『エレクトラ』:2005、アメリカ&カナダ

古(いにしえ)より、善と悪の軍団は戦いを繰り広げていた。悪は繰り返し姿を変え、最も邪悪な忍術を使った。現在、悪の軍団は自らを「ザ・ハンド」と名乗っている。善の軍団は、「キマグレ」の道に従った。道を究めた者は未来を見通し、死者を蘇生させるという。ここに、魂を亡くした伝説の女戦士がいた。彼女は善と悪の命運を握っており、そして両陣営が探し求める因縁の戦いの最終兵器だった。
暗殺者のエレクトラは、厳重な警備体制の建物に易々と潜入した。犯罪組織のボスであるデマルコは、エレクトラが来ることを予期していた。エレクトラは側近を軽く始末し、デマルコを抹殺した。ザ・ハンドの一員であるキリギは、首領であるローシに対して「もっと強気で迅速に行動すべきです」と主張した。キリギは「このままでは宝は敵の手に落ちます」と言い、自分に任せてほしいと求めた。しかしローシは、「私にお任せ下さい。この件は極秘に進めませんと」と述べた側近のメイズミに任せることにした。ローシは息子であるキリギに、「忍耐だ」と告げた。
エレクトラの家をエージェントのマッケイブが訪れ、今回の報酬を渡した。エレクトラは預金しておくよう頼んだ。新たな仕事を提案しようとするマッケイブに、エレクトラは「少し休みたい。疲れたわ」と告げた。しかし200万ドルという高額な報酬を聞かされた彼女は、マッケイブから地図を受け取った。指定された湖畔の別荘へ向かう途中、エレクトラは過去を回想する。彼女は「キマグレ」の首領であるスティックの力で蘇生し、稽古を積んだ。しかし悟りを求める彼女にスティックは「私では教えられん」と告げ、キマグレの本拠を出て行くよう促した。
別荘に到着したエレクトラは、マッケイブからの電話で「依頼主が2日前には現地に入るそうだ」と聞かされた。エレクトラは別荘に潜入したアビー・ハーパーという少女を捕まえた。反抗的な態度を取っていたアビーだが、盗もうとしたネックレスを発見されると「警察には言わないで。パパに殺される」と口にした。エレクトラは冷徹な態度で彼女を追い払った。エレクトラが海辺にいると、アビーの父親であるマークが来た。親子は近くのキャビンで暮らしているらしい。エレクトラはアビーの泥棒行為を彼に言わなかった。
なかなか標的を教えてもらえないことで、エレクトラは苛立ちを感じるようになっていた。彼女が海辺で佇んでいると、アビーが来てクリスマスのディナーに誘った。一度は断ったエレクトラだが、結局は招待を受けることにした。ハーパー父娘のキャビンを訪れた彼女は、マークが招待などしていなかったことを知る。しかしエレクトラが返ろうとすると、マークは「いてくれ。歓迎するよ」と引き留めた。エレクトラは父娘と夕食を取り、会話を交わした。マークは妻を事故で亡くしていた。
翌朝、別荘にファイルが届き、エレクトラは今回の標的がマークとアビーだと知った。2人の殺害をためらったエレクトラは、マッケイブに電話を掛けて「情報が少なすぎる」と告げる。マッケイブは「君がやらなきゃ、別の殺し屋が送り込まれる」と口にした。大雨の夜、ザ・ハンドの忍者集団がキャビンを包囲した。そこにエレクトラが駆け付け、ハーパー親子を部屋に避難させて助けて敵を始末した。彼女はマークとアビーに、「代わりの連中が来るわ」と告げた。
キリギはタイフォイド、ストーン、タトゥー、キンコウという4人の部下を引き連れ、ザ・ハンドの評議委員会に乗り込んだ。彼は宝を入手する必要性を改めてローシに訴え、自分に任せるよう申し入れた。ローシはキリギに「指導者の資格があることを証明しろ。私は引退する」と言い、仕事を任せた。エレクトラはスティックの元を訪れ、マークとアビーの保護を依頼した。スティックは「2人を助けた後のことを考えたのか」と質問し、エレクトラが「そんな暇など無かった」と答えると「何も変わっていない」と口にした。
スティックはエレクトラに、マークが大切にしている物をザ・ハンドに狙われているのだと指摘した。マークから「妻はザ・ハンドに殺された。事故というのは嘘だ」と聞かされたエレクトラは、「私は降りる」と口にした。スティックから辛辣に批判されたエレクトラは、感情的になった。彼女はマークとアビーに、遠くへ逃げるよう促した。自分は同行しないと告げたエレクトラだが、敵の存在を察知し、2人を車に乗せて逃走した。キリギはタトゥーに、「先に女暗殺者を始末する。追跡しろ」と命じた。
エレクトラはマークとアビーを連れて、マッケイブが待っている農場の家へ赴いた。エレクトラはマッケイブに、「あの2人に生きるチャンスを与えてあげたい。パスポートと航空券を用意して」と頼んだ。マークはアビーに、エレクトラには秘密を話さないよう指示した。敵の襲来を察知したエレクトラに、マッケイブは「地下のトンネルを使え」と指示した。エレクトラはマークとアビーを連れて地下のトンネルから外へ脱出し、マッケイブは家に残って敵を待ち受けた。
キリギはマッケイブを捕まえてエレクトラの行き先を読み取り、彼を始末した。森へ逃げたエレクトラは、追って来たストーンを倒した。アビーはキンコウに捕まるが反撃を受け、マークの投げナイフを受けて消滅した。驚くエレクトラの前にタイフォイドが現れ、彼女に襲い掛かった。エレクトラが生命力を吸い取られたところにキリギが現れ、アビーに「戦いは終わりだ」と言い放った。だが、そこへスティックがキマグレの忍者集団を率いて駆け付けたので、キリギたちは「また会おうぜと」告げて姿を消した。
エレクトラはキマグレの里で介抱を受け、意識を取り戻した。外に出ると、スティックがアビーに稽古を付けていた。エレクトラが「なぜ私を巻き込んだの?貴方とザ・ハンドが争っているのは、あのアビーでしょ」と責められたスティックは、「あの子は宝だ。5歳の頃から不思議な力を身に付けた。それを聞き付けたザ・ハンドが我が物にしようと動き始め、父は娘を隠した」と語った。スティックの話を聞いたエレクトラは、自分に仕事を依頼したのがスティックだと知った…。

