8月29日(月)


日本茶室  この日の朝は前日よりは少しは体調もいいようだ。
 無理はするまいとは思うが、帰路のチケットを再確認しなければならないことを考えると気が重くなる。
 でも朝食のコーヒーはうまかった。
 やはり朝にKoffeeが飲めるというのはイイ!!

 宿を出発。
 昨日下見しておいた場所Lenbach Platzへ行き、パンナム(PAN AM)のオフィスへ歩いていく。
 途中、ホテルのオバチャンに場所を聞いていたセントラル・ポスト・オフィスの場所をみつけて(駅のまん前)、絵はがきを出したかったが、とりあえず今は素通りして行く。
 パンナムビルに到着。
 すこし涼しいのでサントリー・ジンの青いTシャツの上に赤のウインドブレーカーを羽織った。
 ビルの中に入って、受付の壮年紳士に来訪の理由を告げると、
 「アエロフロートのオフィスはここじゃない」
とオジサン。分かってますがな。
 「でもアエロフロートの住所がこの場所になってるんですよ」
とアドレスを示すと、かの紳士はサラサラと、
 “Ludwig str./Von der Tann str.”と書いてくれココだと教えてくれた。
 私は彼に礼を言い、ビルを出て、すぐ近くの噴水のそばに座り、地図で場所を確かめた。
 今度こそアエロフロートに辿り着けるんだろうか。
 いい加減イライラしている私はすぐに立ち上がり、目的地に向かって歩き出した。

 ルードウィッヒ通りとフォン・デア・ターン通りの2つの道の交差点辺りを、ゆっくりと探しながら歩いたがオフィスは見つからない。
 何度も回ったが見あたらない。
 どうなってんだ、と私はハラが立ってきた!!
 仕方なく2つの通り交差する十字路の脇にある交通公社みたいなとこへ入り、わざわざ出てきてくれたおねえさまに、
 “Excuse me!”
とお辞儀をし、たずねると、
 「この十字路の、ココとちょうど反対側にあるビルの2階と3階にあるのよ」
と教えてくれた。

 現在、正午前だ。食事の時間になるとまずい。
 私は急いだ。
 教えられたビルに入ってプレートを見ると確かにあった!
 これじゃ外から見たって分からんよぉ。
 階段を昇ってオフィスの扉の右にあるブザーを鳴らした。
 ガチャッと音が鳴り、中へ入ることができた。小さな部屋に男一人女二人犬一匹。マイコン一台。私は、
 “Reconfirm, please!”
と言ってチケットを出した。受付の女性はしばらくマイコンをいじくってたが、
 “Mr.Norimasa Noguchi?”と尋ねてきた。
 “Yes”と私。
 “10 Sep.?”
 “Yes!”
 “O.K.”

 再確認の手続きはすべて完了した。
 私は心底ホッとした。
 そして、オフィスのアドレスがリストに間違って掲載されている事を告げてオフィスを出た。
 廊下に出た私はエレベーターで降りてみようと試みたのだが、操作法が理解できず、下へ降りて上がって、そしてまた降りてきた。

 外へ出た私は、先ほど目に入った『現代美術館』の裏にあるイギリス庭園へ入って行った。
 名前の通り緑溢れる公園で、ロンドンのセント・ジェームズ・パークを彷彿とさせた。
 看板を見るとこの公園にはJapanische Teahaus(日本茶室)があるようだ。私はそれらしき建物を探して歩いて行く、と発見。
 [ URASENKE TEEZEREMONIE - HAUS KANSHOAN ]
と書かれている。
 しかし茶室は閉まっており、橋に柵もあって中へ入ることはできなかった。
 私は池のほとりにあるベンチで一時間近くボーッと座っていた。
 隣りにもおじいちゃんがやってきて同じようにボーッ。

 郵便局を訪ね、葉書8枚分の切手を買った。
 水を付けて貼ろうとするがうまく付かない。
 出さずどこかで糊を買おうと考えて、葉書を出さずに郵便局を出た。
 駅でT/Cを両替して、地下のショッピング・センターをタムロする。
 パンを買い、歩行者天国でマックシェイクを買って飲み食いした。
 そう、ミュンヘンにもマクドナルド様がいらっしゃったのだ。神に感謝。
 マックシェイクという発音では通じなかったが。
 さらにKAUFHOFデパートの地下でパンとマヨネーズを買った。
 途中で郵便局へ寄り、先の絵はがき8枚を出す。
 切手も乾いたらちゃんと張り付いていたのだ。
 宿へ戻った私は、口の中がやたらに甘ったるかったので、マヨネーズを付けたパンを食べた。

