロス山の地下深くへ永遠に閉じ込めた。長い年月が過ぎて人間が地上に溢れ、神とタイタン族の戦いは忘れ去られた。巫女のパイドラは、ヘラクリオンのハイペリオン王がタイタン族を解放する予知夢を見た。恐怖に目を覚ました彼女は、一緒にいる仲間の3人に「ハイペリオン王がエピロスの弓を受け、人の世を支配しようとしている」と語った。
仲間たちと共に祈りを捧げたパイドラは、「ハイペリオンがやって来る。目的は私」と不安げな表情を浮かべる。仲間たちは「だったら逃げましょう」と持ち掛けた。ハイペリオンが軍勢を率いて神殿に乗り込むと、神官は「ここは神聖な場所。汚すと神の怒りを受けます」と警告する。ハイペリオンは笑って「神などくそくらえだ。妻子が病に冒された時、神は何もしてくれなかった。もう神には騙されん。タイタンを解き放つ」と言い放ち、神官に火を付けて殺害した。
テセウスたちの暮らすコルポスの村に、ギリシャ軍がやって来た。ヘリオス隊長は「ハイペリオンが神殿を占拠した。一日でここまで到達する。村を捨ててタルタロス山へ避難せよ。足の遅い者や病人は我々が護衛していく」と語る。テセウスが母のアエスラを連れて移動しようとすると、兵士のリサンドラが立ちはだかる。冷笑を浮かべた彼は、「お前らは一緒じゃない。農夫と下層民の出発は明日だ」と告げる。「父親も分からない売女の息子が」と言われたテセウスは激怒し、奪った剣を彼の首に突き付けた。
ヘリオスが争いの仲裁に入ると、テセウスは明日の出発組にも護衛を付けるよう要求する。ヘリオスは承知し、リサンドラから武器を奪って連行するよう部下たちに命じた。テセウスはヘリオスから軍に加わるよう持ち掛けられるが、「お断りだ。俺たちは見捨てられた」と言う。ヘリオスはリサンドラに、軍からの追放を言い渡した。一方、テセウスは村に留まろうとする老師を説得しようとする。だが、老師は、「ただ生きることに意味は無い。大切なのは、正しく生きることだ」と静かに告げる。
深夜、リサンドラは警備兵2人を殺害して逃亡した。一方、老師は気配を察知し、「姿を見せよ」と呼び掛けた。若い姿へ変貌した彼の前に女神アテナが現れ、「お父様」と口にした。老師の正体は神々の王ゼウスだった。テセウスの師匠として一緒にいる理由をアテナから訊かれたゼウスは、「彼は危険を恐れない。苦痛も、敗北も、嘲りも。彼が恐れるのは、愛する者を守れないことだけだ。人間を率いてハイペリオンと戦える者は、テセウスしかいない」と答えた。
リサンドラはハイペリオンの元へ赴き、部下に加えて欲しいと願い出た。「裏切り者を信じることは難しい」と言うハイペリオンに、彼は「無警戒の村へ案内します。女も奴隷も武器も手に入ります」と告げる。しかしハイペリオンは「女や武器は充分にある。欲しいのはエピロスの弓だ。この神殿でも像を全て壊して探したが、見つからない」と述べた。彼は痛め付けた修道士に対し、「巫女ならエピロスの弓のありかが見えるはず。どこにいる?」と尋ねる。修道士は舌を切り落として返答を拒否するが、ハイペリオンは「言葉が話せなくても、聞き出す方法はある」と不敵に告げる。彼は「世界は卑怯者の祖先を必要としない」と言い、腹心のモンドラゴンに命じてリサンドラの股間をハンマーで殴らせた。
次の日、ハイペリオンの軍勢が村を襲撃した。反撃を試みたテセウスは取り押さえられ、眼前で母を殺される。ハイペリオンは彼を殺さず、奴隷として苦しみを与えようとする。アテナやアレスたちは、ハイペリオンがギリシャ人を惨殺していく様子を観察し、介入すべきではないかとゼウスに進言する。しかしゼウスは「神は人間の争いに介入できぬ掟がある。解決は人間の意思に任せよう」と言う。
奴隷として連行されたテセウスが水飲み場にいると、巫女の4人が通り掛かった。テセウスの足に触れたパイドラは、彼がエピロスの弓を掲げ、ハイペリオンと一緒にいる予知夢を見た。パイドラは奴隷のスタヴロスに、「今夜、逃げ出します。仲間を集めて」と指示した。パイドラは仲間の3人に、「水飲み場にいた男は神の恩恵を受けています。彼がハイペリオンに従えば、ギリシャ全土が滅びます」と言う。仲間3人が番兵たちに反抗している間に、パイドラ、テセウス、スタヴロス、奴隷のニコメデスとダレイオスが逃亡した。
暴行を受けた巫女3人が、ハイペリオンの元へ連行されてきた。ハイペリオンはモンドラゴンに、逃げた巫女を連れ戻せと命じる。一方、テセウスたちはヘラクリオンの船を奪い、ハイペリオンに占拠された神殿へ向かおうと考える。その様子を、アテナとアレス、ポセイドンが天上から観察していた。テセウスたちが兵に追い詰められたた時、ポセイドンは海に飛び込んで大津波を起こし、彼らを救った。
パイドラはテセウスに、母親を埋葬すべきだと促した。ハイペリオンは巫女たちがコルポスへ向かっているとの報告を受け、モンドラゴンに「野獣を向かわせろ。お前は神殿に残って、念のために罠を仕掛けろ」命じた。テセウスはコルポスに戻り、母を迷宮に埋葬した。大岩を削った彼は、そこに埋められていたエピロスの弓を発見した。その直後、ミノタウロスが現れてテセウスに襲い掛かる。テセウスはミノタウロスを抹殺し、その首を切り落とした。
外で待機していたパイドラたちはハイペリオン軍の兵士たちに襲撃され、ダレイオスが殺された。迷宮から出て来たテセウスは、エピロスの弓を使って敵を始末した。パイドラは彼に、「お母様は貴方をこの地に連れ戻し、弓を見つけさせた。貴方の手に弓があれば、勝利はギリシャのもの」と告げた。2人は見つめ合い、唇を重ねた。処女でなくなれば予知能力は失われるが、それでもパイドラはテセウスと肌を重ねることを求めた。
テセウスたちが神殿に到着すると、もうハイペリオン軍の姿は無かった。立ち去ろうとした彼らは、雌牛の模型に閉じ込められた巫女3人が火あぶりにされて殺されているのを発見した。待ち受けていたモンドラゴンと数名の兵士たちが現れ、エピロスの弓は彼らの犬が奪取した。ニコメデスが殺され、窮地に陥ったテセウスたちの前にアレスが現れた。アレスは敵を全滅させ、続いて現れたアテナは馬を用意し、それを使ってタルタロスへ向かうようテセウスたちに促した。そこへゼウスが現れ、怒りの形相でアレスを抹殺する。彼はテセウスに、「二度と神の力を借りられると思うな。お前の力だけで戦え」と鋭く告げる。
エピロスの弓を手に入れたハイペリオンは、神を敵に回したと知っても全く怯まなかった。タルタロスに到着したテセウスは評議会の議長と面会し、ハイペリオンがエピロスの弓を入手したことを語る。だが、議長は弓の存在を信じておらず、交渉で戦を回避できると考えていた。ハイペリオンは使者を装ってタルタロスの城壁へ現れ、テセウスと会わせるよう要求した。テセウスが出ていくと、ハイペリオンは仲間になるよう持ち掛けた。テセウスは拒否して軍に戻り、荒々しく門を閉じた。翌朝、ハイペリオンはエピロスの弓を射って門を破壊し、大軍を突撃させる…。

