郵便受け

 

アメリカにいる時は、日本からの手紙が何よりも楽しみでした。毎日郵便が配達されてくるのが、とても待ち遠しくて、一日に何度も郵便受けを覗きに行ったものです。

 

 

 

その@

 

ジョージタウンアパートの郵便受けは、中庭の真ん中にたっています。六十数軒分が縦横に並んでいて、それぞれ鍵がかかっています。

ある日、郵便物を取ると、隣の部屋の郵便物が紛れ込んでいました。日本でもこういう事はよくあって、宛名をみてその人の郵便受けにポンとほうり込みます。ところが、このアパートの郵便受けには手紙を入れる差し入れ口がありません。鍵をかけると薄い紙一枚差し込むことも出来ないのです。紛れ込んできた手紙は、お隣へ直接持っていき、問題はありませんでした。でも、“郵便配達の人は配達にきた時、六十数個の郵便受けの一つずつを鍵で開けては郵便物を入れ、また鍵をかけるのは大変だろうなあ。”と、思いました。

それから何日か過ぎて、郵便受けのところに行こうとすると、ちょうど郵便配達のおじさんが来ていて、郵便物を郵便受けに入れるところです。少し離れたところから見ていると、郵便配達のおじさんは、郵便受けの裏側にまわって、なんと後ろの大きなパネルを鍵で開けたのです。すると、六十数個の郵便受けが一度に開いて、何の苦もなく郵便物を入れることができたのでした

 

 

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アメリカで暮らして