日本茶室  再び宿を出た。
 今度の目標地はホーフブロイハウスHofbrauhausだ。
 建物を撮影してから中へ入った。
 思ったよりも小さいかな。
 このホーフブロイハウスは100年以上も続いている、西ドイツでもつとに有名なビアガーデンである。
 観光客はミュンヘンの夜ともなると皆ここへ集まって来る。
 バルセロナの闘牛場みたいなもんだ。
 中央ではデキシーランドスタイルのバンドが景気よく演奏していた。
 その前を通って中へ進むと日本人らしき青年がチラチラこちらを見ている。
 ゆっくり近づくと同時に「日本人ですか?」
 私は彼の横に座った。
 彼の向いには帽子を被ったドイツ人のおじさんがいる。
 「このオジサンにつかまっちゃってね」
とのこと。
 彼、山本さんは東京工大大学院一年とのこと。中華航空、アエロフロートは危ないぞとサンザン脅しやがった。
 向いのオジサンはドイツ語オンリーなので、こちらの意図が全く伝わらない。
 山本氏はE.S.S.にも入ってるというが役に立たないのだ。
 オジサンが一言喋っては手を伸ばしてくるので、何やらわけのわからないまま握手してごまかすしかなかった。
 とにかく1リットルジョッキで乾杯。
 味が日本のビールほどヘヴィでないので、いくらでも飲める。
 山本氏と一本ずつフランクフルトを食べた。タレがまた旨いのだ。
 隣りにきた別のオジサンと息子の親子を相手に英語で話し始めると、ドイツ人のオジサンはカヤの外。
 今やホーフブロイハウスじゅうが盛り上がり、皆肩に腕を廻して曲に合わせて体を揺らし始めた。
 私達も英語のオジサン親子と肩を組み、大声で歌う。
 フト見ると、後ろの通りをはさんで日本人の女の子らしきグループがいる。
 そこで私は2回目のトイレの帰りにそちらの方へ寄ってみた。
 彼らはちゃんと親付きで、私は親2人娘3人と話した。両親共感じの良い方だが、娘と話すスキなし。
 3人いて全員美人だが、一番右の子が特に好み!。
 「これからスイスへ行くんですが」
 「ぜひ行って下さい」

とナゼか私は酔いにまかせて頼み込んでいた。
 元のテーブルへ戻り、事情を話すと次に山本氏が女の子親子の所へ。
 ところが行ったきり戻って来ないので私も再度行く。
 そしてまたまた戻ってくると、英語のオジサンが、
 「荷物も持って行った方がいいよ」
と私にアドバイス。
 確かにそうだ。私は荷物を持って女の子のところへ。
 日本人のおとうさんにビールおごってもらい乾杯(3リットル目)。
 彼らもアエロフロートで、9月10日にヨーロッパを発つという。
 偶然にも私と同じ便である!
 奥さんと娘3人はおとうさんの豪快な酔いっぷりに呆れていた。
 でも面白かった。彼らは明日、ノイシュバンシュタイン城へ行くという。

 表に出た彼らはタクシーに乗って帰り、私ら2人は山本氏が夜行に乗ると言うので駅へ。
 2人とも完全に酔っていた。
 ミュンヘンの街を英語で怒鳴りながら歩いた。
 山本氏は私に、3人娘のまん中の子の名前と住所聞いといてくれとのこと。
 むははは。覚えてたらね。
 駅でサラバ。
 私も宿へ戻るや、すぐに寝てしまった。
 思いっきり酒臭かった。




《データ》
8月29日 月曜日
天候曇り+雨
訪問地Munchen
宿泊先Hotel-Pension Theresia
宿泊料36DM
食事宿パン田型2つと一枚ぎりパン, コーヒー, ジャム2種
買い食い甘いパン2コ, クリーム型砂糖菓子, マックシェイク, パン, マヨネーズ
ホーフブロイハウスビールジョッキ3杯, フランクフルト1本
出費切手・ハガキ4枚12DM(1,200円)
甘パン3つ2.6DM (260円)
シェイク1.9DM (190円)
デパートで買物4.69DM (469円)
大道芸人に0.3DM (30円)
ビール11DM (1,100円)
フランクフルト1.1DM (110円)
宿泊料36DM (3,600円)
合計69.59DM (6,959円)