監督はターセム・シン・ダンドワール、脚本はチャールズ&パルラパニデス&ヴラス・パルラパニデス、製作はジャンニ・ヌナリ&マーク・キャントン&ライアン・カヴァナー、共同製作はケネス・ハルスバンド、製作協力はジェイミー・マーシャル&シャノン・ゴールディング&ニコ・ソウルタナキス&デヴィッド・ホップウッド、製作総指揮はタッカー・トゥーリー&ジェフ・ワックスマン&トミー・タートル&ジェイソン・フェルツ、共同製作総指揮はクレイグ・フローレス&ロビー・ブレナー&レネ・リーガル、撮影はブレンダン・ガルヴィン、編集はスチュアート・レヴィ&ワイアット・ジョーンズ&デヴィッド・ローゼンブルーム、美術はトム・フォーデン、衣装は石岡瑛子、視覚効果監修はレイモンド・ギアリンジャー、カラー・デザイナーライオネル・コップ、音楽はトレヴァー・モリス、音楽監修はハッピー・ウォルターズ&ボブ・ボーウェン。 出演はヘンリー・カヴィル、ミッキー・ローク、ジョン・ハート、スティーヴン・ドーフ、ルーク・エヴァンス、イザベル・ルーカス、ケラン・ラッツ、ジョセフ・モーガン、フリーダ・ピント、ダニエル・シャーマン、ピーター・ステッビングス、スティーヴン・マクハティー、グレッグ・ブリック、アラン・ヴァン・スプラング、アン・デイ=ジョーンズ、スティーヴ・バイヤーズ、マシュー・G・テイラー、ロマーノ・オルザリ、コリー・セヴィエール、コンラッド・プラ、ニール・ネイビア、タイロン・ベンスキン、アブドゥル・アイオーラ他。


