ピレウス港からオモニアへ

 

フェリーはピレウス港に3時ごろに着く予定でした。だからアテネには泊まらずいっきにコリントまで行って泊まろうかなと考えていました。先ず地下鉄でオモニアまで行き、それからバスでキフィスーバスターミナルへ行き、そこから長距離バスでコリントへ行く計画です。ところが、ピレウス港に着いたのが4時過ぎでした。おまけに子ども達の体調が悪いのです。歩くのもやっとといった感じです。

団体のパック旅行だったら、体調なんてお構い無しに、バスに乗せられて連れまわされてしまいますが、個人旅行ということで、予定の変更も簡単。とりあえず、少し休憩することにしました。

次女はかなり気分が悪く、荷物は夫が背負って、何とか歩いてレストランに入るとしばらく横になって休憩しました。でもあまり遅くなると宿を捜すのが難しくなるので、それほどゆっくりも出来ず、少し休憩しただけで出発です。車に揺られるよりも、電車の方がましだろうと思い、地下鉄でオモニアまで行くことにしました。

地下鉄の駅を探すのに少し迷ってしまいました、というのは、地下鉄とは言うものの、ピレウス駅では地上にあったからです。古いけれど立派な駅舎でした。券売機もあったけど、窓口でチケットを買い、改札代わりにある刻印機で刻印を押し、ホームへ行きます。ちょうど電車が出るところだったのですが、急いでいくことが出来ず、見送りました。でも、次の電車はあまり待たないうちに来ました。本数はかなりあるようです。

電車の中は二人掛けの椅子が向かい合わせにボックス席になっています。そこに4人で坐ったのですが、次女が横になった方が楽だろうと、夫が立ち、次女はそこに横になりました。駅に停まるたびに人の乗り降りがあって、かなり込み合ってきたので、立っている人が増えてきました。夫は通路でじゃまにならないように少し離れたところに移動していました。結局娘はひとりで二人分占領していたので、後から乗ってきた中年の女性に文句を言われました。

私は自分の席を譲って、「娘は具合が悪いので・・・。」と言ったのですが、上手く伝わったかどうか・・・。でもその人は一旦そこへ坐ったものの、他の席が空いたら移動しました。

それからしばらくして、また新たに乗ってきた年輩の女性に同じように言われました。「すいません、娘は具合が悪くて・・・。」英語で言っても伝わるかどうか分からないけど・・・謝りました。

この国では年輩の女性には席を譲るのが当然なのかも知れません。具合が悪いときに地下鉄で移動しようとしたのが間違いだったのかもしれません。かなり、肩身の狭い思いをしました。

長女も立っていたのですが、地下鉄電車がオモニアに着く頃には、長女まで気分が悪くなったと言います。やっと、オモニアに着いて、何とか階段を上がってきました。でも皆で宿を捜して歩き回るのはとても無理みたいです。夫と娘二人はオモニア広場に残り、私ひとりで探しに行くことになりました。

 

 

 

 

 

ホテルをさがして

 

ガイドブックを見ると、アギウ・コンスタンディヌ通りにホテルがたくさん並んでいるので、その道沿いに歩きながら、空室があるか聞いて回ることにしました。ホテルリオン、ホテルディロス、ピタゴリオンホテル何処も満室です。道を一本入った所なら・・・と思い、カロルー通りのホテルナフシカに入ると、やっと空室が見つかりました。値段も手ごろなので部屋の中を見せてもらうと、ベッドが3つです。

シングルベットが4つの部屋でないとゆっくり寝られないので、そんな部屋はないのかと聞いたら、向かいのホテル、ミノアならあるはずだからと言って電話をしてくれました。

ミノアに入ると、今電話があったから、と言ってすぐ部屋を見せてくれました。部屋は2つに分かれていて、ちゃんとベットは4つあって、テレビも冷蔵庫もありエアコンも付いていて、お風呂にはちゃんとバスタブもあります。値段はちょっと予算オーバーかなと思ったっけど少し負けるからと言うのでここに決めました。

前金をいくらか入れるのかと思ったら、それは要らなくてパスポートをちょっと預かると言われました。パスポートを預けるなんて不安に思ったのですが、「戻ってくればすぐ返すし、それまで金庫に入れておくから大丈夫。」と言います。ここは信用するしかないので、パスポートを預けて、夫と子ども達を迎えに行くことにしました。

部屋にリュックを降ろし、貴重品の入った鞄だけを提げて、小走りにオモニア広場に戻りました。階段から出てすぐの店の前で待っているはずなのに・・・、3人の姿は見えません。こんなに早く戻ってくると思わなくて、何処かへ何か買いにでも行ったのかなあ・・・。しばらくきょろきょろしてたけど、戻ってきそうにありません。少しサークル沿いに歩いてみると、また地下鉄から上がってくる階段が・・・。

そうなんです、地下鉄から上がってくる階段は二つだけではなく、たくさんあったのです。3人は最初からずっと同じ所で待っていたのに私が少し勘違いして間違えてたのでした。

娘達の荷物を夫と私で持ち、二人を抱えるようにして、なんとかホテルミノアに着きました。チェックインするとすぐパスポートを返してもらいました。

部屋に入ると娘達はベットに倒れ込みました。私は二人は船酔いだろうと思っていたのですが、熱まで出ているのです。旅の疲れと風邪と両方から来ているのかもしれません。明日のコリント行きは止めることにしました。

 

 

 

 

子ども達には日本から持ってきた風邪薬を飲ませました。熱がとっても高いので、夫が万一のためにと言って持ってきた袋から出して叩くと急に氷のように冷たくなる氷嚢が役に立ちました。これは1回きりの使い捨てではなく、冷凍庫で凍らせれば何度でも使えて重宝しました。(部屋に冷蔵庫が有って、ほんとに良かったです。)

このホテルも、掛けるのは薄いシーツ状のものが1枚きりだったので、フロントに毛布を貰いに行きました。英語が通じたので毛布が欲しいと言ってることは通じたのですが、向こうの常識からよほど外れているのか、「ほんとに毛布が欲しいのか。」としつこく念を押されました。それでも何とか分かってくれたようで、冬用の毛布を出してきてくれました。それは袋に入っていたので、クリーニングしたばかりのだと思って部屋で開けてみたら、どうも新品のようでした。

 

 

つづき


ギリシア旅日記