2004.1.26 東村山市の有限会社夢職人さんにお邪魔しました。

 

【副題】 夢職人さんは、夢の壊し屋さん?それとも夢先案内人?

 

おかつ婆ちゃんが有限会社夢職人さんをお尋ねしようと思ったのはこちらの会社のHPがとても理にかなっているなと感じたからです。
また、熊澤社長さんから当サイトにいろいろな投稿をいただき、筋の通った論客経営者として住まいに対する夢をどのように発信しておられるのか実際にお目にかかって伺ってみようと思ったのです。
〒189-0011
東京都東村山市恩多町3-7-10
有限会社 夢職人
TEL 042-393-5888 
FAX 042-393-7631
URL http://www.yumesyokunin.co.jp/

お会いする前は、きっと細身の学者タイプだろうと予想していたのですが、お目にかかると、やや微肥満(?)の大陸的風格のある方で全く予想は外れていました。

 

 

         
おかつ婆ちゃんは列車に乗るときは地下足袋を脱いで座席に正座します。
そのほうが足が疲れないからです。
また、新幹線では必ずE席(2列席の窓側)に決めています。
富士山が良く見えるからです。
今日も自宅から準備した水筒のお茶を飲みながら青い空を背にした雄大な富士山を拝むことが出来ました。

品川駅から山手線に乗り換え高田馬場駅で西武新宿線に乗り一路久米川駅へ。
奈良県生駒市を出てからざっと4時間50分かかりました。

駅にはHPご担当の渡辺さんが自転車で迎えにきてくださいました。
会社へは暖かい陽射しがいっぱいの川沿いの道を通りました。
川向こうはマンション群、こちら側は新興住宅地です。
この住宅街の中に会社があるというのです。
少しして前方に平屋の民家が見えてきました。
会社を案内する看板も無く、最初に訪れる人はきっと通り過ぎてしまうのではないかと思えるほど宣伝臭がありません。

事務所はこちらの会社の主力工法「ソーラーサーキット」で建てられ、ワンフロアーとなっていました。

天井が高く頭上の圧迫感が全くありません。

熊澤社長はバブルがはじけたおかげで、腕のいい職人さんに巡り会える機会が増え会社としては大変好調だとおっしゃる。
やはり、職人さんの技量が家づくりの基本であり、利益をあげるために工期を短縮したり、じっくり造りこむ手間を惜しむ風潮は良くないと考えていると会社としての良心を淡々と語られた。

最近になって、職人さんの間で、「夢職人の仕事をしている」ということがちょっとしたステータスになっているのが嬉しいとメガネの奥の目を細めておっしゃったのが印象的でした。

それにしても、お客様は住まいに夢を持っておられない、せっかくの一生の大事業なのに、、、、とつぶやかれる。

へ?なにそれ?
夢があるからこそ家を建てようと決心されたわけだし、まして注文住宅を選択されておられるのに、夢をお持ちでないとはどういうことなのか?

お客様の住まいへのイメージは、住宅展示場へ行って、そこにあるシステムキッチンや家具などに目を奪われ、家族が一番気持よく生活するにはどうあればいいのかということを全く考慮しない人が多いのが気になっているのですとおっしゃる。

そうかなあと思いつつ、では一体夢職人さんではどういう方法でお客様の夢を叶えようとなさっているのかと問うと、お客様に『住宅調書』を提示し、その項目全てを書き込んでいただくそうだ。

この住宅調書は日頃の家族の方々のそれぞれの生活パターンなど多方面に渡って書き込む必要があり、実は、これがこちらの会社の最大のノウハウとなっているとあとで気づきました。
お客様(施主様)は、ここに書き込むことによって自分達の本当に願う生活が自分達にも見えてくるようになっているのです。
副題に「夢の壊し屋さん?それとも夢先案内人」としました理由がここにあります。

熊澤社長はお客様にとって本当に気持のよい生活とはなになのかお客様以上に真剣に考えておられるのだろう。

住宅展示場の見かけだけの夢を追うのでなく(夢の壊し屋さん)もっと自分達にとって暮らしやすさとはなにかを考えましょう(夢先案内人)といっておられるのだ。

私たちは、お客様が納得されるまで何度も一緒に考えながらお客様のご希望や夢を具体的なところにまでもって行くのです。
これは、効率を優先しなければならない大手ハウスメーカーさんには絶対真似のできないことです、とおっしゃる。
時間がかかってもそのお客様の最大の夢をなんとか引き出して、そして叶えたいという信念に揺るぎがないからだろう。