『ザ・セル』『落下の王国』のターセム・シンが監督を務めた作品。
テセウスをヘンリー・カヴィル、ハイペリオンをミッキー・ローク、老師をジョン・ハート、スタヴロスをスティーヴン・ドーフ、ゼウスをルーク・エヴァンス、アテナをイザベル・ルーカス、ポセイドンをケラン・ラッツ、リサンドラをジョセフ・モーガン、パイドラをフリーダ・ピント、アレスをダニエル・シャーマン、ヘリオスをピーター・ステッビングスが演じている。

ギリシャ神話をモチーフにしているが、物語の内容はオリジナル要素が多くなっている。
だからテセウスは国王と王女の息子じゃないし、アテナイへの旅に出ることも無い。
ミノタウロスとは戦うけれど、場所はクレタ島の迷宮じゃないし、ミノタウロスは生贄を求める怪物ではない。
テセウスがアリアドネから好意を寄せられることも無いし、パイドラはアリアドネの妹じゃない。
ハイペリオンはタイタン族の神じゃなくて、一国の王という設定になっている。

ターセム・シンは芸術的な映像美にしか興味が無い人だ。
なので、ストーリーテリングを丁寧にやるとか、ドラマを盛り上げるとか、メリハリを付けるとか、そんなことは、どうでもいいのだ。
序盤からドラマが全く盛り上がっておらず、いきなりつまずいているのだが、そんなことに興味が無いので、別に気にならないんだろう。
自分の作りたい映像さえ撮ることが出来れば、それできっと満足なのだ。

神とタイタン族に関しては、冒頭のナレーションで軽く触れるだけなので、説明不足は否めない。
その後も、ハイペリオンが何者なのか、テセウスがどういう人物なのか、テセウスと老師はどういう関係なのか、老師はどういう人なのか、村と神殿の位置関係はどうなっているのか、っていうか神殿はどこなのかなど、色々と説明が不足しており、話が分かりにくい。
当然、なかなか乗っていけない。

ハイペリオンが妻子を失ったというのは彼のセリフで触れるだけなので、彼の神に対する怒りや憎しみの気持ちは、ほとんど伝わって来ない。神を憎むにしても、だからタイタン族を解放するっていう論理もワケが分からんし。
あと、タイタン族を解放するのが神への報復として理解するにしても、大勢の人々を惨殺していく理由は無いよね。ギリシャ人の血を根絶やしにしようとしているらしいんだけど、なぜなのか良く分からん。
あと、ハイペリオンが神殿に乗り込んだのなら、その前に「目的は私」とパイドラが言っているんだから、巫女の元へ行く展開まで続けるべきでしょ。
神官を殺したところで村のシーンに移るのは、構成として上手くない。

ハイペリオンがギリシャ人を惨殺していくと、「妻子を病で失って神への怒りに燃える」という設定が同情の要素にならない。
だったら、「世界の支配を企み、自分は神を越える存在になろうとしている野心の男」という設定でもいいんじゃないかと思ったりするんだよな。
まあ単純で深みに欠けるキャラ造形かもしれんが、どうせ妻子が死んで云々という設定にしたところで、薄っぺらいキャラになっているんだから。
どうせ薄いなら、せめて目的と行動が合致している方がいいでしょ。

