ここでは、健康管理医としては駆け出しの私が、いわゆる臨床とのハザマで苦しんでいる!?出来事を徒然に書いていこうと思います。こういう話は、どこでもあるんでしょうけど、いわゆる健康診断請負会社で雇われている時と違って、一人一人、なんかそういう時通りすがりでやっている時とは違った責任感じてしまうのよねー(当たり前か<^^;)
そう、40過ぎるて健康診断すると、どこか「経過観察」って書かれる人は多いですよね。で、経過観察のまま放ってませんか?ああ、こういう人って多いんですよね。こっちは「すぐにでも治療しないといけないこともないけど、来年までには治しててね」ってつもりでつけてても、受け取る本人にはなんとも思わないみたい。そんでもって一番よくあるのが「痛風」ですね。「高尿酸血症」で「経過を10年間」みて立派な「痛風」におなりになる。その時にやっとご本人は「こんなんなるとは思わなかった・・・」とおっしゃりますが、後の祭・・・
最近、「経過観察」をつけることに少し疑問を感じたりもしています。はたして、これを受け取る人はどう思うんだろうって。
現在の検診の方法では、血圧、検尿、心電図はその場で結果が出るので、ある程度は説明しています。その時に、「大丈夫でしょうか?」なんて言われると一番つらいんですよね。そのたびに「一見、健康な人が何か病気が隠れてないかどうかを診断するのが健康診断で、何か病気がありそうかなさそう程度までしかわからないのに、大丈夫かどうかまでわかりません。心配なら改めて病院に行ってください」って言うんですが、なんか冷たく聞こえそうでいやになってしまいます。そうです!健康診断でおそらく大丈夫なのは「健康診断で正常だった項目(言葉のとおり受け取ってください)」です。問診とかから、何かおかしいかな?病院に行ってちゃんと見てもらったほうが良いのでは?ってのはありますが。
って、えらそーに書いたけど、これはベテランの偉いお医者様方からはご批判を受けそう・・・
ま、それはともかく「症状がある人は、健康診断で代用しようとせず、きちんと訴えを持って病院を受診しましょう」ということです。症状があるのに健康診断で安心してたら、思わぬ落とし穴があるかもしれませんよ。
健康診断は大事ですよ
これを読んでいただいている方の大半が、企業で働いている労働者の方であろうと思います。近年では、ほとんどの企業で「健康診断」が行われています。これは労働安全衛生法に基づくもので、事業者の義務として行われており、個々の企業の独自の判断でやっているわけではありません。ですから、通常の病院で行われている医療行為とは全く異なるものです。しかし、この義務である健康診断をどのようにとらえているかは、残念ながら企業により様々あるようです。
本来は職員が健康でなければ、企業も健康でいられないはず、ということなのですが、どちらかというと最近は不健康な職員さんはさようならして、次の元気な職員を捜しましょう、という風潮が強い様な気がするのは私が世間に疎いからだけでしょうか?。企業には、少ない健康診断費用で、不健康が顕性化する前の段階で発見して、入院などすることなく再び健康な状態になってもらって、また仕事を頑張ってもらおう、と考えていただきたいのですが・・・。
労働者の側も「健康診断なんて面倒くさい・・・」という人が多いのも実情です。実は法律には労働者もこのような健康管理事業に協力する義務が定められています。ま、法律でどうこうよりも、ぶっちゃけた話、入院したらさようなら・・・と言われないためにも、年1回の健康診断で自分の体を自分でもチェックしておくことが残念ながら今の世の中では必要だと思いますよ。自分のみ把持分で守りましょう・・・(なんちゅう締めや・・・)
いろいろ聞こう!?
検診やってたら良くある話ですので、関係者にはおもしろくも何ともないと思うのですが・・・もうずいぶん昔、ある健康診断機関で仕事をさせていただいていた時のことです。大阪の南部での住民検診で、2時間で200名ほど入っていました。ま、この人数割りについては業者としてのペイするかどうかというものと、我々が十分な診察、問診が出来るのかというところで難しい判断が迫られるところですが(ちなみに、奈良県内の郵政の検診は原則1時間50人です)
で、70過ぎのおばあさんが入ってこられました。
「特に何もありませんか?」(聞き方が悪いといわないでね)
「えっと、リウマチと腰痛で病院かかってますねん・・・」(といって、鞄から袋をいろいろ出し始める)
「こっちが○×医院の薬で、△○接骨院で・・・」(と、5つくらいの病院のを出す)
「全部かかってるんですか?」
「いえ、適当に使い分けてるんですけど、どの先生がいいか聞こうと思ってきました。どの先生がいいと思いますか?」
「(そんなん言えるわけないやんか!!)ま、どの先生もよかれと思ってされていると思いますから・・・」(と切り上げようと努力を試みる)
「じゃ、昨日親戚の子供が蜂に刺されたんですけど大丈夫でしょうか?」
「いやぁ、見てないので何とも・・・」
「それじゃぁ・・・(と新聞の切り抜きを出し始めるので)」
「ごめんなさい、ちょっと時間がないのでその辺にしてもらえませんか」
「あらぁ、何でも聞けると思ってたのにぃ・・・」
と、最後は愚痴を言われてしまいました、はい。申し訳ないですが、おばあちゃん、そういうのは「健康相談」というのをやってるときに来て下さいね。お願いします。
無事平成11年度の定期健康診断も終わって、ここのページを見にきた人はそんなことはないと思いますが、意外と「病気の怖さ」を知らない人が多いことに驚いています。高血圧、糖尿病、高脂血症など病名がつけられているのは知っている、でも放っておいたらどうなるかは知らない。死へのリスクが高いことを説明したら、すぐにでも薬を下さいと言う。う〜ん、一方ではマスコミが誤解を招くような医療ネタをどんどんやるから、変な知識を持ってしまう人が多いと思えば、全然知らない人もいる。
病院には知識武装した人ばかり来るので、そういう意味でちょっと浦島太郎気分の今日この頃です。