年々施工数が増加しているのもうなずけます。

(有)夢職人社屋
 

熊澤社長

 

社内風景

 
 
 
 

 

         
会社は新興住宅街の中にあるのですが、歩いて数分圏内に何棟も夢職人さんの施工されたお宅があり、ざっと外から見せていただきました。
夢職人さんの会社を建築中に近くの方が見学にこられ、「私はこんな山小屋風の家は絶対いやだ」とおっしゃっておられたのだが、結局私どもの施工をごらんになられ、そして、私どもの方に設計施工を依頼してこられました家があれです。
果たして、設計結果は地下室のあるヨーロピアンアンティーク家具に囲まれたこだわりの家になったそうだが、、。

その他2世帯住宅も拝見させていただいたのち、今日のお宅訪問先である渡辺さん邸に向かいました。

 

 

         
渡辺さんの家(外観)
 


2F廊下を見上げる

 

 


リビングから見上げる

 

 


空間の連続撮影

 

 

 

娘さんの部屋からロフトを見上げる

ニッチいろいろ

渡辺さん邸はガレージの奥の庭に盆栽類が見え、おや、また風流だなあと感じながら、玄関を入りました。
実は、予め間取り図を拝見しており、また、空間がお気に入りだと聞かされておりましたので、きっと、玄関に入った瞬間吹き抜けが現われるのだろうと、だいたいそういうパターンだものなと、見もしないうちから決めていたのですが、入った時点でそんな気配がないので狐につままれた感じでした。
(リビングに空間が開けてくるのを後で知りましたが)

1Fはご同居のお義父様の部屋と対面式キッチンそしてリビングという間取りになっている。

2Fへの階段部分が家の中央部にありその前方部分が屋根の内側までへの吹き抜けになっている。
つまり、リビングの天井の一部がなく、その部分が屋根まで届く吹き抜けになっているのです。
今まで知っている限り、吹き抜けといっても、2Fの天井部分までで(それでもかなりの開放感がありますが)この屋根の内側にまで達する空間の拡がりは想像以上の開放感をもたらしてくれる。

ソーラーサーキット工法は、外断熱・二重通気工法と呼ばれ床下と屋根裏に開閉口があって壁内に外気を通すことも出来るし、外気を完全に遮断することもできる特許工法で、全国で700の工務店が採用しているという。
また、木造軸組み工法で、家を建てているので、構造に問題がなければ自由に間取り・空間をデザインできるわけだ。

2Fは和室と寝室が続きになっており、廊下をはさんで、ご主人の書斎、そして背中あわせに奥様の書斎(勉強部屋)で、そのとなりが中学生の娘さんの部屋になっている。
娘さんの部屋にはさらに上にロフトがあり、家の最高所に位置し、屋根の一番高い部分の内側空間が利用されている。

こりゃ楽しいわ、と思わず童心に返ってしまいました。
娘さんもこのロフトがお気に入りで、最近では、ここで寝ておられるとか。
なによりも愉快なのは、このロフトに小窓があり、そこから一気に1Fのリビングまで覗き込める。

そういえば、ご主人の書斎にも小窓があり、やはりここから、下が見える。
空間をいろいろな場所から感じることの出来る工夫が随所に満ちている。
だいたい窓というのは、室内から屋外を見るためのものという固定概念でいたが、室内から室内を見る窓があるというのは初めて見た。

「どうして、ソーラーサーキット工法を選ばれたのですか」

「主人も私も結露のない家がまず最大の選択基準だったのです。それで、いろいろ調べていくうちに、ソーラーサーキット工法があることを知りそれで夢職人さんをお尋ねしたのです」