監督はロブ・ボウマン、脚本はザック・ペン&スチュアート・ジッカーマン&レイヴン・メツナー、製作はアーノン・ミルチャン&ゲイリー・フォスター&アヴィ・アラッド、共同製作はケヴィン・フェイグ&ジョシュ・マクラグレン、製作協力はソフィー・アディー、製作総指揮はスタン・リー&マーク・スティーヴン・ジョンソン&ブレント・オコナー、撮影はビル・ロー、編集はケヴィン・スティット、美術はグレアム・マーレイ、衣装はリサ・トムチェスジン、音楽はクリストフ・ベック、音楽監修はデイヴ・ジョーダン。
出演はジェニファー・ガーナー、ゴラン・ヴィシュニック、テレンス・スタンプ、カーステン・プラウト、ウィル・ユン・リー、ケイリー=ヒロユキ・タガワ、ナターシャ・マルテ、ボブ・サップ、クリス・アッカーマン、エドソン・T・リベイロ、コリン・カニンガム、ヒロ・カナガワ、マーク・ホートン、ローラ・ウォード、カート・マックス・ランテ、ナサニエル・アーカンド、アーロン・アウ、キーヴァン・オーツジ、イアン・トレイシー、ジャナ・ミッツォーラ、ショーン・アキラ、タク・カワイ、ケンドール・クロス、タイ・オルソン他。


2003年の映画『デアデビル』に登場したエレクトラを主人公にしたスピン・オフ作品。
『デアデビル』に引き続き、ジェニファー・ガーナーがエレクトラを演じている。
他に、マークをゴラン・ヴィシュニック、スティックをテレンス・スタンプ、アビーをカーステン・プラウト、キリギをウィル・ユン・リー、ローシをケイリー=ヒロユキ・タガワ、タイフォイドをナターシャ・マルテ、ストーンをボブ・サップ、タトゥーをクリス・アッカーマン、キンコウをエドソン・T・リベイロが演じている。
アンクレジットだが、デマルコ役でジェイソン・アイザックスが出演している。
監督は『X-ファイル ザ・ムービー』『サラマンダー』のロブ・ボウマン。

