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 木の子村は1992年、創作活動、自然探索の拠点としての丸太小屋作りをきっかけに、子供達におやじの背中が見える地域社会を創って行きたいという思いや、心のふるさと里山や農業を守り育てていきたいという思いなど、それぞれの夢をお互いに応援しよう、そして周りの人にそんな思いを伝えていこうと意気投合し発足した。現在は奈良大和高原に位置する棚田や畑、雑木林、杉桧の森が広がる自然豊かな里山で丸太小屋作りや雑木林や植林の手入れ、椎茸作り、農作業などの体験や自然散策、自然素材を使った創作などの活動を行っている。澄んだ空気、森や草花に囲まれての作業は「心の洗濯」にもってこい、作業後に夕焼けを観ながらの一時はなんともいえない贅沢である。この里山での活動を通して、いろいろな人と出会い、様様な体験や発見をしていきたいと思っている。
 
 里山での活動で我々は多くのことを学ぶことができる。人々は生活に必要な椎茸の原木を伐採し芝を刈り炭を得、落ち葉をかき堆肥を得る。同時にこのような生産活動が里山の豊かな植生、生態系を維持することにつながっている。そして里山は里山に住む人々のこのような綿々とした生活の営み(クローズな生態系のサイクルを乱さないように程よい恵みをありがたく頂戴する心)によって何年も何年もその美しい姿を保ってきた。里山に行くと美しい景観になぜか暖かく懐かしい風情を感じるのは、そこに生活する人々と豊かな自然の営みがあるのだとやっと分かってきた。

 我々は里山や森にまだまだ多くの世話になっている。山に降った雨は根っこが絡まってスポンジみたいになった土壌に水を蓄え、沢にしみでた水は川の生き物をはぐくみ、その自然のダムは山崩れ土石流を防いだりもする。人間が汚す空気も文句も言わずにせっせと浄化してきれいな空気し二酸化炭素を取りこんで温暖化防止にも励んでいる。身の回りの生活を見たら住宅や家具や紙などなど森の木の命も沢山もらっているのだ。さらに木々を含め里山や森が全体として人に与える安らぎや癒しは現代人になくてはならない。  今は里山の生活も街中と変わらなく薪や炭は必要ではなくなり、さらに少子化や過疎化で働き手も少なくなり雑木林や造林は手入れされなくなってきた。2次林と呼ばれる一度人の手が入った里山は常に手を入れないとどんどん藪と化してしまうようである。これからは環境保全という視点も含め村や町の人々全体で里山を守っていかなくてはならないと思う。   

 これからもこのすばらしい里山を舞台に、なんでも自分でやってみて、感じてみて、考えてみて、そして自分の足元に眠っている宝物を見つけていきたい。そのために村民一人一人が世話役となり助け合い、1つ1つの作業と四季のつながりを大切にし、面白い発見や思わぬ怪我も含めすべての体験を自然と共に生きる生活の知恵として自分たちの活動に生かしていこうと思っている。現在、知らない世界のことも村民のそれぞれが持つ知恵や経験や技術や得意技を替わりばんこに先生になって伝え合って共有する里山小学校や自然体験や里山の生活体験を通して環境意識や感性を豊かに育てる子供たちが運営する冒険村(仮称)などを構想中である。企画運営スタッフ希望の方は是非連絡願いたい。

 以上のような活動を支える三つの言葉を木の子村では大事にしている

   作ろう! お互いに思いやり応援する楽しい社会
   育てよう! 自然との共生、豊かな五感
   伝えよう! 美しい地球、じいちゃんばあちゃんの知恵

 そして、家族と社会と仕事という3輪をどれが主従ではなくバランスよく元気に回すことが地球に対しての恩返しと考えている。  

里山考