HIDバルブの修理
オークションで手に入れた「サン自動車 H4タイプ゚Lo/Hi 片側不点灯」
点灯したら、確かに不点灯でした。
いつも「もしかして点くかも・・・」と期待して実験しますが、今回も期待は見事はずれました。
不点灯原因は、バルブが割れておりキセノンガスが抜けて、スパークが不安定になり不点灯になったと考えます。
再生は不可能でしょう。しかし、Lo/Hiのスライド機構は問題ありませんでした。

ここで選択は3つ。
①新品のバルブキットを購入する。
②オークション等で中古バルブを探す。
③修理する

当然、私は②か③
②の中古バルブといっても相場は高い。それに中古だと使用期間などがわからず耐久性に問題があります。
ということは③しかないので、修理することにします。

■ 分解 ■
○分解
このバルブ、台座の部分に「HL4D-D」と刻印されています。
スライド機構は、電磁石により前後に動く仕組みのようです。

赤丸印のプラスネジを取ると、スライド機構部とバルブは、ボディーからフリーの状態になります。
コード固定部分のネジをとり、気を付けながらボディーと分離(下写真左)
スライド部分(下写真右)とバルブ部分(下写真中央)は嵌め込んであるだけですからコジって分離。
 
セラミックのソケットとバルブは接着されているので、バルブを折ります。
セラミック部分は、ちょっとネジってやるすぐ取れます。
黒いベース部分の内部を、かなりシビアな寸法でコードが配線されているため、そのままでバルブを抜こうとしてもダメで、コードに油を引いて滑りをよくして、バルブを引き抜きます。
バルブを引きながら、コードを送り込んでいくと簡単に引き抜けます。
抜けたらコードとバルブの接続部を切断。
バルブのステー?セラミック製の筒の中にバルブの足部分のガラス管が残っていますので、マイナスドライバーなどで、砕いて取り除きます。私はラジオペンチを突っ込んでグリグリ回して取りました。
ガラスですから、粉々になりながら綺麗に取れます。
なお、このセラミックソケットは左側のアシ(?)が折れてました。
さて、分解した感じでは非常に単純な構造でした。
とりあえず、バルブのガラス部分を手に入れないと先へ進めません。

■ 純正バルブ購入 ■
バルブのガラス部分だけ必要なのですが、それだけでは販売してないようです。
仕方が無いので、純正バルブを分解することにしました。
アルファード純正。
フィリップス製で、色温度は多分4300k。
上側赤丸印、3ミリ巾の金属プレートが全周回っています。
このプレートをよく見ると、点溶接した後があります。
この部分と、バルブ底部中央赤丸印の部分、3ミリφの端子をサンダーで削ります。
ステンレス線ですから、リューターでは時間がかかります。
削っていくと、金属プレート(端子)の部分からステンレス線(0.2mmぐらい)が分離しスカスカの状態になります。
バルブ(ガラス部分)を固定している留め具を緩めます。
赤丸の所をバルブに当たらないようにコジって、少し隙間を空けるとバルブが動きます。
ゆっくり引き出すと、分解完了!

■ バルブ修理 ■
○組み立て作業
最初から付いていたバルブと純正から取ったバルブの比較。
まったく同じでした。
上の写真でバルブ下部分が細くなっています。この部分が、セラミック管の中に収まります。
太さ、長さ共ピッタシです。
つまり、バルブはフィリップス製だった。
○新バルブを結線
バルブ側の線がステンレスのため、半田はのりません。
スポット溶接の出来る設備も持ってませんので、平形端子を切り圧着部分のみを使い圧着しました。強く引っ張れば抜けるでしょうが、この部分構造上完全固定されているようなので大丈夫でしょう。
(バルブ本体とセラミック管を接着。結線後に接着した方が作業しやすいです)
○組み立て完了
黒いベース部分にセラミック管を接着。
配線の被覆部分が邪魔でキチッと奥まで入らない場合があります。考慮して結線部分の場所を決めた方が良いでしょう。
《ワンポイント》
接着剤に関しては、高温に対する処置が必要と思います。
今回使用したのは「超多用途スーパーX」(セメダイン)です。
耐熱120℃ですが、何の問題もなく固定出来てます。
発光部は高温ですが、その他の部分は案外120℃以下だったりするのかも知れません。
なお、くれぐれも光点位置を確認しながら固定しましょう。

■ 点灯実験 ■
点きました。
最初、ホワ~っと煙が出ましたが後は問題ありません。接着剤の煙でしょうね。
この状態で、5分ほど点けましたが、問題なく点いてます。
最初、青っぽい色から白に変化していき、そのまま継続して点灯。

■ おまけ ■
この「HL4D-D」バルブは”フィリップス製”であったため同形状で作業が楽でした。
他メーカーに”オスラム”などがありますが、こちらは分解してないので、合うかどうかわかりません。

私がなぜフィリップス製を選択したかと言いますと、単に”バルブの止め方”が簡単に外せそうだったからです。
今考えると、正解でした。

多分、「HL4S-D」のバルブも同じ形状だと思います。
1灯切れて困っておられる方は、一度挑戦してみては

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