ハイペリオンがエピロスの弓を探していることは最初にパイドラが語っており、神殿に来たのは、それを手に入れることが目的だ。
ただし、その目的が分かるのは後のシーンになってからで、神殿に乗り込んだ時点ではハッキリしていない。
っていうか、「目的は私」というパイドラの言葉があるので、後から「弓を探したが見つからない」と言われて、「あれっ、目的ってパイドラじゃなかったのか」と、少し困惑してしまう。

ハイペリオンが修道士に告げる「巫女ならエピロスの弓のありかが見えるはず」という台詞で、「そういうことね」と理解できるけど、少しの間、邪魔なミスリードが入っている。
っていうか、そこは神殿へ乗り込んだ時点で、ハイペリオンが「ここにエピロスの弓があるはずだ」と神官を脅す手順を用意しておけばいいのに。
あと、巫女を見つけ出したいのなら、捜す手順も用意すべき。なんで巫女を捜すより先に、全ての神像を壊して弓を探すという行動になるのか。
まずは巫女を捜そうとして、見つからないから、とりあえず神像を壊して弓を探してみる、という流れにすべきじゃないのか。

テセウスが登場しても、「ギリシャ神話で有名なテセウスだな」ってことは分かるけど、この映画において、どういうキャラ設定なのかがイマイチ見えて来ない。
師匠との会話の意味も良く分からんし(テセウスは戦士になりたがっているということなのか)、母親たちが何をしているのかも良く分からん。
リサンドラが差別的態度を取るところで初めて、テセウスが父の分からぬ下層民だと分かるが、それじゃあ遅いし描写不足。
それ以前に、まず最初にテセウスの境遇や置かれている環境を示しておくべきなのよ。

開始から70分近く経過して、アエスラが村人にレイプされてテセウスを産んだことが語られるが、その設定を今さら明示して、何の意味があるのかと思ってしまう。
っていうか、そもそも、その設定自体が、何の意味も持ってないんだよね。
物語の中で、まるで活用されていない。
最初にリサンドラから差別的な態度を取られるけど、他の連中は蔑視していないし、テセウスが父の分からぬ下層民であることが、後の展開に何の影響も与えていない。

老師の正体はゼウスなんだけど、なぜ彼が最初から人間に化けてテセウスの師匠をやっているのか良く分からん。
アテナとの会話ではハイペリオンと戦うリーダー探しが目的みたいなことを言ってるけど、どうやらハイペリオンが神殿を襲う前からテセウスの近くにいたみたいだから、辻褄が合わないぞ。
ところが、後でテセウスは、少年時代に老師から剣を教わったことを回想しているんだよね。
おいおい、どういうことだよ。
それと、その回想シーンまで、老師がテセウスに戦い方を教えている様子が全く無いのは手落ちだ。

っていうか、ゼウスが人間に化け、少年時代からテセウスに剣を教えているという設定にしている意味が、まるで無いんだよね。
例えば「ハイペリオンが反乱を起こしてギリシャ人たちの惨殺を開始する」→「テセウスの前に謎の老人が現れ、戦い方を教える」→「実は老人の正体がゼウスで、テセウスを戦いのリーダーと見込んでいた」という流れで、何の問題も無いでしょ。
っていうか、そっちの方が遥かにスムーズだと思うんだが。

テセウスがハイペリオン軍に捕まった後、シーンが切り替わると、どこか良く分からない場所にいる。そこにはパイドラと仲間3人もいる。
奴隷たちの会話によると、秘密の神殿が見つかって捕まったらしい。
だったら、ハイペリオン軍が隠れ場所を発見し、4人を捕まえるシーンが欲しい。
それに、ハイペリオンは巫女から弓のありかをしているんだから、捕まえたのなら、なぜ早急に聞き出そうとしないのか良く分からんぞ。
ハイペリオンが巫女と会うシーンが無いまま脱走劇ってのは、不自然極まりない。

