『アロハ』:2015、アメリカ

2008年の金融危機でNASAは予算を削減され、資産家たちが事業を引き継いだ。ブライアン・ギルクレストは米軍のパイロットを退職して、世界屈指の資産家であるカーソン・ウェルチのグレーな仕事を請け負うことになった。しかしアフガニスタンのカブールで両脚18ヶ所を骨折する失敗を犯し、仕事を失った。それから1年、ようやく新たな仕事にありついた彼は、友人であるウッディーの操縦する飛行機でハワイへ向かう。彼が請け負う仕事は、基地に出来る歩行者ゲートの地鎮祭までの手回しだ。
ハワイに到着したブライアンは、仕事の依頼主で旧友のレイシー大佐に出迎えられた。戦死者の棺が運ばれてくるセレモニーを仕切っていたのは、ブライアンの元恋人のトレイシーだった。レイシーはブライアンに、連絡将校で空軍パイロットのアリソン・インを紹介した。トレイシーが話し掛けて来ると、ブライアンはアリソンを無視して彼女と共に去る。トレイシーは彼に、娘のグレースと息子のミッチェルを紹介した。ウッディーはトレイシーの夫で、子供たちは彼が帰還すると大喜びで抱き付いた。トレイシーは今週中に食事に来るようブライアンに告げ、家の場所を教えた。
ブライアンは上司のボブに呼ばれてカーソンと再会し、「君を見捨ててはいない。救ってやったんだ。まずは地鎮祭。後はそれからだ」と告げられる。アリソンはセスナ機にブライアンを乗せてハワイを案内し、明日に予定されていたハワイ独立主権国リーダーのバンピー・カナヘレとの面会は拒否されたと話す。ホテルまで送ったアリソンは「ミントティーを一緒に」と誘うが、ブライアンは断って部屋に入る。隣の部屋に宿泊したアリソンが電話で母親と話す声は、ブライアンに筒抜けだった。アリソンはブライアンに異性としての魅力があると語る一方、「すっかり落ちぶれて惨めなコヨーテみたい」と評していた。
翌朝、ブライアンは冗談めかして、電話の内容を聞いていたことをアリソンに明かした。2人は柵で封鎖された森へ行き、近道を進んでバンピーたちのいるハワイ独立主権国を目指す。ブライアンはアリソンに、バンピーとの交渉は自分に任せるよう要求した。不遜な態度を取るブライアンに、アリソンは「人付き合いが下手ですか?1年前には、奥さんにも愛想を尽かされたんでしょ」と言う。ブライアンは声を荒らげ、「個人的なことは関係ないだろ。俺は一匹狼タイプなんだ」と告げた。
バンピーはブライアンと旧知の仲で、彼とアリソンを歓迎した。しかしブライアンが「基地の統合で墓地を移動させなきゃいけない。どこへ移っても構わない。地鎮祭もしてほしい」と話すと、「君らの祖先は我々の国を奪った。君はあっち側の人間か?」と承諾しなかった。バンピーが「何か大きな計画があるという噂だ。世界を脅かし、空に関わる計画。兵器かもしれない」と言うと、アリソンは「絶対に有り得ません。宇宙条約で、宇宙に兵器を配備することは禁止されています」と否定した。
ブライアンは交換条件として広大な土地の提供を約束し、バンピーに地鎮祭への協力を頼む。バンピーは渓谷の底にある2つの山と地区内の携帯サービスの改善を要求するが、ブライアンは「そんな権限は無いよ」と困り果てた。アリソンはギターを弾き、バンピーの仲間たちとセッションした。ブライアンはバンピーの条件を飲み、「俺を信じてくれ」と告げてハワイ独立主権国を後にした。ブライアンが「金の話をしてるのに神話だ空だって。空が話なんかするわけないだろ。大事なのは土地と金と携帯」と呆れたように話すので、アリソンは憤慨して「空を信じてないんですか。宇宙には何も無いって?あそこには未来があるんです」と反発した。
