『エアポート’75』:1974、アメリカ

ワシントンのダレス空港を離陸し、ロサンゼルスへ向かったコロムビア社の747型ジャンボジェット機コロンビア409便。女優のグロリア・スワンソン、腎臓の移植手術をする予定の少女ジャニス・アボットなど、多くの客を乗せて大空を移動する。だが悪天候により、ソルトレークへ向かうことになった。
一方、スコットは大事な打ち合わせのためにセスナ機を飛ばしていた。こちらも悪天候のためにソルトレークへ向かい、409便の着陸が終わるまで上空で待機することに。しかし内臓に痛みを覚えたスコットが操縦不能に陥り、バランスを失ったセスナ機は409便に激突する。
409便は操縦席の左上部に大きな穴が開き、副操縦士が死亡、操縦士も重傷を追う。自動操縦に切り替えて高度を保ってはいるものの、このまま飛び続ければ山にぶつかってしまう。誰かが操縦してコースを変えなければいけない。
地上で事件を知ったコロムビア社の副社長ジョセフ・パトローニは、747型に詳しいパイロットのアラン・マードックを呼び寄せる。アランは恋人でもあるチーフスチュワーデスのナンシーに指示を送り、彼女に操縦させて危険を回避しようとする。
パトローニは空軍にも協力を要請。空軍のジェット機の調査で、燃料が漏れていることが判明する。パトローニは空中給油の要領でパイロットを飛行中のジャンボ機に送りこもうと考える。空軍のジョン・アレキサンダー大佐が、その危険な作業に挑むのだが…。

監督はジャック・スマイト、脚本はドン・インガルス、製作はウィリアム・フライ、製作総指揮はジェニングス・ラング、撮影はフィリップ・ラスロップ、編集はテリー・ウィリアムズ、美術はジョージ・C・ウェブ、衣装はエディス・ヘッド、特殊効果はベン・マクマハン、音楽はジョン・カカヴァス。
出演はチャールトン・ヘストン、カレン・ブラック、ジョージ・ケネディ、エフレム・ジンバリストJr.、スーザン・クラーク、ヘレン・レディ、グロリア・スワンソン、リンダ・ブレア、ダナ・アンドリュース、ロイ・シネス、シド・シーザー、ミーナ・ロイ、エド・ネルソン、ナンシー・オルソン、ラリー・ストーチ、マーサ・スコット、ジェリー・スティラー、ノーマン・フェル、コンラッド・ジャニス他。


1970年のオールスター映画『大空港』の続編。
『大地震』と1パックで作られたらしい。
アランをチャールトン・ヘストン、ナンシーカレン・ブラック、パトローニをジョージ・ケネディ、アレキサンダーをエド・ネルソン、スコットをダナ・アンドリュースが演じている。

豪華俳優陣が揃ったパニック超大作だが、そんなにスリルとサスペンスは無い。登場するキャラクター達はハラハラしているのだが、観客は意外にノンビリした気持ちで観賞できるだろう。当時はハラハラしながら観られたのかもしれないけれど。

役者からすると、アラン役のチャールトン・ヘストンやパトローニ役のジョージ・ケネディが主役っぽいが、実際はナンシー役のカレン・ブラックがメインキャラクターに思える。
で、そのカレン・ブラックが般若のような顔で奮闘するのだが、失礼ながら顔が怖いのでちっとも感情移入できない。なんで彼女をヒロインにしたのかねえ。

セスナが下手から上手に進み、ジャンボは上手から下手へ進んでいく。だから、両機が衝突するのは誰の目にもバレバレ。まあ別にそれは構わないのだが、衝突したショックよりも大きい衝撃が、それ以降の展開に待っていることは無い。

大きな穴が開いている割には、操縦席に吹いている風は大したことが無い。本当なら立っているのも難しいほどの強風が吹き荒れるんじゃないだろうか。でも、カレン・ブラックの髪のなびき方を見る限り、「ちょっと強い風」という程度なのよね。

破損した部品を計器にぶつけて無線が故障するという展開があるが、すぐにナンシーが修理してしまう。でも、次第に音声が聞こえづらくなる。そんな中途半端な展開に持っていくぐらいなら、最初に部品をぶつけた時点で無線連絡を不能にするべきだ。

乗客は最初は騒ぐが、諦めが早いからなのか、意外に静かに状況を見守っている。半狂乱になって暴れ出す奴もいないし、泣き喚く者もいない。
なかなか物分かりのいい連中である。
ジャニスには「腎臓の移植手術をする予定」という使えそうな設定があるのだが、途中で彼女が苦しみ始めるような展開は無い。何のための設定だったんだろ?

はっきり言って、客が深く関わるエピソードは無いので、全く目立たない。別に無名の役者ばかりでも構わないという程度の扱い。
もっと誰かがトラブルを起こしてしまうとか、誰かが危険を回避する行動を起こして活躍するとか、そういう広げ方が出来たと思うのだが。

ちなみに、不安を煽る音楽と共に、カメラがジャニス役のリンダ・ブレアに寄っていく場面があるのだが、てっきり悪魔が乗り移って暴れ始めるのかと思ってしまった。
その方が面白かったかもね。
ただし、バカ映画になってしまうけど。
あ、だけど、この作品もある意味、バカ映画っぽいな。

 

*ポンコツ映画愛護協会