ハイペリオンは部下に対して「巫女には指一本触れるな」と命じていたらしいんだが、「力ずくで聞いてもいいのだぞ。女には堪えがたい方法で、そうすれば巫女ではいられなくなる」とレイプを示唆している。
だったら最初から、拷問でもすればいいじゃねえか。中途半端に紳士を気取っている意味が全く無いぞ。
そんで結局、捕まえた3人は殺しちゃうんだよな。
そいつらが弓のありかを知らないと確信したってことだろうが、なぜ確信できたのかは良く分からん。
それはともかく、結局は殺しちゃうんだから、なぜ最初は指一本触れずに軟禁していただけだったんだよ。
行動や考え方がメチャクチャで、コロコロと変わってるじゃねえか。

最初にアエスラは村で神官のいる迷宮にお供え物をしているらしいんだけど、そこを迷宮にしてあるのは、明らかに逆算しての設定だ。
後でミノタウロスとテセウスの戦闘をさせるから、そこは迷宮という設定にしておこうという考えなのだろう。
それ以外に、そこを迷宮にしておく意味や必要性が全く無いのよ。
供え物をする神殿みたいな場所らしいから、そこを迷宮にしていたら、毎度のように迷っちゃうでしょ。
と思ったが、テセウスにしろアエスラにしろ、普通に出入りしているから、迷宮の意味なんて無いんだよな。

ゼウスはアテナたちに対して「人間の戦いに介入しないのが掟」と言っているけど、アンタがテセウスに剣の稽古を付けているのは別にそれ構わないのかよ。
あと、アテナやアレスはテセウスの窮地に駆け付け、思いっきり戦いに介入しているんだけど、それならいっそのこと、ハイペリオンを始末すりゃあ良かったじゃねえか。いきなり目の前に現れ、圧倒的な破壊力で敵を全滅させることが出来るのなら、それも難しくないんじゃないかと。
あと、あっさりとアレスが殺されちゃうのは唖然とした。殺した相手はゼウスだけど、そんなに簡単にオリュンポス十二神の一柱を始末しちゃってもいいのかよ。
せいぜい罰を与える程度で良かったんじゃねえのか。

テセウスは、ギリシャ軍に信頼されたり尊敬されたりするための英雄的なことをやったわけではない。
そもそもギリシャ軍に参加するのは、物語も佳境に入ってからのことだ。
だから、最終決戦の直前、テセウスが動揺するギリシャ軍兵士たちをアジって奮い立たせるってのが、すんなりと受け入れられない。
なんで急にテセウスがリーダーを気取って、しかも兵士たちは素直に受け入れちゃうのかと。

クライマックスになると、ゼウスがアテナたちを引き連れて戦いに参加する。
「タイタン族が解放されたから戦いに参加する」ってことなんだけど、そこまできたら、もう神々が戦っちゃダメだわ。あくまでも人間のサポート役に留めるべきよ。
そこにきて急に主役の座を奪おうとするのは、物語のバランスを壊していると感じる。
だから、タイタン族が解放される前に戦闘を終結させるべきなのよ。

あと、解放されたタイタン族って、ちっとも強そうじゃないのよね。正直、最初は「タイタン族の手下みたいな連中なのかな」と勘違いしたぐらいだった。
だってさ、見た目も動きも、下っ端感がハンパないのよ。
タイタン族って巨大なはずなのに、サイズは人間と同じだし、神に対抗する強大な力を持つ連中には到底見えない。
数が多くてワラワラと襲い掛かるってのも、下っ端としての印象を与える要因の一つだ。
その攻撃方法は、「大勢で襲い掛かって武器で殴ったり突き刺したりする」というものなんだぜ。
特殊なパワーなんて、まるで使わないのよ。

ただし、一方の神々も、やはり強そうに見えないんだよね。
こちらも人間と同じサイズで、巨大化することは一度も無いし、やはり普通に武器を使って格闘するだけ。
で、下っ端にしか見えないタイタン族によって、ゼウス以外はあっけなく殺されてしまうのだ。
すんげえ弱っちいぞ。
そんな「弱い神々と、下っ端にしか見えないタイタン族の戦い」なんて見せられても、テンションが上がらないよ。

(観賞日:2013年4月4日)

 

*ポンコツ映画愛護協会