「今、考えなきゃいけないのは地鎮祭のことだ」とブライアンは言うが、少年時代に望遠鏡を買ってもらった時のことを語るとアリソンは笑顔を浮かべた。前方の異変に気付いたアリソンは、車を停めて下を向くようブライアンに指示する。彼女は慌てた様子で「夜の行進者」と呼ばれる古代の戦士たちの幽霊が現れたこと、ハワイアンでなければ呪われることを語る。するとブライアンは、「その話は知ってるけど、幽霊じゃなくて人間だ」と告げた。
ブライアンが食事会に参加するためトレイシーの家へ行くと、アリソンが先に来て料理の準備を手伝っていた。写真立てを見たブライアンは、トレイシーが自分の写真を隠し持っていることを知った。トレイシーは休暇旅行にブライアンが来なかったことが別れた理由だと話し、「すごく愛してたのよ」と言う。「絶対に言わなきゃいけないと思ってた。簡単には吹っ切れなかったのよ」とトレイシーが喋っているとウッディーが来たので、2人は会話を中断した。ミッチェルは再来の神話に出てくるロノという英雄を信じており、ブライアンに「貴方はロノなんでしょ」と告げた。アリソンはグレースに、フラを教えた。
ブライアン、アリソン、トレイシー、ウッディーは将校会館のパーティーへ行き、ディクソン大将の姿を目撃した。ブライアンが軽く会釈すると、ディクソン大将は冷淡に無視した。会館にはカーソンがアナウンサーのナタリーと現れ、取材を受けた。レイシーはブライアンに声を掛け、「カーソンの部下からだ」とプロジェクトに関するデータを渡す。カーソンはブライアンを廊下に呼び出し、人工衛星を飛ばす考えを口にした。
カーソンはブライアンに、君にはブールのことで腹を立てていた。奴らに金を盗まれるのは想定内だったが、君が奴らの金を着服するのは許せなくてね」と言う。ブライアンが驚いていると、彼は「君は自滅したんだ。10万ドルの代償だな。知らなかっただろ、私が気付いていたと」と話す。カーソンは鋭い視線を向け、「戻ったからには、軌道から外れずプロジェクトを成功させろ。成功すれば、この基地は新たな作戦の本拠地になる。他言無用だ」と述べた。
酒を飲んで楽しく踊ったアリソンはホテルへ戻り、ブライアンに誘われて彼の部屋に出向いた。アリソンは怪我をした経験が無いと言い、ブライアンの負傷について聞かせてほしいと頼む。彼はカブールで大失態を犯したこと、ミサイルが来ると分かっても動かなかったことを語り、「今夜はあの日以来、初めて生きていて良かったと思えた」とアリソンに言う。アリソンは深い仲になることへの不安を口にするが、ブライアンはキスをすると受け入れる。2人は熱烈なキスを交わし、肉体関係を持った。
翌朝、アリソンはトレイシーの家を訪れ、ミッチェルが2日前の夜に撮影した基地の映像を見た。そこにはカーソンの会社の軍事衛星が写っており、アリソンは今回の計画に陰謀が隠されていると確信した。彼はレイシーを呼び出して辞表を提出したいと言い、詳しい説明を求めた。レイシーが「詳細は分からない。軍が仕切ってるわけじゃなく、雇われているような状態だ」と困ったように告げると、彼女は「この打ち上げには裏の目的があります。世界に知れたら空は兵器で一杯になります」と訴えた。レイシーは面倒を嫌い、「情報なら民間の請負人に聞いた方が早い。ブライアンはカーソンの元へ戻ったんだから、全て知っているはずだ」と述べた。
アリソンはブライアンの元へ行くが、「君と付き合ったら色々と問題があると思うけど、それでも付き合いたい」と言われて涙を流した。アリソンは「貴方を信じてた。軍事衛星を打ち上げる計画を知ってて、みんなを騙したんでしょ」と非難し、その場を去る。ブライアンが後を追って皮肉を言うと、アリソンは言い返してから車で去った。ウッディーはトレイシーの様子が変だと感じ、「ブライアンのせいか」と尋ねる。トレイシーが「彼が戻るより前からギクシャクしてた」と言うと、ウッディーは何か話そうとして黙り込んだ。トレイシーはウッディーの口数の少なさに不満を覚えており、「何か言って」と訴える。しかしウッディーは多くを語らず、家を出た…。

