『悪魔の棲む家』:2005、アメリカ

1974年11月13日、ロングアイランドのアミティーヴィルにあるデフェオ家。23歳の長男ロナルドは深夜に「殺せ」と指示する声を聞き、就寝中の家族5人を次々に殺害した。目を覚ました末娘のジョディーも、ロナルドによって銃殺された。逮捕されたロナルドは、警察の取り調べに対して「家の声に命じられて殺した」と証言した。その1年後。ジョージとキャシーのラッツ夫妻は、長男のビリー、次男のマイケル、末娘のチェルシーと共に平穏な日々を送っていた。子供たちの父親は既に死去しており、ジョージはキャシーの再婚相手だ。ジョージとキャシーは、新しい家への引っ越しを考えていた。
キャシーは売りに出ていたアミティーヴィルの物件に強い関心を抱き、見に行くことにした。ジョージは、高級住宅街なのに物件の価格が異様に安いため、疑問を抱いた。家の前で待っていた不動産業者のイーディスは、2人を中に案内した。建設業者のジョージは屋内を見て、ますます広告の価格を不思議に感じた。「本当にこの値段なら、とんでもない掘り出し物だ」と彼が言うと、イーディスは「掘り出し物だといけませんか」と笑う。ジョージが2階の窓から外を見ると、ボート小屋があった。
イーディスは人の気配を感じるが、それをジョージしキャシーには話さなかった。彼女は夫妻を地下室に案内するが、自分は入ろうとしなかった。地下室には事件発生時刻の3時15分で止まっている電気時計があった。キャシーはその家がすっかり気に入り、購入したいとジョージに持ち掛ける。ジョージは「この家は確かにお買い得だけど、それは金持ちにとってのことだ。僕らがこの家を買うのは厳しい」と難色を示す。しかし「節約すれば何とかなるわ」とキャシーに説得され、結局は購入することに決めた。
しかしジョージは値引きの理由をイーディスがすぐに話そうとしなかったため、訳有り物件と確信する。するとイーディスは、殺人事件があったことを打ち明けた。キャシーは「そんな曰くつきの家じゃあ、やっぱりダメね」と言うが、ジョージは「家は人を殺さない。人を殺すのは人だ」と告げ、購入の契約を交わした。そして引っ越した初日、キャシーやマイケルたちがはしゃぐ様子を、ジョージは8ミリで撮影する。だが、今も実父の死を引きずっているビリーは、まだジョージに懐いていなかった。
深夜3時15分、寝室でキャシーと情事に及んでいたジョージは、首を吊るジョディーの姿を目にする。だが、ジョージが狼狽した次の瞬間には姿が消えており、キャシーはジョディーを目撃しなかった。翌朝、キャシーがチェルシーの部屋へ行くと、「クローゼットに住んでる女の子と喋ってるの」と彼女は言う。キャシーが「お名前は?」と訊くと、チェルシーは「ジョディーよ」と答える。キャシーは娘がイマジナリー・フレンドと遊んでいるのだと解釈するが、ジョディーは部屋の中にいた。
地下室を仕事場にしたジョージは、そこにマイケルが入ったと知り、「仕事場には二度と入るな」と厳しく注意した。買い物から戻ったキャシーは、チェルシーが見当たらないのでジョージと一緒に慌てて捜し回る。チェルシーはボート小屋におり、「ジョディーにボートを見せてたの」と告げた。キャシーはチェルシーを抱き締めると、「貴方が目を離すからよ」と険しい顔でジョージを責めた。