確か『デアデビル』って酷評を浴びて興行的にも惨敗したはずなんだけど、どうやらマーベル・エンタープライズや20世紀フォックスは「エレクトラだけは使える」と踏んだらしい。
しかし実際は、『デアデビル』にも増して酷評を浴び、『デアデビル』と同様にコケた。
予算は『デアデビル』の半額ぐらいだったが、「北米での興行収益が製作費の半分程度」というのは『デアデビル』と同じだ。

冒頭、アメコミのイラストが次々に写し出される中で、「古(いにしえ)より、善と悪の軍団は戦いを〜中略〜戦いの最終兵器だった」というナレーションが語られる。
その後、本編が開始されると、『デアデビル』でブルズアイに殺されたはずのエレクトラが、何食わぬ顔で登場する。
『デアデビル』で死んだ設定を無かったことにしているわけではない。後になって、スティックが蘇生させた時の回想シーンが挿入される。
なんか都合のいい設定だと思うかもしれないが、何しろ蘇生させたのが「キマグレ」なんだから、そういうモンだと思って受け入れるしかない。

ところで冒頭のナレーションで出て来る「キマグレ」って何のことかと思ったら、善の組織の団体名が「キマグレ」ってことらしい。
そこ、もうちょっとキッチリと説明しておこうぜ。
あと、キマグレとザ・ハンドが敵対関係にある理由が何も用意されておらず、ただ「善と悪だから」というだけで済ませているのも、すげえ適当だよな。
ザ・ハンドの最終目標が何なのかサッパリ分からんし。

本編に入ると、デマルコがエレクトラについて側近に長々と語るが、ようするに観客に対しての説明だ。
その中で彼は、「エレクトラは30分で14人を殺したのに俺だけは見逃した。モンテカルロにいたらエレクトラが来たが、警護していたザ・ハンドの連中を全滅させただけで自分は見逃された。その理由がやっと分かった。逃げ場の無い恐怖を与えるためだったんだ」と語る。
だけど、標的を2度もわざと見逃して、それからようやく始末するって、暗殺者としてはボンクラとしか思えないぞ。さっさと殺せばいいだろ。
デマルコの言う通り「逃げ場の無い恐怖を与える」というのが目的だったとしても、やっぱり阿呆にしか思えん。

それと、エレクトラって「気付かれずに侵入し、忍び寄る凄腕の暗殺者」という設定みたいだけど、それにしてはSMの女王様みたいな緋色のスーツを着ているので、「目立つ気満々じゃねえか」とツッコミを入れたくなる。
まあアメコミのキャラクターだから、その辺りのバカバカしさは仕方が無いんだろうけどさ。
キマグレの連中も白装束だから、忍者なのに目立ってしまうしね。
あと、キマグレもザ・ハンドも忍者集団のはずなんだけど、エレクトラの武器がサイだったり、ザ・ハンドの武器がネイルガンだったり、色々な所でデタラメなオリエルンタル風味が散りばめられている。

マッケイブから「標的はデマルコだけだ。護衛まで殺すなんて」と仕事のやり方を注意されたエレクトラは、クールな態度で「仕方が無かった」と言う。
「邪魔する奴を始末しただけだ」とうそぶくわけではないので、護衛を殺したのは本意では無くホントに仕方なく始末しただけという考えなのかというと、そうは思えない。
だが、護衛を殺す別の理由があるのかというと、それも良く分からない。

そのシーンで何が一番の問題かっていうと、マッケイブに「標的以外も容赦なく殺すのは、やりすぎ」と非難させていることが、後の展開に全く関連していないということだ。
わざわざ仕事の手口を注意させるからには、そこに何か意味があるのかと思ったら、特に何も無い。
後で「標的がミラー父娘と知ったエレクトラが仕事を拒否する」という展開はあるが、それはエレクトラが標的だけを始末する仕事の手口だったとしても、同様の展開を作ることが出来る。
「標的だけじゃなく護衛も殺していたエレクトラが、ミラー父娘を助けることにした」という部分が「標的だけを確実に仕留めていた暗殺者のエレクトラが、ミラー父娘を助けることにした」という形に変わったとしても、それほど大きな差は無い。