脚本&監督はキャメロン・クロウ、製作はスコット・ルーディン&キャメロン・クロウ、製作総指揮はイロナ・ハーツバーグ&イーライ・ブッシュ&ベン・ワイスブレン、共同製作はアンディー・フィッシャー&ジェイソン・サック、製作協力はボブ・ヒューバーマン&スコット・ロバートソン、撮影はエリック・ゴーティエ、美術はクレイ・グリフィス、編集はジョー・ハッシング、衣装はデボラ・L・スコット、視覚効果監修はジェイミー・ディクソン、音楽はヨンシー&アレックス。
出演はブラッドリー・クーパー、エマ・ストーン、レイチェル・マクアダムス、ビル・マーレイ、ジョン・クラシンスキー、ダニー・マクブライド、アレック・ボールドウィン、ビル・キャンプ、ジェイデン・リーバハー、ダニエル・ローズ・ラッセル、マイケル・チャーナス、エディー・ガテギ、デニス・“バンピー”・カナヘレ、エリザベス・マーヴェル、ファヒム・ファズリ、セメレ=アブ・エトメット・ヨハネス、カウリ・カウヒ、ジョン・ウエストレー・ルクレイ、R・クナニ・ニヒパリ、R・イポ・ニヒパリ、レッドウォード・カーパナ他。


『エリザベスタウン』『幸せへのキセキ』のキャメロン・クロウが脚本&監督&製作を務めた作品。
音楽はアイスランドのバンド「シガー・ロス」のヨンシー・ビルギッソンと、公私共にパートナーであるアレックス・サマーズが担当している。
ブライアンをブラッドリー・クーパー、アリソンをエマ・ストーン、トレイシーをレイチェル・マクアダムス、カーソンをビル・マーレイ、ウッディーをジョン・クラシンスキー、レイシーをダニー・マクブライド、ディクソンをアレック・ボールドウィンが演じている。

アメリカ合衆国の経済誌「フォーブス」が発表した「2015年に最も稼げなかった映画」のランキングで、この作品は第9位に入った。
つまり興行的に失敗したわけだが、そうなってしまった最大の原因はホワイト・ウォッシング(本来は非白人であるべき登場人物を白人の俳優が演じる)にあると見ていいだろう。
アリソンは「父親は中国人とハワイアンのハーフ。母親はスウェーデン人」という設定なのに、エマ・ストーンは混じり気無しの白人。
さらに、ハワイは非白人が人口の70%以上であるにも関わらず、登場人物の大半は白人というのも現実を全く投影していない。

「そもそもキャメロン・クロウの作品ってのは基本的にファンタジーだから」という捉え方で擁護しようとしても、それは無理だ。なぜなら、ファンタジーってのは「何をやっても許される」という意味ではないからだ。
本人役で出演しているカメハメハ大王7代目末裔のプウホヌア・バンピー・カナヘレは本作品に肯定的なコメントを出しているが、批判の声を打ち消すほどの影響力は無かった。
ホワイト・ウォッシングに厳しい目が向けられ始めた時期の公開ってのも運が悪かったとは言えるかもしれないが、実は本作品がコケた理由はそこだけにあるのではない。
それを抜きにしても、やっぱりポンコツな出来栄えなのだ。

まず、序盤の説明がボンヤリしすぎている。
ブライアンのナレーションで「こういう経緯がありまして」っなことを喋るんだから、そこで具体的なキャラ紹介を済ませるべきでしょ。でも実際には、ものすごくボンヤリした情報しか与えてくれない。なぜ軍を辞めたのか、全く分からない。
カーソンの会社がどんな事業をやっているのかも、正確には教えてくれない。
「ブライアンがアフガニスタンで怪我をした」という説明があるので、民間の軍事会社じゃないかという推理は出来る。ただ、後でブライアンは「俺のボスは世界に通信衛星の恩恵を与えようとしてる」と言っているので、それだと軍事会社じゃないよな。