夜中に尿意を催して目を覚ましたマイケルは、ボート小屋の扉が開閉するのを目撃して怯える。トイレを済ませたマイケルは手を洗おうとするが、蛇口を捻っても水が出ない。背後には男の幽霊が立っていたが、マイケルは気付かなかった。蛇口から血が垂れ落ちたので、マイケルは慌てて寝室へ戻った。廊下の窓が全て開き、ダイニングの椅子が動くというポルターガイスト現象が起きた。マイケルを銃殺して自害する悪夢でジョージが飛び起きたのは、深夜3時15分だった。
寝室の窓は全て開いており、ジョージはボート小屋の扉が開いて風船が飛んで行くのを目にした。チェルシーがいると確信したジョージは、急いでボート小屋へ向かった。水泡が浮き上がって来たので、ジョージは迷わずに飛び込んだが、チェルシーは見つからなかった。ボート小屋を出て家を見上げると、チェルシーとジョディーが並んで窓からこっちを覗いていた。しかしジョージがチェルシーの部屋へ駆け込むと、彼女はベッドで眠っていた。ジョージはクローゼットに入り、ヌイグルミを手に取った。ジョディーが何者かの腕によって天井に抱え上げられているのを、彼は気付かなかった。
引っ越して15日目、ジョージはビリーの部屋でボート小屋の鍵を見つけ、彼を注意する。だが、ビリーは「やってないのに謝る必要なんて無いでしょ」と反発した。ビリーはジョージから丸太を運ぶよう命じられ、「偉そうに」と文句を言いながら従う。台所にいたキャシーは、背後を誰かが横切る気配を感じる。振り向くと誰もいなかったが、冷蔵庫に貼ってあるアルファベットの磁石がいつのまにか動いて「KACTH 'EM & KILL 'EM」(彼らを捕まえろ、そして彼らを殺せ)というメッセージになっていた。
キャシーはジョージを呼びに行くが、見当たらない。台所に戻ると、ジョージは冷蔵庫を開けて牛乳を飲んでおり、磁石はバラバラになっていた。「そこの磁石、触った?」とキャシーが尋ねると、ジョージは怪訝そうな表情を浮かべた。ジョージとキャシーは夫婦で外出するため、ベビーシッターを呼ぶ。ビリーは不満そうな態度を見せるが、やって来たベビーシッターのリサがセクシーな美女だったので、途端に緊張する。リサはラッツ夫妻に、デフェオ家の時も来ていたことを明かした。
ジョージとキャシーはイタリア料理店へ出掛け、ディナーを取った。リサはバスルームに入り、ドラッグを吸った。リサはビリーの部屋で、彼にデフェオ家の事件を話す。「このベッドに寝ていた弟たちをロナルドは殺したのよ」と聞かされ、ビリーは怖くなった。部屋に来たマイケルもリサの話を聞き、身を震わせた。リサは「怖がらせたみたいね」と言いながら、フッと小さく笑った。リサがジョディーの部屋に2人を連れて行って話を続けていると、チェルシーが来て「ジョディーが悪いベビーシッターだって言ってる」と告げる。
リサがクローゼットに入ると、扉が開かなくなった。ビリーとマイケルが開けようとしても、びくともしない。ジョディーがクローゼットに表れてリサに話し掛け、ロナルドに撃たれた額の傷を見せた。ジョディーはリサの指を掴み、額の穴に突っ込ませた。銃声と共にジョディーは後ろへ弾け飛び、リサは絶叫した。ビリーたちの連絡で救急車が駆け付け、正気を失ったリサは担架に乗せられた。帰宅したキャシーは、リサの「ジョディーを見た、死んだはずなのに」という言葉を聞いた。