別荘に到着したアビーは、少女時代に父親のニコライからプールでの訓練を強いられたことや、家でママを捜していたら角の生えた悪魔の影を目撃したことをフラッシュバックで見る。
しばらくはザ・ハンドが動かないし、アクションも無いので、そういうミステリーを用意し、緊迫感を持たせて観客の興味を引っ張ろうという狙いがあるんだろう。
だから、「どうでもいいわ、そんな要素」と思っちゃダメだ。ワシはそう思ってしまったけど、貴方が優しい人なら、そんな風には思わないであげるべきだ。
エレクトラが泳いだりトレーニングしたりしているのが、ただダラダラと時間を消費しているようにしか思えなくても、そう思わないように努めてあげよう。

エレクトラは「常にクールで表情を崩さず、他人とは距離を置こうとする」というキャラ設定で、だからアビーとマークに対しても冷淡な態度を取っているはずだ。
しかしアビーからクリスマスのディナーに誘われるシーンでは、簡単に笑顔を見せている。
それは心を許すのが早くねえか。もうちょっと粘れよ。
そんなに簡単に鉄仮面を外すなら、最初からもう少し砕けた感じでハーパー親子と接しろよ。

ファイルが届いて標的がマーク&アビーだと知り、エレクトラは仕事に取り掛かる。
どうやって始末するのかと思ったら、別荘の外に出てアーチェリーを構え、キャビンに狙いを定める。
ライフルじゃないのね。だからって、忍者らしい武器を使うわけでもないのね。
なぜアーチェリーという武器をチョイスしたのか、そのセンスは良く分からない。
っていうか、遠距離からの攻撃を狙っている時点で疑問があるし。キャビンへ侵入して殺せばいいでしょ。
今さら「キャビンに入ったら足が付く」とかいう問題でもないし。

標的がハーパー親子だと判明した時点で、「標的のすぐ近くの別荘に暗殺者を何日も滞在させてから殺しを依頼するってのは、暗殺者からすると、ものすごくリスキーな仕事だよな」と感じる。
殺しが遂行された後で捜査が開始されたら、すぐに「殺人の数日前から別荘を使っていた人物」は怪しまれるでしょ。
ただ、この仕事には、それどころではない真相が隠されていた。
終盤に入り、実は殺しの依頼者はスティックであり、その目的はエレクトラに悟りを開かせることにあったことが判明する。
つまり「アビーの境遇に同情して仕事を放棄し、親子を守ろうとする。それが悟りに繋がる」ということなんだけど、バカバカしいと思っちゃダメなんだろうな、たぶん。

ハーパー親子を助けたエレクトラは、スティックの元を訪れる。
「ってことはキマグレの道場へ連れて行くんだな」と思ったら、それは大間違い。なんとスティックがいるのは町のビリヤード場だ。スティックは名前が示す通り棒術の達人で、だからビリヤードも得意ということらしい。
で、別に得意なのは構わんが、だからってビリヤード場にいるこたあ無いだろう。
そのせいで、スティックの指導者としてのオーラや忍者としての神秘性が一気に消え失せているぞ。
それが狙いだとしたら大成功だが、映画としては失敗だ。

ビリヤード場でマークに嘘をつかれていたと知ったエレクトラは「私は降りる」と言い、親子だけで逃げるよう告げるが、その直後には2人を守ることにしている。
農場を訪れると、アビーはエレクトラのことを「私の唯一の友達」と言っており、エレクトラも彼女を娘のように可愛がる。エレクトラとマークは、すっかり恋人関係のようになっている。
その3人に疑似親子の絆や恋愛感情が芽生えていく過程のドラマは、スッパリと省略されている。
しかも、マークはエレクトラに愛をアピールしてキスまでしているのに、アビーには「まだ彼女を信用できないから秘密は喋るな」と釘を刺している。
どういうことやねん。

ところで、親子の隠している秘密ってのは、「実はアビーが宝」ということだ。
なぜ宝なのかというと、財宝のありかを示す地図が背中に彫られているとか、そういうわけではない。ちょっと説明はボンヤリしているが、「類まれなる格闘能力を持っている」ということを「宝」と称しているようだ。
でも、演じているカーステン・プラウトのアクションが圧倒的な説得力を持っているわけでもないし、ただ「格闘能力が凄い」ってだけで2つの組織が奪い合うのは、どうにも物語の鍵を握る存在として弱すぎる。
そこは人間離れした特殊能力ということにしておいた方が良かったんじゃないのかねえ。