ブライアンは「1年ぶりに仕事にありついて、これでハワイに戻れる」と言っているが、ハワイが故郷ってこともボンヤリしている。
彼がハワイで担当する仕事も、これまたボンヤリしている。「基地に出来る歩行者ゲートの地鎮祭までの手回し」ってのは具体的に思えるかもしれないが、手回しで何をやるのかは説明していない。
カーソンとレイシーが一緒にいるが、どこが責任を持って進めている事業なのかも分かりにくい。米軍とカーソンの会社が共同で進めているのか。その仕事をブライアンが依頼されるってことは、それに適した人材ってことなのか。
なぜ1年も仕事が無かった彼に依頼するのか、そこも良く分からない。

アリソンは登場した時から、何かドラッグでもやっているのかと思うぐらいのアッパーな様子でブライアンに接している。ものすごく押しの強さを感じる態度で、違和感さえ抱かせるほどだ。
ホテルに到着した時に「ミントティーを一緒に」ってのを誘うし、母親への電話では「とうとう彼に会ったの」と話しているので、「以前から彼に興味を持っていて」ということなんだろうとは思う。ただ、母親への電話では、彼が過去に色々と問題を起こしていることにも触れており、惚れているのかどうかはボンヤリしている。
あと、以前から知っていたようだが、それぐらいブライアンは有名人なのか。それとも、今回の仕事をするに当たって情報を集め、興味を抱いたってことなのか。
どっちにしろ、アリソンの無闇に積極的な態度は、キャラの動かし方を間違えているようにしか思えない。

どうやらキャメロン・クロウは、「ハワイは神秘的な力を持つ場所」ってのを描きたかったようだ。だから序盤から、アリソンが不思議な力を信じていることをアピールする台詞を何度も口にする。
森に入ると、彼女は「ここにはマナ(ハワイ語で「神聖な力」)があります」と言う。風か吹くと、「たぶんメネフネだと思います。ハワイの小さな妖精」と口にする。
ハワイ独立主権国を登場させたのも、「ハワイはアメリカ本土と全く異なる特別な場所」ってのをアピールする狙いがあるんだろう。そこでアリソンは、「私はハワイを信じています。神話も伝統も。それに何より空を」とバンピーに語る。彼女はバンピーの仲間とギターでセッションし、感動した様子を見せる。
とにかく、いかにハワイが特殊な場所なのかを、しつこいぐらいにアピールしようとするのだ。

そんなハワイに対するブライアンの考え方は、どうにも定まらない。
ベタなのは「最初は否定的だったけど、次第に変化していく」という見せ方だろう。最初に「ハワイに戻れる」と喜んでいるような語りを入れているので、「ホントは最初から神秘の力を信じていたけど意地を張っていた」みたいな描き方でもいいだろう。
しかし実際のところ、ただフラフラしているだけにしか見えない。
彼は森でマナを馬鹿にしたような態度を取り、メネフネの存在についても「シマリスかなんかじゃないのか」と軽く笑う。ところが、それをアリソンが怒らずフフフと笑うと、彼は「ここはマナに溢れてる」と認める。

ブライアンはハワイ独立主権国を去った後、馬鹿にしたように「これだからハワイは。金の話をしてるのに神話だ空だって。空が話なんかするわけないだろ。大事なのは土地と金と携帯」と語る。アリソンが反発すると、「今、考えなきゃいけないのは携帯、山、日曜の地鎮祭のことだ」と告げる。
ところが、その直後には「少年時代に望遠鏡を父にねだって、買ってもらった。イリジウムフレアを見た」と話す。
やりたいことは何となく分からなくも無いけど、結果としては「お前は分裂症か」とツッコミを入れたくなるようなキャラになっている。
あと、彼がコロコロと変わる度、アリソンも「反発していたのに笑顔に」という反応を示すので、こっちまでキャラがフラフラしているような状態になっている。