ジョージはビリーとマイケルの悪ふざけだと思い込み、「やりすぎだ」と注意する。ビリーが「この家がやったんだ」と説明しても、ジョージは聞く耳を貸さずに怒鳴り付ける。キャシーが諌めても、ジョージは「こいつらに何を言っても無駄だ」と言う。「どうして事件のことを隠してた?リサから聞いた」とビリーが責めるような口調で訊くと、ジョージは「あのベビーシッターは馬鹿だ」と吐き捨てた。キャシーが就寝を促すと、ビリーとマイケルは寝室へ行くのを嫌がった。するとジョージは「そのマヌケ面を洗ってから寝ろ。早く行け」と冷たい態度で命じた。
キャシーはチェルシーの寝室へ行き、「リサに何があったか教えてくれない?」と訊く。チェルシーは「リサは前にジョディーを苛めてた。だから仕返しされたの」と話す。さらに彼女は、「でも、あの男は悪い奴だから、いなくなってほしいって。彼がジョディーに悪いことをさせるの」と告げる。次の日、ジョージは薪を割り、ビリーに全て運ぶよう命じた。夕食の時間になっても薪運びを続けさせるジョージに、キャシーは「これって虐待じゃない?」と言う。しかしジョージは薄笑いを浮かべ、「親父から教わったことをビリーに教えているだけだ」と告げる。地下室に入って作業をしていたジョージは、「捕まえろ、殺せ」という声を耳にした。
入浴したジョージは、悪霊によって浴槽に沈められそうになる。異変を察知したキャシーが駆け付けると悪霊は消えており、ジョージは震え上がった。医師の診察を受けたジョージは、精神科医へ行くよう促される。しかしジョージは呆れるだけだった。ジョージとキャシーが帰宅すると、チェルシーが屋根に上がって楽しそうに手を振っていた。慌ててキャシーが助けに行くと、チェルシーは「ジョディーと一緒に行くの」と笑う。チェルシーは屋根から飛び降りるが、間一髪でキャシーが手を伸ばして捕まえた。手が離れてチェルシーは落下するが、ジョージが受け止めた。
キャシーから叱責されたチェルシーは、「ジョディーが見たいって言ったの」と釈明する。キャシーは「ジョディーなんかいないのよ」と半狂乱で怒鳴るが、チェルシーは「ジョディーはいるわ。だって見えるもん。パパに会わせてくれるって。ここにいて、ずっとジョディーと一緒にいられるって」と反発する。「パパに会いたい」と言うチェルシーに、キャシーは「会いたくても、天国にいるから会えないの」と告げ、涙を浮かべて抱き締めた。その様子を見ていたジョージは、「お前ら、どうかしてる」と冷たく告げた。
キャシーはキャラウェイ神父の元を訪れ、助けを求めた。キャラウェイが「少し前に同じように悩んでいる家族がいました」と言うと、キャシーは「デフェオ家ね。その家に住んでいます」と告げる。夜、ジョージが8ミリの映像を見ていると、そこに写っているビリーの顔が悪魔のように変化した。深夜3時15分、「捕まえろ、殺せ」という声で目を覚ましたジョージは、庭に出て斧を手に取った。ボート小屋に入った彼は、悪霊を見つけて斧で惨殺する。だが、彼が殺したのは飼い犬のハリーだった。
翌朝、キャシーは「この家は呪われてる。引っ越しましょう」とジョージに相談する。しかしジョージは「家が軋んでるから、修理する。途中で投げ出すわけにはいかない」と言い、恐ろしい形相でキャシーを睨み付け、彼女の指を捻じ曲げようとした。キャシーが必死で訴えると、ジョージは「俺はどこにも行かない。お前もだ。このクソッタレ」と怒鳴り付けた。キャラウェイは家を訪れる、チェルシーの抱いている熊のヌイグルミに目を留めた。彼はキャシーに、「あのヌイグルミはジョディーの物です。私が棺に入れたのです」と話す。キャラウェイは悪魔祓いの儀式を始めようとするが、ハエの大群に襲われて逃げ帰る…。