さて、もうすぐ上映開始から1時間という辺りに来て、ようやくエレクトラとザ・ハンドの本格的な戦いに突入する。
前半で名も無き雑魚キャラたちとの戦いはあったが、役名のある敵キャラクターと戦うのは、そこに来て初めてだ。
それぞれに特技が設定されており、外見の色分けもちゃんと出来ているので、どんなに個性的で魅力的な悪党たちだろうとワクワクしていたら、そのワクワクはあっという間に萎んでしまうのだった。

まず最初にエレクトラが戦う相手はストーン。巨漢で怪力のブルファイターだ。
突き刺したサイが折れてしまうような頑丈な肉体を持ち、一撃でエレクトラを大きく吹き飛ばす。軽々と棍棒を投げ飛ばし、エレクトラは 木の上に慌てて避難する。
さて、ここから本格的なバトルが開始されるのか思いきや、その直後にあっけなく終了する。大声を上げたアビーを捕まえようとしたストーンは、倒れた大木の下敷きになって死ぬのだ。
戦闘開始から終了まで、1分も掛かっていない。
一応、「棍棒で裂け目が入って倒れて行く大木の上をエレクトラが走り、ストーンを押し潰す」という形ではあるが、情けない死に方であることには違いない。

次に戦うのはキンコウかと思ったら、エレクトラが戦う前に、アビーに投げ飛ばされ、マークのナイフを受けて消滅する(書き忘れていたけど、なぜかザ・ハンドの連中は、死んだ途端に小爆発を起こして消滅する)。
キンコウに関しては、特技が何なのかさえ分からない内に、それもエレクトラと戦わずして死ぬ。
ちなみに、そいつと同時にタトゥーの放った狼も襲ってきている。
タトゥーってのは刺青の動物を実体化させて操る能力の持ち主で、その時は狼を飛ばしているんだが、マークが棒切れをくわえさせて、簡単に動きを止めている。で、アビーがキンコウを倒した直後、ナイフを投げて狼を始末する。
どいつもこいつも、ちっとも苦戦させねえのな。

次のタイフォイドは、一応はエレクトラを危機に追い込んでいるので、ようやく「強敵」と呼んでもいい奴ってことになる。
ただ、設定としては「唇から相手の生命力を奪う」という能力の持ち主なんだけど、映像としては「レズビアンのゴスロリ女がエレクトラにキスをして骨抜きにしている」という、緊迫感もへったくれも無いシーンになってしまっている。
しかも、キマグレの人々が駆け付けて里へ連れて帰ると、エレクトラはすぐに回復しちゃうしね。

都合のいい時だけテレパシーで会話を交わすことの出来るエレクトラとキリギは、タイマンで決着を付けることにする(っていうか、そこ以外にテレパシーで会話を交わすシーンは無いのだが)。
2人が対決する場所は、エレクトラの生家だ。
角の生えた悪魔の影が出て来るフラッシュバックについて前述したが、その正体は、実はキリギだった。エレクトラは母親をキリギに殺され、その恐怖がキリギの姿を悪魔に変えていたということらしい。
「悪魔じゃなかったのかよ」という肩透かし的な種明かしは受け入れておくとして、エレクトラの母をキリギが殺した理由は何なのかと思っていたら、それは明かされないまま映画は終わっている。

そのままタイマン対決で終わってしまうと、まだタイフォイドとタトゥーが残っている。こいつらの始末を付けなきゃいけない。
タトゥーは大量の蛇を出現させるが、エレクトラは全く怯まず、あっさりとタトゥーを始末する。タイフォイドはアビーを襲って「昔は私も宝だった」と言うが、その意味ありげなセリフは放り出されたままで終わっている。
で、まだタイフォイドが残っているのに、エレクトラは先にキリギを倒してしまい、後からタイフォイドを簡単に始末する。アビーは生命力を奪われているが、もちろん簡単に回復する。
で、まだザ・ハンドの連中やローシは残っているのに、「全てが終わった」という感じで映画は幕を閉じる。
上手く行けば続編を作ろうという目論みがあったのかもしれないが、続編が作られたのかどうかは皆さんがご存知の通り。

(観賞日:2013年12月19日)

 

*ポンコツ映画愛護協会