『逢いたくて』:1996、アメリカ

デヴィッド・ルイスは2年前に、妻ジリアンをヨットの事故で失った。それ以来、彼はショックから立ち直れずにいる。彼は夜になると海岸に行き、ジリアンの幻影と語るのが日課となっている。16歳の娘レイチェルは、そんな父親のことを心配している。
ジリアンの命日の前日、彼女の姉エスターとポール夫婦がデヴィッドとレイチェルの元を訪れた。エスターはケヴィンという女性を連れて来た。デヴィッドと結び付けるつもりなのだ。しかし、ジリアンを忘れられないデヴィッドにとっては迷惑なことでしかない。
エスターはデヴィッドが仕事もせずに世捨て人のような生活をしていることで、レイチェルに悪影響を及ぼすことを心配していた。夕食の時、エスターはレイチェルを引き取るつもりだとデヴィッドに告げる。もちろんデヴィッドは反対するが、エスターは親権裁判を起こす気だった…。

監督はマイケル・プレスマン、原作はマイケル・ブレイディー、脚本はデヴィッド・E・ケリー、製作はメアリーケイ・パウエル&デヴィッド・E・ケリー、共同製作はテリー・モース、撮影はティム・サーステッド、編集はウィリアム・スカーフ、美術はリンダ・パール、衣装はデボラ・L・スコット、音楽はジェームズ・ホーナー、音楽監修はハッピー・ウォルターズ&ピラー・マッカリー。
主演はピーター・ギャラガー、共演はミシェル・ファイファー、クレア・デーンズ、ローリー・フォーティエ、ウェンディ・クルーソン、ブルース・アルトマン、キャシー・ベイカー、フレディ・プリンゼJr.、レイチェル・セイドマン=ロケイミー、ロリ・ニュー、ダニー・クロック、セス・グリーン、トッド・ヘイヴェン他。


エミー賞を受賞するなど、TVドラマの世界での活躍が目立つデヴィッド・E・ケリーが、脚本と製作を務めた作品。彼の妻ミシェル・ファイファーがジリアンを演じる。
たぶん、ロマンティックでファンタジックな恋愛劇を描きたかったのだろうと思われる。

デヴィッド役のピーター・ギャラガーは、タキシードでカラオケをしたり砂の城に埋もれたりする。レイチェル役のクレア・デーンズは、尻に食い込むような水着でサービスカットを見せている。レイチェルのボーイフレンドのジョーイを演じるフレディ・プリンゼJr.は、これが映画デヴュー作。まあ、そんな作品(どんな作品だ)。

エスターが最初からデヴィッドに対してイライラしているのだが、デヴィッドはそんなに非難を受けるほど問題があるような印象を与えていない。
世捨て人と呼ばれるほど“世捨て”の様子も見せない。
そのため、エスターの怒りが完全に空回りしてしまう。

エスターが怒りを示すまでに、もう少し時間を掛けるべきだったのではないだろうか。
映画開始から30分も経たない内に「レイチェルを引き取る」と明言するが、心の中で思うのはともかく、デヴィッドに明言するのはもう少し後の方が良かったと思う。

余計なキャラクターや人間関係に時間を割き過ぎている。
レイチェルの友人シンディとポールの関係など、全く描写する意味が無い。
エスターとポールの夫婦関係も、特に時間を割く必要は無い。
それと、ジリアンの幻影を登場させる必要さえ無い。

ケヴィンの存在でデヴィッドが変化することが無いので、彼女は必要ない。
レイチェルとボーイフレンドのジョーイとの関係などは、あまり重視する必要が無い。
本来ならば、もっとデヴィッドとレイチェルの父娘関係を重要視せねばならないはず。
なのに、そこが薄くなっているのだ。

 

*ポンコツ映画愛護協会