② 無鄰菴(むりんあん)庭園  
  
  東山を上がって南禅寺近辺にくる。この付近には広大な屋敷が多く、その中でも無鄰菴は山縣有朋の別邸で、山縣が七代目植治(小川治兵衛)に作らせたもので、別,荘・別邸群の先駆けともいえる存在となったものだ。無鄰菴に続くようにできた付近の別荘の作庭も、七代目植治がその多くを引き受けたことで植治の名前は一気に有名になったそうだ。

 無鄰菴は京都府京都市左京区、南禅寺のすぐ西側、琵琶湖疏水のほとりにある。敷地は三角形の形状で、広さ約3100平方メートル。東山を借景とし明るい芝生に琵琶湖疏水を引き込み浅い流れを配した池泉廻遊式庭園で、近代的日本庭園の嚆矢とも言えるもの。現在は1941年に寄贈されて京都市が管理している。その庭園は1951年、国の名勝に指定された。
 
  
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  京都庭園巡りシリーズ4回目は、通称「植治」といわれる小川 治兵衛の庭園です。七代目小川 治兵衛(万延元年(1860) - 昭和 8年(1933年))は、近代日本庭園の先駆者とされる作庭家、庭師であった。現在は11代目になっている。中興の七代目小川治兵衞は源之助といい、現在の京都府長岡京市生まれで、明治10年(1877)に宝暦年間より続く植木屋治兵衛である小川植治の養子として入った。

 7代目がつくりあげた「植治の庭」は、それまでの古典的な日本庭園とはまったく異なったもので、近代的で明るく開放的、そしてなにより自然をとても大切にした庭である。今回は、「植治」小川治兵衛の現存する庭をいくつか回った。

① 並河靖之七宝記念館庭園

 京都東山・南禅寺界隈に新たに形成された別荘地において、明治27年、植治は隣の並河靖之邸の七宝焼き工房に研磨用として引きこんだ疏水を庭園に引く。東山の借景と琵琶湖疏水の引き込みを活かした近代的日本庭 園群(南禅寺界隈疏水園池群)を手掛けたことで名高い。表玄関の通り庭や坪庭、池を中心とする平庭で構成されていて、伝統的な庭の様式が全て組み込まれた密度の濃い庭園になっている。

 並河靖之邸は、現在は「並河靖之七宝記念館」となっていて、明治・大正時代に七宝焼作家として活躍した並河靖之(弘化2年( 1845)-昭和2年(1927))が制作された七宝作品などの貴重なコレクションが、旧工房や旧窯場等と共に製作当時の環境の中で展示されている。伝統的な京町屋の建物そのものが記念館になっている。 
京都日本庭園拝観     (4回目)  上