チップ

 

日本ではチップの習慣がないので、外国に行くとチップに悩まされます。とは言っても、アメリカで暮らしていても日常生活では、あまりチップを払うことはありません。普段は外食しても、ファーストフード店ではいらないので、チップを払う事になるのは、ちょっとしたレストランで食事をする時や、アメリカ国内を旅行をしたときぐらいです。

それでも、1年間もアメリカに滞在していると チップを払う機会にも恵まれ、段々チップを渡す事に慣れてきます。慣れてくると、大体の相場というものが分かってきます。そして、金額の事を悩まなくなると、チップを渡すというのは結構いい気分です。ほんとに感謝している気持ちを表わしたい時、ありがとうの言葉と一緒にコインを渡すと、それがわずかな金額にもかかわらず、とっても喜んでくれるのです。

チップに関するエピソードをいくつか紹介します。先ずは初めのころの失敗談から、

初めてアメリカへ行った時、夫の仕事の関係でヒルトンホテルを3泊予約してあったのですが、オーバーブッキングで初日は別のホテルにまわされました。それで翌日、夫は朝から仕事なので、朝食後すぐにみんなでヒルトンホテルへ行きました。でも、すぐにはチェックイン出来ません。家族4人分のスーツケースなどの大きな荷物5個をチェックインの時間までの間、預かってもらうことになりました。私は取りあえずポーターにチップを2ドル渡そうとしたら、「荷物一個に付き1ドルです。」と言われました。あわてて5ドルを出しましたが、とっても恥ずかしい思いをしました。

 

 

アラバマ州ハンツビルにあるNASAの宇宙・ロケットセンターの見学に行った時、ハンツビルのホテルに二泊しました。ホテルの名前は思い出せないのですが、(たぶん、LA QUINTAだったと思います。) 朝出かける時にベッドの横のサイドテーブルにチップとして普通は1ドル置いていたのですが、クリスマスの頃だったので、今日は特別と思って2ドル置いときました。

夕方、NASA観光から戻ってみると、メモがあって、それには、「 こんなにたくさんチップを頂いて良いのでしょうか、間違いだったらお返しします云々。」というようなことが、英語で書かれていました。ハンツビルはアラバマ州の中では大きな市のひとつですが、映画 「マデイソン郡の橋 」で有名になったマデイソン郡にあります。やはりアメリカ南部、そこに住んでいる人は素朴で優しい人だなあと、ハンツビルの印象がぐーんと良くなりました。

 

 

モービルで週末によく行っていたファミリーレストラン、そこは先払いで、食べ放題です。自分で食べたいものを取りに行くので、中にはチップを置く人もいますが、たいていの人はチップを置きません。

このレストランのパンがとても美味しくて、子ども達も私も大好きでした。このパンは籠に入れてテーブルに持ってきてくれます。いつも、そこで食べてしまっていたのですが、ある時、子ども達が食べれずに残してしまいました。大好きなパンが捨てられるのはもったいないから、持って帰りたいなあと思いました。

食べ放題のお店では普通残り物の持ち帰りは出来ない…とは思ったのですが、持ち帰り用の袋を貰えないか、ウェートレスに尋ねると、袋とパンの入った籠をもう一籠もってきてくれました。これも貰っていいの…と、ちょっと驚いたのですが、サービスよとばかりにウェートレスはウインク。

それでその時は、テーブルにチップを置いて、その店を出ました。

 

 

ルイジアナ州ニューオーリンズに車で行った時の事です。ニューオーリンズは、日本人観光客も多く、南部では大きな市のひとつですが、観光地なので治安は今ひとつという感じがするところです。観光船に乗りたかったので、車を停めるところを探したのですが、どこも一杯で、少し離れたところにある駐車場に預けました。若い男の人がひとり係員としてそこに居たのですが、とても広い駐車場なので、大丈夫かなあと少し不安でした。

フレンチクォーターを散歩し、スチームボートのクルーズを楽しみ、数時間後、駐車場に戻ってきました。私達の車は傷をつけられる事もなく、無事でした。夫も私も嬉しくて、係員にチップを渡す事にしました。といっても50セントだけでしたが、その人はとっても喜んでくれました。

日本だったら、50円とか100円渡しても、誰も喜んでくれないのにと思うと複雑な気分ですが…。相手がとっても喜んでくれたので、たったこれだけの金額なのにそんなに喜んでもらえるとかえって恐縮してしまうのですが、こちらもなんとなく、チップを渡して良かったなとハッピーな気分になりました。

 

 

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アメリカで暮らして