『イレイザー』:1996、アメリカ

ジョニー・カステローネはマフィアのボスの裁判で証言台に立つことを決めたため、証人保護プログラム下に置かれていた。だが、不用意な行動で隠れ家がバレてしまい、マフィアの一味に襲撃された。そこに政府特別保護局の局員ジョン・クルーガーが現れ、一味を倒した。彼はジョニーが殺されたように細工し、一味が仲間割れで死んだように偽装した。それから家を爆破し、ジョニーを車で安全な場所に移動させた。ジョニーは感謝し、「困ったことがあったら何でも言ってくれ」と告げた。
ジョンは局長のベラーに呼ばれ、新しい任務を指示された。保護の対象は防衛兵器会社「サイレス社」の社員リー・カレンだ。サイレス社で何かが画策されていると察知した彼女は、FBIと協力して証拠を探ることになっていた。その証拠を掴んだ後、リーを保護して安全な場所に匿い、その存在を抹消して別の身分を与えるのがジョンの仕事だ。ベラーによれば、サイレス社内部で行われている悪事には、政府の人間も絡んでいるらしい。
翌日、リーは会社の金庫室に侵入し、“レール・ガン”と呼ばれる最新鋭のEM銃のデータをディスクにコピーした。しかし彼女の行動は、副社長のドナヒューに漏れていた。ドナヒューに呼び出されたリーは、FBIが監視していることを告げる。するとドナヒューは拳銃を取り出し、その場で自害した。リーはオフィスビルから逃亡し、FBIの車に乗り込んだ。ジョンはリーの元に赴くが、彼女は今までの生活を捨てて証人保護プログラム下に入ることを拒否した。
リーがFBIに渡したディスクは、保管庫の職員によって黒幕の手に渡った。しかしリーは、もう一枚のコピーを作成していた。帰宅した彼女はディスクの中身を調べようとするが、会社のシステムを使わなければ開くことが出来なかった。サイレス社の社員モアハートは、リーがコンピュータにアクセスしたことに気付いた。リーは親友であるワシントン・ヘラルド紙の記者アイザックスに電話を掛けた。アイザックスは、「ディスクを公表すれば保険になり、命を狙われなくなる」と述べた。
元カレのダリルが来たので、リーは冷たく対応した。モアハートが差し向けた刺客たちは、EM銃でリーを狙撃するチャンスを狙っていた。リーの家にジョンが乗り込み、危機を知らせた。一味はダリルを射殺し、家に乗り込む。ジョンは家を爆破し、リーを連れて脱出した。モアハートは国防省のハーパー次官に連絡を入れ、リーが生きていること、彼女がディスクを持っていること、アイザックスと通話していることを報告した。ハーパーは、すぐに手を打つよう命じた。
ジョンはリーを連れてチャイナタウンへ行き、かつて保護した女性メイリーンに身柄を預けた。ジョンはリーに新しい身分証を渡し、緊急の際は動物園へ避難するよう指示した。ジョンはロバートに呼び出され、保護した証人が立て続けに殺されていることを知らされた。そのため、残っている証人を隠れ家から移動させることになったという。いつもは単独行動を取っているジョンだが、今回はベラーの命令により、ロバートとコンビを組んでCIAと合同作戦を取ることになった。
空港へ赴いたジョンは、ロバートからCIA捜査官のカルデロンとシファーを紹介される。カロデロンはジョンに新聞を見せ、知っている人物か確認を取った。そこにはアイザックスが惨殺された記事が掲載されていた。一行はロバートの証人女性が隠れている山小屋へ向かう。山小屋には数名の刺客がおり、ジョンたちは撃ち合いになった。ロバートは証人を射殺し、刺客に殺されたように偽装した。カルデロンは刺客の一人が持っていたように見せ掛け、リーの写真をジョンに見せた。
帰りの飛行機で、ジョンはロバートに騙されて睡眠薬を投与された。薬で眠気に襲われる中、ジョンは携帯電話でリーに危機を伝えた。ジョンが眠った後、ロバートは彼の銃を使って新入りの局員モンローを射殺した。目を覚ましたジョンは、飛行機のハッチを開いて脱出し、パラシュートで降下した。ロバートはジョンがリーを動物園へ避難させたと察知し、手下を率いて向かう。リーが逃げ出すと、一味が追い掛けて来た。そこにジョンが駆け付け、リーを連れて逃亡した。
ベラーが動物園に来ると、ロバートはジョンが組織を裏切ったと主張した。ジョンはリーを連れて、かつて保護したロドリゲスの教会に移動していた。彼はベラーに電話を入れ、ロバートの仕業であることを告げた。悪事の証拠を掴もうとするジョンに、リーはディスクを差し出した。「サイレス社に行かなければ開くことが出来ない」と彼女が言うと、ジョンは「では、行こう」と告げた。
ジョンはジョニーを働かせているゲイ・クラブへ行き、彼に協力を要請した。ロバートはジョンがサイレス社に来ると確信し、厳重な警戒態勢を取った。ピザ配達員に化けたジョニーが発作を装い、救急隊員に成りすましたジョンとリーはオフィスビルに入り込んだ。2人は金庫室ではなく、ドナヒューの部屋からコンピュータにアクセスした。ディスクを調べたジョンは、ロバートたちが千丁のEM銃をロシアンマフィアのトポロフスキーに売却するつもりだと知った…。

