『今そこにある危機』:1994、アメリカ

大統領の友人ハーディンと家族が殺害され、コロンビアの麻薬カルテルに属する2人が犯人として逮捕された。CIA情報担当官ジャック・ライアンは、ハーディンがカルテルのボスであるエスコベドの資金洗浄を担当していたことを知る。
上司であるグリア提督が癌で入院したため、ライアンはCIA副長官代行を命じられた。彼はハーディンが組織の金を横領したために殺されたと確信していた。ライアンは早速、コロンビアの麻薬カルテルの全容調査に取りかかる。
だが大統領補佐官カッターとCIA担当副長官リッターは、密かにジョン・クラーク率いる特殊部隊をコロンビアに送り、武力によってカルテルを壊滅させようとしていた。一方、エスコベドの相談役コルテスが、カルテルの支配を企んでいた…。

監督はフィリップ・ノイス、原作はトム・クランシー、脚本はドナルド・スチュアート&スティーヴン・ザイリアン&ジョン・ミリアス、製作はメイス・ニューフェルド&ロバート・レーメ、共同製作はラルフ・S・シングルトン、製作協力はリズ・ケーン、撮影はドナルド・M・マッカルパイン、編集はニール・トラヴィス、美術はテレンス・マーシュ、衣装はバーニー・ポラック、音楽はジェームズ・ホーナー。
主演はハリソン・フォード、共演はウィレム・デフォー、アン・アーチャー、ホアキン・ド・アルメイダ、ヘンリー・ツァーニー、ハリス・ユーリン、ドナルド・モファット、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ミゲル・サンドヴァル、ベンジャミン・ブラット、レイモンド・クルス、ディーン・ジョーンズ、ソーラ・バーチ、アン・マグナソン、ホープ・ラング、トム・タミー他。


トム・クランシー原作の小説“ジャック・ライアン”シリーズの一編を映画化した作品。
ライアンを演じるのは、『パトリオット・ゲーム』に続いてハリソン・フォード。クラークをウィレム・デフォー、ライアンの妻キャシーをアン・アーチャーが演じている。

邦題は『今そこにある危機』となっているが、「今どこにある、危機?」と言いたい。
そして問いたい。
主人公に危機が迫っている場面はあるのだが、それを危機だとは感じない。
たぶん主人公は思っているんだろうけど、観客には伝わらない。

とにかく人間関係がややこしい。
そして、それを消化しきれていない。
ジャックの妻キャシーや上司のグリア提督といったキャラクターを、わざわざ時間を割いてクローズアップする必要は無かったように思う。
余計な人物が多すぎて、ゴチャゴチャしている。

で、肝心のジャック・ライアンが冴えない。活躍した印象が全く残らない。
頑張ってるとは思うけど、なんだかカッコイイとは思えないんだなあ。
特殊部隊のリーダーであるクラークの方が、よっぽどカッコイイと感じてしまった。
それじゃマズイでしょ。

とにかく話が入り組んでいる。
そして、それを消化しきれていない。
ややこしい話がアクションの迫力やサスペンスの緊張感を邪魔している。
盛り上がりそうな場面でも、なぜか作品は盛り上がることを避けてしまう。
そして私は、この映画を避けたくなってしまう。

 

*ポンコツ映画愛護協会