監督はアンドリュー・ダグラス、原作はジェイ・アンソン、オリジナル脚本はサンドール・スターン、脚本はスコット・コーサー、製作はマイケル・ベイ&アンドリュー・フォーム&ブラッド・フラー、製作協力はマシュー・コーハン&ステファン・ソネンフェルド、製作総指揮はテッド・フィールド&デヴィッド・クロケット、共同製作総指揮はスティーヴン・ホイットニー&ポール・メイソン&ランドール・エメット&ジョージ・ファーラ、 撮影はピーター・ライオンズ・コリスター、編集はクリスチャン・ワグナー&ロジャー・バートン、美術はジェニファー・ウィリアムズ、衣装はデヴィッド・ロビンソン、音楽はスティーヴ・ジャブロンスキー。
出演はライアン・レイノルズ、メリッサ・ジョージ、フィリップ・ベイカー・ホール、レイチェル・ニコルズ、クロエ・グレース・モレッツ、ジェシー・ジェームズ、ジミー・ベネット、イザベル・コナー、ブレンダン・ドナルドソン、アナベル・アーマー、リック・コメニック、デヴィッド・ギー、ダニー・マッカーシー、ナンシー・ローラー、ジョゼ・タイターノ他。


ジェイ・アンソンのベストセラー小説『アミティヴィルの恐怖』を基にした1979年の同名映画をリメイクした作品。
マイケル・ベイがブラッド・フラー&アンドリュー・フォームと共に設立した映画製作会社「プラチナム・デューンズ」が『テキサス・チェーンソー』に続いて製作した2本目の作品。設立当時のプラチナム・デューンズは、ホラー映画のリメイクを専門とする映画製作会社だった。
監督のアンドリュー・ダグラスはミュージック・フィルムやコマーシャルのディレクターとして活動し、2003年に初監督を務めたドキュメンタリー映画『Searching for the Wrong-Eyed Jesus』が高評価を受けた人で、娯楽映画は本作品が初めて。
脚本は『テキサス・チェーンソー』『マシニスト』のスコット・コーサー。
ジョージをライアン・レイノルズ、キャシーをメリッサ・ジョージ、キャラウェイをフィリップ・ベイカー・ホール、リサをレイチェル・ニコルズ、チェルシーをクロエ・グレース・モレッツ、ビリーをジェシー・ジェームズ、マイケルをジミー・ベネットが演じている。

映画の冒頭、「Based on the true story」(実話を基にしています)という文字が表示される。これはオリジナル版と同じアピールだ。
オリジナル版が公開された時も「実話を映画化した作品」という触れ込みで、それが宣伝効果に繋がっていた。
だが、その後、原作本『アミティヴィルの恐怖』の内容には虚偽の記述が多く含まれていることが明らかとなっている。
1974年の事件は実際に起きたことだが、約1年後に引っ越してきたラッツ一家は怪奇現象など体験しておらず、短期間で家を手放したのは 経済的な事情だった。

1974年の事件は実話なので、「Based on the true story」というのは、完全に間違いというわけではない。
でも、そのアピールは少々ズルいんじゃないかと思うよ。
オリジナル版の公開時ならともかく、このリメイク版が公開された時には既に原作本の嘘が暴かれているわけで。
「実話なのはプロローグの部分だけで、本編の中で実話の部分は皆無に等しいじゃねえか」と言いたくなっちゃうよな。

ラッツ夫妻が物件の見学に赴いた時点で、もう「何か不気味なことが起きますよ」と匂わせるようなBGMが流れて来る。
まあ、その家で過去に惨殺事件が起きていることは最初に示されているし、そこへ引っ越すからにはヤバいことが起きるのもバレバレだけど、実際にはまだ何も起きていないわけだから、ちょっとBGMが先走りすぎじゃないかという気がしないでもない。
ただ、その直後、不動産業者が人影らしきものを目撃するシーンもあるのよね。
もう全く粘らずに、勿体ぶることも無しに、さっさと始めちゃうのね。

最初、キャシーは家を気に入って購入に前向きな態度を示し、ジョージは「ものすごく節約しないとダメだし、自分たちには分不相応だ」ということで難色を示している。
しかし殺人事件があったことを知ると、今度はキャシーが消極的な態度を取り、ジョージが購入に対して積極的になる。
どういう心理なのか、良く分からんなあ。
ジョージからすると、「経済的に厳しい上に、殺人事件があった曰くつきの家」ということなら、「やっぱり購入は中止しよう」となっても良さそうなものだが。

序盤で「DAY 1」と表示されてラッツ一家が引っ越しするので、一日ごとに「*日目」ってのを表示しながら進行していくのかと思いきや、次に表示されるのは15日目だ。
まあ考えてみれば、28日間を全て描いていたら絶対に上映時間が足りないわけで、だから省略するのは理解できる。ただ、引っ越した翌日になった時に「DAY 2」と表示しないのは、演出として雑じゃないかと思うぞ。
っていうか、ひょっとすると、あれは2日目じゃなくて、もっと何日か経過した後の出来事なのか。
どっちにしろ、朝が訪れたら、それが何日目の出来事なのかは表示すべきでしょ。「たまに表示する」という頻度に留めているのは、手落ちとしか思えんぞ。
結局、日付が表示されるのって、初日と15日目と28日目の3回だけだよな、確か。

一家が引っ越した夜には、もうジョディーの幽霊が登場する。その後も、別の幽霊がマイケルの背後に立っているシーンがあったりする。
扉が開閉したり、椅子が動いたりというポルターガイスト現象だけに留まらず、早い段階で幽霊を登場させる。
ただ、それは「後ろから肩を叩いて一家を脅かす」とか「一家が隙を見せたら襲い掛かろうとする」とか、そういう攻撃的な幽霊ではない。
「カメラがパンすると座っている」とか「画面が切り替わると背後に立っている」という感じだ。
その辺りは、ひょっとすると『リング』や『呪怨』といったJホラーの影響があるのかもしれない。

