『終らない夜の迷宮』 |
「ねぇオデム、オニキス助けてあげないの?」 「面白いから助けないvv」 オデムはガーネットに満面の笑みを浮かべながら言った。心底楽しそうだ。 「オデムさんお久しぶりです。」 ずっと黙って見ていたハウライトがオデムに話かけた。みんなに存在を忘れられてないか心配になったのかもしれない。 「お、ハウライト!来てたのか〜……おぃハウライト。お前まさかマリア連れてきてないだろうな…」 やっぱり気付いていなかったようだ。それどころか、辺りをしきりに気にしだした。 「……来てました。そして今回マリアは他の用事があったので来ていません」 ハウライトの言葉を聞いて、オデムは安心して胸をなで下ろした。 マリアと言うのはお隣・インカローズ国に使えている賢者で、なぜかオデムととても仲が悪い。 「俺あいつ嫌いなんだよ…」 オデムはため息と一緒に言った。 「嫌いなのは別にどうでもいいんですけどね。」 「うをっ!?」 オデムは急に背後から聞こえた声に飛びあがった。 「こう毎回毎回仕事をサボられると大変迷惑なんですが。」 「レレレレレレイっ!!」 ちょうどオデムの左斜め後ろにオデムのお目付け役(子守り役)のアシュレイ・レイが立っていた。栗色の髪に鳶色の目をして、細身のめがねをかけている。 「オデム、君はいつから自分で仕事の日程を決められるようになったんだい?」 アシュレイはオデムに笑顔で聞く。その笑顔を見たオデムは一気に青ざめる。 「そして、そこの変態。いつまで自分の雇い主にしがみ付いている気だい?いいかげん離れなさい。いくらオニキス様が小さな頃から君を知っていても、さすがにこんなに大きくなってるんだ、気持ち悪いだろうが。」 アシュレイはそう言うとゼノンをオニキスから引きはがした。 「自分のつかえている方の無事を喜んで何が悪い!!」 変態だの気持ち悪いだの言われて、ゼノンはアシュレイに文句を言った。 「あなたの場合、やりすぎなんですよ。抱きつくにしても1分もしがみ付いていれば十分でしょうが。それでも長すぎるぐらいです。それとも君は同姓愛者なんですか?違うでしょう?」 「ち、違うに決まっているだろう!!馬鹿な事を言うな!!」 ゼノンは青ざめて叫んだ。 「馬鹿なのは君の方だと思いますけどね。」 ゼノンの文句もアシュレイに粉砕された。 「……この中で一番強いのはアシュレイさんね」 ガーネットは感心しながら呟いた。 「オニキス大丈夫?」 ガーネットは疲れきった顔をしているオニキスに聞いた。 「……大丈夫。ゼノンもあれさえなければすごい頼りになるんだけど……」 と言いながらオニキスは大きなため息をついた。 「ねぇオデム、ゼノン。君達さなんか大事なこと忘れてない?」 アシュレイはオデムとゼノンの肩に手を置きながら言った。 「つ、次からサボらないようにするから!!」 オデムは精一杯の笑顔で言うが、顔は引きつり冷や汗が流れている。 「オデム、それはいい心がけだけど違う。そうじゃなくて、ガーネット様の自室の爆破の事だよ。もう忘れたのかい?」 アシュレイは不機嫌そうに眉を寄せながら言った。 「そうだった!!」 「君の一番大切な人はガーネット様だろう?そのガーネット様が命を狙われたって言うのに君って人は……馬鹿なのはゼノンだけにしてくれないかな。君まで馬鹿になったら僕は面倒見きれない。」 アシュレイは大きくため息をついた。 「馬鹿とはなんだ馬鹿とは!!」 ゼノンが抗議する。 「馬鹿だから馬鹿だと言っているんですよ。本当にリリィに同情します。旦那がこんなに馬鹿だなんて……」 「だな。」 アシュレイとオデムはまた大きくため息をついた。 「お前等、言っておくが俺はまだ独り身だ!!」 ゼノンは二人を睨みながら言う。 「でもそのうち結婚するだろう?……はぁ、どうしてこの馬鹿には将来の相手が居るのに俺にはいないんだろう…」 オデムは頭を押さえながら言う。 「そんなのすぐ見付かるじゃないかオデム、マリアが居るだろ?」 ゼノンの言葉はオデムの殺気によって抹消された。 「……ゼノン、そんな少しも笑えない冗談を言う口を今すぐ消してやろうか?奴と俺が結婚なんて有り得ない。そんな恐ろしい事が起こる前に俺が奴を消してやる」 「悪かった、俺が悪かったよオデム。だから口を消すのは勘弁してくれ」 ゼノンはオデムから一歩離れた。 「そういう所が馬鹿だって言ってるんだよゼノン。それから、君達話がかなりずれてるからもう一度言うけど、目的を忘れてないだろうね?僕達はガーネット様の部屋の爆破の事で来たんだ。分かるかい?もしもう一度僕にこの事を説明させるようなら、次説明する前に君達を消して差しあげようじゃないか。」 ゼノンとオデムは凍りつき、アシュレイはにっこりと微笑んだ。額に青筋を浮かべながら。 |
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かまさんより連載小説その6。
いやもう、とても楽しい仲間達だ・・・!(待