監督はチャールズ・ラッセル、原案はトニー・パーイヤー&ウォロン・グリーン&マイケル・S・シャーヌチン、脚本はトニー・パーイヤー&ウォーロン・グリーン、製作はアーノルド・コペルソン&アン・コペルソン、共同製作はスティーヴン・ブラウン&キャロライン・ファム、製作総指揮はマイケル・タッドロス&チャールズ・ラッセル、製作協力はフランク・キャプラ三世、撮影はアダム・グリーンバーグ、編集はマイケル・トロニック、美術はビル・ケニー、衣装はリチャード・ブルーノ、音楽はアラン・シルヴェストリ。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー、共演はジェームズ・カーン、ヴァネッサ・ウィリアムズ、ジェームズ・コバーン、ロバート・パストレッリ、ジェームズ・クロムウェル、ダニー・ヌッチ、アンディー・ロマノ、ニック・チンランド、ジェリー・ベッカー、マーク・ロルストン、ジョン・スラッテリー、ロバート・ミランダ、マイケル・パパジョン、ジョー・ヴィテッリ、ローマ・マフィア、トニー・ロンゴ、ジョン・スナイダー、オレク・クルーパ、メローラ・ウォルターズ、シルク・コザート、K・トッド・フリーマン他。


『エルム街の悪夢3/惨劇の館』『マスク』のチャールズ・ラッセルが監督を務めたアクション映画。
脚本家としてクレジットされるのは2名だが、ジョン・ミリアスを始めとする多くのライターがリライトに携わったらしい。
ジョンをアーノルド・シュワルツェネッガー、ロバートをジェームズ・カーン、リーをヴァネッサ・ウィリアムズ、ベラーをジェームズ・コバーン、ジョニーをロバート・パストレッリ、ドナヒューをジェームズ・クロムウェル、モンローをダニー・ヌッチが演じている。

一言で言えば、出涸らしのような作品である。
当時のアーノルド・シュワルツェネッガーは一線級の肉体派アクション俳優としてバリバリに活躍していたわけだが、そんな彼にふさわしい作品とは言い難い。
裏を返せば、シュワルツェネッガーが主演していなければ、完全に低予算B級映画の企画内容ってことだ。何か別のビッグ・バジェットのメジャー映画があって、それに便乗する形で作られたB級映画という感じのシナリオだ。
そこに予算を注ぎ込み、派手な爆破などで飾り付けることで、A級映画に仕立て上げている。

ただ、シナリオがB級でも、そこで完全にアウトになるわけではない。
中身がすっからかんだったり、チープだったりするメジャー大作ってのも世の中には色々とあって、だけど映像演出やケレン味の付け方によっては面白いA級映画として成立するものだ。
ただ、この映画の場合、その手口がロバート・ドゥゲランと同じぐらい下手なので、底の浅さや安っぽさが透けて見えてしまうのだ。
どうやらチャールズ・ラッセル(もしくはチャック・ラッセル)監督は、どっぷりとB級センスに浸かっている人だったようだ。

主人公の味付けだけでなく、脇役キャラの使い方も上手くない。
アイザックスはジョンもリーも知らないところで殺されており、彼女が死んだことの意味が無い。リーが彼女にディスクを渡そうとしたり、助けを求めたりする動きがあったわけじゃないし。
アイザックスが殺されたことで、サスペンスが高まるわけでもない。
モンローは存在を示したかと思ったら、すぐに殺される。しかしロバートがジョンの銃で彼を殺さなかったとしても、物語の展開において大差は無い。だから完全なる無駄死にである。

終盤に入って、ロバートがハーパーと密会するシーンが用意されている。だけど、前半の内にハーパーがディスクを奪還してモアハートに指示を出す様子が描かれ、その後にはロバートが裏切り者であることも明らかにされている。
そうなると、ハーパーとロバートが結託していることは明白だ。だから、2人が密会するシーンを、そこまで引っ張る意味が無い。
それなら、ハーパーが黒幕だということを後半まで隠しておいた方がいい。
っていうか、ワルの正体を隠したからと言って話が抜群に面白くなるわけじゃないけど、それにしても淡白だなあと。
ロバートにしても、せめて山小屋じゃなくて帰りの飛行機までは正体の暴露を引っ張っても良かったんじゃないか。

終盤、ジョンはロバートに行動を見抜かれ、ディスクのデータを消去され、リーを拉致されるというボンクラなことをやらかしている。
そのヘマは置いておくとしても、そこでロバートがリーを拉致する行為には、何の意味も無いんだよな。リーが拉致されようがされまいが、ジョンが船の出るボルティモア港へ向かう行動は変わらないんだから。
ちなみに、そこでのバトルでは、敵のEM銃の攻撃はジョンに全く当たらない。それもジョンが策を凝らして狙撃を防ぐんじゃなくて、照準が合っていることに気付き、銃撃を避けている。
最新鋭の銃なのに、そんなに簡単に攻撃を回避されちゃうのかよ。

そんで、その港のバトルで終わっておけばいいものを、さらに話を続けてしまうんだよな。
そこで何を描くかというと、完全ネタバレだが、「裁判所を出たところでジョンとリーの乗り込んだ車が爆発。別の車で走り出したロバート、ハーパー、モアハートは浮かれるが、誰も爆弾を仕掛けていないことが判明。その時、車がロックされ、運転手に化けていたジョニーが外に逃げる。そしてジョンが現れ、その車を爆破する」というシーンだ。
だけどさ、悪党の誰も爆弾を仕掛けていないのなら、ジョンが自分とリーの爆死を偽装する意味って無いぞ。
何がしたかったのか。

(観賞日:2011年5月11日)

 

*ポンコツ映画愛護協会