オリオンは さそり恐れて 冬の空
 1月の南東から南にかけて中天を見上げると斜め一直線に並んだ2等星の青白い光がすぐに分かります。これはギリシャ神話の猟師オリオンのベルトにあたりそれを挟んで上と下に赤と青の1等星が輝いています。赤い星はベテルギウス「オリオンの脇の下)と呼ばれ太陽の700倍から1000倍もある赤色巨星です。一方青白い星はリゲル(オリオンの左足)で小さな7等星との二重星です。

 ギリシャ神話では、オリオンは天下に敵なしと豪語した報いで大さそりに刺し殺されたとなっています。その為夏の星座さそり座が西に沈むのを待って東から上がってくると伝えられています。

 オリオン座にはM42と呼ばれる全天でも非常に有名なオリオン大星雲があります。位置関係はオリオンのベルト三つ星のすぐ南に小さな星が三つ縦に並んでいます。これが小三ツ星でオリオンが腰に下げている剣に当ります。
最初に発見したオランダのホイヘンスは三重星と思っていたようですが最近の研究では300個の星から出来た星団でトラペジウム以外の大部分の星は宇宙塵に覆い隠されているようです。このために忍者星団とも呼ばれています。星団の年齢は10万年で若く明るくθ星などは4万度の高温で輝いている為、星になりきれなかった周辺の星間物質が照らされて光らされているのがM42です。
このあたりに目をやると肉眼でもぼんやりとした光が雲のように見えてきます。双眼鏡で見ればよりはっきりと見えますが、口径6〜8センチの望遠鏡で25倍位の低倍率で眺めると鳥が羽を広げたような形と、胴の部分に暗黒の切れ込みが見えますその切れ込みのおく一番輝いている部分にトラペジュウム(不等辺三角形)という四重星が見えます。