1度だけ別の幽霊が登場するが、登場する幽霊は基本的にジョディーだ。
ただ、このジョディー、最初の首吊り状態は怖かったが、それ以降の登場シーンでは、そんなに怖くない。
リサの指を掴んで額の穴に突っ込むシーンでさえ、それほど怖さは感じない。
彼女が人間を襲わないことは早い段階で分かるし、「遭遇したら呪いを掛けられる、もしくは不幸が起きる」というわけでもない。
むしろ、彼女は悪霊に捕まってジョージに見つからないようにされたりしているぐらいだし、恐怖の対象にならない。

で、そうなると、たぶん観客としては、「ジョージがおかしくなっていく」というところで怖がるべきなんだろう。
ただ、彼が変化していく様子の描写は、ホントは「少しずつ異常の度合いが増していく」というのを滑らかな線で描いて行くべきなのに、ものすごくガタガタした線になっている。急に荒々しくなっている印象が強い。
前述したジョディーの登場シーンを含む「怪奇現象」自体で怖がらせようというお化け屋敷感覚が強くなりすぎているせいか、「ジョージが少しずつ変になっていく」という描写が少ないのだ。
そこの過程を雑に処理してしまったら、そりゃあギクシャク感が強くなっても当然だ。

ジョージがレストランでキャシーに優しくなった後、帰宅して子供たちに冷たく当たるのは、「家を出ると呪いの効力が及ばない」ということだ。
しかし、それも後から分かったことであり、観賞している最中は不自然さしか感じない。
キャシーがレストランでの優しさに違和感を抱くような描写があれば、見ているこっちも、そこに何か意味があるのだろうと考えて立ち止まったかもしれない
だけど、そういう作業は見当たらないし。

そもそも、そこまでに「ジョージがおかしくなっている」という表現が少ないので、帰宅したジョージが子供たちに冷たく当たるのが「外では優しかったのに、帰宅すると元のようなヤバい状態に戻った」ということではなく、「さっきまで優しかったのに、急に怖くなった」という風にしか見えないんだよな。
後半は怪奇現象よりも「ジョージがイカレていく」というところで怖がらせようとしているんだし、前半からそこに重点を置いて話を作った方がいいんじゃないかと思ったりするんだが。
ただし、そうなると、『シャイニング』の二番煎じになっちゃうか。
っていうか、そうじゃなくても、やっぱり『シャイニング』は連想しちゃうけどね。

あと、ジョディーはラッツ一家に救いを求めていたんじゃないのかよ。
それにしては、リサが来た時に彼女をビビらせて楽しんでいるし、チェルシーを屋根から飛び降りさせようとするし、何がしたいのか良く分からなくなっちゃうぞ。
チェルシーが「あの男がジョディーに悪いことをさせる」と言っているので、悪いことをするのはジョディーの意思じゃないのかもしれないけど、だとしたら、それを分かっているはずのチェルシーが、「ジョディーが見たいと言ったから」ということで屋根から飛び降りようとするのは、ただのバカじゃねえか。
その際に、何かに憑依されていたとか、正気を失っていたという風にも見えないし。

最後、ラッツ一家が逃げ出し、ジョディーは家に引きずり込まれて終わっている。ようするに、あの家の呪いは全く解けておらず、悪霊が住み着いたままの状態で終わっているのだ。
何も解決していないのだが、まず間違いなく、続編を狙ってのことだろう。
しかしながら、『テキサス・チェーンソー』の方は続編が作られたが、こちらの続編は作られなかった。
当てが外れたのは、きっとアミティーヴィルの呪いに違いない。こんな映画を作ってしまったから、悪霊が怒って興行をコケさせたに違いない。
あと、ラッツ一家は無事に逃げ出したけど、ジョージとキャシー&子供たちとの関係は確実に破綻するよな。
呪いのせいではあっても、自分たちを殺そうとしたジョージを受け入れるのは無理でしょ。

(観賞日:2013年6月15日)

 

*ポンコツ映画愛護協会