夜の行進者に怯えていたアリソンは、「その話は知ってるけど、幽霊じゃなくて人間だ」と話すブライアンの腕を掴む。「生きているか確かめたくて」と彼女は言い、「生きてる」と告げたプライアンに笑顔を見せる。
このシーン、文章だけ読んでいると何も気にならないかもしれないけど、実際に見ると違和感を覚えるんだよね。
その状況で、すっかり恋愛劇のような雰囲気になってしまうことが、違和感の理由だ。
もちろん、この2人が出会った時から、たぶんロマンスを作ろうとしているんだろうってことは容易に推測できる。
ただ、そこは違うだろうと感じるのだ。

ブライアンには元カノのトレイシーという存在もいて、ここで「焼け木杭に火が付いて」ってのを匂わせる様子も描いている。ブライアンはアリソンよりもトレイシーに気持ちが向いているし、トレイシーも未練がありまくりって感じだ。
ただ、トレイシーにはウッディーという夫がいて、2人の子供もいる。だからブライアンとトレイシーの恋愛をハッピーエンドにするってのは、まず有り得ない。
ここがヨリを戻すことは無いってのは確定事項として鑑賞できるけど、だからこそ「ここ要らなくねえか?」と感じてしまう。
アリソンも含めた三角関係の恋愛劇を軸に据えているわけでもないので、欲張り過ぎて話が散らかるだけになっている。

後半にブライアンとアリソンは肉体関係を持つのだが、これも段取りを事務的になぞっているだけにしか感じない。
さらに厄介なことに、軍事衛星の打ち上げを知ったアリソンが怒った後、トレイシーがウッディーと夫婦喧嘩してブライアンの元へ行く展開がある。すっかり忘れていた「ブライアンとトレイシーの元サヤの匂い」ってのが、戻って来るのだ。
そして、そこで明かされるのは「実はミッチェルとグレースがブライアンの子供」という事実だ。それをウッディーには明かさず、トレイシーは夫婦生活を続けていたのだ。
穏やかな雰囲気で描いているけど、それって相当に酷い問題だぞ。
まるで「トレイシーの告白は彼女にとってもプライアンにとっても良いことだった」みたいに描いているけど、「どっちもクソだな」としか思えんぞ。

終盤、ハッカーに気付かれたカーソンが計画を早め、ブライアンはハッキングを阻止してロケットの打ち上げを成功させる。アリソンが悲痛な表情を浮かべていても、彼は全く気にしちゃいない。
ところが打ち上げ成功をカーソンに報告した後、アリソンに視線を送った彼は音声データを送信して衛星を破壊する。
これが唐突な変貌にしか思えないのよ。
ブライアンはアリソンに非難されて、考えることもあったはずでしょ。だったら打ち上げの指揮を担当するよう言われた段階で、それを失敗させるように動くべきでしょ。
わざわざ打ち上げてから破壊する意味なんて、これっぽっちも無いぞ。

っていうか根本的な問題として、何を描こうとしているのか、どこに焦点があるのか、テーマやメッセージがあるとすれば何なのか、それがサッパリ分からないのだ。
最初は「人生が上手く行かず焦りを覚えていたブライアンがハワイという土地や人々に癒やされる」みたいな話なのかとも思った。
だが、彼が軍を辞めた理由やカーソンの会社に入った事情が不明なので、共感が難しい。
しかもカブールの怪我で仕事を失ったと説明していたのに、途中で10億円の着服が判明するので、「ただのクズじゃねえか」と言いたくなる。

アリソンが最初からグイグイとブライアンに近付く上、元カノも登場するので、ロマンスが軸なのかとも感じる。
そうなると、ブライアンがハワイで担当する仕事の内容はマクガフィン的な物かと思っていたら、すぐに「何か裏があるのでは」と匂わせ始める。それが軍事衛星だと判明して陰謀が絡み、軍事サスペンスの色が濃くなっていく。
そんな中で「ハワイと特別な場所」というアピールも忘れないのだが、詰め込んだ要素がどれも全く融合していない。
エマ・ストーンにハワイアンを無理して演じさせ、「ハワイは不思議で特別な場所」ってことを強くアピールし、バンピー・カナヘレまで登場させるのなら、何故そういう方向性で徹底しなかったのか。

(観賞日:2019年2月7日)

 

*ポンコツ映画愛護協会