私は結露のことはあまり重要とは考えてはいませんでした。
というのは、結露は、仕方ないじゃないか、いずれ乾くんだから程度だったのです。

そう話しますと、結露はカビになり、カビがダニを呼び、そして木を腐らせるから、住まいにとって最大の敵なのだと社長の説明がありました。

ソーラーサーキットの高気密・高断熱住宅はこの結露を防ぎ、冬暖かく夏涼しい仕様で、住居内に温度差が無くなるような工夫になっているという。
室内に温度差がないということは、トイレや風呂などでの高齢者の死亡率が最も高いという、あの危険性を回避することができるメリットがあるということになる。

2Fの廊下から下をみればリビングが見え、上を見れば屋根の内側まで広がる空間を感じられ、まるでこの場所がそのまま、劇場の舞台のような錯覚にとらわれるのです。
つまり、今までの私の感覚では、空間というのは上への広がりしか基準になかったのですが、渡辺さんのお宅では、上と下の広がりとして空間を実感出来ることがすばらしい。

社長に伺うと、設計段階でこの空間をイメージできる人は大変少ないらしい、まして、素人である渡辺さんが持つこの空間イメージ力はとてもめずらしいということでした。
私もそう思います。
出来てからだったら、理解できるけれどね。
でも、心配になったので、こういう空間のイメージは素人さんにもわかるように夢職人さんはしてくださるのですかと聞きますと、それは長年の蓄積から、いろいろな方法で理解していただけるようになっているというので安心しました。

ソーラーサーキット工法の利点には空間の活用もあるのだと知り、これは面白くなってきたぞと感じざるを得ません。
社長が住宅調書を推奨されるのは、せっかくの住まいだから、もっと、気持ちの良い生活のために単に間取りにとらわれるのではなく、空間の設計にも夢を注ぎましょうというお客様への提案であったのだと知ることが出来ました。

渡辺さんのお宅にはあちこちにさまざまなニッチが造りつけてあり、絵画を飾れば画廊にもなるし、こだわりの小物で飾ればちょっとした小物雑貨店にもと、奥様の遊び心が随所にちりばめられ、そういえば、奥様の書斎の下の壁には娘さんの部屋に入れる秘密の扉もありました。

楽しくが人生のテーマのひとつとおっしゃっておられた渡辺さんは、楽しく手をかけていける家、落ち込むことがあっても楽しい気分になれる家をめざしたそうです。
生活でもそのまま実践しておられました。


楽しい生活とは、空間が面白く愉快でなければならない。

このような感じを強くもちました。

 

 

         
取材後記

熊澤社長は最近ラジオにも出演され、また、工務店さん向けの講演にも忙しいという。
さらに、営業日誌というかたちで書き綴られてきたものが、近々、出版され本になるという。

最初、HPを拝見したときに感じた、理にかなっているなという印象は、お会いして、その原点を知ることができました。
つまり、お客様の住まいに対する夢をお客様と共に創造しながら、住まいを通じて人生を問い掛けるそんな姿勢がHPに潜んでいたのです。
お客様の持つ潜在的な暮らしに対する願望をたくみに引き出して、それを具体的な形にするには、うわべだけの知識や理解力だけでは到底無理な話で、やはり、かなり深い洞察力が要求されます。

最初に会社の看板がないのは、どうしてかと不思議に思ったのですが、宣伝しなくとも、実力さえあればお客様に巡り会える、こういう信念がおありだからなのでしょう。

熊澤社長がインターネットに着目されたのはもう5年以上も前からと聞きます。
そして、今では、ネットからのお客様が70%になるまで成長されました。

『時代の流れを先取りする情報発信型・論客経営者』という表現がぴったり当てはまると思います。

13年前、会社名を「夢職人」としたとき、まだ周辺にはそんな名前も無く、(いまでこそ、そんなに奇異ではなくなったのですが)ちょっと浮いた感じで恥ずかしかったですと、はにかみながらおっしゃった表情は風貌に似合わず可愛い少年の顔になっていました。

最後に社長との会話録から一言紹介します。

私たちがいままで、施工した住まいは、ひとつとして同じものがないのです。
それは、お客様の家族構成も違えば、その夢も全て違うからです。
職人である私たちにはそのお客様の夢実現に、最高の技量を発揮しようと腕が鳴っているのです。

夢をかたちに、住まいづくり 有限会社夢職人さんのHPは   http://www.yumesyokunin.co.jp

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