『愛と哀しみの旅路』:1990、アメリカ

1936年、ロサンゼルスのリトル東京。ニューヨークからやって来たアイルランド系アメリカ人ジャックは、日系二世の映画館主の娘リリー・カワムラと出会った。ジャックとリリーは、すぐに互いに惹かれ合うようになる。
両親はジャックとリリーの交際に反対するが、2人は自分たちの思いを貫き、ついに結婚した。やがて娘ミニーが生まれ、幸せな暮らしが続く。しかし、彼らには戦争の影が次第に忍び寄ってくる。そして、ついに日本軍が真珠湾を攻撃した。
米国の敵として、日系人は迫害を受けるようになった。やがて、全ての日系人達は、砂漠の真中にあるマンザナール収容所に強制収容されることになる。離れ離れになるジャックとリリー。2人に幸せな日々は戻ってくるのか…。

監督&脚本はアラン・パーカー、製作はロバート・F・コールズベリー、製作協力はネリー・ナジエル、撮影はマイケル・セレシン、編集はゲリー・ハンブリング、美術はジェフリー・カークランド、衣装はモリー・マギニス、音楽はランディ・エデルマン。
出演はデニス・クエイド、タムリン・トミタ、サブ・シモノ、シズコ・ホシイ、スタン・エギ、ロナルド・ヤマモト、アケミ・ニシノ、ナオミ・ナカノ、ブラディ・ツルタニ、エリザベス・ギリアム、シェリー・メジック、キャロライン・ジュンコ・キング、ブルート・テイラー・ヴィンス、コーム・メラニー、ベッキー・アン・ベイカー、ジョン・フィネガン他。


どうにもセンスの感じられない邦題が付いているが、中身も同レベルなのでOKだろう。第二時世界大戦中の様子も描かれるが、これは戦争について描いた映画ではない。日系人差別を描いた、社会派の作品でもない。

これは単純な恋愛映画であり、メロメロのメロドラマである。大切なのはラブロマンスであった、戦争はそれを取り巻く環境に過ぎない。もちろん、戦争という特異な状況を生かして上質な恋愛劇を描けば、何の文句も無いわけだ。

ところが、その環境を全く生かし切れていない。リリーと家族の収容所での生活は重要なポイントのはずだが、それほど悲惨な状態に見えないのだ。
収容所での厳しい生活が深く掘り下げて描かれていないため、リリーの苦難やジャックと引き裂かれた悲しさが見えてこないのだ。

哀しみが見えないから、それがあることで盛り上がっていく愛も見えない。愛と哀しみの旅路は、どこかに消えて無くなったらしい。そして後には、「何が描きたいのか、さっぱり分からない」という感想だけが残された。

 

*ポンコツ映画愛護協会