其日庵資料館
其日庵研究資料
講談社学術文庫版「百魔」校訂の検証
十二 槿花一朝の夢
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p99 10行目< |
馬城氏原住民の採収法を聞くに | 馬城氏土人の採收法を聞くに |
上巻p102 1行目 |
庵主の乾児《こぶん》共の仕事といったら、活版屋の工員やら、新聞売や薪割である | 庵主の乾兒《こぶん》共は、上等の部が活版屋の職工で、下等の者は新聞賣や薪割である |
十三 京釜鉄道引受の魂胆
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p108 5行目 |
笹を担《かつ》がぬ丈けの者に出来上つたのである | 笹を擔《かつ》がぬ丈けの狂人《きちがひ》が出來上つたのである |
上巻p109 11行目 |
俺は何か用も有るかと呼止めた所が | 俺は狂人《きちがひ》でも有るかと呼止めた所が |
上巻p109 12行目 |
此奴いよいよあやしい奴に違いないと思ひ | 此奴彌々《いよ/\》狂人に違いないと思ひ |
上巻p110 1〜2行目 |
杉山の友達には随分おかしい奴が多い、こやついよいよそうに極ったと思うたから | 杉山の友達には隨分狂人が多い、此奴彌狂人に極《きま》つたと思ふたから |
上巻p111 5行目 |
野末に荒るる貧弱な蒲鉾小屋 | 野末に荒るゝ乞食の蒲鉾小屋 |
十三 京釜鉄道引受の魂胆(文章の脱落部分)
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p111 8〜9行目 |
俺に家がない故に貴様に有る物腐らした当今の屁那猪口《へなちょこ》共に、爪の垢程も真似の出来る事柄ではないのである | 俺に家がない故に貴樣に有る物を典ぜんとするに何の不思議が有らうぞ。寧ろ有りし事を光榮と心得るが宜しい。速《すみやか》にあの縞の羽織を西洋間より迎へ出して兩人で、其無禮を謝しようではないか』 と云ふと、和尚暫く沈默して考へて居たが 『露國は日本を攻落さうと思うて大金を遣うて計畫して居るのに日本が攻取られぬやうに準備せぬ譯はない、貴樣は家も持たずに夫《それ》を防ぐべく心配して居る、俺は家を持て居て心配せぬ譯に行かぬ、あの縞の羽織が金を貸すは家が目的かも知れぬが、其金で敵國を防ぐ事が出來れば、成程國家の大忠臣ぢや、左すれば俺の家が抵當になるのは俺も大光榮である、宜しい、是から直《すぐ》にあの縞の羽織に兩人で詫びをして早速借《かり》る事に仕よう』 と茲《ここ》に相談一決して、二人連立て西洋間に出掛けて行き、絨毯の上に手を突いて謝罪した處が、始め其銀行員の立腹と云ふたら、恰も河豚提燈《ふぐぢょうちん》を拳固で毆つたでこぼこ計《ばか》りのやうな顏《つら》をして怒つて居たが、段々譯合《わけあひ》■《※眞+頁。読みは「てん」。漢字フォント「顛」の正しい書体》末を咄して詫びをしたら、漸次に諒解して、今度は向ふでぴよこ/\頭を下げて 『成程貴方がたの御心掛と申者は又格別のもので恐れ入ました。杉山樣とは月二分五厘の利子でお約束を致ましたが日歩三錢で宜《よ》うござります』 と云ふやうな咄になつたから、色々御馳走をして彼は飯を食うて歸つて行つた。夫《それ》から直《すぐ》に總理大臣の山縣公と、外務大臣の青木子とに此■《※眞+頁。読みは「てん」。漢字フォント「顛」の正しい書体》末を咄し、『是非國家の爲め京釜鐵道の株式に五朱の補給を仰ぎ國防の意味を以て御盡力を頼む』 と説破《ときやぶ》つたら、兩大臣とも 『家を賣るは珍らしからぬが、國を思ふの念慮の誠意は感心する、併し此事は前々政府以來歴代の當局が同意せざりし事なれども、丁度政府は參謀本部との協議も一決して居る處故、若し之を議會の建議案として提出したならば、政府は之に同意するであらう、左すれば前任者への都合も好し、國民の誠意も貫徹する事故《ことゆゑ》』 との事であつたから、兩人の喜びは譬《たと》ふるに物なく、早速此事を大江、竹内の兩氏に通ずると『夫《それ》なら解散するの必要はない』と云うて之を提案する事になつた。併し當時、進歩黨と自由黨とは鎬《しのぎ》を削つて戰つて居る時故《ときゆゑ》到底折合の見込もないから、其《その》中間黨の帝國黨は纔《わづ》か二十八人ではあるが一代の徳望家たる佐々友房氏をして提出せしむれば、進、自の兩黨も一齊に之を賛成すると云ふ内交渉が付いたので、其通りにして茲《ここ》に所謂擧國一致で、此案が通過する事になつた。隨つて和尚の家の抵當騷ぎも全く無用の事となつたが、之を動機として縞の羽織の銀行員は、始終庵主等の窮境を救濟する事となつて、彼《か》の安場氏の方の支拂命令も片付き、高島子爵の如きは十數萬圓を金山資本に融通せしめたとの事である只だ一向に聞く時は何の興味もないやうなれど、理窟や學問で腦味噌を腐らした當今の屁那猪口《へなちょこ》共に、爪の垢程も眞似の出來る事柄ではないのである |
十五 従容死を待つ一代の傑僧
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p128 7行目 |
長年着古した洋服一枚の | 土方のような洋服一枚の |
十八 至誠天地を動かす
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p150 5行目 |
華族の子でも兵役に付いたら、その上官に虐使《こきつか》われる | 華族の子でも穢多の上長官に付いたら、夫《それ》に虐使《こきつか》はれる |
上巻p152 4行目 |
ええこの悪嗅《スチンク》奴 | えゝ此悪嗅《スチンク》の支那人奴 |
二十 星の熱誠米人を感動せしむ
学術文庫の ページ数 |
学術文庫版記述 | 雄辯会版記述 |
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上巻p165 3行目 |
間もなく綺麗なお手伝いが出て来た | 間もなく綺麗な女中が出て來た |
上巻p165 4行目 |
お手伝いが | 女中が |
上巻p165 8行目 |
頼んだら、お手伝いは快く引受けて | 頼んだら、女中は快く引受けて |
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