3. 開催の経緯


 チェンマイは700年を越える歴史を持つ地域であり、城壁をはじめ各所にランナー文化の遺跡や寺院、市民生活の民家やショップハウスなどの歴史文化遺産が多く存在し又、周辺の山並みやピン川の自然、近郊の農地と共に緑豊かな風景・景観も残されています。

 一方、都市化も急激に進行しており、中心部はもとより衛星都市や周辺のムバーン(新興住宅地)開発も活発に行われ、今後ますます都市化の進行は避けられないのが現状であり、現在改定中の都市総合計画は土地利用の見地と法的性格上、都市景観としての切り口からの施策としての言及は少なく、多様化する建築物等の形態をはじめ、歴史遺産との共存や町並み保全、自然環境保全等、今後のより良い景観保全や地域防災という見地から現在のチェンマイの実情を把握し今後のまちづくりに生かす必要があると考えます。

 チェンマイ県土木・都市計画事務所において、JICAシニアボランティア景観担当により、チェンマイ県都市総合計画区域内での景観データの収集と、多くの人々に活用できうる景観データベースの構築を目指したJICA現地研究が進められており、研究プロセスにおいて多くの関係機関や団体の協力参加を呼びかけ実施しています。

 また、2003年より民間交流として(社)奈良まちづくりセンターとチェンマイ都市開発研究財団が歴史都市における開発や保存・再生と言う都市化に伴う景観や防災等を、互いの共通問題として学びあい活かしあう活動として交流が進められていますが、折りしも本年は日タイ修好120周年であり、団体間から地域間のより多くの人々の交流による成果が期待されています。

 そして今回、JICA現地研究「チェンマイ景観データベース構築に関する研究」の中間報告と日タイ修好120周年記念事業「古都奈良とチェンマイの地域交流フォーラム」とを共同開催することにより、国や地域、団体間の垣根を外し、古都どうしの景観や防災等の都市成熟化に伴う諸問題を話し合う機会を通じ、問題意識の共有と発展的な地域交流の好機を提供するものであります。


4. 開催の目的と期待される効果
 
 (ア)日タイ修好120周年記念事業として、都市成熟化に伴う諸問題を話し合う機会を
   通して奈良とチェンマイ相互の地域交流の輪を広げ、日本とタイの友好親善に
   寄与する。

 (イ)住民自らが地域の景観や防災の重要性に対する認識を深め、住民主体及び住民
   参加の「まちづくり」により、住民と行政の協力関係のきっかけづくりとする。

 (ウ)JICA現地研究「チェンマイ都市総合計画区域における景観データベースの構築に
   関する研究」の中間報告により、チェンマイの景観保全に対する認識を深める。

 (エ)日本とタイにおける景観保全や地域防災の取り組みについて、一般市民や産、
   官、学、JICAの各関係者の知識と問題意識の共有を図り互いに学び合うことに
   より、今後の計画立案のための指針づくりとする。