【\paint07】
U-6.塗料各論
以下に、代表的な塗料について説明します。
1)ラッカー(Lacqer)
溶剤の揮発により迅速に塗膜を形成する塗料。
NCラッカー
ニトロセルロースラッカー
アクリルラッカー
成分
ニトロセルロース(NC)
アルキッド樹脂
マレイン酸樹脂
可塑剤
熱可塑性アクリル樹脂
ニトロセルロース(NC)
セルロースアセテートブチレート(CAB)
NCNCラッカーは、原料として、綿をニトロ化した硝化綿を主原料として、アルキド樹脂等を添加して使用しやすくしたもの。
○乾燥が非常に速く、ブロッキング性が少なく、作業性に優れる。
○補修が容易なため、欧米の家具等には、いまだに良く使われる。
×不揮発分が低いので、膜厚がつかない。
×不揮発分換算では、かえってコスト高
2)酒精塗料(Spirit Varnish) ニス
アルコール系溶剤に樹脂を溶解し、溶剤揮発のみにより塗膜を形成する塗料。
○乾燥が速く、刷毛塗りで容易に透明仕上げが可能
○塗膜は光沢があり、じん性に富む
○天然樹脂系が多い
×熱湯により白化する。
×耐水性、耐熱性、耐候性に劣る
☆樹脂:セラック、漂白セラック、ロジン、コーパル、ダンマル
天然樹脂を原料としているため、自然塗料と称される場合もある。
この内、セラック樹脂は、食品添加物としても認定されており、安全性も高く、
かつ、ホルムアルデヒド等の有害物を遮蔽する能力が高いことが判明したので、
「ホルマリンシーラー」として市販されている
3)油性塗料(Oil base Paint)
乾性油を主成分とした塗料
○塗装、重ね塗りが容易
○厚塗り可能でピンホールが出来にくい
○たわみ性、耐候性がよい
×乾燥が遅く、塗膜が軟らかい
×耐水、耐溶剤性、耐薬品性に劣る
天然の植物油系の乾性油を原料としたものは、自然塗料と称されている。
これと、顔料(着色成分)とを混合し、希釈剤としてテレピン油(松根油)を用い
たものが油絵の具である。
昔の調合ペイントはこの延長線上の製品である
4)アルキド樹脂塗料(Alkyd Resin Paint)
多塩基酸(フタル酸等)と多価アルコール(グリセリン等)とのエステルを基体とし、
油や脂肪酸で変性した常温乾燥塗料
○塗膜が強靭で付着性、耐候性がよい
○顔料分散性がよく、光沢、保色性がよい
○肉持ちがよい
○安価
×耐アルカリ性に劣る
原料の油は、植物油で、不飽和二重結合を有するものを用いた場合には、空気中の
酸素により、架橋反応するので、優れた塗膜を形成する。
原料の酸成分として、フタル酸を用いたものは、フタル酸樹脂塗料とも称される。
5)アミノアルキド樹脂塗料(Amino-alkyd Resin Paint)
アルキド樹脂とアミノ樹脂との混合物
○酸硬化型の場合、2液性塗料であっても可使時間が長く使いやすい
○光沢、肉持ち、硬度に優れる
×耐水性、耐候性に劣る
ポットライフが長く、乾燥が速く、肉持ち性が良く、しかも価格が安いといった、 非常に優れた性質を有しているため、多用されてきたが、シックハウスの主原因である、「ホルムアルデヒド」を原料としているため、ホルムアルデヒドの発生源となりうるので、近年では、その使用量は激減した。
6)不飽和ポリエステル樹脂塗料(Unsaturated Polyester Paint)
不飽和二塩基酸(無水マレイン酸等)と二価アルコール(エチレングリコール等)との縮合物をスチレン等の反応性モノマーに溶解したもの触媒(パーメック等)と促進剤(コバルト等)を加えると反応し、不溶性の塗膜を形成する
○無溶剤性塗料のため、厚い塗膜が出来る
○塗膜は硬く、耐薬品性、研磨性がよい
×硬化に当り、体積収縮が大きく、付着性に劣る
×たわみ性に乏しく、傷がつき易い
数年前には、家具関連でも、素材(木材)の品質が落ち、弱い材となるのを防ぐため、厚塗り出来、鏡面に出来、かつ、材の強度アップ出来る塗料として多用された。
近年では、鏡面仕上げから、木目を生かした、オープン仕上げが好まれる様になったこと、価格低下する為に塗料単価削減が図られたこと、塗膜が堅いので、研磨がしにくく、コストアップになる、等の理由から、使用量は減少してきている。
不揮発分として、100%が可能であり、厚塗り塗装が容易。
実際には、成分の反応性希釈剤である、スチレンが10数%程度揮発してしまう。
7)ポリウレタン樹脂塗料(Polyurethane Paint)
☆2液型ウレタン樹脂塗料(D/Dラッカー)
水酸基(-OH)を持ったポリオール成分‥‥‥‥‥‥主剤
イソシアネート基(-NCO)を持った橋掛け成分‥‥硬化剤
☆1液型ウレタン樹脂塗料
湿気硬化型(1液型)ウレタン樹脂塗料
イソシアネート基をもつ塗料で、空気中の水分と反応し塗膜を形成する。
○付着性、耐薬品性、耐摩耗性に優れる。
×反応性塗料であるため、取り扱いに注意を要する。
油変性ポリウレタン樹脂塗料
ウレタン結合を分子内に含む油性塗料
○安価で作業性に優れる
2液型のものは、作業性、耐久性、美観、コストダウン等の効果から、家具関連では、主流となっている。
又、近年、高級物の塗装には、ウレタン樹脂塗装が多い。
昔は、原料のTDI(トルエンジイソシアネート)が未反応のままで残存しており、これが、揮散し、人体に悪影響を及ぼすと言われてきたが、近年は、製造技術の向上から、有利のイソシアネート成分は少なく、又、残存したオリゴマーも空気中や素材に含まれる水分により分解し、揮発性の低い安定な化合物に変化する。
成分元素としては、炭素、水素、酸素、窒素であるので、燃焼時、炭酸ガスと水以外に、窒素酸化物が発生する。
但し、塗料としては、膜厚として、せいぜい数十μm程度であるので、燃焼時に発生する有毒ガスの量は、他の建材から発生する量の方が遥かに多いので、塗膜による発生量が問題となる程度か否かは、疑問が残る。
8)その他
水性塗料
電着塗料
粉体塗料
紫外線硬化塗料
無機質塗料
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