2003年11月23日(日)。
Polaris
”Tour 2003 ”Family” ”
@心斎橋クラブクアトロ


「普段見ている風景が違って見えるような疑似体験。」
そんなライブに行ってきました。 ポラリス!
こないだの日記でも書いた「Family」というアルバムのツアーワンマン。

普段見ている風景は特に何も変わったものではない気がする。すごく平凡。けど、実はそれは大きな間違いかもしれない。もしかしたら、他の人には違った見え方をしているかもしれない。
そう、都会の雑踏でも、人によってはすごく魅力的に見えてるのかもしれない。何でもない公園でも、人によっては泣きたくなるほど美しいのかもしれない。
見えてるけど見えてないものがそこには確かに存在しているのかも。風景って見え方じゃなくて、見方によって変わるもんだと思ったりするんです。そして、誰も気付けてないような見方をできている人がいるかもしれない。いや、いるんだと思うと、とっても羨ましいんです。それは、良い感覚も悪い感覚も過度に受信してしまうことだけど、毎日がワクワクした何かに溢れていくような気がするから。

さて、長い前置きを書いちゃったわけですが、今回のライブっていうのはそれを疑似体験させてくれる場や時間だと感じたわけです。

クラムボンの原田郁子ちゃんをゲストに迎えてのワンマンライブは、今までよりも音色が増え、曲によってはとてもカラフルな音像。それは「星と願うなら」や「スローモーション」で大発揮されてて、夢見心地な心地よさ。簡素でさっぱりとしてるのに、切ない「季節」。途中で過度にサイケに壊れていく「ハニームーン」。深海に沈んで行きそうな、沈んでるのに浮かんでるような「甘い海と記憶」。ミニマルな音響の世界からROVO並のリズムが鳴り狂った、坂田学さんのドラムソロ。ポップなサビがカワイイ「深呼吸」や「天気図」。
と、多種多様な色の音世界を見せてくれた。

ポラリスは曲が長いものがほとんどなんだけど、1曲1曲その時間の中で、じわじわと通常に流れている時間を歪ませていくような気がする。
何だか新しい時間が流れ出して、それが今までの時間と混ざりクラクラしてくる。それは地上や日常から少し浮かんで、ふわふわ漂って違う世界を歩いてるような気分。空想的な心地よさと浮遊感で溢れてる感覚が無理のない速度で、そっと耳から体内に入ってくる感じ。でも、「光と影」やアンコールの「流星」を聴いて、ポラリスの作る空間はとても現実的な日常なのだとも思った。それは、浮遊感に溢れているのに音の1つ1つはしっかりと力強く、気持ちいい多重コーラスは、歌っているメンバーの体温がちゃんと伝わってくるから。

そう気づいた時、ポラリスは浮遊感に溢れた異世界を鳴らしているんじゃなくて、ダラダラと流れていってしまう日常の時間の中に、
「普段の風景や日常って、こんな風にも見えるやん!」
というヒントを鳴らしているんだと思った。つまり、普段見ている風景が違って見えるような疑似体験。そして、それはおもろくて優しく、何だか嬉しくなってしまうものなのだ。

まだまだ日常の中には、気付いてない何かが残りまくってるし、転がりまくってる。いや、そもそも空想的なものは日常に帰って行くものじゃない?3時間近くになるライブは、さりげなくそんなことを思わせてくれるものだった。んで、やっぱり穏やかな驚きがたくさんあって心地いいなぁ。
ポラリス大好き!